翌日、朝食を終えたアイズ、ティオネ、レフィーヤをティオナが集めた。
「と、いうわけで、ルイさんを手伝おうよ!」
突然叫びだした。全員黙り込む中、代表してティオネが聞いた。
「………どうしたのよ急に」
「今日、珍しく早く目が覚めたんだけどさ、ルイさんすごいんだよ!」
「と、言いますと?」
「まずは朝風呂に入る人がいるかもってだけでお風呂を沸かして、その次は外に出て草むしりをして、終わったら朝食のために食堂を掃除して、朝ご飯を作り始めて、みんなが食べ終わる前に先に食べ終わってお皿を全員分洗って、終わったら食堂を全部掃除して、片付けじゃなくて掃除して!それで今現在は廊下で朝風呂のお風呂を掃除してるんだよ!」
「あなた……その様子全部見てたの?手伝えばよかったじゃない」
「みんなで手伝おうよ!」
「相変わらず都合の悪いことは聞こえない耳なのね」
「でも、手伝うのは私も賛成」
賛同したのはアイズだった。
「昨日も、食器洗った後、お風呂の掃除して、わたしのことマッサージしてくれて……」
「マッサージ⁉︎いいなぁー」
「でも、今日は魔石の換金とか武器の修理とかで忙しくなるんじゃあ……」
「そんなの後でいいよ!手伝おうよ!」
「えっ、いやそれは……」
「なら、二人ずつ手伝えば、いいんじゃないかな……」
「そうね。じゃあ先に言い出しっぺのティオナと私が手伝うわ」
「はーい」
と、いうわけで二手に分かれた。
×××
早速、手伝おうとティオナとティオネはルイの元へ。
朝風呂の掃除を終えたルイは、洗濯ものをしていた。
「あっ、あの、ルイさん」
そのルイにフィンが声を掛けた。何故か、それにティオナとティオネは隠れてしまった。
「フィンちゃん、どうしました?」
「手伝おうか?」
「お洗濯ですか?」
「う、うん。ほら、うちのファミリアは人数多いし、一人だと大変だと思うから……」
「お気持ちは嬉しいんですけど、今日は昨日の遠征の魔石の換金などの日なのでは?」
「うっ……」
「お手伝いしてくれる気持ちはありがたいですけど、自分の仕事をサボってまでしてくれなくて良いですからね」
「い、いやでも、実際換金とかに何人も人数使わないし、僕くらいいなくても……」
「そういうところから、組織の足並みは崩れて行くんです。団長なんでしょう?しっかりなさい」
「で、でもっ……」
「フィン
直後、急に氷河期になったかの如く、ヒンヤリした空気が流れ出した。パキンッと窓に亀裂が入る。
「「ッ⁉︎」」
ティオナとティオネも寒気を感じたのか、自分達の肌をさする。
ルイはニコニコ微笑んだままフィンに言った。
「あんまり聞きわけがないようですと、怒りますよ?」
「す、すみませんでした!」
逃げ出すように走るフィン。
「あ、待ってください」
そのフィンに後ろからルイが声を掛けた。いつの間にか、寒気は無くなっていた。
「お手伝い、明日からお願いできますか?」
「! わ、分かった!」
「じゃあ、よろしくお願いします」
言われて、嬉しそうにフィンは部屋を出て行った。
これは、ヤバイ……と、本能的に悟ったティオナとティオネは、どうする?みたいに顔を見合わせた。その直後、
「そこで隠れてるお二人も、早くお仕事に戻りましょう?」
「「ッ⁉︎⁉︎⁉︎」」
思わず腰を抜かしながら、ティオナとティオネはアイズ達の元に戻った。
×××
「あれ?アイズさん、お二人とも戻って来ましたよ」
「ほんとだ。もう交代?」
「………なんで走ってるんでしょうか」
「さぁ……?」
「どうしたんですか?二人とも」
「……………」
「……………」
「二人とも?」
「手伝いは明日からにしましょう」
「なんで?何かあったの?」
「…………ルイさんはヤバイ」
「……………?」