この素晴らしい占星術師に祝福を!   作:Dekoi

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今回もいつも以上にひどい駄文です。本当にひどいです。覚悟していてください。
作者の思い付きが暴走してしまいました。ご了承ください。


……チューハイ一缶だろうが、ワイン一杯だろうが、酒を飲みながら書くのは駄目だと参考になりました。


閑話5 えんかいっ!

 ウィズの魔道具店を出た後、カズマとダクネスに連れられて、俺は冒険者ギルドに来ている。来ているが……

 

 

「ほら、めぐみんやお前が面倒見ていた冒険者だけじゃなくて珍しくアクアがお前の心配していたんだから、顔を見せるくらいはしようぜ?」

「……だ、だからといって、人が覚悟をまだ決めていないのに連れてくるのはおかしいと思いますよ。こういったのはこう、当人の気持ちも考えて一日くらいは時間をくれてもいいのですよ?ほら、ダクネスも何か……」

「……正直言うとだな、私もユタカの気持ちは分からないでもないが、できればあいつらの暗い顔を何とかしてほしいのだがな?」

 

 ちくしょう、この裏切り者が。そもそも俺が顔を出せなかったことはダクネスの強すぎる筋力が悪いじゃないか。気絶から目覚めるのに遅かったことは俺関係ないし。

 

「残念だがあの時の私はあの悪魔に操られていたんだ、いまさらそんなこと言われても…………ああ、体が言うことを聞かないという不自由さに反抗する度に走る激痛、そして私に襲い掛かってくる冒険者たちの蔑んだ目……!んっ、もう一度あんな……!」

「……カズマ、私が気絶した後に、いったい何があったんですか?」

「ああ、それが色々あってな……ま、それも宴会の時に話すよ。だから、いいかげん諦めてギルドに入ろうぜ。ほら、早くしないとダクネスだって疲れちまうぞ?俺だって腹減っているのを我慢して付き合っているんだからな?」

 

 うるさい、いくら大丈夫だと言われて心配されたって、こっちは碌に覚悟も決めていないんだよ!!

 

 というか、だ。

 

「……なんで、わざわざ、私の襟首を掴んで持ち上げたままなんですか!私は猫でもありませんし、服だって伸びてしまいます!普通に歩けるんですから、放してください」

「……それで行き先がギルドだと知って逃げ出そうとした奴は誰だ?これが嫌なら、私とカズマの二人で手を繋いでになるが、それでもいいのか?」

 

 俺はよく迷子になる子供かよ!!見た目はあれだが、しっかりと成人だからな!

 

「……ぷっ、これじゃ、俺とダクネスがパパとママで、ユタカが娘ってか?」

「なっ!?なな、カズマは何を言っているのだ!!」

 

 二人ともやかましいわ。特にダクネス、耳元で叫ぶな。頭に響く。

 それと、ふざけたこと言ったカズマ、あとでお爺ちゃんとお兄ちゃんに折檻してもらうように頼み込むぞ。

 

 ……はあ、何かこいつらといるとなんか馬鹿らしく思えてきてしまうが、それとこれは別だ。

 傍にカズマとダクネスの二人がいるとはいえ、いまだ不安なことには変わりない。むしろ、段々とプレッシャーというか、こう、人のいる気配で緊張してきて……

 

「ほら、いつまでもグダグダと言っていないで行くぞ。ってこら、暴れるな!今更暴れたところで私の筋力に勝てないことぐらい散々知っているだろ!」

「……う、ううううぅぅぅぅ…………」

「ほ、ほら、今日くらいは俺が奢ってやるからな、元気出せって」

 

 やだやだー!いきたくないー!

 

「……本当、こうしてみると子供だよな」

「見た目も相まって、余計そう見えてきてしまうな」

 

 

 

 ――――――――――――――― 

 

 

 

 冒険者ギルドに入ると、カズマ達の表彰からずっと飲んでいたのか、綺麗に染まった赤ら顔ときつい酒の臭い、

 そして、大量に貫いてくる視線の群れに息が詰まる。

 

 この人たちになんて言われるか怖くなって、なぜか涙が出てくる。

 

 暑くもないのに、背中から汗が噴き出るような感覚が伝わってくる。

 

 呼吸が、苦しくなって、目の前が歪んでくる。

 

 何か叫んでいるようだが、聞きたくない。手で、塞ぐ。

 

 怖い。恐い。コワイ。

 

 ただただ、怖い……

 

 

 

 

 

