時間となり、俺たちは喧嘩の舞台となるフィールドに転移し数分。俺たちはフィールドの駒王学園に当たる所に来ていた。
校庭で対峙する俺たちと教会クーデター組。今にも始まってしまいそうだが、俺はストラーダに言う。
「ストラーダ倪下、お初にお目にかかる、シドウ・グレモリーと申します。やはり、やらなければなりませんか?」
「貴殿が噂に聞く
ストラーダはそう返してくる。当たり前か……。
「では、これ以上の言葉は無粋ですね」
「ええ、では、始めるとしましょう」
ストラーダがそう言うと、彼を囲む戦士たちが構えた。
「もしかしたらって思ったんだが、やっぱりこうなるか」
俺は拳を構え、リアスたちも構える。
ストラーダはデュランダルのレプリカの剣先をこちらに向け、高らかに宣言した!
「戦士たちよ、天より許された一戦、思いの丈を今日この場で全て吐き出せっ!」
『オオオオオオオオオオオッ!』
この一帯が振動するほどの声量が発せられた!
「死んでも後悔はするなっ!罪からくる報酬は……死なのだからっ!」
『オオオオオオオオオオオッ!』
それが開戦の合図となり、戦士たちが一斉に殺到してきた。
「さて、やるか……おまえらも死んでも後悔すんなよっ!死なせねぇけどさっ!」
『はい!』
リアス、朱乃、アーシア、ロスヴァイセを後衛。小猫、匙ギャスパーを中衛。イッセー、ゼノヴィア、俺が前衛で迎え撃つ形になる。アーサーは後ろで静観を決め込んでいる。まぁ、下手に前に出られて死者を出されるよりはマシだ。
俺は死んでも後悔するなとは言ったが、こっちは向こうを殺すつもりはない。クーデターを起こしたとはいえ、死者を出していない彼らを殺すのはどうかと、と言うのが俺たちの意見のためだ。
なので、俺はブレードを使えない。殴ったり、投げ飛ばしたりで戦士を倒していく。まぁ、魔力による強化はある程度できるので、それはやらせてはもらうが。
男の光の剣をスレスレで避け、あごに一発、ふらついた隙に右回し蹴りを撃ち、五人ほど巻き込んでいく。
回りを見れば、みんなが殺さないように注意しながらも応戦していっていた。
イッセー、小猫は打撃、ゼノヴィアも加減しながらの斬撃、匙は
最悪アーシアに治してもらえばいい気もするが、それはそれ、これはこれだ。
にしても……数が多いな。俺たちが始める少し前にソーナから始まったと連絡が来ていたが、向こうも大丈夫なはずだ。
俺はそう考えながらも戦闘を続けていった。
戦闘開始からもうすぐ二十分というところで、俺たちのもとに虹色のシャボン玉が飛んで来た。俺は反射的に全て避けていく。
敵の攻撃かとも思えたが、そのシャボン玉は向こうにも飛んでいっているから、攻撃ではなさそうだ。シャボン玉に当たった奴が泣き崩れているんだが、なぜだ?
試しに突っついてみるか?でも、何かヤバイもんだったらそれはそれで………。
俺がシャボン玉を避けながら考えていると、ここに近付く気配が二つ、どうやら向こうは終わったようだ。
その気配が到着すると同時に言う。
「そっちは終わったみたいだな。木場、イリナ」
「はい、無事に終わりました。それで、先生は何を必死に避けているんですか?」
俺がシャボン玉と戯れているのを見てイリナが言う。
「これってこっち陣営のでいいんだよな?」
俺の質問に木場が答える。
「はい。このシャボン玉はジョーカーが作り出したもので、相手の大切なものを思い返させて戦意を鈍らせるものだそうです」
我らがリーダーらしい、やさしい技だな。
だが、この状況でも戦意が薄れない者が一人。
「これはこれは、キレイなシャボン玉ではないか」
しわくちゃな顔で笑みを浮かべるストラーダ。
このシャボン玉でほとんどの戦士が泣き崩れ、戦線は崩壊した。今まで静観していたストラーダがようやく腰を上げたのだ。
ストラーダは祭服を脱ぎ捨てる。その祭服に隠されていた肉体は、八十七歳とは思えない筋肉の塊。
なんつー肉体だよ。どんな鍛え方してんだか……。
ストラーダが一歩前に始まった出る。その瞬間俺たちの背中を冷たいものが走った。まるで邪龍みたいなプレッシャーなんだが……人間だよな…あいつ。
ストラーダは手を広げて、彫りの深い笑みを浮かべた。
「では、教義の時間といこうか。悪魔の子供ら、そして古き
ストラーダから感じるプレッシャーに全員が息を呑んだ。
ゼノヴィアが言う。
「……デュランダルのレプリカ。力は本物の五分の一ほどと聞くが……倪下が持つ以上、その限りではないだろう」
ゼノヴィアのエクス・デュランダルは性能的には勝っているだろうが、使い手の勝負になりそうだ。
最初に飛び出したのは木場とイリナだった。向こうで勝った勢いで、自信に満ちた足取りだ。
だがストラーダは動かず、構えも取らない。油断をしているわけではなく、余裕ぶっているわけでもない。そこに木場の聖魔剣が伸びていくが、ストラーダはその一撃を素手で止めた。………素手で止めた!?
