この素晴らしい占星術師に祝福を!   作:Dekoi

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残念ながらセクハラはまだ先でした。
早くカズマ君がスティールできるところまで頑張りたいです。

※サブタイトル入れ忘れていました。申し訳ありませんでした。


第4話 一か月後

拝啓、お父様お母様。異世界に来て一か月ほど経ちましたが娘は元気に生きています。

 

しばらくは占星術師(ゾディアック)について調べるために本を読み漁ったり、スキルをいくつか習得してみたりした。この職業特有の為なのかはわからないが、一つのスキルにかかるポイントがかなり大きく、あまり取得できなかったりして辛かったりもした。

 

さて、いくら商人一家が宿に泊めてくれているとはいえ俺は一冒険者である。食い扶持くらいは自分で稼がないといけないし、いつまでも世話になっているわけにもいかない。そのためには依頼を受けてモンスターの討伐を行わなければいけないが、体力面が貧弱なためソロは無理。パーティーを組もうにも募集されている職業はあくまでギルドや冒険者が知っているものだけで、占星術師(ゾディアック)などという怪しげなものと好んで組もうとしてくれる人はいなかった。

 

それでも病気や用事などで欠員がでたパーティーに臨時で参加する形で最初はそれで食いつないでいた。その後も、他のパーティーのお助け要員として今は何とかなっている。

 

そんなこんなあり、今ではなんとか冒険者としているが、そんな俺は今、

 

「…………あっちの方、割と近くにジャイアントトードが2匹います。」

 

モンスター発見レーダーになっていた。

 

その理由は俺が取得したスキルのせいである。

名前は『ポラリス』。簡単に説明すると俯瞰視点で見るスキルだ。別にこれだけなら周囲の警戒や観測に使えそうなのだが、問題がその見える範囲が限りなく広いことだ。これのせいでたとえどんなに遠かろうと、場所が分かったり、探しているものが何なのか分かったりさえすれば上空から発見できるスキルなのだ。その分取得に消費したスキルポイントも高く、屋内やダンジョンなどの空が見えないところでは使えないというデメリットがあるが。

 

今はこのスキル目当ての方々とパーティーを組ませてもらったりしている。索敵する手間が省けるため、モンスターを狩る効率が上がったり、警戒する手間が省けたりするからだろう。

 

…………もうこのスキルだけあればいいんじゃないかな。とはいえ慢心は駄目だ。いくら便利なものでも取り扱いに失敗したら危険になるものなんぞ、日本でいくらでも見てきたからな。

 

――――――――――

 

そんなこんなで今日の依頼は完了、臨時のパーティーとも別れ、ギルドで一人、飯を食べている。報酬金としてもらったお金はあまりないが、代わりに弱らせたモンスターを倒させてもらったりしているから文句はない。おかげでややゆっくりではあるがレベルアップもしているし。スキルも次のを取得すればソロでの活動も可能になるだろう。

 

それにしてもカエルの唐揚げ、日本にいたときも珍味みたいな感じではあったりしたが実際に食べてみると美味しいものだな。ちょっと硬いところがあるが自分が想像していたよりも美味なことには驚いたものだ。

 

「そこのプリーストよ、宗派を言いなさい!私はアクア。そう、アクシズ教団の崇めるご神体、女神アクアよ!汝、もし私の信者ならば……!……お金を貸していただけると助かります。」

 

そんな馬鹿気た声が近くの席から聞こえてきた。あのアクシズ教団と関わろうとする輩に貸す奴がいるのだろうか、というか神を名乗るのはやめておいた方が賢明じゃないだろうか。あと、アクアと聞くとあの駄女神を思い出して腹が立ってくる。

 

「…………エリス教徒なんですが。」

「あ、そうでしたか、すみません……」

 

断られているが、いったいどんな奴なのだろうか

 

 

…………は?

 

あの青髪に美しいと思わせる身体の女性は、あの駄女神にそっくりじゃないか。それに、その女性の後ろ、カウンターにいる男もジャージを着た日本人を思い出させるような顔だ。あいつも転生者なのだろうか?

 

……ならば接触するのもありだろう。あの男もなんらかの便利なものを貰っている可能性がある。

 

「…………そこの人、幾らぐらい欲しいのですか?」

「……え!あなた、アクシズ教団なのかしら!」

別にそんなことはないしあの碌でもない教団とは関わりたくない。

 

「違います。ただ、見たところ困っているのなら助けてあげた方が良いと思っただけです。お婆ちゃんにもそう言われましたし。」

「ほ、本当なのね……あ、ありがとうございます。えっと、それなら、登録手数料に2千エリス程頂けないでしょうか……?」

それくらいだったら平気だ。あとついでに飯が食べられるように4千エリス分渡す。飯代だけで情報が入手できるのなら安いものだしな。

 

「あ……ありがとうございます……ご飯代も出していただけて嬉しいです……。」

「……ん、そのかわりに後であの男の人もつれてきて一緒に食べましょうね。」

 

 

アクアはその後、男と共に冒険者についての説明を受け、ステータスを測っていた。男の方は高くないらしく冒険者を選んでいたが、アクアの方は騒ぎが起きるほどのステータスのようだ。……だが知力が低い、か、そこが何故か不安になってくるな。

 

無事に職業の選択が終わったようで、二人と食事を囲むことにした。予想通り、男の方は転生者だったようだ。それならば何らかのものを貰っているはずだ。

しかしステータスは強くなさそうだから肉体強化や魔法が使えるようになるものを選択した可能性は低い。もちろん変身することで強化することや俺のようにスキルを取るまでわからない奴かもしれない。候補には入れておく。

しかしそれも違うとなると何らかの道具を貰ったということになりそうだ。道具であるのなら服の中に隠せるものもあるし、ステータスに反映されないのも納得だ。

 

「あのー、なんで登録料だけでなく、ご飯代も貰えたんだ?それとこの馬鹿が色々と迷惑をかけてすまなかったな。」

「誰が馬鹿よ!私はアクア様なのよ、これくらいのことは当たり前じゃない!」

おっと、あんまりにも話さないからあっちから話しかけられた。あと、駄女神はうるさい。

 

「……お婆ちゃんから困っている人がいればできるだけ助けてあげるように、と言われたから、それを行っただけです。気にしないでください。」

「そ、そうか、それでもありがとうな。……えっと、名前はなんていうんだ?」

「……名前はユタカ、です。好きなように呼んでください。」

「おぉそうか、ありがとうなユタカ。俺は佐藤和真。こっちのはアクアだ。」

「……サトウカズマ…………あなた、ニホンジン、という人なのですか?あなたのような名前をした人は何か強い能力や装備を持っているとお爺さんから聞きましたが、どうなのでしょうか?」

 

もちろんそんなことは聞いたこともないし嘘だ。ただ鎌にかけただけだが、かなり踏み込んだ質問だ。大丈夫なのだろうか?

 

「…………あー、その、だな。ご飯をおごってくれた礼に教えておくが、俺の場合はそいつだ。」

 

そいつと言われてもそこにいるのはカズマの唐揚げを奪って食べているアクアしかいないのだが?

 

「だから、アクアが俺の強い装備……で良いのか?まぁ、そういうことなんだ。」

 

…………こいつ馬鹿なのだろうか?いや、あのステータスの高さからも優秀なところはあるんだろうが、あれを選ぶのはちょっと、なぁ……

 

「……た、頼れそうな人で良かったですね?」

「おう…………。」

 

死んだ目でそう答えていたカズマには少し同情した。

 




カエルに丸呑みされるのはセクハラになるのだろうか……?

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