結局、カズマの裁判自体は保留となった。
が、それでも魔王軍の関係者でないという事の証明と、領主の屋敷の弁償は行わないといけなくなっているらしい。領主の屋敷の弁償は……まあ、以前も借金をしていたし、その経験を生かして返済していくしかないだろう。
問題は魔王軍の関係者でないという事の証明だろう。こっちの方はあの領主の余計なことのせいでやらないといけないのが面倒だ。裁判で使った証拠はもう根拠としてしか使えないし、こうなったらひたすら善行をして信頼を積み重ねるぐらいだろう。
運が良ければ、魔王軍の関係者を倒せば手っ取り早いんだろうが……そう都合よく見つかるわけないか。未熟な冒険者しかいない外れにある街に来るわけないだろうし、前のデュラハン自体がレアケースなんだろう。とにかく、カズマ達には頑張って無罪を主張できるように頑張ってほしい。
でも、俺はそれに関与できないのが歯がゆい。
というか、カズマ達からも散々な目に遭わせてしまったのだから、これ以上は協力しなくてもいいからと言われてしまったのだ。宿屋の商人一家からもこれ以上心配は掛けられないし、これ以上はカズマたちの問題ではあるが……
一応、友達として何かあれば手伝いはすると約束はしたが、正直不安である。ダクネスも領主の所に約束を果たす為行ったと聞くし、残りの三人で解決できるとは思えない。
とはいえ、いつまでもグダグダと悩んでいても意味がない。証拠集めもほどほどにしつつ、今は宿屋で働こう。心配をかけた分は返しておかないといけないしな。
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今度は働き過ぎと言われて無理やり休みを取られた。別にいいじゃないか、ちょっと気が落ち着かないから多少寝ずに働いているだけなのに。ちゃんと自己管理はしているから、疲れたら寝るようにしているのを毎日しているだけなのに。
え?「女の子がこんな夜遅くまで働き詰めなのはいけない」って?いや、俺成人の元男だし、泊まっている宿屋に恩返しくらいはしないといけないだろ?なのにお婆ちゃん、「今時の女の子は働くだけじゃなくて、もっとお洒落とか友達と遊ぶとかしなさいね」って……いや、その友達は大変で遊ぶこととか無理なんだし、男の俺が女の子のお洒落とか冗談にもほどがある。服だっていつものローブがあるんだし、このままでいいし。
それに、今はまだ冬。モンスターも強い敵ばかりで討伐とかは無理だろう。採取とかもそんな技能はないから却下。かといって、ベッドの上でゴロゴロしているような気分でもない。お腹も減ってないからギルドに言って食べるつもりもない。ムラムラとした気も、サキュバスサービスを使ってからは抑えられているから平気だ。
結論。何もすることが無くて暇で仕方ない。
……。
…………。
………………ウィズの所にでも行って、暇でも潰すか。
~~~~~
「……それで、できそうですか?」
「うーん……素材は良質なものですので、良い魔道具にはなると思いますよ。望んでいる効果も付与できるとは思います。ですが、その分期間は頂くことにはなると思いますが……」
「…………そうですか、それでもいいのができるのなら、お願いします。教えてくれて、ありがとうございます」
ウィズの所に来たついでに、祭りの時に買った黒水晶で何か魔道具を作れないかの相談もした。流石に魔道具の作成には時間がかかるらしいが、それでも欲しいのが手に入るのなら十分だ。もうこれ以上ウィズに探してもらうのも心苦しいし、ウィズの商才だと意味がない物ばかりしかないから、直接依頼した方がいいだろう。
……ところで、そこでそわそわとしている黒髪の女の子はいつまでこの店にいるのだろうか?俺が来る前から居たし、かれこれ一時間以上は経っているだろうし……これで詐欺とかあっているのなら不憫だろうし、声でも掛けた方がいいだろうか?
「……あの――――」
「ちわーす。これ、買い取ってほしいんだけど……?あれ、ユタカにゆんゆんじゃないか。奇遇だな」
「「あっ」」
あれ、カズマ達じゃないか。いったいどうした……って、めぐみん?黒髪の女の子を見てどうしたんだ?
