グレモリー家の次男   作:EGO

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今日でこの章を終わらせたい!
では一話目、どうぞ


life21 新たな敵の名前だぜ

俺、どうなったんだ………生きてはいるようだが……。

霞がかかったようにぼぅっとする俺の視界に紅が映った。

「お……さま!お…て……さい!」

「おい!……どう!きをしっ……て!」

その紅髪の誰かと視界に映らない誰かの声を聞きながら俺の意識はまた暗闇に落ちていった…………。

 

 

 

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俺、アザゼルはリゼヴィムが改造したと言う量産邪龍をあらかた片付けたところでリアスと共にギャスパーの先導である場所を目指していた。

先ほどギャスパーが

『シドウ先生が大変だ!すぐに来てくれ!』

何て言うものだからイッセーからフェニックスの涙を拝借して移動しているわけだ。

「ギャスパー!お兄様はどこに!」

『あそこ!』

リアスの問いかけにギャスパーはある場所を指さしながら叫んだ。

そこにいたのは全身から血を出しているシドウだった!

俺はシドウのすぐわきに着地しすぐさまフェニックスの涙をかける。

するとシドウが薄く目を開いた。

「お兄様!起きてください!」

「おい!シドウ!気をしっかり持て!」

リアスが若干パニックになりながら声をかけ、俺もそれに続いて声をかけた。

だがシドウはそれが聞こえていないようにまた気を失ってしまう。

涙で血は止まったが俺たちはあることに気がついた。

シドウの左腕がない。

俺は周辺を見回し左腕を探す。

今なら涙を使えばくっつけられる!どこだ、どこにある!

焦る俺の視界にあるものが映る。

シドウが左腕につけていた腕輪………ただそれだけがそこに落ちていた。

 

 

 

 

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目を覚ますと白い天井が視界に映った。

「……知らない天井だ」

回りを確認しようと体を起こそうとするが体が動かない……ホントここどこ?

俺は首と眼球を動かし、回りを確認しようとする。

だが俺の回りをカーテンが仕切っていて確認できない。

とりあえず病院かどこかだよな。

俺がそれを確認すると同時にドアが開いたような音が聞こえ、次にシャッ!とカーテンも開けられた。

そこにはセラの姿が……。

「よっ……セラ………」

「シ、シドウ………」

セラは俺を見て今にも泣きそうな顔になった。

「な、何でよ?何で無茶ばっかりするの!」

セラはそう言って泣きながら俺の体をポカポカと叩いてくるッ!

いつもならどうってことはないんだが、今は!

