この素晴らしい占星術師に祝福を!   作:Dekoi

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たくさんの感想、誤字訂正、評価などなど、色々とありがとうございます!
まだ拙い出来ではありますが、皆様が楽しめるように書いていきたいと思っています!

……でも今回の主人公はただのモブ役です。ただのツッコミ役だけですので期待をはずしているようで申し訳ありません。
また、作者が多忙のためあまり量を書くことが出来ず、申し訳ありませんでした。


第10話 デュラハン襲来……?

働き続けて一週間ほどたった朝。

 

「緊急!緊急!全冒険者の皆さんは、直ちに武装し、戦闘態勢で街の正門に集まってくださいっっ!」

 

……何か異常事態が発生したようだ。商人一家に今日の手伝いは無理だということを言っておいてから正門に向かった。正門にはすでに多くの冒険者がいる中、凄まじい威圧感を放つ存在に身が竦む。事前に『ポラリス』で視認はしていたが、それでも実際に見たのとでは恐怖が違ってくる。

 

デュラハン

 

それは人に死の宣告を行い、絶望を与える首無し騎士。

元の世界では精霊とかそんな存在であったが、この世界ではアンデットであり、生前を凌駕する肉体と特殊能力を手に入れたモンスターのはずだ。なぜそんな強い存在が、このアクセルの街にいるのだろうか。

 

「……俺は、つい先日、この近くの城に越してきた魔王の幹部のものだが……」

 

っ!やはり、こいつがあの魔王の幹部か。しかし、わざわざ街まできて虐殺でも始める気なのだろうか。

 

「まままま、毎日毎日毎日毎日っっ!おお、俺の城に、毎日欠かさず爆裂魔法打ち込んでく頭のおかしい大馬鹿は、誰だあああああー!」

 

…………おい、早速犯人が分かったぞ。

 

「……爆裂魔法?」

「爆裂魔法を使える奴って言ったら……」

「爆裂魔法って言ったら……」

 

だろうな、ここにいる連中全員でめぐみんの方を見る。……あ、あいつ、隣の女の子の方を向いて生贄にしたな。というか他の連中、お前らも釣られるなよ。

 

「ええっ!?あ、あたしっ!?なんであたしが見られてんのっ!?爆裂魔法なんて使えないよっ!」

 

……おい、話が進まないから変なことするな。というかめぐみんの冷や汗、凄いことになっていないか?あんな調子で前に出ていけるのだろうか……あ、嫌そうな顔をしつつ前に出て行った。

 

「お前が……!お前が、毎日毎日俺の城に爆裂魔法ぶち込んでいく大馬鹿者か!俺が魔王幹部だと知っていて喧嘩を売っているなら、堂々と城を攻めてくるがいい!その気がないのなら、街で震えているがいい!なぜこんな陰湿な嫌がらせをする!?この街には低レベルの冒険者しかいないことは知っている!どうせ雑魚しかいない町だと放置しておれば、調子に乗って毎日毎日ポンポンポンポン撃ち込みにきおって……っ!頭おかしいんじゃないのか、貴様っ!」

 

…………卑怯なことは嫌いな騎士の鏡だこと。別にその信念を持つのは自由だが、敵にそんなことを説いても意味がないんじゃないだろうか。少なくともこの常識知らずの連中に言っても意味がないことは確かだろう。

 

「……フッ、我が名はめぐみん。アークウィザードにして、爆裂魔法を操る者……!」

「……めぐみんってなんだ。馬鹿にしてんのか?」

「ちっ、違わい!」

 

……なんか、気が緩む。本当に魔王幹部と話しているのかが分からなくなってくる。

 

「……フン、まぁいい。俺はお前ら雑魚にちょっかい掛けにこの地に来たわけではない。この地には、ある調査に来たのだ。しばらくはあの城に滞在することになるだろうが、いちいち城の修理をするのが面倒だ。これからは爆裂魔法は使うな。いいな?」

「それは、私に死ねと言っているも同然なのですが。紅魔族は日に一度、爆裂魔法を撃たないと死ぬんです。」

「お、おい、聞いたことないぞそんなこと!適当な嘘を吐くな!」

 

俺だって聞いたことがない。というか紅魔族は爆裂魔法を撃ってぶっ倒れるための種族なのだろうか。どこの爆弾岩とかボンバーマンだ。そんな自爆特攻な種族なんぞ、すぐに死に絶えるレベルだろ。

 

「どうあっても、爆裂魔法を撃つのをやめる気は無いと?俺は魔に身を落としたものではあるが、元は騎士だ。弱者を刈り取る趣味はない。だが、これ以上城の近辺であの迷惑行為をするのなら、こちらにも考えがあるぞ?」

 

