この素晴らしい占星術師に祝福を!   作:Dekoi

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今回はいつも以上に駄文です。本当、酷いです。
お気を付けください。


閑話2 マッサージ

「ユタカ、ありがとうね!あ、店員さん!シュワシュワとネロイド持ってきてください!」

「奢っていただきありがとうございますね。あ、カエルの唐揚げも追加でお願いします」

「せっかくの奢りだから遠慮なく頂かせてもらうな。こっちはクリムゾンビアとハンバーグをお願いする。」

「……………………え、遠慮なく食べていいですからね?」

 

こいつら、俺の奢りと聞いた瞬間に別のも頼みやがったな。というか、机にまだ料理があるんだからそっち食ってからにしろよ。いや、金はまだ余裕があるからいいんだけどさ。まさかここまで遠慮せずに頼むとは思わなかったぞ。

 

「あー……その、なんかすまんな」

「………………別に気にしなくていいですよ。私から言い出したことですし、カズマも遠慮なく頼んでくださいね」

「……ああ、そうさせてもらうな」

 

カズマから気遣う声がするが、ま、自分から言い出したことだ。これくらい気にしては人として小さいんだろう。

あと、めぐみんは今が成長期なんだからもっと食え。肉以外も食べておけ。

 

「ユタカには言われたくありませんよ。あなただって私と同じくらいの年じゃないですか」

「……残念ながら、私はもう二十歳ですよ。しっかりと食べておかないと私のようになってしまいますからお気をつけてくださいね」

「…………その、何か、ごめんなさいね」

「……別に気にしてないですから大丈夫ですよ。もう慣れました」

 

本当、幾ら食っても太らないことは羨ましがられるが、俺の場合はいくら食っても成長しなかったからな……お腹の周りですら変わる気がしないというのも不思議な話である。

 

そしてアクアよ、お前いつの間に大量に酒を頼んでいたんだ?奢りで遠慮なく食べていいとは言ったが、流石にそこまで食べるのは神としてどうなのだろうか。あ、お供え物もそんな感じで食っていたのだろう。

 

 

――――――――― 

 

 

食い終わった後はパーティーから離れ、早めに宿屋に帰ってきた。カズマは来ないかもしれないが、準備だけはしておいた方が良いだろう。

取りあえずローブから着替えて、マッサージがしやすいように薄手のタンクトップとホットパンツにしておく。ダサいと思われるかもしれないが、他に動くのに最適そうなものはなかったため諦めておく。

あとは……部屋の掃除もやっておくか。ベッドは俺が使っていたから臭いかもしれないが我慢してもらうとして、ある程度は整えておくか。埃とかが落ちていないかもチェックして、後は……ウィズから買ってきたアロマでの準備もしておくか。照明は少し暗めにしておいて落ち着けるようにしておく。

 

よし、とりあえずは完了だ。せっかくだ、これでカズマが来なくてもアロマの香りでも楽しむとしよう。閉め切っているから漏れる心配もないし大丈夫だろう。

 

…………ん、ノック音?

 

「おーいユタカ―、この部屋で合ってるかー?」

「……カズマですか?少々お待ちください」

 

あ、来たんだ。てっきりあそこまで疲れていたのなら来ずに帰っていたかと思ってた。

 

「……カズマ、いらっしゃい。ちょっと散らかっているけど、ごめんなさいね」

「いや、おかまいなく。……じゃない、本当に部屋に入ってもいいのか?」

「…………私は気にしないから大丈夫です。それに、カズマはそういう人じゃないと信じているので」

 

あくまで俺の推測ではあるが、カズマは性的なことには興味があるがそういったことをするほどの度胸はないのだろう。おおかた、ただのヘタレではあると予想している。だから大丈夫のはずだ。

 

「いや、えっと……まぁ、本人が良いって言うのならいいんだけどさ、薄着でいるのも男として見られていないんだろうし……お邪魔しまーす」

「…………ん、いらっしゃい。服はそっちの籠に入れておいてください。マッサージの邪魔になっちゃいますので、上半身だけ脱いでおいてくださいね。下の方はやってほしいのなら脱いでもいいですがね。」

 

