この素晴らしい占星術師に祝福を!   作:Dekoi

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少々短く、地の文だらけで読みづらくてすみません。


第2話 アクセルの街到着

とりあえずは近くに道がないかを探すことにした。道があるなら村や町につながっている可能性があるはずだ。それが無理でもせめて川か森だけは見つけておきたい。異世界に来て水分と食料が足らずに飢え死にとか嫌だ。どうせ死ぬのなら……いや、死ぬこと自体が嫌だな。

とにかく早く始めないといけない。幸いまだ太陽は登り始めている時だ、道くらいなら見つかるはず……あれ、なんで太陽が昇り始めたってわかるのだろうか?ま、いいや。

 

死ぬ前の日ごろの態度が良かったのか、少なくとも車輪と思われる細い二本線が残っている道を見つけた。土ではあるものの、ぬかるみはないから歩く分にはまだ平気そうだ。

とはいえ、仮にも肉体が女の子……だろうか、目線は男の時よりも低い。そのため身長も男の時よりかは小さくなっているだろう。その場合、歩幅も小さくなって移動スピードも落ちているはずだ。体力だって今はまだ平気ではあるが男の時よりも体力が落ちている可能性はある。適度に休憩をはさみつつ歩こう。

 

……というか、今更だが服もこの女の子に合った服になっているな。俺が来ていたはずのシャツにジーンズ、スニーカーはいずこに消えたのだろうか。頭にちょうど収まる帽子に紫のローブ、灰色のレギンスに程々に綺麗な黒のサンダル、あと下着は……まぁ、ちょっと派手な形の青色だったとだけ。

 

 

―――――

 

 

休憩もほどほどにしつつ歩き始めて2,3時間あたりだろうか。川に顔を突っ込んでいる馬に小さな馬車、そして、商人と思われる老夫婦にその息子と思われる青年を見つけた。馬車があるということは宿屋や商いができる、つまりは人がいる場所を知っているはずだろう。……馬車に乗せてそのまま町なりに連れて行ってもらえないだろうか?それが無理でもせめて情報だけは聞いておかないと……!

 

あっさりと乗せてもらえた。いや、いいんだけど、警戒しなくていいのだろうかこの人たち。乗せた相手がもしかしたら盗賊だとか考えなかったのだろうか?……ま、いいか、ただで乗せてもらえて、話で情報を入手できたんだ。何も言わないでおこう。

 

さて、この人たちが向かっているところはアクセルの街、というところらしい。曰く、あそこにいるモンスターは弱く、冒険者を始めるのに最適だとか。そもそも冒険者って何かと聞いたら……要はモンスターを狩ったり、ダンジョンに潜って宝を探したりする、よくあるファンタジー的な職業らしい。つくづくこの世界が異世界だと感じる。

 

そして、その冒険者になるためには手数料がいるとのこと。……ローブには硬貨と思われるようなものはなかった。では靴に隠してあるかというとそれも無く、ローブを脱いで下着の中にないか探そうとしたら止められた。

そう言えば俺、女の子だったな。手数料くらいは貸すと言って何十枚かの硬貨をくれた。あの、いくつか金貨と思われるようなのが混じっているんですが、え、せっかくだから持っておきなさい?いや、あの、流石に金貨はちょっと、こんな怪しい奴に渡さなくても、いや、優しそうな子だから大丈夫って…………

優しくされてちょっと嬉しかったけどさ、うん。

 

そんなことを話しつつ太陽が昼を過ぎ、3時あたりになるころにアクセルの街についた。

元男の身分すらわからない人間をここまで連れてきてくれて、しかも街に入れてくれた老夫婦と青年に感謝と別れを告げた。何か困ったときがあったら宿まで頼りに来てね、ってどんだけ優しい人たちなのだろうか。いざとなったらお願いはするが、出来るだけ自分で頑張る様にしよう。

 

さて、冒険者としてやっていくためのギルドに向かっていった。どんな冒険が待っているだろうか。自分の体力を考えるに戦闘はあまりなくて、それなりに楽しめる冒険になれるといいな、そんなのんきなことを考えつつ。

 

 

拝啓、お父様お母様。娘になった親不孝の息子は何とか街にたどり着けました。 

 


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