俺も驚いているが、一番驚いているのは木場ど、聖魔剣とストラーダの顔を交互に見ていた。動かそうにもびくともしないのようだ。
ストラーダが頷きながら言う。
「いい剣筋だ。的確でいて、ためらいもない。しかし」
パリン……と乾いた金属音が鳴り響いた。聖魔剣が折られたのだ。
「まだ鍛練が足りない」
そう言い放ち、ストラーダは裏拳を木場に撃ち、木場は折られた聖魔剣で防ぐが、吹き飛ばされていった。
「倪下、失礼を!」
イリナが斬りかかるが、今度は指二本で挟んで止め、豪快に剣ごと投げ飛ばした。
うーむ、これは殺す気で行くのがちょうどいいか。
俺はブレードを作り飛び出していく。
正面からの勝負!
俺はブレードで斬りかかるが、ストラーダは右手を前に出し、左拳を引いて構えた。
その腕に俺のブレードが当たる……その瞬間
「ふんッ!!」
ストラーダの気合い一閃とともに左の正拳突きが撃ち出された!
俺は反射的に体を後ろに倒し、直撃は避ける!
いっつもカウンターで痛い目にあってるんでね、いい加減それへの対応もできるッ!
俺は後ろに倒れこみながらストラーダのあごに蹴りを見舞うがそれを右手で止められ、豪快に投げ飛ばされた。
数メートル上に投げ飛ばされ、地面に落下していくが、落下中に翼を展開して姿勢を制御し、状況確認のため滞空する。
上から見て気がついたが、俺は先ほど放たれた正拳突き、その余波で建物が倒壊していた。
直撃してたら、死んでたんじゃね?
俺はそう考えながら着地する。
「今のが噂に聞いた『聖拳』……喰らってたらアウトだった」
俺はブレードを大剣に変え、オーラを込めていく。
ストラーダはそれを見て、応えるかのようにレプリカデュランダルにオーラを込めていった。
俺とストラーダは剣を高々と掲げ、構える。
俺が笑みを浮かべると、ストラーダも笑みを返してくる。
男の勝負に小細工はいらないっ!……俺の力を信じて、真っ正面から全力で行くっ!
俺とストラーダは同時に剣を振り下ろした!
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俺、兵藤一誠はリアスたちと共に、シドウさんの滅びのオーラとストラーダのじいさんの聖なるオーラがぶつける直前に張られた防御障壁の中で閃光が晴れるのを待っていた。
シドウさんもじいさんを殺す気全開で放って、そのじいさんもそれに真っ正面から受けてたった。
ついに閃光が晴れるとそこには肩で息をするシドウと同じく肩で息をするストラーダのじいさんの姿があった。
今の一撃でも無傷なのかっ!?
シドウさんがじいさんに言った。
「ま、マジで人間かよ……」
あのシドウさんが呆れた表情になっていた。
ホントになんなんだよあのじいさんっ!理不尽って言うか、なんと言えばいいのかっ!
「貴殿に言わせれば人間の寿命は短い。だが、その全てを戦いに注ぎ、鍛え、経験してきた。それが私の血となり肉となっただけだ。そして、神への信仰と己の肉体への敬愛を忘れなければ、パワーは魂にすら宿るのだ。……と言っても、貴殿の一撃には魂を感じた。神への信仰ではなく、己を信じ撃ち込んできた結果だろう?」
ストラーダのじいさんの言葉にシドウさんは笑みを浮かべていた。まるで認められた弟子のような、心底嬉しそうな表情だ。
するとシドウさんが大剣を消し、こっちを向いた。
「さて、次はおまえら若者が見せる番だ。俺はちょっと疲れたんでね。休ませてもらう」
シドウさんはそう言うとこっちに歩いてくる。
「ほほほ、私はまだまだ若いようだ。この程度では息は上がらんよ」
ストラーダのじいさんは今度は俺たちにレプリカのデュランダルを向けてきた。
どうやら先ほどの消耗はほとんど回復しているようだ。
シドウさんがやったように、俺も全力でぶつかりに行くっ!
「じいさん、俺も本気、出させてもらうぜっ!」
俺はじいさんに宣言し、拳を構えた。
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