あ、デュラハンがいい加減キレてきた。そりゃ、そうだな。せっかく忠告で済ますつもりがこんなひどいコントになっているんだ。キレない方がおかしい。というかこうして話しているのを眺めているが、このままでいいのだろうか。何か行動でも取った方が良いのか判別がつかん。かと言って平和に話しているところを横からぶん殴る行為は、デュラハンの騎士道的にアウトだろうし大人しくしておこう。

 

「迷惑なのは私たちの方です!あなたがあの城に居座っているせいで、私たちは仕事も碌にできないんですよ!……フッ、余裕ぶっていられるのも今のうちです。こちらには、対アンデットのスペシャリストがいるのですから!先生、お願いします!」

 

今度はめぐみんがアクアを呼んだ。めぐみんよ、ここで丸投げするのは紅魔族的にかっこよくないと思わないのだろうか。どうせやるのならここで爆裂魔法を撃ってからの方がかっこいいぞ。

 

……ん?ダクネスが全力で走って行った?盾役としての勘でも働いて、何か攻撃でもしてくるの予測したのだろうか?

 

「ほう、これはこれは。プリーストではなくアークプリーストか?この俺は仮にも魔王軍の幹部の一人。こんな街にいる低レベルのアークプリーストに浄化されるほど落ちぶれてはいないし、アークプリーストへの対策はできているのだが……。そうだな、ここは一つ、紅魔の娘を苦しませてやろうかっ!」

 

ダクネスがめぐみんの襟首をつかんで自分の後ろに隠した?いったい、何が起きるんだ?

 

「汝に死の宣告を!お前は一週間後に死ぬだろう!!」

 

…………なるほど、元の世界でも死を宣告する妖精としていたが、ここでは自由に死を宣告できるのか。でも嫌がらせをされたからって死の宣告って子供よりたちが悪いんじゃないだろうか。魔王幹部ならなおさらだろ。

 

あと、デュラハンよ。かばって狙いが逸れたとはいえ、ダクネスにそんなことしても意味ないと思うぞ。むしろ勝手に妄想してよりひどいことになるんじゃないか?あと、好き勝手話すのはいいが、素直に俺の言うことを聞いておけばよかった、とかこいつの琴線に触れまくってんぞ。

 

「な、なんて事だ!つまり貴様は、この私に死の呪いを掛け、呪いを解いて欲しくば俺の言うことを聞けと!つまりはそういう事なのか!」

「えっ」

 

うん、デュラハンの言いたいこと大体合ってはいるな。爆裂魔法を使うのをやめろって言うのをしっかりと伝えていたな。でもダクネス、お前の言いたいこと考えていること、絶対に違うだろ。どこぞのエ〇同人みたいな目に遭いたいがためにそう言っているんだろう。今度触手型やオークみたいなモンスターを見つけたら教えておいてやろう。

 

「くッ……!呪いぐらいではこの私は屈しない……!屈しはしないが……っ!ど、どうしようカズマ!見るがいい、あのデュラハンの兜の下のいやらしい目を!あれは私をこのまま城へと連れて帰り、呪いを解いて欲しくば黙っていう事を聞けと、凄まじいハードコア変態プレイを要求する変質者の目だっ!」

「……えっ」

 

突然変態が現れて呆然とした目だよドM。あれに変質者呼ばわりとか騎士としての尊重が色々ボロボロだろう。

 

あ、ダクネスが突撃しそうになったがカズマが止めている。頑張れー、デュラハンの人を助けられるのはお前だけだぞー。

 

「と、とにかく!これに懲りたら俺の城に爆裂魔法を撃つのは止めろ!そして、紅魔族の娘よ!そこのクルセイダーの呪いを解いて欲しくば、俺の城に来るがいい!城の最上階の俺の部屋まで来ることが出来たなら、その呪いを解いてやろう!……だが、城には俺の配下のアンデットナイトたちがひしめいている。ひよっこ冒険者のお前たちに、果たして俺のところまでたどり着くことが出来るかな?クククククッ、クハハハハハハッ!」

 

笑いながら帰って行っても、悪役としての評価は今更じゃないだろうか。変態ドMの勢いに負ける魔王幹部っていったいなんなのだろうか…………俺も疲れたし帰ろうかな。こんな茶番のために手伝いを放棄したとかなんかもう、頭が痛い。別に俺がここにいてもなんもないだろうし。

 

それに、ダクネスの呪いは大丈夫だろう。仮にも神であるアクアもいるし、あのくらいの呪いなら何とかなるだろう。……これで何にもならなかったら女神の名前、返上じゃないだろうか。

 




……にしてもまさか自分が書いた小説がランキングに乗るとは思いもしませんでした。正直驚いて三度見してしまいました。

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