グレモリー家の次男   作:EGO

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本日二話目、どうぞ!


life02 ある意味やっかいな相手だぜ

ロスヴァイセの彼氏(仮)になってから何日か経ち、ようやくロスヴァイセのお祖母さんが来日する日にちとなった。

みんなは特訓を終えてからVIPルームでその女性をもてなす準備をしているところだ。ちなみにヒトが多すぎてもあるなので木場とギャスパーは家で休んでもらっている。

俺の前にはアーシアとレイヴェルが作ったお菓子をオーフィスがつまみ食いをするという光景が広がっている。

「お客様がいらっしゃいましたわ。地下の転移室まで行きましょう」

朱乃の呼びかけで俺たちは地下へ移動し始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

転移室に移動をした俺たちは北欧式の転移魔方陣が展開されるのを確認した。

それを確認した俺が言う。

「言ってなかったが、ここに来るのはロスヴァイセのお祖母さんだ。北欧でもこっちでも魔法の使い手として有名な人だ。失礼のないようにな」

『はい』

俺の言葉に全員が返事をした瞬間に転移の光が室内を照らした。

光が止むとそこにいたのは、紺色のローブを着た女性だった。顔を見ないと年寄りには見えないほど、キリッとした雰囲気をしている。

ロスヴァイセのお祖母さんは俺たちを確認すると、一言告げた。

「はじめまして、日本の皆さん。そこの孫がお世話になっているようで」

ロスヴァイセはそれを聞いて口をへの字に曲げていた。

好きではないが嫌いでもないって感じか?

ロスヴァイセのお祖母さんは自己紹介を始める。

「私はゲンドゥル。以後お見知りおきを」

そう言うとゲンドゥルさんは微笑を浮かべた。

やっぱりこの人はロスヴァイセのお祖母さんだよ。

今俺たちに見せた微笑した顔、ロスヴァイセにそっくりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺たちはゲンドゥルさんを連れてVIPルームに移動し、お互いにあいさつを済ませた。

「というわけで、ゲンドゥルさんは、今度冥界のアガレス領でおこなわれる魔法使いの集会に参加予定なのよ」

……と、リアスが説明をくれた。

前にセラから聞いた話では、有名な魔法使いたちがアガレス領に集まり、魔法についての話し合いをするらしい。ちなみに悪魔などの異形のもの以外が冥界に来ることは、ほぼと言っていいほどない。ただの魔法使いでは次元の壁を越えることができないからだ。それなのに今度冥界のアガレス領で魔法使いの集会がある。それはかなりスゴいことでもある。

話し合いの内容は、まぁ簡単に言うと古代の珍しい魔法や、禁術のたぐいについての話ばかりだそうだ。悪魔の研究員も参加するとのことだ。

「これはオフレコだが、各勢力で古代の魔法や禁術を研究していた魔法使いが行方不明になっているらしい」

俺の追加情報にイッセーたちは険しい表情になった。

「はぐれが勝手に動いているのか、それともリゼヴィムが一枚噛んでいるのかは調査中とのことだ。どっちにしろ魔法使いは一度集まって意見を交換したいんだとさ」

俺がそう言うと、ゲンドゥルさんが話し始めた。

「これも外に出ていない情報なのだけれど、実は今回の集会で、研究テーマを……得意としている術を一時的に封じる方向で話は進む予定なのです」

「術を……魔法の封印を?」

俺の問いにゲンドゥルさんは頷いた。

「己が生涯をかけて高めてきたものを悪用されるくらいならば、事件が治まるまで封じてしまったほうがマシということです」

確かに悪用されるぐらいなら一度封じたほうがいいかもな。禁術とか使われたらシャレにならない。

ゲンドゥルさんは続ける。

「堕天使の組織……グリゴリはアンチマジックについても研究が盛んだと聞き及んでいます。なので術の封印は堕天使に一任するつもりです」

なるほど、グリゴリにね。確かにあそこはアンチマジック研究も進んでいたはずだ。

「己で封印したところで、拉致され催眠をかけられたら破られかねません。他の術者ではに施してもらっても、術を盗まれてしまうかもしれない。それならば、現状様々な勢力から信頼がある堕天使にとなったわけです」

アザゼルの野郎、堕天使は悪役イメージがとか言ってたくせに、案外いいイメージも多いじゃねぇか。

「……と、その封印をする前に意見交換をしようということになったのです。参加を拒否する術者もいますが……それでも貴重な話し合いになるでしょう。私も参加を表明したのです。それに、ソーナ・シトリーさんからも招待を受けておりますし」

リアスがそれに続く。

「そうなの。ゲンドゥルさんは、魔法使いの集会と、ソーナの建てた学校での講演をおこなうために私たちのもとに来られたのよ………そういえば、お兄様は知っていらしたんですか?ソーナが学校を……」

「知ってるさ。セラから耳にタコが出来るほど聞かされた」

その後、今後の日程を確認し、全員が理解した。後で俺も行くことになっていた理由をセラに訊くとしよう。

それから会話は少しずつ砕けたものになっていった。

リアスが言う。

「ゲンドゥルさんはヴァルキリーの一人としても数えられていたのよ」

「要領が悪いのだから、向いていないと散々言ったのですよ」

ゲンドゥルさんが辛口にそう言うとロスヴァイセは顔を赤くして目を伏せていた。

一度紅茶を飲んでからゲンドゥルさんがロスヴァイセに問う。

「ロセ、私がここに来た理由の一つ。おまえならわかるね?」

ロスヴァイセは"ロセ"って呼ばれてるのか。俺もそう呼ぼうかな?

