グレモリー家の次男   作:EGO

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本日とともにこの章ラスト、どうぞ!


life22 対テロ組織結成だぜ

あれから更に二日ほど経過し、俺は一旦退院、今は駒王学園にいた。深夜の学校を一人で歩き、会議室の扉を開け放つ。

「すまん。遅れた」

『シドウさん!?』

「何そんなに驚いてんだ?俺がいたらヤバイもんでもあるのか?」

俺の言葉にアザゼルが返す。

「いや、そういうわけじゃないが……もういいのか?」

「あ?ああ……問題ない。医者から許可はもらった」

「………ならいいが」

アザゼルはそう言うと改めてこの部屋にいるメンバーを見渡した。

オカ研と生徒会、アザゼル、教会チーム、サイラオーグとシーグヴァイラ・アガレス、初代孫悟空にヴァーリチーム、そして見覚えのない男が一人と犬が一匹……犬からは静かなプレッシャーが放たれている。

俺はその男に話しかける。

「失礼ながら、あんたは?」

「そうか、あなたとお会いするのは初めてでしたね。俺は幾瀬鳶雄、こっちは(ジン)です。よろしくお願いします」

なるほど……この男が刃狗(スラッシュ・ドッグ)ってわけか。

「ああ、俺のことは知ってると思うが、シドウ・グレモリーだ。よろしく頼む」

アザゼルが俺と鳶雄の自己紹介が終わったことを確認し、早速本題に入った。

「リゼヴィムの野郎が動きだしてくれたおかげで様々な勢力から過激な発言も出始めている。まぁ邪龍どもとテロを始めたんだそうもなる。それにリゼヴィムは前ルシファーの息子だ。そのことで余計に各勢力を刺激しちまっている」

「今まで禍の団(カオス・ブリゲード)のテロは三大勢力で何とかしろって言っていた連中も、ようやく協力してくれそうだからな。まぁグレートレッドと666(トライヘキサ)が戦ったら全世界が崩壊しかねないから当たり前か」

『……ッ!』

俺が最後にポロっと言った情報で全員が言葉を失っていた。

「おまえら、そんな顔するなよ。それを俺たちが止めるんだからよ」

アザゼルは苦笑しながら俺に続く。

「シドウ……プレッシャーをかけるなよ、まったく。まぁ、そう言うことだ。各勢力の首脳からある提案がされている。簡単に言うと、リゼヴィムの野郎どもと張り合えて、すぐさま現地に赴ける、対テロ組織のチームが必要ってわけだ」

アザゼルが俺たちにそう言うがつまりそういうことだな。

アザゼルが言う。

「そのチームは各勢力の自由が利いて、強い者ほど都合がいい。もうわかるな。そう、ここにいるおまえたちだ。悪魔、天使、堕天使、吸血鬼、妖怪、ヴァルキリー、死神(グリム・リッパー)、獣人、人間、そしてドラゴン。チームとしては破格といってもいいだろう。何よりも物凄く動きやすい」

