イッセーたちにクーデターの話をした日の深夜。
兵藤宅の地下プールに、オカ研、デュリオ、グリゼルダ、ヴァーリチーム、
何か大問題がってわけではないのだが、イッセーが『新技』を見てもらいたいというので集まったわけだ。
見た感想としては、よく考え付いたもんだ。と言ったものか、俺では思い付かないものだった。
その発表を終え、イッセーたちはそのままプールで遊びはじめたのだが、俺はとっとと寝るか。
俺はプールに入らずそのまま戻ろうと思い、歩きだしたのだが、突然腕を引っ張られ、止められる。俺は振り向き引っ張った相手を見る。
「あの~、シドウさん?」
「ロスヴァイセか、どうした?」
「えっと、その……」
ロスヴァイセは口ごもっているが、チラチラとイッセーの方を見ていた。そのイッセーはリアスと朱乃のオイル塗りをしているわけだが……。
「……やってほしいと?」
俺の質問に無言で頷くロスヴァイセ。
「はぁ……しゃーない。オイル持ってこい。やってやるよ」
「あ、ありがとうございますっ!」
ロスヴァイセは満面の笑みを浮かべオイルを取りにいった。
たまにはいいだろう。こういうのも……。
やってみてなんだが、女性の肌ってスベスベだな。なんかやるたびにロスヴァイセが「はぅっ」とか「あっ」とか甘い声を出して理性を支えるのが大変でした。
次の日の深夜、この地域のD×Dメンバーが兵藤宅のVIPルームに集まっていた。
今日の午後にイッセーたちが、クーデターを起こした連中と接触、宣戦布告されたらしいのだ。
というわけで、ミカエルと連絡を取り合っているわけだ。
『申し訳ありません。立て続けにこちらの関与する事件に巻き込んでしまって……』
開口一番にそう言うミカエル。『立て続けに』というのはクリスマス前のあれのことを言っているのだろう。
『彼らの要求はD×Dとの一戦です。特に駒王町に住まうあなた方との一戦を所望しているのです』
ミカエルの言葉を聞いてイッセーが訊く。
「どうして俺たちと?」
その質問に俺が答える。
「この町は同盟のスタート地点になったこの町、あいつらにとっては複雑な思いを持つ場所なんだろ。そんで、おまえらもそのスタートに完全に首を突っ込んでる。逆恨みに思えるかもしれないが、あいつらにとってD×Dってのは複雑でいて、憎い相手なんだろうよ」
コカビエル襲来、三大勢力の和平、そして和平の象徴であるD×D、クーデターの相手として狙ってくるのはある意味当然だったかな。
グリゼルダが言う。
「クーデターに関与した者の大半が……家族を悪魔や吸血鬼に殺められたり、人生を狂わされた者ばかりです。復讐のため、あるいは悲劇を繰り返さないため、彼らは戦士となった。三大勢力の同盟に誰よりも異を唱えたのは彼らや、彼らが育てた教会上層部の方々でした」
俺も戦士側だったら納得するのに時間がかかるか、クーデターに参加していたかもな。
イリナが言う。
「なかには離反して他の組織に移動した者もいたけれど、大半は信仰心のある敬虔な信徒ばかり。……神を信じながらも、不満を抱いていた」
それを聞いた俺は息を吐きながら言う。
「とは言ってもこれは完全な内輪もめ、サイラオーグやシーグヴァイラは呼べんぞ、上の連中がうるさいからな。それにこの隙に冥界を攻めようとするかもしれん」
イッセーが訊いてくる。
「シドウさんは問題ないんですか?レヴィアタン様の眷属ですよね?」
「ん?ああ、問題ねぇよ。俺も宣戦布告された駒王町D×Dの一人だからな」
俺の言葉にイッセーは納得してくれたようで、頷いていた。
そんな俺たちにミカエルが険しい表情で言う。
『……それはうれしいのですが、これは我々の管理不足がそもそもの原因。今回は私たちが……』
「待て、おまえは動くな」
アザゼルがミカエルの言葉を遮り、続ける。
「ミカエル、おまえは天界の象徴であるべきだ。ここで厳しい決断を下すのも、トップの役目だろうと俺も思う。……が、この一件は言い方を変えれば喧嘩だ。事情はどうであれ、無理矢理抑え込めば禍根が残るだろう。だったら、落としどころはきちんとつけさせたほうがいい」
『しかし、アザゼル。それを皆さんに任せっきりにしてしまうのも……』
「俺は気になってもいるのさ。あのストラーダとクリスタルディが闇雲にクーデターを起こしたとは思えない。何か考えがあるのだろう。なんとなく気づいてはいるんだろ?」
『どちらも幼い頃から見てきていますから、彼らがどれほど敬虔な信徒か、よく知っていますよ。おそらく、回りくどいようで、真っ直ぐな想いを抱いているのだと思います』
ミカエルが一通り話し終えたところで俺が訊く。
「ところで、テオドロって何者だ?イッセーたちからの話だと十二そこらに見えると聞いたが」
『テオドロ・レグレンツィは「奇跡の子」なのですよ。その中でも彼の才能は抜きん出ていたのです』
「奇跡の子……天使と人間のハーフか」
俺とミカエルの言葉に一同驚愕の表情を浮かべていた。
「まぁ、売られた喧嘩は買うさ」
「シドウの言い方はどうかと思うが、そういうことだ。あいつらの挑戦を受けてもらいたい。天界と教会の尻拭いってやつだ。いつも貧乏くじを引かせて悪い」
俺たちの言葉にリアスが不敵に笑み、ソーナもやる気を感じる表情(長い付き合いならわかるほど小さい変化だが)になっていた。
だが、イリナは苦渋に満ちた表情でミカエルに訊く。
「私も参加してもよろしいのでしょうか?リアスさんたちの味方として……」
『ええ。あなたには苦労をかけますね。私が不甲斐ないばかりに……』
申し訳なさそうにするミカエルだが、デュリオは笑って首を横に振っていた。
「ミカエル様が悩む必要性なんかありゃしませんって。こういうのはどこでも起こりうる事件です。何かを変えれば、必ず不満を抱く者は現れてしまうもんですよ」
それを聞いたグリゼルダは感心していた。
「あなたがリーダーらしいことを言うなんて……成長しましたね」
「姐さん、もう少し俺のこと評価してくれるとうれしいんだけどなぁ……」
デュリオはガックリしながら言うが、今ので俺の中の評価も上がったぞ。
「天界も動いてくれるのはありがたいね。ところで、ストラーダとクリスタルディってどんくらい強いんだ?大雑把でいいから頼む」
俺の言葉にグリゼルダがしばし考え、口を開いた。
「そうですね、デュリオと同じか、上ぐらいです」
「聞かなきゃよかったかな……」
デュリオクラスが二人とかホントに人間なのか。
「いやーあの二人、マジで強いから気を付けようねぇ」
ホント、気を付けよう。
俺たちがそんなことを話していると、アザゼルが言う。
「まとめると、挑戦を受けるのは、リアスチーム、ソーナチーム、D×Dの
俺はそれを確認し、剣士三人の方を見る。木場、ゼノヴィア、イリナの表情は複雑極まりないものになっていた。
その後の話し合いで決戦は三日後となったのだった。
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