「あら、カズマさんいらっしゃいませ。実はこの―――」
「わ、我が名はゆんゆん!なんという偶然!なんという運命の悪戯!こんな所で鉢合わせになるとは、やはり終生のライバル!」
……あ、この子も紅魔族の子なんだな。なんか、一気に残念っぽさが増した気がする。
「この方は、皆さんがうちの店によくいらっしゃると聞いたそうで、朝から待っていらっしゃったんですよ」
朝からって……窓から漏れる光からもう昼くらいのはずなんだけど。というか約束とかも無しに待っていたって、ストーカーとかそんなものなのだろうか。それか、めぐみんの強烈的なファンか何かなのか?
「な、ななななな、何を言ってるんですか店主さん!?私はマジックアイテムを買いに来ただけで……あ、あのっ、コレください!」
俺が見た様子だとそういったものを探しているというより、誰かが来ないかを待っているようにも見えたぞ?あと、取ってつけたように物を出すとか、本当に買いに来たのかが怪しく思われるんじゃないか?実際、めぐみんの視線が冷たくなってきているし。
~~~~~~
カズマの知り合い……というよりめぐみんの知り合いみたいだったから紹介してもらった。彼女の名前は『ゆんゆん』。紅魔族の族長の娘であり、13歳……だったか?にして上級魔法を操るアークウィザードだというなかなか素晴らしい能力を持った子であった。あと、同い年のめぐみんと比べると身体的特徴の成長が著しい子でもあった。……でもあった。
別に羨ましいとかなんて感情は一切ない。
それで、何故ウィズの魔道具店でずっと待っていたかというと、ゆんゆんはめぐみんと勝負を持ち掛けることが多かったのだが、かといって人の家を直接訪ねて「勝負だ!」なんてことをするほどの度胸はなく、かと言って勝負はしたいからよく来ると聞いていたここで待ち伏せをしていた、と。
「…………それ、知らない人が聞いたら変質者だと思われてしまいますよ?朝からずっと待ち続けているとか、恐怖を覚えてしまっても仕方ないと思いますよ?」
それにめぐみん以外とも顔は合わせているんだ。知り合いが訪ねてきたところで無下に追い返すという事はしないはずだぞ。
「そ、そんな……人様の家にいきなり伺うなんて……」
いや、朝からずっと待っている方がよっぽど非常識だと思うぞ。
「煮え切らない子ですね。これだからボッチは」
めぐみん、どういうことなんだ?
「ゆんゆんは自分の名を恥ずかしがる変わり者でして、学園では大体一人でご飯を食べていました。その前を、これ見よがしにうろうろとしてやると、それはもう嬉しそうに何度も挑戦してきて」
「そ、そこまで酷くは……友達だっていたもの!」
……ああ、うん、もしかしてだが、あの紅魔族の中では常識的な価値観と性格のせいで苦労してきたんだな。で、それをずっと続けてたらハブられて、どうすれば分からなくなってボッチになっちゃったと。
「……今、聞き捨てならない言葉が聞こえてきたのですが?ゆんゆんに友達?」
「いるわよ、私にだって友達くらい!ふにふらさんとか、どどんこさんとかが『私たち友達だよね!』って言って、私の奢りでご飯食べに行ったり……」
「……ゆんゆんさん、それ以上はちょっとストップです」
それ、ただの財布としか見られてないだけだぞ。こっちが聞いてて辛くなってくる。それとカズマ達が連れてきた猫が今ウィズの胸に抱かれているのだが、思いっきり胸を揺さぶっていて、ちょっと目に悪い。あれは母性本能でも感じ取って胸を揺らしているのだろうか?
