グレモリー家の次男   作:EGO

115 / 265
本日は三話の予定です。
では一話目、どうぞ


life11 シドウVSグレンデルだぜ

俺はブレードを構え、グレンデルは姿勢を低くし、突撃の構えをとる。

俺たちの耳には遠くからの爆音や邪龍の咆哮が聞こえてくる。

『そんじゃぁ、行くぜぇぇ!』

その叫びと共にグレンデルは飛び出してくる。そのまま俺に肉薄すると、拳を、蹴りを連続で撃ち込んでくる。だが俺は自慢のスピードで全て避け、グレンデルに斬りかかりダメージを与えていく。

『相変わらず速えぇなぁぁぁ!』

グレンデルはそう言いながら飛び退き、腹を膨らませる。

火炎を吐くつもりなんだろうが………。

俺は手に持っていたブレードをグレンデルに投げつけると同時に高速で動き出す。

グレンデルはそれを体さばきだけで軽々と避けるが、火炎の溜めを一瞬だけ遅らせた。ブレードはそのままグレンデルの後ろまで飛んでいく、走り出していた俺はそのブレードをキャッチし、背後から斬りかかる!

今の一瞬でグレンデルは俺を見失い、火炎を吐けないでいた。ブレードに一瞬でも注視すれば、俺を見失わせることなんて簡単だ。その隙に斬らせてもらった。

『くそが!』

グレンデルは火炎を吐くことを諦め、尻尾を大きく振り、俺を牽制してくる。それも避け、尻尾をブレードで貫き、そのまま地面に固定する。

俺は一旦離れ、グレンデルを睨む。

「オラオラどうした!その程度かグレンデルさんよ!」

『舐めんなぁぁぁぁぁぁ!』

俺の挑発にキレながら、グレンデルは自分の尻尾を引きちぎろうとしていた。

ブチブチと嫌な音を出しながら、少しずつ尻尾が自由になっていく。

『がぁぁぁぁぁ!』

グレンデルの叫びと共に尻尾が自由になる。

『どうだぁぁ?これで自由だぜぇぇ?』

「やれやれ……」

俺は再びブレードを作り、構える。

尻尾からは絶えず青い血が流れ出していた。このまま放置しておいてもこいつは失血で倒れるだろうが、それだと時間がかかりすぎるな……。みんなことが心配だし、早く終わらせたいんだがな。

俺が考えを巡らせていると、グレンデルが体当たりを仕掛けてくるがそれをジャンプで避け、グレンデルはひとつの家屋を壊し、奥まで飛んでいった。その時嫌な声が聞こえてきた。

「きゃっ!」

「ッ!」

『あぁん?』

俺とグレンデルがその声に反応して、その声の主の方を、今ので壊された家屋の方を見る。

そこには一人の女性が!逃げ遅れがいたのかよ!

グレンデルはその女性を見て、口の端をニヤリと歪ませ、腹を膨らませていた。

俺は反射的にその女性の前に移動し、大剣にオーラを込める。

グレンデルは火炎を吐き出すと同時に俺もオーラを飛ばす。その二つがぶつかり激しい衝撃波が巻き起こった!

「で、何でこんなところに!」

「そ、その怖くて………」

怖くて動けなかったと?それはそれで怖くてなかったのかよ!

「とにかく、どうにか移動を……」

『喋ってる場合かよ!』

「…ッ!」

俺がグレンデルの声に反応して振り返ると同時に、放たれていたグレンデルの蹴りで吹き飛ばされた!

「ガッ!」

『オラオラァァァ!』

吹き飛ぶ先に回り込まれ、アームハンマーで地面に叩きつけられる。

イッテェなっ!まったくよ!

『オラオラどうした?そんなもんか!悪魔ちゃんよ!』

グレンデルは俺を見下ろし、そう言ってくるが……あの女性はどうなったかな。

グレンデルが俺にもう一撃入れようと足を上げる。踏み潰すつもりなんだろう。

すると、そのグレンデルに魔力弾が降り注いだ!

