では、どうぞ!
あの戦いからしばらく休戦となり、そこから更に月日は流れ、魔王様を失った俺ら悪魔陣営は一つの結論に行き着いた。
それが『実力の高い悪魔を新しい魔王にする』だ。遂に魔王様の名前が役職名になってしまったが、良いことかもな。俺は政治にも変化は大事だと思うぞ。
だがここで一つの問題が発生した。ある意味戦争よりも厄介かもしれんその問題が『魔王様のご子息様方』だ。彼らは自分たちが魔王の座をもらい、戦争を続ける。と言っているのだ。
亡くなった魔王様には失礼だと思うが、あいつらバカじゃねぇのかマジで。
今戦争を再開したら悪魔は終わる。なんでそれがわかんねぇのかな?その魔王のご子息様は、本来魔王様よりの考えの大王家にも反対されている始末だ。
大王家の方はまともで助かったよ。だが魔王様のご子息様陣営はこれに断固反対の考えを示し、魔王を新たに決めたいこちらと、戦争を続けたいあちらの間で抗争が起こってしまっている。
ほんとバカだな向こうは。ちなみに俺は、とある任務を任されているため、目立たないように黒っぽいローブでフードを深く被っている。
その任務というのご、あるヒトをこちら側に亡命するので、それを支援をしてほしいとの事なのだ。
そのヒトのファミリーネームを聞いた時は、さすがに驚いたぞ。
俺が任務を受けた時のことを思い出していると、そこに例のヒトらしき人影と、それを追っていると思われる人影も複数、数は4人だな。面倒だが、下手に殺せないしな。仕方ねぇ、あれやるか!
考えがまとまったと同時にその二つの間に飛び込んだ。
「何者だ!?」
突然現れた俺に、追跡者たちは驚愕しているので、俺は名乗った。
「あ~、一応新魔王陣営?の使いパシりだ」
「ほう?ならば……殺しても問題あるまい」
ですよね~。まぁ、計算の内だがな。という訳で行くぜ!
俺が急に動いたからか、奴ら一瞬反応が遅れた。その隙は命取りだ!
まず、一人目は頭をわしづかみにし、足を掛け勢いよく後頭部から地面に叩きつける!
「一つ!」
二人目は手を決め、テコの原理とかいうので投げ飛ばし、ついでに三人目にぶつけ、怯ませておく!
「二つ!」
「なめるな!」
四人目が攻撃しようと右手をこちらにむけるが、俺は逆に接近手首掴み横の木に叩きつける!
「三つ!」
これで終わりかな?
「まだだ、まだ終わてない!」
三人目がまだだったけか?まぁ、ヒトぶつけただけだから、倒れるわけないか。という訳で、俺が構えると。
ガンッ!
いい音(?)したな今。見ると先ほど追われていた人物が、三人目の後頭部に打撃をかましてた。これでクリアか?周りに警戒しつつとりあえず確認する。
「あなたが、グレイフィアさんでよろしいですか?」
「はい、私がグレイフィア"ルキフグス"です」
ルキフグス。魔王もっと言うと"ルシファー"に仕えるはずの一族のヒトがこちらに亡命か。
「とりあえず、あなたを安全なポイントに連れていくことが俺の任務ですので……すぐに移動しましょう。また追っ手がくるかもしれません」
「はい、分かっています」
その後はたいした追撃も無く無事にポイントに到着。そこに居たのは、
「サーゼクス!」
「グレイフィア!よかった無事で」
兄さんだった。任務を頼んだヒトが直接会いに来るって、それでいいのか?まぁ、とりあえず、これで任務完了か。俺としても兄さんの"恋人"を助けれてよかったぜ!
「サーゼクス、ところでこちらの方は?」
「あぁ、彼は……」
「シドウ・グレモリーです」
フードをとりながら俺が言うと、
「グレモリー、まさか!」
「うん、弟だよ」
兄さんがそう言った瞬間
グググググッ!
グレイフィアさんか思いっきり兄さんの頬を引っ張っていた!
「なにふんのさ、くれいふぃあ」
言えてないぞ兄さん。どんだけ強く引っ張られているんだよ。
「何故、こんな危険な任務に実の弟を!」
そう言うと、グレイフィアさんは一旦頬から手を離した。
「彼が、一番信頼できるし、何より実力もトップクラスだからだよ」
兄さんに面と向かって言われると、なんか照れるな。
「とりあえず、シドウさん、ありがとうございました」
「いえいえ、俺は任務をこなしただけですよ。では」
そう言ってから俺は退散する。それにしても、もしかしたらあのヒトが俺の義姉になるかもしれないのか。そんな事を考えながら俺は帰宅するのだった。
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