「で、爆裂魔法しか使えない私としては、魔法勝負は避けたいところなのですが」
「それならほかの魔法とかも覚えなさいよね。スキルポイントだって、貯まったはずでしょう?」
……そういえば、デストロイヤーの討伐って経験値とかは入ったりするのだろうか?もう少しで別のスキルが取得できるはずだから、スキルポイントが貯まってくれていると嬉しいのだが。
「ええ、貯まりましたよ。もれなくすべて、爆裂魔法威力上昇や高速詠唱につぎ込もうと」
「馬鹿っ!馬鹿馬鹿馬鹿あああああっ!どうしてそこまで爆裂魔法にこだわるのよ!」
中々ここまで突き抜けた
「そんな小分けされたものなど、爆裂魔法などとは呼べないからですよ。爆裂魔法とはそう、全てを打ち砕く象徴としての物なんですから、そんな小さな爆裂魔法なんて、爆発魔法や炸裂魔法とかで十分ですからね」
……え、声に出して言ってたか?口、動かしている気はしなかったから、読心術でも使ったのだろうか?
こほん、というかそんなに勝負したいのなら、運試しとか双方ともに劣っている点がない物で勝負をする……いや、もうやっているからこうしているのか?どちらにせよ、人様の店で喧嘩をするのは感心しないな。
「ねえねえ二人とも、それならこれなんていいんじゃない?『仲良くなる水晶』!」
「ああ、それ、熟練した魔法使いじゃないと、上手く使えないんですよ」
ん?アクアとウィズが何かを差し出してきた。名前だけ聞くと胡散臭いこの上ないが……洗脳系の魔道具か?
「上手く使えたら、仲良しになれるんですか!」
「ええ、まあ……そうだ!試してみますか?」
いや、ウィズの商才と名前の胡散臭さからやめておいた方がいい気がするんだが……どう考えても碌でもない物の予感がしてたまらない。
「別に仲良くなる必要なんて、微塵もないのですが?」
「あっ、怖気ついたのめぐみん?」
「あっ??」
めぐみん、そんな安い挑発に乗るな。どう考えても策に嵌っているとしか思えんぞ。
「つまりこれは、より上手く扱えた方が格上の魔法使いだという証明よ!」
「ふん、そんな浅はかな証明、この私がぶち抜いてあげますよ!」
……もう知ーらね。あ、そうだ。
「……カズマー。何か買い取ってほしいって言っていましたが、何なのでしょうか?」
「ん?ああ、このマナタイトを、な」
そう言って見せてくれたのは、掌にちょうど収まるほどの大きなマナタイト結晶。それも、杖などに加工がしやすい球状となっている。
……正直言って、滅茶苦茶欲しい。ここまで大きい結晶あれば、以前のキャベツ偵察の際の『ポラリス』連続使用による幼児化を防げるかもしれない。うまくいけば、魔力欠乏による昏睡状態も防ぐこともできるかもしれないのだ。もしかしたら、黒水晶と組み合わせてより良い魔道具が作れるかもしれない。
「……ウィズ、このくらいの大きさの、マナタイト結晶でしたらどのくらいの値段で買い取りますか?」
「え、えっと、そうですね……質とかまではあまりわからないので一概には言えませんが、この大きさなら100万エリスが妥当なお値段ですね。ですが、実際に買取をさせていただくとなると、多少お時間を頂かないと値段はつけられないかと……」
ふむ、100万エリスか……うーむ、貯金は黒水晶を買ったとはいえ、デストロイヤー討伐での報奨金と宿屋での働き分でありはするが、大分苦しい額ではあるな……しかし……
「…………カズマ、そのお金は今すぐ必要なのでしょうか?」
「まあ、領主の屋敷の弁償代は必要だしな。それに、今俺たちの屋敷の家具とかは差し押さえられているから、正直すぐに貰えるなら越したことがないってところだな」
……うん、決めた。
「…………カズマ、それ150万エリスで買いますので譲ってくれないでしょうか?」
「え、いや、俺はいいけど、それユタカが50万エリス分、損をするだけじゃないか?」
「……あくまであれは買い取りの値段です。私が買う場合には、もっと高くなっていると思いますので、今のうちに買っておいた方がお得です。それに……お金関連なのであまり嫌なのですが、少しでも友達の支えになれれば、と思っていますので……あの、急に目頭を押さえてどうかしたのでしょうか?」
「……いや、何でもないから気にしないでくれ」
え、えーっと、この場合はどうすれば良いのだろうか、と、とりあえず背中でもさすってやればいいのだろうか?
