この素晴らしい占星術師に祝福を!   作:Dekoi

5 / 41
ちょっとキリが悪いですが、とりあえず書けたところまで投稿します。


第5話 ジャイアントトード討伐?

現在、カズマとアクアは土木工事の作業員として働いているらしい。

本来は転生する際にある程度のお金は渡すみたいであるが、カズマの場合、アクアを選択した瞬間に異世界にとばされたため、そんな準備がなかったとのこと。

 

………………おい、それなら文無しで異世界に転生した俺はどうなんだ?そんなお金をもらうことはなかったぞ?もしかしてあの時のミスってお金の渡し忘れだったのだろうか、それとも、この肉体になったミスかの判別がつかない。

どちらにせよ、駄女神に対してはもっと扱いが悪くてもいいだろうが。ホント、商人一家に助けられなければ俺も冒険者登録の時に困っていただろうし。……今度、しっかりとマッサージでもしてあげたほうがいいだろうか。しかしそんなのはいいと断られそうなのもなぁ……。むぅ……。

 

 

――――――――――

 

 

カズマたちが来てから一週間がたった。今日から冒険者としてモンスター退治に乗り出すそうだ。ただ、一週間では装備も整えられなかったのか、カズマはショートソードだけで鎧などの防具はなし。アクアに至っては装備なしというもはや縛りプレイとしか思えない状況で挑むらしい。

 

…………本当にこいつら、モンスターを狩る気なのだろうか。その話を聞いて頭が痛くなる。むしろ食べられに行っているという方が説得力があるぞおい。

 

……………………はぁ、流石に元同郷の奴が死ぬのは目覚めが悪い。それにあの女神は性格とやることなすことに目を瞑ればステータスがとても優秀なアークプリーストだ。今回だけ、臨時で、ついてやって補助することにした。レベルも無事に上がり、また新しく取得したスキルの試し打ちにもちょうどいいしな。別に他意はない。

 

―――――――

 

「ああああああああ!助けてくれ!アクア、ユタカ、助けてくれえええええ!」

「プークスクス!ヤバい、超うけるんですけど!カズマったら、顔真っ赤で涙目で、超必死なんですけど!」

 

現在、草原にてジャイアントトードの駆除を行っているのだが、カズマは剣を振り慣れていないためか、自身が思っていたよりもダメージが与えられていなさそうだ。しかもジャイアントトードに追いかけられている。まぁ、初の戦闘の上、こういったのは日本では見たことがないだろう。仕方ない場面もあるが…………

一方のアクアはそれを笑っているだけでなんの行動も起こさない。笑っている暇があったら早く助けてあげろよ駄女神。お前も追いかけられるようにしてやろうか?というか、逃げているカズマの方が囮として役立っているぞ。

 

……はぁ、カズマも助けを求めているし、そろそろ助けてあげた方が良いな。本当ならカズマやアクアに倒させてレベル上げした方が良いんだろうけど。……新スキルに関してはぶっつけ本番だが、何とかなるだろう。

 

「カズマ、そのまま、まっすぐ逃げてください!スキルを発動させますので気を付けてください!」

「分かったから!できるだけ早くしてくれええ!」

 

新しく取得をしたスキルがどんな影響を及ぼすか分からないため、一旦『ポラリス』を打ち切っておく。

……狙いは大丈夫、イメージする象徴は重力というかブラックホール、そして、カズマには当たらないように、気を付けて…………!

 

「『コンプレスグラビティ』!」

 

その瞬間、ジャイアントトードの頭は一瞬縮んだように見え、そして勢いよく爆ぜた。爆ぜた断面からカエルの体液が零れだし、そこらじゅうの草を染めていった。もはやジャイアントトードと分からないような名状しがたい見た目と、スキルを使ったことによると思われる吐き気を覚える。

 

 

「「……………………」」

「……ちょっと強くし過ぎ、ました?」

「いやいやいや!強過ぎなんてレベルじゃねーよ!?」

 

『コンプレスグラビティ』。手っ取り早く説明するのならある一地点に強力な重力、というよりかは引力か、を発生させるスキルだ。やろうと思えば圧縮するみたいなことも可能だろう。

ただ、使ってみた感想としては、ものすっごくやりづらいというか引力を発生させるのに強くイメージしなければならないため、頭がとても疲れる。あと、過大な集中力が要求されるため、他のことを行い余裕がないことだな。『ポラリス』との併用は難しそうだ。ま、これに関しては慣れていくしかないだろう。

 

「…………カズマ、大丈夫でしたか?怪我とかは、ありませんか?」

「あ、ああ、俺は大丈夫だが……それよりもユタカの方が大丈夫か?顔色が悪いぞ?」

「…………平気です、初めて使った、スキルなので、まだ使い慣れていない、だけです。」

「そ、そうか?でも辛くなったら言ってくれよ?いざとなったら切り上げて帰ろう。」

 

カズマには口ではそう強がったが、割と本気で吐きそうでヤバい。使用する際には気を付けて使った方が良いな。……しかし、何か違和感を覚えるんだよな。何か忘れたことでもあっただろうか?

 

「全く二人とも情けないわね!ほら、もっと働かないとジャイアントトードの駆除なんて無理よ!」

「お前は早く働け!人のこと笑っている暇があるのならカエルの一匹くらい倒して来い!……あ、もしかして女神さまはカエルの一匹も倒せないような雑魚だったんだな、そりゃすまないことを言ったな。駄女神なんだからそんなことすら出来ないダメな奴だったな。」

「はぁ?さっきまでひたすら逃げていたヒキニートが何を言っているのかしら!?私のような存在ならカエルの十匹や百匹、簡単に倒せるわよ!そこでちゃんと見ていなさい!」

 

そう言い放つとアクアは全速力でジャイアントトードのところまで走って行った。あいつ、何の装備も無く行ったが何かスキルでも持っているのだろうか。

 

「たかがカエルが女神の攻撃に耐えられるわけがないわ!さぁ、神の怒りを思い知りなさい!『ゴッドブロー』ッ!」

 

おお、なんか強そうな名前のスキルだ。それにゴッドということは神専用のスキルなのだろうか?

 

……あれ、ジャイアントトードって打撃みたいな攻撃は効かなかったはずじゃないのか?

案の定、ゴッドブローは柔らかい腹に吸収され、攻撃は無意味に終わった。

 

 

……あ、アクア、丸吞みされてら。

 

「アクアー!?おま、お前、食われてんじゃねええええ!」

 

あ、カズマが剣持って行っちゃった……。カズマ、あいつ本当に苦労人だな。アクアの世話だけで手いっぱいになりそうじゃないか?今度、二人で酒を飲んだ時には愚痴くらい聞いてやろう。

 

 

……ん?そういえば俺の脚、なぜかぬるぬるするんだが気のせいだろうか?というか、何かいたいくらい締め付けられててててて!?な、なんで俺宙に浮いているんだというかカエルが目の前にいるんだあと口を開けているんだこいつは?!

 

「ゆ、ユタカー!?お前もかああああ!」

 

……あ、『コンプレスグラビティ』発動させるために『ポラリス』の使用を止めていたのを忘れていた。通りでいつもやっていた俯瞰視点での周囲警戒がないからなんか違和感があったんだ。そんなことを冷静に考えながら、俺は丸呑みされた。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。