「ここには、二人の男性がいますが、どちらですか?」

ロスヴァイセは立ち上がり、一度深呼吸をしてから言った。

「紅髪の男性です。彼が私の彼氏、シドウ・グレモリーさんです」

……うん。知ってた。もとよりそういう約束だったしな。

ゲンドゥルさんが問う。

「グレモリー……ということは?」

「はい。俺はリアスの兄になります」

「ロセ、本当に彼が?」

「はい。正真正銘、私の彼氏です」

ゲンドゥルさんはそれを聞くと話し出した。

「私の心配は無駄に終わりそうね。最初に彼氏ができたと聞いたときは、どこの馬の骨と思いましたが、あなたなら……」

俺はその一言にホッとしてロスヴァイセをちらりと見た。そのロスヴァイセは目が合うと顔を赤くしてそっぽ向いたが……いい加減慣れようぜ。

「それで、付き合ってどれくらいだい?」

「………三ヶ月です!」

それだと俺がこっちに来てすぐに………いや、俺がこっちに来てすぐにロスヴァイセも来たんだったな。

俺は心の中でそんなことを考えながらティーカップを口元に持っていく。

「三ヶ月………つまり、男女の関係を結んでいると思っていいんだね?」

「ブゥッ!」

俺はそれを聞いて紅茶を吹き出しかけた!だが、ギリギリで耐え、咳き込む。

「ゴホッ!ゴホッ!」

「だ、大丈夫ですか!」

ロスヴァイセはそう言いながら背中をさすってくれる。この場面だけを知らない奴が見たら本物のカップルだろうな。てかこの人直球すぎるだろ!俺はまだセラとも……。

俺の心を知らないゲンドゥルさんは俺たちの様子を見て言う。

「その様子だとまだのようだね」

「ま、まだ結婚もしているわけでもないし……。だ、だいたい!私の貞操観念は、ばあちゃ……お祖母さんが植え付けたものです!」

「私は嫁ぐ前に関係を持つなとは言ってない。変な男に引っかかって無駄に体を許すんじゃないと言ったんだよ」

するとロスヴァイセは俺の腕を掴み、叫んだ!

「わ、わたすだって!男の子とエッチなことしてえさっ!」

「そっだら、さっさと身さ固めちまえばいいって言ってんでしょうが!」

両方とも方言全開になってんじゃねぇかよ!

俺やみんなが気まずい雰囲気なこのに気がついたゲンドゥルさんは、咳払いしてから続ける。

「許可します」

ゲンドゥルさんの一言にロスヴァイセは反応できていなかった。

「………へ?」

「へ?じゃない。私は良しと言ったのです。これで好きな男性と想いを遂げられるのだろう?ほら、今度は逢い引きでもしてみんさい」

「い、いや、でも!」

「そんな慌てることか?ゲンドゥルさんは良しって言ったんだ。それだけだろ?」

「いや、確かにそうですけど……」

ロスヴァイセはそう言うと顔を真っ赤にしながら俯いた。

「彼氏さんの言うとおりだよ。今度会うときは改めてその辺を訊くからね。おまえと……彼氏さんからも、ね。今日はありがとうございました。私はこれで失礼します」

ゲンドゥルさんはそう告げると、ソーナが用意したという宿泊施設に向かうため、この場をあとにする。

ゲンドゥルさんが去ったことを確認して俺と、ロスヴァイセは

「「はぁ~」」

盛大に溜め息を吐いた。

そんな俺にリアスが言う。

「最近ロスヴァイセの様子がおかしいと思ったら……お兄様、私にも言ってくだされば」

「いやー。下手にバラすとゲンドゥルさんにもバレるような、そんな気がしてな」

俺がリアスとそんなことを話している間もロスヴァイセは俺の腕を掴んだままなんだが……。

そのロスヴァイセは顔を紅潮させながら俺に頼んでくる。

「……すみません。ちょっとの間なので、もう後には引くことができないんですっ!」

なんか勢い任せのやけくそに見えてきた。それと同時にこんな表情のロスヴァイセがかわいいと思ってしまった。

とりあえず、明日、俺とロスヴァイセはデートをすることになったのだった。

 

 

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「………ッ!」

「どうかしたのかい?セラフォルー……ってどこに行く気だ!」

「何でもないのよ、サーゼクスちゃん。ちょっとシドウにお説教を………」

「ま、待て!今抜けられるのは困る!話は聞いているが、落ち着け!落ち着いてくれ!」

「離してサーゼクスちゃん!離してぇぇぇ!」

 

 

 

冥界の魔王二人がこんなやり取りをしていることをシドウは知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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