カズマが服を脱いでいるうちにアロマを焚いておく。ウィズから落ち着けるような香りを聞いて買ったから当たりだといいのだが…………うん、なかなかだ。少なくとも俺は嫌いじゃない匂いだ。

カズマも上半身裸で待機している。流石に短パンみたいなものは持っていなかったのか、下は着たままだった。

 

「…………ではカズマ、ベッドにうつぶせで寝てください。私が使っていたので臭いかもしれませんが、そこは我慢して頂けると……」

「いえ、むしろご褒美ですので大丈夫だから!俺は全く気にしないから安心してくれ!」

 

そこまで勢いよく断言されるとちょっと怖い。とはいえ、本人がそこまで言うのなら大丈夫だろう。

 

「……では、最初に腕とかを行いますね。オイルを塗るので冷たいかもしれませんがそこは我慢しておいてください」

「……なぁ、なんでそこまで準備が良いんだ?」

「…………お婆ちゃんとかに、たまにやっていましたので。」

 

どんな順番でやればいいとかは聞いたことがないし、順番は適当でいいか。とりあえずカズマが剣を持っていたはずの右腕からにしよう。親指と人差し指でつまむようにほぐしていく。

……うん、結構固めではある。剣を扱う本職の人には敵わないが、それでもずっと剣を振ってきただけはある。少なくとも日本の一般人とは思えないくらいだ。

 

「…………かなり凝っていますね。剣とかもこっちの腕で振っているんでしたっけ?」

「ああ、そうだな……あ、今の気持ちよかったからもう一回頼む」

 

了解了解っと。自分で思っていたよりも凝っていて驚く。少し念入りにやっておくか。その代わり左腕の方はこっちよりも軽くでいいだろう。

……気持ちいいから顔が緩むのはいいが、鼻をスンスンとしてベッドとか枕の臭いを嗅ぐな。その行為をやられると地味に恥ずかしいんだぞ。というか、嗅いでもいい匂いなんぞしないからな?ベッドの臭いを嗅ぐのならアロマの方を嗅いでおけ。あっちの方が良い香りなんだがな……

…………まぁ、下手に動かれるよりかはましか。右腕は終わったし、今度は反対側だな。こっちはそこまで凝った様子はないが、それでも疲労してはいるのだろう。しっかりと揉み解しておく。

 

「ああー…………」

 

カズマから気が抜けたような声が聞こえたが無視だ。こっちは腕よりも、道具とかを使ったのだろうか、指とか手のひらが固く感じる。こっちは親指だけで伸ばすように押し撫でておく。

 

 

 

 

よし、次は背中とか腰なんだが……カズマの体は俺と比べて大きい。腕とかならまだそのままでもできたが、背中と腰ならば、横からだと上手くできる気がしない。仕方ない、カズマには少し我慢してもらうとするか。

 

「…………カズマ、ちょっと重いかもしれませんが我慢してくださいね?」

「……ん?え、いや、お、重くはないぞ?軽いくらいだから平気だ!むしろもっと体重をかけてもらってもいいくらいだ!」

 

カズマに馬乗りする形になった。尻はとりあえず腰の所に下ろしておく。あんまり乗せておくと痛むかもしれないからな。

さて、では背中からだ。

背中も凝っていたのか、腕とかよりも固い。筋肉もそれなりについてきたのだろうか、脂肪も落ちて綺麗な背中になっているな。ここまで固いと、指でやると間違いなく痛めそうだし手のひらでゆっくり押すようにしてやるか。

 

「おぉぉぉぉぉ……お尻が、おしりが…………」

 

なんかカズマがブツブツと言っているがよく聞こえない。痛くないようだし無視でいいだろう。というか、精一杯やったから暑い。汗も出てきて髪や服が、肌に張り付いて気持ち悪い。あとで着替えるか。

 

 

 

背中もいったん終了。後でまたやるとして次は腰。今度は尻を背中に乗せつつやるか。あと少しだし頑張ろう。

 

「背中、背中に……柔らかいもの…………」

 

