グレモリー家の次男   作:EGO

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life18 悪意の始まりだぜ

聖杯をそばに浮かせているリゼヴィム、そして奴の横にはリリスがいた。

リゼヴィムの登場からヴァーリの表情は今まで見たことがないほど怒りに彩られていた。

ヴァーリを見て、リゼヴィムが哄笑をあげる。

「うひゃひゃひゃひゃっ!きゃわいい孫にそんな眼をされちゃうとおじいちゃん嬉しくてイッちゃいそうだよ!だだですら、さっきのシドウちゃんの殺気で興奮してんだから!」

俺で興奮しないでいただきたいね。にしてもどうするかな。リリスがいる以上下手に攻撃できないし………。

俺が考えているなかイッセーがアザゼルに訊く。

「アザゼル先生、ヴァーリとあの人に何があったんですか?」

イッセーの質問にアザゼルが表情を険しくしながら答える。

「……奴は自分の息子、つまりヴァーリの父親に"ヴァーリを迫害しろ"と命じたんだよ」

…………何だと!?自分の孫をいじめろって言ったのか!?

リゼヴィムはそれを聞いて口を尖らせた。

「聞き捨てならないにゃー。俺はバカ息子に"怖いならいじめろよ"ってアドバイスをしてあげただけなんだぜ?ま、魔王の血筋で白龍皇なんてのが生まれたら、あのビビりなバカ息子の豆腐メンタルじゃ耐えきれないだろうさ」

俺は前世含めて親になったことはないが……どう考えてもおかしいだろ!

「結局、ヴァーリきゅんはお父さんの仕打ちに耐えられずに家出しちっゃたけどねん♪グリゴリでアザゼルくんに育てられてもらったんだってねぇ。よかったねぇー、アザゼルおじさんは面倒見がいいもんねー」

アザゼルも憎々しげにリゼヴィムを睨んでいた。

ヴァーリが問う。

「…………くだらん。それよりあの男はどうした?」

「ん?あー、パパのその後?うひゃひゃひゃひゃっ、俺が殺しちゃったよ!ビビりなんだもん。見てていらついちゃってさ。つい弾みで殺しちゃったんだ☆あんれー、ショックだった?怒っちゃったー?」

「別に。俺も消そうとしていただけだからな。……ただ、俺はうれしいよ」

ヴァーリは全身のオーラを膨らませた。

「俺は貴様を一番殺したかったからな……。貴様は"明けの明星"と称された魔王ルシファーを名乗っていい存在ではない!」

ヴァーリの鎧がいっそう輝いていく。

リゼヴィムはそれを見てもただうれしそうに笑うだけだ。

「……いいじゃん。チョーいい目つきだ。いい育て方してんよ、アザゼルちん。あの泣き虫少年がこれとはうれしいねぇ」

ヴァーリが今にも飛び出しそうだがアザゼルが制していた。

アザゼルはそれで忙しそうなので俺が訊く。

「その聖杯で何をする気だ?邪龍を復活させて何がしたいんだ?」

単刀直入に訊いてみた。こいつの場合は回りくどく訊くよりはそっちのほうが簡単に言ってくれそうだからな。

なぜ今まで行方不明だったこいつが今動き出したのか。こいつがトップの新生禍の団(カオス・ブリゲード)の目的は………。

リゼヴィムは俺の質問に高々と返す。

「うひゃひゃひゃひゃ、聞きたいの?いいよ、特別にお話してあげよう。……今から数ヶ月前のことだ。とある出来事がこの世界にもたらされた。……俺たちが知らない異世界の存在だ。こいつは昔から議論されていたわけだが、ついにその存在が確認されたわけだねー」

………異世界の存在?まぁある意味俺はその異世界の住民だったかもだが………詳しくは知らん、調べる気もなかったからな。一応この世界に起きた出来事から、俺は過去にタイムスリップした的なことだけはわかってはいるがな。時代的に………。

脱線したな。異世界の存在だろ?……まさか!

俺とアザゼルはほぼ同時にイッセーを見た。

そのイッセーはよくわかっていない感じだが……。

そんな俺たちを見てリゼヴィムが続ける。

「二人なら理解できるよねー?そう、悪神ロキが攻めてきたときだ」

リゼヴィムはそう言うとイッセーを指さした。

「おまえさんがそれをやっちまったのさ、おっぱいドラゴンくん♪おまえは、異世界の神である"乳神"とかいうのに接触した」

……やはりか!あのときの謎の神様のことだよな!

リゼヴィムはさらに続ける。

「その神はな、この世界のあらゆる神話体系とは関連を持たない未知の神様だったんだぜ?まったく知らない世界のわけのわからなねぇ神様がこの世界に接触を持った。一部の研究者の間じゃ、こいつは革命的な出来事さ」

「未知の世界に、未知の神様ね………それで、どうするつもりだ?」

俺の質問にリゼヴィムはさらにテンションを上げながら答える。

「そう!それでな、俺は思ったわけよ!……攻め込んでみようぜ?ってな!」

攻め込む!?攻め込むと言ったのか!?