「セ、セラ……し、死ぬ……ホントに死んじゃう……」

「うぅ……ごめん」

セラはそう言って攻撃を止めてくれるが……それにしても

「ここ冥界か?病院なのはわかるが」

「うん…セラフォルー記念病院……吸血鬼の王国の邪龍を一掃できたって連絡があってすぐにアザゼルから……」

『病院に医者集めとけ!これからシドウをそっちに送る!』

「……って連絡がきたの」

なるほど、アザゼルが連絡を……。

「で、向こうはどうなったんだ?」

「邪龍出現を確認してから無理矢理御使い(ブレイブ・セイント)が介入してどうにか……」

「そんで、俺はどんくらい寝てた?」

「三日間……」

そう言うとセラが再び泣き出した。

「え、ちょっ。泣くなよ。俺はどうにか無事なんだし」

俺はできるだけ元気があるっぽく言うがセラは泣き止まない。

「心配したんだよ……シドウ……今度はホントに死んじゃうかもって」

そう言って俯いたセラの頭を撫でてやろうと左腕を上げたが…

「…………やっぱりか」

「シドウ?」

俺の一言にセラは顔を上げた。

「やっぱり左腕は駄目だったか……」

俺の一言でセラはハッとした表情になってから続けた。

「……うん。アーシアちゃんの神器(セイクリッド・ギア)とフェニックスの涙があっても駄目だったみたい。アザゼルは……」

『左腕が見つかればくっつけてやれたかもしれないが、左腕は完全に消し飛んでいてどうにもならなかった』

「……って言ってた」

「わかった。ありがとな。そのアザゼルは今どこに?」

「………教えない」

セラはそう言うとそっぽ向いてしまった。

「え~と。セラさん?」

「シドウはしばらく休んでなさい!これは魔王(レヴィアタン)(キング)命令だから!」

「わかった、わかったから!……静かにしてくれ……頭に響く」

俺がそう言うとセラは声を小さくして続ける。

「せめてもう一日だけでいいから……しっかり休んでね……」

「わかったよ……」

「それじゃ、私は仕事に戻るね」

俺の返事を聞いて退出しようとするセラに俺は訊く。

「サボって来たのか?」

「そんなわけないでしょ。しっかり休憩時間に来てるわよ」

「ならいいが……」

俺の返事を聞いてセラは病室を出ていった。

とりあえず寝るか……。

俺はそう決め目を閉じるが、再びドアが開けられた。

「うん?忘れ物でもしたか?」

俺はまたセラが来たのかと思い目を開けるが、誰が来たのかを確認すると固まった。

「いや、話を聞きに来ただけだ」

「……アジュカ様!?」

次に来たのはアジュカ・ベルゼブブ様だった。

「し、失礼しました。それで……話を聞きにと言うのは?」

「キミとリゼヴィムの会話が腕輪に記録されていてね」

「あの会話全部がですか?」

「ああ。何かの拍子にスイッチが入ったんだろう……単刀直入に言う。シドウ・グレモリー。ありがとう」

「…ありがとう……ですか?なぜお礼を?」

「キミはあの状況ならリゼヴィムの元に行ってもおかしくはなかった。悪魔ならルシファーからの誘いは絶対のようなものだ。だがキミはそれを拒みこちらに残ってくれた」

「俺はリゼヴィムが気に入らなかっただけですよ。ただそれだけです」

「そうか。わかった」

アジュカ様はそれを聞いて頷いた。

「それじゃ、失礼するよ」

退出しようとするアジュカ様に俺は失礼承知で質問する。

「あの、一ついいですか?」

「何かね?簡単なことなら答えるが」

「どうして俺はセラの騎士(ナイト)になれたんですか?リゼヴィムは俺を超越者と言っていましたが……」

「ああ、それか。私たちも音声を聞いたから知っているよ。何をしたかは別としてリゼヴィムと……俺とサーゼクスと同じ超越者と呼ばれる者と互角に戦ったんだろう?だったらキミもそうかもしれない。それでキミがセラフォルーの眷属になれた理由だったね。おそらくだがセラフォルーはキミの潜在能力がわかっていたのかもしれない」

「……どういうことです?」

「セラフォルーがキミを眷属にする前に言っていたんだ」

『アジュカちゃん!シドウに使う駒なんだけど……調整してくれないかしら』

「……ってね。それで少し調整してキミを騎士(ナイト)になれるようにしたわけさ。キミの駒は兵士(ポーン)換算で十三個ほどだったな」

俺はそれを聞いて驚愕とともに嫌な予感がよぎった……だってそれは

「不正じゃないか……と思っただろう」

アジュカ様は俺の心を読んだように話し始めた。

「大丈夫だよ。俺たち魔王はゲームに参加しない。だったら駒は多少いじっても問題ないだろ?」

な、なるほど………バレなきゃいいってことか。

俺は表情を引き釣らせながら言う。

「あ、ありがとうございます。すいません時間を取らせてしまって……」

「いいさ、ではお大事に」

アジュカ様はそう言うと今度こそ退出しようと歩いていくが、途中で何かを思い出したように俺の方に振り返り言う。

「ああ、そうだ。リゼヴィムが組織名を名乗ったそうだ」

「…………ッ!奴は何と」

「クリフォト……だそうだ。生命の樹の逆を表す名前。セフィロトの名を持つ聖杯を使って悪をなす……いいセンスとは言えないな」

アジュカ様はそれだけ告げると今度こそ退出した。

クリフォト……それが今回の敵か……。にしても兵士(ポーン)換算で十三個ってどんだけだよ!だが今それを考えても仕方ない。寝よう。

俺はそう決めると瞳を閉じた。

 

 

余談だが、俺が寝たすぐ後に兄さんも来たらしい。だが俺が寝ているってことですぐに仕事に戻ったとのことだ。結構しょんぼりとしながら………。

 

 

 

 

 

 

 

 




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