俺はその隙にその場を飛び退き先ほどの女性の方を見ると、父兄の方々に連れられ避難していた。それと同時に俺に緑色のオーラが飛んで来て、傷を回復する。

これでよし、だいぶ吹っ飛ばされたからな、おかげであの女性を助ける時間は稼げた。

それで今の援護攻撃はロスヴァイセからで、緑色の回復オーラがアーシアだろう。

俺が戦闘中と聞いて飛んで来てくれたのか、助かるが…

俺は魔力装置の電源を入れる。

「二人とも助かった。もう大丈夫だ。他のとこに行ってくれ」

『わかりました。何かあればすぐに』

ロスヴァイセの言葉に「わかってるよ」と返事をして、再び電源を切り、グレンデルの方を睨む。

「相変わらず、卑怯だな。あれか?テンション維持のための適度な殺しってやつか?」

俺の問いにグレンデルは笑いながら答える。

『その通りだ!まぁテメェを殴れたからいいがなっ!』

「そうか……いい加減面倒だ」

俺はそう言うと少しずつオーラを解放していく。

『ッ!』

あのグレンデルが警戒して、身構えた。

「グレンデル……これからやるのは"一方的な"殺戮だ、蹂躙だ。テメェは果たして、滅びずにいられるかな?」

俺はそこまで言って、完全にオーラを解放し、滅びを身に纏う。滅びのオーラに包まれた俺が一度力を入れると回りに衝撃波が発生し、砂ぼこりが舞うが砂ぼこりは俺に当たった瞬間、全てが消し飛んでいく。

『いいじゃねぇか……それがリゼヴィムの野郎が言ってたやつか!』

『そうだ。グレンデル……今の俺は滅びそのもの……魂も残さずに………消してやるよ』

俺はそう言うとグレンデルの背後に一瞬で回り込み突きを放ち、腹部に風穴を開ける。

『ぐぅっ!』

グレンデルからしてみれば、俺は消えたように見えただろう。

『舐めるなぁぁぁ!』

グレンデルは振り向き、その遠心力に乗せて右拳を放ってくるが、俺はブレードを引き抜き、避けるのではなく真っ正面から左手だけで拳を受け止める!

『なにっ!』

『一応言っとくが、左手は義手なんでな、俺の魔力にあわせてパワーがあがる。パワーアームってやつだ』

『何が言いてぇんだよっ!』

『グレンデル……おまえのオーラが今の俺に負けてるんだよ。だから撃ち抜けない』

『ッ!くそが!』

グレンデルは後ろに飛び、火炎を吐いてくる。だが俺はその炎に突っ込み、グレンデルに肉薄する。

『なっ……』

『オラッ!』

グレンデルが驚いている隙に、左手で顔面を殴る!

グレンデルは大きく態勢を崩すが、倒れずに持ちこたえる。

だがその顔は混乱と驚愕の色が強かった。

『赤龍帝でもねぇおまえが、俺の炎を!』

『何で突っ切れたか?簡単だ。滅びで俺の周辺の炎を消し飛ばして、熱いと感じる前に突破した。それだけだ』

『ッ!』

俺の言葉にグレンデルは悔しそうに奥歯を噛み締めていた。

『次はなんだ?また逃げ遅れでも探すか?』

俺はわざとらしく腕を横に広げながら言う。

するとグレンデルの耳元に連絡用の魔方陣が展開される。が、俺はすぐさまグレンデルに近づき、連続で攻撃して会話に集中させないようにする。右手のブレードで腹を斬り裂き、左手で顎にアッパーカットを叩き込んでいく。

『グボッ!』

グレンデルが大きく後ろにのけ反るが、その勢いで頭突きを撃ち込んでくるが、それを再度左手のアッパーカットで迎え撃ち、押し返す。

『弱い』

俺の一言でグレンデルは目元を引きつらせていた。

『終わりだ……』

俺が止めのためにブレードの剣先をグレンデルに向けた瞬間、俺を紫色の炎が包み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




誤字脱字、アドバイス、感想などよろしくお願いします

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。