~~~~~~~
あの後、「すまん、取り乱していた」と言ってカズマは俺から背を向けて離れた。その際も顔を手で押さえていたが何かあったのだろうか、心配だ。アクア辺りに治療でもお願いしてもらった方がいいのではないだろうか。
「そこまで言うのならば見せてあげますよ、真なる魔法使いの力を!」
「今日こそ決着をつけるわよ!」
「「はああああああああああああっっ!!」」
おっと、勝負はもう始まっていたようだ。二人の強い魔力で水晶は妖しく光り出してきた。
「流石は紅魔族ですね」
「あそこまで強いって、やっぱり爆裂魔法以外を覚えてくれたのならなあ……」
もう、めぐみんは諦めろ。あれはどう考えても治らない病気だ。
「さあ、水晶よ!その力を示して!」
ゆんゆんがそう叫んだ途端、世界は黒に置き換わっていった。いや、どちらかというと闇の方が近いだろうか?水晶へ魔力を注いでいる二人を中心に、青の長方形状の形をしたモノが大量に浮き上がってくる。
「こんなにも投影されたのは初めてです!二人とも、凄い魔力です!」
どうやらこのモノは二人が魔力をつぎ込んだものの証らしい。いったい、これは何なのだろ、うか?
「あ、あれは何だ!?」
カズマの声に振り向き、指差している方を眺めた。すると、投影された長方形状の所から映像が流れだしてきた。
木造で建てられた家に……めぐみん?幾分か幼い姿ではあるが、めぐみんのような子が大きな袋をもって忍び足で歩いている。そして、机に置かれていた箱を引きずり出し、中にあったパンの耳を貪りつつ袋に入れている映像だった。
…………え?
「え、ちょっと待って……」
今度はアクアから聞こえた声と目線から検討を付けた映像を見た。
そこにも幼い姿であるゆんゆんらしき少女が、火が灯っている蝋燭が大量に刺さっているケーキに息を吹きかけている映像だった。他にも様々な料理が並んでいる机で嬉しそうに手を叩いて「おめでとう!」と笑っている。
他には誰もいないのに。一人でニコニコと笑いながら。
……おい、ホラーは止めろ。
他にも、めぐみんが農家から野菜泥棒して妹と思う少女と喜んでいたり、ゆんゆんが片方のコマを動かしたと思ったら反対側の席に移動して「やるわね~!」と言ってたり。
今度は川からザリガニを取って妹と喜んで食べているめぐみん。
獣に触れようとしたら急に逃げられ、花を嗅ごうとしたら脚が生えて逃げられるゆんゆん。
木から何か取っていると思ったら、セミを大量に捕獲して火にくべて、妹と喜んでいるめぐみん。
怪しげな魔法陣の上で「もう、悪魔が友達でもいいかな……」と呟いているゆんゆん。
い、居た堪れない……すっごい見てて辛い。なんで、こんなにも心が軋む思いをしなくちゃいけないんだろうか。
「友達に奢るために、アルバイトを始めたのか……!?」
「ねえ、ちょっと、なんで、あれ、虫、食べてる……」
「「わあああああああああああああああっっ!!」」
カズマとアクアも、この映像はきついものがあるらしい。まあ、そんな恥ずかしい(?)過去を見られている二人の方がよっぽど不憫ではあるが。
「な、何なんですかこれはっ!?」
「店主さん、仲良くなれる水晶だって言いましたよね!?」
「これは、お互いの恥ずかしい過去をさらし合うことで、より友情や愛情は深まるという、大変徳の高い物なん、で、すが……」
おい、最後の方はしりすぼみになっていったぞ。こんな黒歴史を見せつけるものが、本当に徳のある物に見えるのなら、正直俺は店主との付き合い方を改めないといけないかもしれない。
「めぐみん!ねえめぐみん!これで私たち仲良くなれるかな!?」
少なくとも涙目で言っている時点で、俺は無理だと思うぞ。
