では一話目、どうぞ!
「いいぜ、来いよ。孫のお友達は歓迎しなくちゃな」
リゼヴィムはそう言いながら挑発するように手招きしてきた。
「言ってろ!聖杯だけは返してもらうぜ!」
リゼヴィムに真っ先に飛び出したのはイッセーだ。
って言ってる場合じゃない!
「イッセー待て!リゼヴィムの能力は!」
俺の制止の声に構わずにイッセーはドラゴンショットを放った。
そのまま真っ直ぐリゼヴィムに向かうドラゴンショットだったが、リゼヴィムに当たった瞬間あっさりと霧散した。
もしかしたらと思ったがダメなのか……。
「……なっ!?どういうことだ?」
イッセーの疑問に俺が答える。
「……イッセー、覚えとけ。リゼヴィムの能力は現在悪魔唯一の
『……ッ!?』
今の説明でリアスたち全員が驚愕していた。
当たり前だろう。リゼヴィムの能力上、現在リアス眷属の主力であるイッセーと木場は戦力にならないってことなのだから。
そのリアスたちの表情を見てリゼヴィムは醜悪な笑みを浮かべた。
「サーゼクスくんの眷属がなぜ非
リゼヴィムはそう言うと手元の空間を歪ませ、聖杯を亜空間にしまった。
「……そういうこったイッセー。つーわけでリゼヴィムは俺が
俺はオーラを大剣に乗せリゼヴィムに飛ばすが、リリスにあっさりと防がれてしまった。
「………やっぱり、その子と引き離さないと駄目か」
俺はそう言いながらオーラを抑える。
リゼヴィムには
俺たちが色々と考えているのを見てリゼヴィムは愉快そうに笑い、何度も頷いていた。
「ま、余興はこれぐらいにして、見せたいものがあるのよ」
リゼヴィムはそう言うと一度指を鳴らす。すると、室内に立体映像が出現した。
「これは……城下町か?」
俺がそう呟くとリゼヴィムは言った。
「うーん、惜しい!正確にはカーミラ側の城下町でございます!」
なるほど、カーミラ側の城下町なのか。一見何も変わったことはないんだが……。
リゼヴィムは続ける。
「これから起こるのは楽しい楽しいライブですぞ~。俺が今から指を鳴らすと!『パチンッ!』大変なことが起こりますよ。予想できます?はい!シドウちゃん!」
「……破壊活動か何かか?」
「うーん、またまた惜しい!ちょっと違うんだよね」
いちいち俺に振りやがって!答える俺も俺か?
俺が心の中で毒づくが、映像には何も起こらない。
リゼヴィムも首を傾げて映像を見ていた。
「ちょーっと待ってね。うん、そろそろかなぁ。あ、ほら!」
リゼヴィムは子供が面白いものを見つけたときのようなテンションで映像の一部を指し示す。
映像をよく見ると、黒く大きなものがちらほらと飛び回っていた。そしてその数がドンドン増えていく!
……あれはドラゴンか?何かスゲー数いるんだけど!?
リゼヴィムはそれを見てはしゃぎだした。
「謎の黒いドラゴンが大量に出現しました!ここからあの子たちが大暴れしちゃいます!おっ!さっそく火を噴いた!いいねぇ!いいねぇ!そうこなくちゃねぇ!」
「リゼヴィム!テメェ何をした!」
城下町を襲うドラゴンの映像をバックに俺が訊く。だがリゼヴィムは醜悪に笑うだけだ。
「シドウちゃん。逆にどう思うよ?俺が考えたことをほとんど理解し、答えたキミにならわかるんじゃーない?」
………くそ!めんどくせぇ………だが考えろ、一番あり得そうな可能性……リゼヴィムがかんがえそうな可能性を……!
俺はそこで一つの一番あり得て欲しくない結論にいたった。
「カーミラにも聖杯による強化をされた奴がいたのか……じゃあ、あのドラゴンは………吸血鬼……?」
俺の回答にリゼヴィムは今までの会話でも見たことがないぐらいの満面の笑みを浮かべた。
「大正解だ!やっぱりうち来ない?ねぇねぇ来ない?今は返事しなくていいや!ほら、吸血鬼が起こしたことは吸血鬼がって言ってたじゃん?だから町を壊すのも吸血鬼が……"元"吸血鬼がいいかなーって思ったわけよ。てなわけで、邪龍になってもらいました!」
やはりか!こいつらしい、実にこいつらしい手段だ。だが
どうする?カーミラ側の兵士はほとんどこっちに来ていて、向こうに戦闘要員はほとんどいないはず……。しかも外からの援助を極端に嫌う吸血鬼だ。このままだとマジで滅んじまうぞ!
すると突然、俺たちを大きな揺れが襲った。
今のは地震じゃねぇ……今のは爆発からくるもの……。
「リゼヴィム!テメェまさか!こっちの連中も邪龍になるようにしてたのか!」
リゼヴィムは嫌な笑みを浮かべた。
「その通り。こっちの強化吸血鬼も邪龍くんになって大暴れしていると思います♪てかしてるね!この揺れはしてるね!」
くそ、こっちもかよ!いよいよ切羽つまってきたな。
リゼヴィムはもう一つ立体映像を展開し、ツェペシュ側の城下町の様子も映し出す。
「……何てこった……」
俺は再び怒りが溜まり始めていた。そんな俺を他所にリゼヴィムは続ける。
「この調子なら壊滅も時間の問題かなぁ?」
リゼヴィムはそう言うと再び指を鳴らした。
すると、俺たちの足元に転移型魔方陣が展開される。
「気になるようだし、見に行こっか」
リゼヴィムがそう言うなり、俺たちは転移の光に包まれた。
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