「……大丈夫さ。ここにいる連中はお前が元男だという事を知っていてもなお、それでも心配していた奴らだ。……まあ、無理やり連れてきておいてなんだが、少し落ち着け」

「まあ、いきなりはきついよな。少し深呼吸でもして息を整えておけよ。ここにいる奴らも別に何かしようとかはないし、するつもりもないことは確認しているさ。だから、ちゃんとあいつらの声を聴いてやれ。あいつら荒くれ者のくせに、前までずっと暗い顔して酒飲んでいたんだぜ」

 

 

 ダクネスとカズマの声、背中と頭に触れられた手の温もりで薄れかけていた意識が元に戻る。

 それにつられてか、手から漏れだしてきた声が聞こえてくる。

 

「宿屋の嬢ちゃんが復活したぞ!これで宿屋がまた華やぐってもんだぜ」

「嬢ちゃん、この前のダンジョンアタックでは世話になったな!」

「また機会があったら、一緒のパーティーで稼ごうぜ!」

「カズマァ!それは言うなってこの前言っただろうが!」

「ユタカちゃんもララティーナちゃんも可愛いから良いんだよ!」

「ラ、ララティーナと言うな!」

 

 …………え、なんで、なんで?なんで、嫌わないの?だって俺、男だってこと隠して騙していたんだぞ?それなのになんで気色悪がったり、嫌悪したりしていないんだ?

 

「何でってお前、俺とダクネスが散々言っていただろ。ちゃんとお前のことを心配してくれる奴らだって」

「そもそもだ、ユタカはみんなを騙したと思っているようだが、誰だって隠したい秘密なんて持っているものだしな。たかがその程度で気にするような人間たちじゃないさ」

 

 だ、だけど、それでも……

 

「まあ、男の中には元男だと聞いて何人か血涙を流している奴もいたが、気にすんなよ……その後なんか『これはこれで……』とか『これが、世界の真理……』みたいな変なこと言ってたけど」

「……待ってください、今なんて言いました?」

 

 今凄まじく聞きたくないことが聞こえたんだが。いったい何に目覚めたんだよ……。なんか、さっきとは違うような汗がだらだらと出てくるような気がしてきて、背筋が寒くなってきたんだけど。

 

「ん?何だその表情、さっきからコロコロ変わり過ぎだろ」

 

 あっ?それくらい察しろ、捕食者に狙われている可能性が出てきたんだよ。現在進行形で大変なのに、なんでまた別の問題が出てくるんだよ。 お前らロリコンホモかよ。

 というかカズマ、人が大変な時に爆弾を落とすんじゃねえ!

 

「おい、また暴れようとするなよ。皆に見られているというのに、はしたないぞ。というか、これだと下着が見えるんじゃ……」

 

 放してダクネス!カズマを叱れない!

 

「はっはっは!ダクネス、そのまま持ち上げておけよ。それか、しっかりと捕まえつつ座らせておけ」

「ああ、任せてくれ。ほら、あっちの席に行こうな。あっちにめぐみんとかアクアがいるだろうしな」

 

 うおおおおおおおっ!いい加減離せええええ!

 

 

 

 ―――――――― 

 

 

 

 カズマが改めて宴会の音頭を取ったことで、酒や料理が持ってこられる。それを飲み干す音やかぶりつく声、そしてカズマ達を褒めたたえる声が聞こえてくる。そういえば今回もカズマの嫌疑が晴れたことと魔王軍幹部討伐のそれだったな。まあ、何割かは今日の分のを奢りにしてもらうためのかもしれんが。

 

 ふと声の質が変わっているところを見れば、周りのおねだりに答えてか、アクアが宴会芸を始めて歓声が上がってくる。

 ……毎度思うが、あの芸のタネはいったい何だろうか?何もしていないのに種から芽が出たり、扇子から水が出たりとか、魔法を使っているとしか思えない。

 

 俺?ヤケ酒中だ。俺の覚悟とか怒りとか恐怖とかがグシャグシャになっちまったんだ。酔っぱらいになろうが関係ない、飲まないとやってられないのだ。いつも飲まないシュワシュワだって飲んでやる。

 ダクネスに飲むことを禁じられて、酒への興味が募っているめぐみんの前で飲んでやる。くくく、眼を輝かせていて面白い。実に良い光景だ。

 

「あー……なんでユタカは良いのに私は駄目なんですか……ほんのちょっとくらい分けてくださいよ!」

「ユタカは大人だが、めぐみんは子供だろう。子供は酒を飲んでしまったら頭が悪くなると言われているからな。もう少し年を取るまで我慢しろ、って私のを奪って飲もうとするんじゃない!」