カズマがまたブツブツと言い出した。よく聞こえんがまたろくでもないことを考えているのだろう。無視しておこう。

腰も背中と同じく凝っていた。とはいえ腰は強くやると痛いはずだ。少し優しめにやっておく。背骨に沿うように親指でなぞって押していく。

本当は足とかもやりたかったがカズマが脱ぐ度胸がなかったため今回はなしの方向にしておこう。またの機会をお待ちしておりますってね。

 

 

 

 

さて、ようやく最後だ。カズマも気持ちよかったのか、ウトウトとし始めて心苦しいが、軽くゆすって起こす。

 

「………………カズマ、次が最後ですのでそろそろ起きてください。最後のは仰向けで行いますので、そっちの方を向いてください。」

「…………ん、ふぁぁぁ、やってもらっていたのにすまないな。……おお、体が大分軽くなっているな!」

「…………大分やったのでそうでないと困ります。では、ちょっとの間、頭を上げてもらっていいでしょうか?」

「ん?ああ、これでいいか?」

 

カズマが頭を上げているうちに、俺の両膝を潜り込ませておいて軽く挟み込む。いわば膝枕でいいのだろうか、それを両方の太腿で挟むようにしてカズマの頭を固定する。今からやるのは結構痛いかもしれないから逃げだせないようにしておかないとな。

 

なんかカズマの顔が赤くなって、視線が俺の服を見ている気がするが気にしてられない。もう俺もマッサージして疲れているんだ、そこまで気を使うことはできないんだよ。

 

顔や首の筋をほぐすように圧迫しつつ撫でるように行う。これでも痛がる人が出るんだが、カズマは平気そうだ。それならよかった、もう少しだけ強くやってもいいだろう。

あ、こら、暴れんな!思いっきり太腿で挟み込んだらまた大人しくなった。これでよい。

 

 

 

―――――― 

 

 

 

「おお……やってもらうとここまで変わるもんなんだな。ユタカ、ありがとうな!」

「…………ん、どういたしまして。」

 

ようやく終わった。一時間もやってはいないはずだが、ずっとやりっぱなしだったからへとへとだ。今日はよく眠れそうだ。

 

「というか本当に何にも取ったりしないのか?俺としてはここまでやってもらったからせめて何か渡しておきたいんだが……」

「……別にいいです。私個人が好きにやったことですのでお気になさらず。」

 

俺が勝手に言い出したことだし、それで何か取るときは事前に言うだろ。

 

「あーそうか……ま、何か困ったときがあったら言ってくれよ!ユタカにはまだ借り一つあるし、今回の奢りとマッサージで借り二つだな。借りに関しては不可能じゃないことならやってやるからな!」

「…………ん、その時はお願いしますね。とりあえずもう帰った方が良いですよ。仲間の人たちが心配するかもしれませんし」

「……アクアはそんなことをしなさそうだがな。それじゃ、またな!今日は助かったぜ!」

「…………またのご利用、お待ちしております。」

「また、ってしてもらえるのか!?そんじゃ、その時はまたお願いな!」

 

取りあえず宿屋の扉の前で手を振って別れを告げる。カズマもすっかり元気そうで何よりだ。

 

さて、この後はどうするべきか。流石に汗でべったりした体のまま外に出るのは論外だ。一旦着替えなおすとして汗に関しては……もう明日でいいか。明日の朝に大衆浴場に行こう。

というか、さっきから『ウィスパースター』が警告を告げているんだよな。「今、外に出るのは危険」って。ちょっと気になるからカズマを生贄にしてどんなことが起きるか観察しておこう。

 

「……え、あの、宿屋のお爺さんとお兄さんこんばんは。あの、御二人方、なぜ剣を持っているのですか?え、なんで今ユタカの部屋から出てきたって?…………普通にマッサージしてもらっただけですよ?ええ、本当です。いや、本当ですから!剣を構えないでください!あ、ユタカ!部屋の扉閉め―――――」

 

 

…………カズマ、南無。俺は鬼のような形相をしたお爺ちゃんとお兄ちゃんとか、何も見なかったから後は頑張ってくれ。俺はもう寝る、おやすみ。

 

 

 

 

その後、宿屋から悲鳴のような声が聞こえたが気のせいだろう。

 

 

 




ifルートでカズマにべた惚れした純愛物……
気が向いたら書こうかな……まずは本編を書かないとですがねー

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