グレモリー家の次男   作:EGO

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この章ラスト、どうぞ!


life15 嵐の後の静けさだぜ

無事アウロス学園に戻ってきた俺とロスヴァイセはリアスに話を訊いていた。

「お兄様!ロスヴァイセ!無事ですか!」

「この通り……俺はボロボロだよ、リアス。

それでヴァルブルガとその他の邪龍は?」

「あの後すぐに転移していきました。目的だったアグレアスを手に入れたから……とソーナと私の意見は一致しましたわ」

「そっか……子供たちは全員無事だったんだろ?ならいいさ」

「はい。それではみんなのいるテントの方へ移動しましょう」

「わかった」

「わかりました」

俺とロスヴァイセは返事をして歩き出すが……俺はいつまでロスヴァイセを抱えておけば?ロスヴァイセも離してくれないし……。

そのままロスヴァイセを抱えてテントの方に移動する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たっだいまぁ~」

『シドウさん!(先生!)』

「ただいま戻りました」

『ロスヴァイセさん!(先生!)』

「「「………ズルいですっ!」」」

「へ?」

レイヴェル、アーシアなどの一部女子が声を出した。言われたロスヴァイセはよくわかってない感じだったが、俺に抱えられたままだったことをすぐに理解し、顔を赤くしていた。それにしても、みんな元気だねぇ~。

とりあえず、ロスヴァイセをベッドに降ろして、俺はパイプイスに座り、背もたれに体を任せる。

「だぁぁぁ……しんど…」

俺が愚痴をこぼしていると、イッセーが訊いてくる。

「シドウさん。ユーグリットは?」

イッセーからの質問に俺はサムズアップをして答える。

「兄さんのところに送った。後はあっちに任せるさ…」

「そうですか。俺はシドウさんが勝つって信じてましたよ!」

「そりゃどぅも」

興奮気味のイッセーの頭をグシャグシャと撫でる。

「そういえば……アザゼルは来てないのか?」

「アザゼル先生もデュリオも来てはいますよ。ここにはいないですけど………」

「そっか、後で探そう。今はゆっくりさせてくれ」

俺はそう言うと瞳を閉じて仮眠の態勢に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「ええええええええええええっ!」」」」

「うおっ!」

誰かの叫び声で俺は叩き起こされた。

「え、ちょっ。何事?」

俺が話についていけていない中で、イッセーが訊いてくる。

「シドウさん!知ってたんですか!」

「だから何を?」

「ぜ、ゼノヴィアが」

「生徒会長に立候補するってやつか?」

「「「「………………………」」」」

俺の言葉に、イッセー、木場、小猫、レイヴェルは固まってしまった。あれ?言ってなかったっけ?まぁいいや

「それじゃ、お休み~」

俺はあくびをしながらそう言い、再び仮眠の態勢に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここでかまいませんよ」

学園の隅で転移型魔方陣を展開するゲンドゥルさん。今回の件で酷く消耗したゲンドゥルさんは、一度冥界の病院に行くことになっていた。医療班に任せてもいいんだが、ゲンドゥルさんは一人で行けると個人用の魔方陣を展開したらしい。

そのゲンドゥルさんを俺とロスヴァイセで見送ることになったわけだ。

「……………………」

「……………………」

ゲンドゥルさんもロスヴァイセもお互い黙ってしまい。気まずい空気が漂っていた。するとこちらに近寄る気配が複数……見れば子供たちだった。

「ロスヴァイセ先生っ!」

「おばあちゃん先生っ!」

子供たちは二人に寂しそうに言った。

「先生、帰っちゃうって本当?」

「もう、この学校に来ないの?」

「先生の魔法、もっと教えてほしいです!」

「魔法、使えるようになりたい!」

ゲンドゥルさんは子供たちの頭を撫でながら言った。

「また来ますよ。それにロスヴァイセ先生だっていつかまた必ず来てくれるはずです」

それを聞いた子供たちは最高の笑顔を見せてくれた。

ゲンドゥルさんがロスヴァイセに言う。

「ロセ、おまえが通ってきた道は、学んできた知識は、たとえ内の家系と異なるものだとしても、間違ったものではないんだよ。ほら、見なさい」

笑顔の子供たちがそこにはいた。

「この子たちの笑みはおまえが通ってきた先にできたものだよ。それは今のおまえだからこそ、できたもの。もっと、自分を誇りなさい。………ロセ、おまえは自慢の孫なのだからね」

