グレモリー家の次男   作:EGO

127 / 265
本日二話目、どうぞ


life02 売られた喧嘩は買うぜ

イッセーたちにクーデターの話をした日の深夜。

兵藤宅の地下プールに、オカ研、デュリオ、グリゼルダ、ヴァーリチーム、刃狗(スラッシュ・ドッグ)が集まっていた。

何か大問題がってわけではないのだが、イッセーが『新技』を見てもらいたいというので集まったわけだ。

見た感想としては、よく考え付いたもんだ。と言ったものか、俺では思い付かないものだった。

その発表を終え、イッセーたちはそのままプールで遊びはじめたのだが、俺はとっとと寝るか。

俺はプールに入らずそのまま戻ろうと思い、歩きだしたのだが、突然腕を引っ張られ、止められる。俺は振り向き引っ張った相手を見る。

「あの~、シドウさん?」

「ロスヴァイセか、どうした?」

「えっと、その……」

ロスヴァイセは口ごもっているが、チラチラとイッセーの方を見ていた。そのイッセーはリアスと朱乃のオイル塗りをしているわけだが……。

「……やってほしいと?」

俺の質問に無言で頷くロスヴァイセ。

「はぁ……しゃーない。オイル持ってこい。やってやるよ」

「あ、ありがとうございますっ!」

ロスヴァイセは満面の笑みを浮かべオイルを取りにいった。

たまにはいいだろう。こういうのも……。

やってみてなんだが、女性の肌ってスベスベだな。なんかやるたびにロスヴァイセが「はぅっ」とか「あっ」とか甘い声を出して理性を支えるのが大変でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日の深夜、この地域のD×Dメンバーが兵藤宅のVIPルームに集まっていた。

今日の午後にイッセーたちが、クーデターを起こした連中と接触、宣戦布告されたらしいのだ。

というわけで、ミカエルと連絡を取り合っているわけだ。

『申し訳ありません。立て続けにこちらの関与する事件に巻き込んでしまって……』

開口一番にそう言うミカエル。『立て続けに』というのはクリスマス前のあれのことを言っているのだろう。

『彼らの要求はD×Dとの一戦です。特に駒王町に住まうあなた方との一戦を所望しているのです』

ミカエルの言葉を聞いてイッセーが訊く。

「どうして俺たちと?」

その質問に俺が答える。

「この町は同盟のスタート地点になったこの町、あいつらにとっては複雑な思いを持つ場所なんだろ。そんで、おまえらもそのスタートに完全に首を突っ込んでる。逆恨みに思えるかもしれないが、あいつらにとってD×Dってのは複雑でいて、憎い相手なんだろうよ」

コカビエル襲来、三大勢力の和平、そして和平の象徴であるD×D、クーデターの相手として狙ってくるのはある意味当然だったかな。

グリゼルダが言う。

「クーデターに関与した者の大半が……家族を悪魔や吸血鬼に殺められたり、人生を狂わされた者ばかりです。復讐のため、あるいは悲劇を繰り返さないため、彼らは戦士となった。三大勢力の同盟に誰よりも異を唱えたのは彼らや、彼らが育てた教会上層部の方々でした」

