この素晴らしい占星術師に祝福を!   作:Dekoi

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今回は色々と生臭いもので申し訳ありません。お気を付けください。
というより、作者は色々と吹っ切れたので今後からこのような描写が混ざっていきますのでご了承ください。

というか、クリスマスイブなのになんでこんなもの書いているのだろうか……
性夜でも精夜でもないのに……



第18話 昼寝()

「……おい、もう一度言ってみろ」

「何度だって言ってやるよ。荷物持ちの仕事だと?上級職が揃ったパーティーにいながら、もう少しマシな仕事に挑戦できないのかよ?大方お前が足を引っ張ってるんだろ?なぁ、最弱職さんよ?」

 

静まり返っているギルドに酔っ払いの言葉と、それに返しているカズマの声が聞こえる。毎度思うがどうしてこうもトラブルが多いのだろうか。冒険者自体が荒くれ者だからだとはいえ多すぎだろ。ギルドの関係者も、いつものことと割り切って無視しているし。

 

「おいおい、何か言い返せよ最弱職。ったく、いい女も引き連れて、ハーレム気取りか?しかも全員上級職ときてやがる。さぞかし毎日、このお姉ちゃんたち相手に良い思いしてんだろうなぁ?」

 

その言葉でギルド内に爆笑が巻き起こるが、流石にそんな冗談にもならない言葉では笑えない。むしろブラックジョークとしては笑えるかもしれんが、あまりにも馬鹿にし過ぎだ。酔っぱらいの行動とはいえ、これ以上騒ぎを大きくするつもりなら『コメット』でも撃ち込んでいいかもしれない。

カズマも仲間たちの言葉で必死に怒りを抑えているようだが、拳を強く握っている時点でかなりの怒りなんだろう。頑張れ、カズマ。

 

「上級職におんぶにだっこで楽しやがって。苦労知らずで羨ましいぜ!おい、俺と変わってくれよ兄ちゃんよ?」

「大喜びで変わってやるよおおおおおおおおおおおおっ!!」

 

…………ああ、うん、そうだな。カズマ、いっつも苦労していてもっとファンタジーを味わいたいとか言ってたもんな。カズマたちのパーティーとか、ファンタジー以前に苦労することばっかりだもんな。

今度俺と他のパーティーに混ぜさせて、しっかりと楽しませた方が良いかもしれんな。

 

その後もカズマの怒りはヒートアップしていってる。その迫力に絡んでいた男も若干落ち着いてきている。

 

「良い女!ハーレム!!ハーレムってか!?おいお前、その顔についているのは目玉じゃなくてビー玉かなんなのか?どこに良い女がいるんだよ!俺の濁った目ん玉じゃどこにも見当たらねえよ!お前いいビー玉つけてんな、俺の濁った目玉と取り換えてくれよ!」

「「「あ、あれっ!?」」」

 

ヤバい、カズマがキレッキレで笑いをこらえるのがつらい。顔を伏せて必死に耐えているが、体が震えている時点でバレているかもしれないが、もうそんなレベルじゃないだろ。なんであそこまで面白くキレれるのだろうか。さて、残っている飯も早く片付けるとするか。あの調子なら何とかなりそうだし。

 

 

 

その後、カズマと絡んでいた男、ダストが一日だけパーティーを交換することとなっていた。カズマはあの応用力で何とかなるだろうが、あのダストは苦労するだろうな……ま、俺には関係ないからいいが。さて、今日は休みにするか。体調も良くないというか結構危ないし……

 

……なんだよめぐみん、そんな捨てられたような眼をして。一日だけだしすぐに戻って……来るかはわからないが、大丈夫だろ。で、なんで俺の所に近づくんだ?見てはいたからなんとなくは察しているがな。

 

「……その、やっぱり知り合いの人がいたら安心するといいますか、カズマがいないのでどうなるかちょっとわからないので……」

「…………大丈夫と思いますよ。あの人もなんだかんだでまともそうですし、何とかなると思いますよ」

 

さっきから『ウィスパースター』が「こいつらについていくと碌な目に遭わない」と警告を発しているから今日は冒険者稼業をしたくない。というか、行きたくない。捕まる前にさっさと逃げるか。

 

「…………今日はちょっと体調が悪いので、それではまた」

「ま、待ってください!」

 

待てと言われて待つ奴がいてたまるかよ!全力で逃走だ!