その一言を聞いたロスヴァイセは、込み上げてくるものを必死に抑えていた。それでも、目からは涙が溢れていく。

「………はい。ありがとうございます」

それを確認して、ゲンドゥルさんは魔方陣に魔力を込めていくが、何かを思い出したかのように言った。

「あー、そうそう」

ゲンドゥルさんは俺に視線を送り、ウインクした。

「シドウさん。ロスヴァイセをよろしくお願いしますね」

俺はゲンドゥルさんの目ををまっすぐ見て、笑みを浮かべながら言う。

「任せてください」

ゲンドゥルさんは俺に笑みを返して転移していった。

「……俺は言いたいことを言ったぞ………いつかの約束は抜きにしてな……」

「……は、はい………」

俺もロスヴァイセも顔を赤くしながら会話していた。

「ねえねえ、チューするの?」

「紅い先生が、ロスヴァイセ先生とチューする!」

子供たちが俺とロスヴァイセを煽ってくるが、あ、紅い先生って俺の事か?……なんかいいもんだな。

「チューなんて破廉恥なこと、わたすは………」

「あ、おっぱいドラゴンがあっちに」

俺はロスヴァイセの言葉を遮り、子供たちの後ろを指さす。

『えっ!』

素直に子供たちが向こうを抜いた隙に……。

「ロスヴァイセ」

「は、はいっ!」

俺はロスヴァイセの頬に右手を添え、顔を近づけ唇を重ねる。そしてすぐに離す。それと同時に子供たちがまたこっちを向いてくる。

「紅い先生!どこにもいないよ!」

「先生うそついたぁぁっ!」

「先生のうそつきぃぃぃ!」

子供たちが俺に色々と言ってくるが、

「ごめんごめん。見間違えちゃったみたいだ」

『む~』

おおう。どうしたもんか……。

俺が考えを巡らせていると、ロスヴァイセがフラフラな足取りになっており、俺の胸に顔を埋めてくる。

「シドウさんとわたすが………キュゥ………」

ロスヴァイセはそう言うと……気絶したっ!?

「ちょっ!ロスヴァイセ?ロスヴァイセェェェ!」

その後、俺はロスヴァイセを抱えたまま、子供たちに追いかけ回された。

 

 

 

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数時間後、魔王領レヴィアタン執務室。

そこで彼……シドウ・グレモリーは正座をしていた。彼の前には静かではあるが濃密なまでの魔力を放つセラフォルー・レヴィアタンの姿が。

「…………………」

「それで、シドウ。言い残すことは?」

「俺は自分の気持ちに正直に生きたいだけだっ!」

「よろしいっ!」

ドゴォォォォォォォォンッ!

「ぎゃぁぁぁぁぁっ!」

この日、魔王少女の攻撃から全力で逃げる紅髪の誰かを多くの悪魔が目撃した。

 

 

 

 

 

 

 

 

さらに数時間後、セラフォルー記念病院。

シドウ・グレモリーは全身に包帯を巻かれ、ベッドに横たわっていた。

その横には銀髪の女性……ロスヴァイセがいる。

「シドウさん、大丈夫ですか?」

「まぁ、何とかな……」

「……………………」

「……………………」

二人は黙りこんでしまうが、先にシドウが口を開いた。

「いちおう、セラからもお許しが出た。ロスヴァイセを二番目にするって条件つきだったけどな。まぁ、ダメって言われるよりはマシかな」

「そ、そうですか!」

ロスヴァイセは嬉しそうではあるが、どこか悔しそうな表情になっていた。

シドウとセラフォルーは百年単位で付き合っている。一方、ロスヴァイセと付き合ってまだ数週間ほど、差があって当然なのかもしれない。

だが、二人の表情は満足気なものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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