俺も戦士側だったら納得するのに時間がかかるか、クーデターに参加していたかもな。

イリナが言う。

「なかには離反して他の組織に移動した者もいたけれど、大半は信仰心のある敬虔な信徒ばかり。……神を信じながらも、不満を抱いていた」

それを聞いた俺は息を吐きながら言う。

「とは言ってもこれは完全な内輪もめ、サイラオーグやシーグヴァイラは呼べんぞ、上の連中がうるさいからな。それにこの隙に冥界を攻めようとするかもしれん」

イッセーが訊いてくる。

「シドウさんは問題ないんですか?レヴィアタン様の眷属ですよね?」

「ん?ああ、問題ねぇよ。俺も宣戦布告された駒王町D×Dの一人だからな」

俺の言葉にイッセーは納得してくれたようで、頷いていた。

そんな俺たちにミカエルが険しい表情で言う。

『……それはうれしいのですが、これは我々の管理不足がそもそもの原因。今回は私たちが……』

「待て、おまえは動くな」

アザゼルがミカエルの言葉を遮り、続ける。

「ミカエル、おまえは天界の象徴であるべきだ。ここで厳しい決断を下すのも、トップの役目だろうと俺も思う。……が、この一件は言い方を変えれば喧嘩だ。事情はどうであれ、無理矢理抑え込めば禍根が残るだろう。だったら、落としどころはきちんとつけさせたほうがいい」

『しかし、アザゼル。それを皆さんに任せっきりにしてしまうのも……』

「俺は気になってもいるのさ。あのストラーダとクリスタルディが闇雲にクーデターを起こしたとは思えない。何か考えがあるのだろう。なんとなく気づいてはいるんだろ?」

『どちらも幼い頃から見てきていますから、彼らがどれほど敬虔な信徒か、よく知っていますよ。おそらく、回りくどいようで、真っ直ぐな想いを抱いているのだと思います』

ミカエルが一通り話し終えたところで俺が訊く。

「ところで、テオドロって何者だ?イッセーたちからの話だと十二そこらに見えると聞いたが」

『テオドロ・レグレンツィは「奇跡の子」なのですよ。その中でも彼の才能は抜きん出ていたのです』

「奇跡の子……天使と人間のハーフか」

俺とミカエルの言葉に一同驚愕の表情を浮かべていた。

「まぁ、売られた喧嘩は買うさ」

「シドウの言い方はどうかと思うが、そういうことだ。あいつらの挑戦を受けてもらいたい。天界と教会の尻拭いってやつだ。いつも貧乏くじを引かせて悪い」

俺たちの言葉にリアスが不敵に笑み、ソーナもやる気を感じる表情(長い付き合いならわかるほど小さい変化だが)になっていた。

だが、イリナは苦渋に満ちた表情でミカエルに訊く。

「私も参加してもよろしいのでしょうか?リアスさんたちの味方として……」

『ええ。あなたには苦労をかけますね。私が不甲斐ないばかりに……』

申し訳なさそうにするミカエルだが、デュリオは笑って首を横に振っていた。

「ミカエル様が悩む必要性なんかありゃしませんって。こういうのはどこでも起こりうる事件です。何かを変えれば、必ず不満を抱く者は現れてしまうもんですよ」

それを聞いたグリゼルダは感心していた。

「あなたがリーダーらしいことを言うなんて……成長しましたね」

「姐さん、もう少し俺のこと評価してくれるとうれしいんだけどなぁ……」

デュリオはガックリしながら言うが、今ので俺の中の評価も上がったぞ。

「天界も動いてくれるのはありがたいね。ところで、ストラーダとクリスタルディってどんくらい強いんだ?大雑把でいいから頼む」

俺の言葉にグリゼルダがしばし考え、口を開いた。

「そうですね、デュリオと同じか、上ぐらいです」

「聞かなきゃよかったかな……」

デュリオクラスが二人とかホントに人間なのか。

「いやーあの二人、マジで強いから気を付けようねぇ」

ホント、気を付けよう。

俺たちがそんなことを話していると、アザゼルが言う。

「まとめると、挑戦を受けるのは、リアスチーム、ソーナチーム、D×Dの御使い(ブレイブ・セイント)組ということだな。サイラオーグとシーグヴァイラには俺から言っておく。あと、刃狗(スラッシュ・ドッグ)を裏のサポート要員に回しておく。まぁ、あいつならうまくやってくれるだろう」

俺はそれを確認し、剣士三人の方を見る。木場、ゼノヴィア、イリナの表情は複雑極まりないものになっていた。

その後の話し合いで決戦は三日後となったのだった。

 

 

 

 

 

 

 




誤字脱字、アドバイス、感想などよろしくお願いします

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。