「おんどりゃああああああああああああああ!!」
「「あああああああああああああああああああっ!?」」
あ、おい、ちょっと待て!それ一応商品なんだから、割ったらダメだろう……あ、あー……うん、まあ、仕方ないな。
~~~~~~~
「それでは、この水晶代はカズマさんにつけておきますね」
「いや待て。壊したのはめぐみんなんだから、こいつにつけておけよ」
「その水晶を使いたがっていたのはゆんゆんです。ゆんゆんが払います」
「……今はそっとしてあげてください。ほら、ゆんゆん、勝負自体はいつでもできますので、そう落ち込むことではないですよ、ね?」
めぐみんが水晶を割ったことにより、勝負の結果は不明。ゆんゆんはそのことでずっとうわごとを呟いているのだが、これが怖い。さっきまで自分の恥ずかしい過去を見られたうえ、ボッチな精神である以上、繊細なことはわかるのだが、こっちは元男なのだ。そんな不憫な女子の機敏なんぞ、よくわからない。だから言葉を選んで話しかけているというのに……!
「だって、だって、こんなんじゃどっちが勝ったか分からないじゃない!ねえ、勝負は引き分けでもいい?」
「別に構いませんよ。もう、勝負ごとにこだわるほど子供でもないですから」
その割にはいつもカズマと喧嘩をしているのは気のせいだろうか。
「そういえば昔、発育勝負をしたことがあったわね。子供じゃないって言うなら、またあの勝負をしてもいいわよ?」
いやそれ、ゆんゆんの勝利しか決まっていないんじゃないか?というか、その発言と胸を張ってのドヤ顔ははめぐみんの神経を逆なでするんだからやめておけ。
「ふっ、子供じゃないというのは、別の意味での子供じゃないってことですよ。だって……私はもう……」
私はもう?なんだ、女の子の日でも来たのだろうか。まさか、めぐみんをロリッ娘扱いしていたカズマが手を出すわけないし―――
「ここにいるカズマと一緒に、お風呂に入るような仲ですから!」
「ちょっ!?」
…………ふぇっ?
「ほぅ……?……えええええええええええええええええええええっ!?!?」
え、ちょ、ど、どういう意味?!一緒にお風呂!?え、え、え!?!?ていうか、ゆんゆんも落ち着いて!ほら、深呼吸深呼吸、ヒッヒッフー、ヒッヒッフー。
「いや、ユタカも落ち着きなさいよ……」
何を言っているんだアクア!おれはちゃんと落ち着いているぞ!ほら、呼吸だってまともなのを……いや、これ違うやつじゃねえか!
「おま、お前ふざけんな!この口か、この口かあああああああ!!」
「いふぁい、いふぁい!!」
って、カズマ達も落ち着けって!ほら、そんなことしていたってらちが明かないんだから、いったん落ち着けって!
「きょ、きょ……」
ほ、ほらゆんゆん、少し落ち着こうな、な!
「今日の所は私の負けにしておいてあげるからああああ!うわああああああああああん!!」
「あ、またどうぞー」
「……ずいぶんと賑やかな子ね」
え、ま、待って……思いっきり行っちゃったよ。この惨状、どうするんだろうか。
…………あれ?カズマって、ロリっ娘とかに手を出さないと思っていたのに、これ、下手したら俺も…………
「ああユタカちょっと待て、いや、これは思いっきり誤解―――」
「……にゃああああああああああああああああっっ!!」
「ああ、待って!待ってくれ!!あれは違うから!」
いやああああああああああああああ!!犯されるうううううううううう!!こっち来るなあああああああああ!!
その後、逃げる俺と追いかけるカズマの姿が目撃され、カズマに鬼畜ロリコンという噂が立ったのはそれから数日後のことだった。
「(……あれ、この水晶、俺が使ったら男の時の過去が見られる可能性がある……のか……?)」