 

 おー、めぐみんが珍しくうなだれている。とはいえ酒なんてそこまで美味しい物じゃないんだけどな。いや、好きな奴は好きかもしれんが俺はとても酔いやすくて酒癖が酷すぎるって言われるし、味も酒精の苦みがあまり好きじゃないが。

 

「ううー……ちょっとくらい良いじゃないですかー。仲間なんですから見逃してくださいよ。……あっ!」

 

 む?めぐみんよ、こっちを見てどうしたんだ?この机にあるシュワシュワは私の飲みかけのしかないぞ?

 

「その、ほんの少しだけで良いので、そのシュワシュワを飲ませてくれませんか?」

「こら!だから飲むなと言っているだろうが。そもそも人のを欲しがるんじゃない。ユタカ、そっちも何とか言ってやってくれ」

 

 ふむ……俺としてはまた注文すればシュワシュワは来るだろうし、誰だってこのくらいの年に親にせがんで一口飲んで味を知ることだろうし、いいか。

 

「……ええ、私は構いませんよ。どうせまた注文し直せばいいですし、一口くらいならいいと思いますよ。それも、とっても美味しい飲み方で飲ませてあげますよ」

「ほ、本当ですか!ありがとうございます!」

 

 まあ、ただで渡すわけではないが。ってダクネス、言いたいことはわかるから襟首掴んで持ち上げるのは止めろ。俺は猫じゃねえ。

 

「おいユタカ、めぐみんはまだ子供なんだぞ!そんな奴に酒を飲ますのは……」

「……大丈夫ですよ、そもそもこういったのは自己責任なんですからここで止めたところでこっそり飲むつもりだと思いますよ……それにこういったのは一口でも飲ませないと納得するまでしつこいですよ?ここは私が飲ませない方法を取りますので安心してください」

 

 そう言えば、少し悩んでしぶしぶであるが降ろしてくれた。まったく、これで服が伸びるようならしっかりと止めるよう言わなければ。

 

「……さてと、それではめぐみんにこのシュワシュワを差し上げよう」

「おおっ、待っていました!……って、なんでユタカが飲んでいるんですか?!」

 

 シュワシュワを一気に飲みあげる。からっぽになるまで飲んだと思ったら、一旦飲み込むのをやめて口に溜め込んでおく。

 

「あ、あの、いったい何を……?」

 

 めぐみんの肩を掴み、真正面で向かい合わせになるように固定。そして、ほんのりと赤くなっている顔に段々と近づけていき、口を合わせ――――

 

 

 

 

「いやいやいやいやいや!!!いきなり何しようとするんですか!!」

 

 ―――る前に、めぐみんが俺の顔を手で押さえつけてそれ以上近づけさせないようにしてくる。

 おいおい、早くしないと口の中の酒がぬるくなって不味くなるぞ?

 

「そういう問題じゃないでしょうが!!そもそも何で、こう、その……ええい!そんなやり方なんですか!」

 

 あ、それ以上揺さぶると零れる!急いで飲み干さないと……

 

「……あーあ、もったいないじゃないですか。せっかく美味しいお酒を飲めるチャンスが……」

「それ以上の大事な物を無くすよりかはましですから!なんですか、シュワシュワが飲める条件って口移しとか。そういう趣味なんですか、いえ元が男ですもんね、そんな相手ならこうされても仕方ありませんね」

いふぁい!(いたい!)らからこれ、いふぁいれすって!(だからこれ、痛いですって!)

 

 だからほっぺを引っ張るな!ダクネスといい、めぐみんといい、俺を引っ張り過ぎだ!

 すぐに離してくれたとはいえ、結構ヒリヒリとしてきて痛い。今度めぐみんが何かやってしまったら、仕返しにやり返してみてもいいかもな。

 

「……なあユタカ、今のは誰から教えてもらったんだ?」

「宿屋のお兄ちゃんが、教えてくれましたよ?好きな人にはこういった飲み方が美味しくなると言っていました」

 

 なんかダクネスが神妙な顔をしているが一体なんだろうか。そして頭を抱えてどうしたのだろうか。めぐみんもさっきより顔を赤くしてどうしたんだ?