今の一言で全員の認識がガラリと変わる。

警戒しながらリゼヴィムの次の言葉に耳を傾ける。

「でもでも、それは叶わない。なぜなら、こちらの世界の次元を守護するとんでもないドラゴンがいるから………もうお分かりだね?そう!グレートレッドさんです!」

そこまで語られるとこいつが何をしたいかはもうわかった。

「つまりおまえは、グレートレッドを倒すなりしてその異世界に攻め込みたいってことだな?」

俺の発言にリゼヴィムはパチパチと拍手をしながら満面の笑みを浮かべた。

「はい!だぁぁぁいせぇぇぇいかぁぁぁい!満点だよ!さすがは紅髪の斬り裂き魔(クリムゾン・リッパー)!いや!紅髪の殺人鬼(クリムゾン・キラー)と呼んだほうがいいのかな?かな?どう?うち来ない?」

いちいちムカつく野郎だ……俺、またキレるぜ?

俺はリゼヴィムに言う。

「だが、グレートレッドを倒すのはいくらおまえや邪龍、そこのオーフィスの半分……リリスがいても無理だ。諦めて……斬られろ」

「俺の質問は無視ですか、そうですか!確かに俺たちじゃ無理。サマエル使おうにもハーデスじいさんが邪魔してきそうだし、改造邪龍軍団にも影響が出てやる前に全滅しそう。となると、一つしかないねぇ。……黙示録の一節を再現しようぜってよ?」

黙示録の再現………まさか!

666(トライヘキサ)……」

俺が絞り出すように言ったその言葉。それを聞いたリゼヴィムはまた満面の笑みを浮かべた。

「もぉう!俺の言うことが無くなっちゃうじゃん!まぁ話しがいがあっていいけど。そうさ、黙示録に記された伝説の生物は何もグレートレッドだけじゃねぇんだよ。……黙示録の皇獣(アポカリプティック・ビースト)666(トライヘキサ)、聖書の神に存在が示唆されたあの子がいればどうにかなると思わないかね?」

「獣の数字……666(スリーシックス)が不吉の数字と呼ばれる大元になった怪物……だがそいつがどこにいるかは誰も知らないはずだ!」

「残ねぇぇん、不正解。誰も知らない?それがねぇ俺たち見つけちゃったのよ。聖杯を使って生命の理に潜った結果、忘れ去られた世界の果てで見つけちゃったのよねー。だかね、どうにも誰かが先に見つけて厳重に封印を施していたんだよねぇ。誰だと思う?ねぇねぇ、誰だと思うよ?」

リゼヴィムの質問に俺は考える。俺が知るなかでもっとも可能性が高く、それを絶対に口外しないような奴……

「……まさか、聖書の神か」

「大!正!解!何でシドウちゃんはわかるのさ?せっかくおじさんが教えてあげようと思ったのに!案外頭がいいのかな?それとも勘がいいのかな?まぁいいや、聖書の神の死亡理由が案外それかもしれないのよねぇ。何せ、施してあった封印術式、マジで凶悪かつ禁止級のやつばっかだったわけだし。あんなのしたあとに戦争すりゃ、聖書の神が消滅してもおかしくねぇって」

俺が知るなかで伝説級の奴を封印する絶対的な力を持ち、絶対に口外しないのは聖書の神ぐらいだよ。死んでいれば口外もくそもないからな。当たっているとは思わなかったが………。

するとアザゼルがヴァレリーが横たわっている寝台の辺りに視線を送った。

「マリウスが使った術式はその封印術式から再現したのか!」

リゼヴィムは大きく頷いた。

「はい!アザゼルくんにワンポイント!その通りだぜ!現在進行形で封印を解除中だ!聖槍があればもっと楽になるんだろうけど……まぁ聖杯と聖十字架の協力で事は順調っすわ」

聖遺物(レリック)がそっちでも使われてんのか……まったく悪用されてばっかだな。

リゼヴィムは宣言する。

「つーことで俺らは、666(トライヘキサ)くんを復活させて、グレートレッドを撃破、撃滅、撃退して、復活邪龍くん軍団と666(トライヘキサ)を引き連れて異世界に殴り込みかけんのよ!あっちの世界を蹂躙する!考えただけでもイッちゃいそうになるなぁ。俺が異世界の大魔王になれるかもしれなねぇんだよ?いいじゃん!いいじゃん!」

「くだらねぇな。リゼヴィム………他所(よそ)様に迷惑かける前に………おまえを斬る!」

俺はそう言ってオーラを解放する!マリウスのおかげで何となくだか、やり方がわかったんでな!

「くだらねぇとか言わないで欲しいなぁ。ねぇ忘れてない?俺たちは悪魔、"悪"で"魔"の存在なんだよ?じゃあやることは一つ!気に入らない奴をぶっ殺す!ただそれだけだろぉ!」

全員がそれを聞いてリゼヴィムを睨みつけた。

それを見てリゼヴィムは笑った。

「嫌だねー!それは悪魔の眼じゃねぇ。そいつは"正義"の眼だ。ヒーロー様の眼だ。救えないねぇー。特に赤龍帝の坊主、自分が何かわかってんのか?おまえさんはドラゴンで悪魔なんだぜ?」

イッセーはそれを聞いてオーラが高まった。

俺たちが臨戦態勢に入ったのを確認してリゼヴィムが言う。

「いいぜ、来いよ。孫のお友達は歓迎しなくちゃな」

リゼヴィムはそう言いながら挑発するように手招きをしてくる。

リゼヴィムの野郎が何をしたいかは関係ない、ここで……終わらせる!

 

 

 

 

 




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