 

 

 

その後、『ポラリス』や『ウィスパースター』を駆使しつつ、何とかめぐみんを撒けた俺は全力で宿屋の自室に引きこもった。

 

 

 

―――――――― 

 

 

 

今日に限らず、この頃はある種の体調不良に悩まされていて困っている。それも、アクアとかのアークプリーストに治療してもらうことが不可能で、他人に相談して楽になることも難しいもの。それは人間に限らず、生物であるのなら誰しもが持っている欲求。つまり…………

 

 

今すっげぇムラムラして困っている。

 

割と冗談抜きでそうなっているから困る。男の時は童貞ではあったが、ムラムラしてきたら普通に自己処理できたし、この体になっても生理が来る前はまだましではあった。

だが、生理が来てからいつでも準備OKとでも言いたいのか、性欲が段々と増していっていた。この体の年齢を考えるとまだ性欲が増すような歳でも無いのにだ。そして、このムラムラも波のように収まっている時もあれば、激しく荒ぶるときがある。特に生理前になるほど高まってくるのを感じてきて困る。こんなところでファンタジーさを出さなくてもいいだろ。

 

それでその欲望を処理できればいいのだが、生憎男の時とは違う肉体の上、精神的にもそれで処理すると己が雌であることを認識してしまう怖さから、生理が来てから全く何もしていない。何度か危なくなって手が出そうになったが、食いしばったり布団に思いっきり抱き着いたりして凌いでいるが、もうそろそろ危なくなってきていることが分かる。

 

……もう一回ぐらいはいいだろうか。いい加減自分の性別を見つめなおす機会だろうし、いいかも……いや、俺は何を考えているんだ!俺は男だ!そんな突っ込まれるような方じゃない!突っ込む方だろうが!

 

でも尻や胸なら男の時でもあったし、そこを開発していくのも…………それはそれでなんか違う。男の時でもあったが、その時は触ったりすることもなかったし、違和感がある。

 

というか、宿屋に泊まっている奴も単身の男だったり、カップルみたいなやつが居たりすると、声とか臭いで発情しそうになっているのも問題だろうか。特に男の奴の臭いに反応しそうになった時はもう色々と嫌悪感やら興奮やらなんやらが複雑に混ざったりしたが、これも性別的な反応なのだと思い、何とか誤魔化せている。今度マスクとか耳栓に使えそうなものでもそろえておこう。

 

…………今度、他の女冒険者たちにどうやって処理しているか聞いた方が良いのだろうか。セクハラではあるが、この見た目であれば優しくレクチャーしてくれるかも…………いや、その場合は俺の性別やら体の感度を思い知らされるからやっぱり無しだな。

 

本当、どうするべきか……とりあえず、今日は何もせずに大人しく寝ておくか。ムラムラはこの際無視して強引に昼寝しよう。

 

 

―――――――― 

 

 

すっかり寝入ってしまい、俺が起きた時には夜半になっていた。ムラムラも寝た効果によるかはわからないが、ある程度は落ち着いていて普通に行動しても大丈夫だろう。とはいえ寝すぎた。寝起きだというのに腹が減っていてつらい。カズマとダストがどうなったか聞いてみたいし、ギルドに行ってみるか。部屋着からローブに着替える際に、下腹部から水のような音がしたが無視しておく。

 

冬で空気が澄んでいるためか、今夜の月が三日月よりも細いためかは分からないが、星が綺麗に光っている。街の明かりがあってもこれだけきれいなのだ、外の真っ暗闇の所だともっと綺麗に映っているだろうし、今度暇を持て余したパーティーがいたら、護衛を依頼して天体観測してもいいかもしれない。

 

さて、そろそろギルドにつくのだが、ちょうど冒険帰りだったのか、カズマと、ダストがいた三人のパーティーがいた。カズマたちの表情を見るになかなか良い成果が得られたのだろう。カズマも他のパーティーと笑いながら仲良く話しているし、これで誤解が解けたのならよかったんじゃないかと思う。カズマたちが先を歩いているし、邪魔にならないようにしておこう。

カズマも女の子と知り合えて笑顔でいるし、ギルドに報告に行っているんだろう。扉に手をかけているからそうだと思う。

 

さて、今日はどんな飯にしようか、肉だと性欲が増しそうだし、何か軽めのサンドイッチあたりでもしようか―――― 

 

「ぐずっ……ふぐっ……、ひっ、ひぐう……。あっ……。ガ、ガズまあああ……」

 

あ、そっと扉閉めた。何か面倒ごとでもあったのだろうか。

 

…………巻き込まれるのは面倒だし、他の所で飯を食いに行くか。やってる店がなかったら水でも飲んで凌ぐか。

 

 




つピンクの花


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