 

 それにしても、この世界ではこんな飲み方もあるとは驚きだ。文化の違いは元の世界でもあったが、ここまで違うものとは思わなかった。まあ、これはあいさつでキスするようなものかもしれない。実際にお兄ちゃんも好きな奴にやることと言って、俺相手に気軽な様子でやろうとしていたし。

 にしては奇妙なことに、傍にいたお爺ちゃんに思いっきりぶん殴られ、投げられ、関節を極められていたが。

 

 

 あ、お姉さんクリムゾンビアこっちにくださーい。それにしてもここの酒は飲みやすくて美味しい。元の世界のもいいが、こっちのはそこまで酒精が強くないから飲みやすいし、おかずとの相性がいいから何杯でもイケるな。

 今度財布に余裕があれば飲み比べしてみてもいいかもしれないな。これくらいなら俺でも飲めるし。

 

「ところでユタカよ、お前随分と酔っていないか?」

「酔ってないです」

 

 あー、美味しい。まだ冬だというのに体が火照っているから、冷えているクリムゾンビアが飲めるのは幸せだな。

 っと、もう空か。次はまたネロイドでも飲んでみるか。どうせ今日はヤケ酒だ、いつも飲まない分飲もう。

 

「……もう一度聞くぞ、ユタカ、お前酔っているだろ?」

「酔ってにゃいですってば」

 

 にしても、本当この世界の料理は多彩だ。いや、元の世界では定番の物しか食べてないからそう言われると仕方ないかもしれないが、やっぱりこの世界のと比べると段違いだ。

 何せ肉はカエルとかからドラゴンとかも食えるし、野菜だって生きの良さも違い過ぎる。

 

 さて、どれにしようか。この酒に合うのは……やっぱり肉だな。特にカエルの唐揚げが最適だと思う。安く、量も多く、味も鶏に似ていて美味いのだ。酒が進んで仕方ない。

 って、上手くフォークが刺さらんな?ちゃんと当たっているように見えるのだが……?

 

「めぐみん、確保」

「分かりました!」

 

 って、うわ馬鹿、何をする!急に捕まえて何をする気なんだ!?

 

 あっ!お酒、お酒は取り上げないで!

 

「シュワシュワ、私のシュワシュワ返してください!」

「酔っぱらいは黙ってください!ええい、しつこく纏わりついたって返しませんよ!ユタカはこれ以上飲むの禁止です!」

 

 そんな殺生な!良いじゃないか、今日はヤケ酒をするつもりなんですから飲ませてよ!

 

「何度言われたって返しませんよ!こんなものがあるから……こんなもの……ねえ、ダクネス―――」

「めぐみん、飲むのは駄目だからな。というかユタカがこんな風になっているのを見て飲みたいと思うか?」

「うっ……仕方ありませんね。はい、これをユタカの手の届かないところに置いておいてください」

 

 シュワシュワ、返してよー……

 

「すまないが、これ以上飲ませるのは危険だと判断したからな。だから泣いたって渡さないからな。とりあえず水でも飲んで落ち着け」

 

 シュワシュワ……クリムゾンビア……ネロイド……ダクネスが冷たい…

 

「私は冷たくないからな、むしろ私は温厚で優しい方だ。まったく、ユタカの酒癖には今度から気を付けないとな。あまり飲んでいなかったら油断していたが、ここまで乱れるのは想定外だ」

 

 おさけー、おさけー……

 

 

 

「よう、そっちは楽しんで……お前ら何してんの?ユタカすっごい落ち込んでいるぞ?」

「えっと、実はですね――」

 

 あっ、カズマだ、その持っているお酒、よろしかったらください。

 

「ん?こっちに酒、あまり来ていなかったのか?ほら、飲みかけでいいのならやるよ」

「ちょっ!?今のユタカにお酒は……あー、遅かったですか……」

 

 ……ぷはぁ。あー、生き返るー。

 

「私とめぐみんはちょっと知り合いの冒険者と飲んでくるからな、ちょっとユタカの世話を頼む」

「カズマ、あとのことは任せましたよ。それでは、失礼しますね」

「お、おう?任せてくれ……なんだあいつら、そそくさとどこかに行って」

 

 あ、カズマー、そっちはどんな感じだった?