確かに各勢力や種族の強者が集まっているな。

このメンバーなら何かあってもすぐに動けるだろうし、一人一人が強い。

アザゼルの意見に反対するものはいなかった。

「私は賛成よ。こんなときだからこそ力を合わせるべきよ」

リアスが言うとイッセーたちリアス眷属全員が頷いた。

「問題ないでしょう。俺もリアスや兵藤一誠と共に戦わせてもらおう」

「異論はありません」

「こちらも。主に後方支援になりそうですが」

サイラオーグ、ソーナ、シーグヴァイラも同意した。

「儂もいいぜぇ。年寄り一人より若いもんとやったほうが楽じゃい」

初代も賛成していた。心強いな。

しかし、ジョーカー・デュリオが首を捻っていた。

「何か不満か?」

アザゼルが訊くとデュリオは口を開く。

「名前が必要じゃないかなーって思ったんです。テロ対策チームじゃ、なんか堅い気がして……」

それを聞いた小猫がぼそりと呟いた。

「………D×D」

その呟きに全員の視線が小猫に集まった。小猫はそれに驚きながらも続ける。

「いえ、その何となくそう感じてしまって……」

「それの意味は?グレートレッドみたいなD×D(ドラゴン・オブ・ドラゴン)的なものか?」

「いいえ、デビルだったり、ドラゴンだったり、堕天使の堕天……ダウンフォールとか」

俺の質問に小猫はしっかり答えてくれた。

「俺的にはグレートレッドを守るって意味でもいいと思うんだが?皆は?」

「変な名前でなければそれで」

デュリオは即答で答えた。

「若いもんに任せるわい」

初代は興味がないらしい。

「名前はいいと思いますけど……俺たちみたいなチームが動いて、嫌な顔をする勢力もいるのでは?」

イッセーは名前に賛成しながら質問する。

確かに俺たちの力を危険視、疑問視する輩も多そうだしな。

「それは仕方ないことさ。そうだな……イッセー、おまえは守りたいものがあるか?」

俺の質問にイッセーはリアスたちを見てから答える。

「はい!俺はリアスを……皆を守りたいです!」

「それでいいさ。守りたいものを守る……それだけでさ……」

「は、はい」

イッセーは俺の一言に首を傾げながら返事をした。何となく俺の雰囲気が変わったことに気がついたのかもしれない。

それをアザゼルは複雑な表情で見ていた。

「どうした?何か変なことでも言ったか?」

「……いや、だかなシドウ。覚えといてくれ。おまえも守りたいもののために戦え。それがおまえの正義でもある……だろ?」

アザゼルは何となくだが俺がイッセーに言った言葉の意味を理解していたようだ。

イッセーは俺のような"殺したいから殺す"なんて考えは持ってないし、持たないはずだ。

「ああ、そうだな。とりあえず、リゼヴィムを止める」

「まぁいい、さて次はリーダーについてだが……ジョーカー、おまえがやれ」

「…………………」

アザゼルの発言にデュリオは一瞬間抜けな表情になったが、すぐさま持ち直しパニックになりながらも反論した。

「え!?じ、自分ですか!?なぜに!?ここはアザゼル元総督とか、初代孫悟空様とか、シドウさんでいいでしょ!てかやってくださいよ!」

デュリオはそういうのを振られると困るタイプなんだな。では、逃げ道を塞ぎにかかるかね。

まずアザゼルが言う。

「堕天使がリーダーってのは体裁的にまずい。どう見ても悪役イメージだからな。だが天使なら、いいイメージで満載だ。しかもおまえは転生天使だろ?そこのポイントも高い。ちなみに初代はサブリーダーなるんでな。おまえらがくるまえに話をつけておいた」

初代が続く。

「こういうもんは若いのが頭をやるのは当然じゃて。儂はケツ持ちとして機能させてもらおうかのぅ」

デュリオはそこまで聞くと俺に助けをこうように視線を向けてきた。

俺はそれを確認してから言う。

「アザゼルの言葉を借りるなら悪魔も悪役イメージしかないからパスだ。てか俺はD×Dに入ってないからな」

「……え?どういうことですか?」

「忘れた?俺ユーグリットの一件で疑われてんだぜ?そんな奴が入れると思うか?まぁここにいられる時点でほとんど疑われてないようなもんだろうが……」

「た、確かに………だったら……」

俺の意見でデュリオは逃げ道を塞がれたがまだどうにかしようとするしている。

するとグリゼルダがそんなデュリオにもの申した。

「デュリオ、これは大変名誉なことです。歴史に名を残せるかもしれないのですよ?やっておきなさい。いえ、やりなさい。切り札を体現した役職にいる以上、やるべきです」

グリゼルダの言葉でついにデュリオが折れた。

「……あー、はい。わかりました。やりますです!」

リーダーはこれでOKだな。あとは……

「ヴァーリ」

アザゼルがヴァーリに話しかける。

「俺はリゼヴィムへの抑止力としておまえとおまえのチームを参加させるべきだと主張する。おまえたちへの不信感を払拭させるつもりだ」

確かにヴァーリたちは元とはいえ禍の団(カオス・ブリゲード)だったからな……入ってくれると助かるが大丈夫かな?シーグヴァイラが嫌そうな顔をしてるし……。

ヴァーリはアルビオンに問う。

「どうする、宿敵と組むことに不満はないか?」

『かまわん。それよりも赤いの、千年前の戦いについて語ろう』

『俺もかまわん。なぁ、白いの。いやー昔話は楽しいなぁ』

「……随分、仲がいいな」

ヴァーリが仲良く話す天龍に戸惑いながら言う。

それにアルビオンは元気よく答える。

『我らが揃えば怖いものはない!』

『ああ、何でもこい!俺たちは決して屈しない!』

『『ねー』』

な、何かウゼェ………

「ちょ、シドウ!?抑えろ!漏れてるぞ!オーラが出まくってるぞ!?」

「あん?ああ、すまんな。どうもあれから蓋がバカになっちまったようでな。ちょっとしたことでオーラが出るようになっちまった。まぁわからん奴が見たら何か迫力がスゴい程度だろ?」

「はぁ………そんなんで教師務まるのかね」

「アザゼルにできて俺にできないことは神器(セイクリッド・ギア)関連以外特にない!」

「もういい……」

「それで……ヴァーリチームはテロ活動していたわけだが大丈夫なのか?ある意味今の俺よりも面倒な立ち位置だぞ?」

俺が話を切り替えて、アザゼルに問う。

「オーディンのじいさんがそれを承知でヴァーリを養子にするんだとさ」

「なるほど……それなら他の神様も文句が言えないな。俺みたいに条件つきでの自由も許されるだろうな」

「そういうことだ。ヴァーリ、どうする?」

アザゼルの問いかけにヴァーリはしばし考えたのち

「お互いに利益が出そうなら協力しよう。あとは独自にやらせてもらうさ」

その返答にアザゼルは笑った。

「それは合意と見ていいんだな?」

ヴァーリは返事はしないが、それが合意の意味なのだろう。

その後黒歌やルフェイが正式に兵藤家の食客になったり、初代と美猴の会話があったりしたが、初代はそれも終えると話を続けた。

「さての。若いもんで強くなりたい奴はおるかねぇ」

「それはどういうことでしょうか」

リアスの質問に初代は答える。

「おまえさんたちを儂が一から鍛えるでな。全員最低でも上級悪魔、天使クラスになってもらわんとこれを結成した意味がないぞぃ。ゆくゆくは最上級クラスになってもらうわけじゃい」

「それはつまり……神との戦いもあり得ると?」

サイラオーグの質問に初代は煙管を回しながら頷いた。

「そういうこった。お主らが思うてる以上に、この世界の覇権を狙う輩は多くてのぅ」

初代はそこまで言うと意味深に笑みを作った。

「ま、今はリゼヴィム・リヴァン・ルシファーへの対処じゃろうよぃ。常々、儂は神滅具(ロンギヌス)を持っているもんは生まれたときから課せられておると思うてるわい」

「……課せられている?」

イッセーの問いに初代は真っ直ぐに答えた。

「神をも滅ぼす具現。儂は神滅具(ロンギヌス)の登場はシステムのバグなどではなく、世界の必然だと思うておる」

今、この場で対テロ組織……D×Dが結成されたのである。

 

 

 

 

 

 




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