 

「あっちではか、アクアが宴会芸で盛り上げていたり、一気飲みを競い合ったり、他の冒険者と話していたり……まあ、いつも通りだな」

 

 うん、カズマも楽しめているようで何より。この宴会の主役なんだから楽しめていないとな。

 

「それにしては、ずいぶんと疲れているような……」

「これはな、ずっと借金返済とか今回魔王軍の関係者とかと疑われていたからさ、それのためにずっと頑張ってきた分の疲れがな……これで一息つけると思うと、急に体が重くなってさ」

 

 ……ああ、うん、今までずっと頑張ってきたもんな。それだけじゃなくて、仲間がやらかしたことの尻拭いとかもやっていたしな。そりゃ、疲れるわな、うん。聞いているだけでも大体が巻き込まれの事故みたいなもんだしな……

 

「……なあユタカ、なんで俺の頭を撫でているんだ?」

「…………なんか、カズマが凄い不憫に思えてきたので、つい手が出たみたいです」

「つい、で撫でるもんなのか?」

 

 仕方ないだろ、意識していないのに勝手に手が動いていたんだよ。

 

 ……まあ、それだけカズマは頑張ってきていたんだ、少しくらい労うやつが居たっておかしくないだろう。

 なにせカズマはまだ成人すらしていない子供なのだ、そんな子が大人でもなるはずがないであろう苦難に遭い続けて、それでも必死に生きてきたんだ。同郷の俺ですら絶望して諦めてしまうことを頑張ってきたんだ。

 

「……ですので、こうしてもおかしくないと思いますよ。今までお疲れ様でした、今日はしっかりと楽しんできてくださいね」

 

 だから俺がカズマを撫でることはおかしくない。

 

「いや、それはおかしい……いや、もうどうでもいいや。なんかもう、今は何も考えたくない」

 

 はいはい、今日くらいは何も考えずに騒いで楽しもう。もたれ掛かってきたカズマと乾杯しながら、この賑やかな宴会を楽しもう。

 

「……ところでカズマ、とっても美味しいお酒の飲み方って知っていますか?」

 

 

 

 ―――――――――――― 

 

 

 

 半分のお月様が少し沈んだくらいに宴会は終わりを迎えた。とはいえ、そのまま飲み続けている奴もいれば、明日に備えるために帰る者もいた。

 

 俺も今日は帰ることにしておいた。そこまで酔っていないからまだ飲み足りないが……めぐみんとダクネスにあそこまで帰るように言われてしまっては仕方ない。別にまだいてもいいのだが……

 

 そうそう、途中でカズマが酔いつぶれてしまったのか疲れがたまっていたのか知らないが、顔を酷く赤くして俺の膝に倒れこんできた。しばらくそのままにしておいたが、帰る時にダクネスあたりに任せておいたから大丈夫だろう。

 

 それにしても、酒はいいな。酔った際に秘密がバレないようにと飲んでいなかったが、それも無くなって気楽に飲めるようになれた。ここまで美味しく飲めたのは初めてだ。今度暇な時があればゆっくりと楽しんでもいいかもしれない。

 その為にも、仕事を頑張ろう。しっかりと稼いで、色々と楽しめるようにしておこう。

 

 

 

 

 ………………ん?誰かが俺を呼んでいるような気がするな。それにその声もどこかで聞いたことがあるような……

 

 あれ、お爺ちゃんにお婆ちゃん、お兄ちゃんじゃないか。宿屋の入り口で何しているんだ?もう夜も遅いから、今日の店番じゃないお婆ちゃんとお兄ちゃんは寝てないとおかしくないんだけど、一体どうしたんだろう?

 

 おーい、お爺ちゃんたちー、いったい何があったのー…………!?

 

 痛い痛い痛い痛い!!!骨が折れるって!!そんなに強く抱き締めたら折れちゃうって!

 ていうか、なんで泣いているの!?本当に、いったい何があったんだ!?

 

 えっ、看病していた娘の意識がやっと元に戻ったと思ったら、いつの間にかいなくなっていた?精神状態も悪いはずなのにいなくなって心配で、さっきまで町中を探し回っていた?でも見つからなくて、寝ずにずっと?

 

「…………ご、ごめんなさい、ずっとギルドの宴会で楽しんでいました。それで、お酒とか飲んで、悩んでいたことも何とか、なりました……?」

 

 え、あの、ちょっと待って、何でそんな無表情なの?いつもの優しそうな笑顔は……あ、ああ、

 

 あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!

 

 ご、ごめんなさいいいいいいいいいいいい!!??

 

 

 

 ――――――――――― 

 

 

 

 翌日、俺は座ることと仰向けで寝ることが不可能になるほどになっていた。

 

 ……お爺ちゃん、お兄ちゃん、怒るのはわかるけど、お尻叩きみたいな子供のお仕置きみたいなのはやめて……

 

 

 

 




ロリっ娘はちっぱいとかもいいけど、お尻が一番だと思いました。(小並感

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