黄昏の館の用務員   作:アリオス@反撃

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第2話

 

 

翌日、朝食を終えたアイズ、ティオネ、レフィーヤをティオナが集めた。

 

「と、いうわけで、ルイさんを手伝おうよ!」

 

突然叫びだした。全員黙り込む中、代表してティオネが聞いた。

 

「………どうしたのよ急に」

 

「今日、珍しく早く目が覚めたんだけどさ、ルイさんすごいんだよ!」

 

「と、言いますと?」

 

「まずは朝風呂に入る人がいるかもってだけでお風呂を沸かして、その次は外に出て草むしりをして、終わったら朝食のために食堂を掃除して、朝ご飯を作り始めて、みんなが食べ終わる前に先に食べ終わってお皿を全員分洗って、終わったら食堂を全部掃除して、片付けじゃなくて掃除して!それで今現在は廊下で朝風呂のお風呂を掃除してるんだよ!」

 

「あなた……その様子全部見てたの?手伝えばよかったじゃない」

 

「みんなで手伝おうよ!」

 

「相変わらず都合の悪いことは聞こえない耳なのね」

 

「でも、手伝うのは私も賛成」

 

賛同したのはアイズだった。

 

「昨日も、食器洗った後、お風呂の掃除して、わたしのことマッサージしてくれて……」

 

「マッサージ⁉︎いいなぁー」

 

「でも、今日は魔石の換金とか武器の修理とかで忙しくなるんじゃあ……」

 

「そんなの後でいいよ!手伝おうよ!」

 

「えっ、いやそれは……」

 

「なら、二人ずつ手伝えば、いいんじゃないかな……」

 

「そうね。じゃあ先に言い出しっぺのティオナと私が手伝うわ」

 

「はーい」

 

と、いうわけで二手に分かれた。

 

 

 

×××

 

 

 

早速、手伝おうとティオナとティオネはルイの元へ。

朝風呂の掃除を終えたルイは、洗濯ものをしていた。

 

「あっ、あの、ルイさん」

 

そのルイにフィンが声を掛けた。何故か、それにティオナとティオネは隠れてしまった。

 

「フィンちゃん、どうしました?」

 

「手伝おうか?」

 

「お洗濯ですか?」

 

「う、うん。ほら、うちのファミリアは人数多いし、一人だと大変だと思うから……」

 

「お気持ちは嬉しいんですけど、今日は昨日の遠征の魔石の換金などの日なのでは?」

 

「うっ……」

 

「お手伝いしてくれる気持ちはありがたいですけど、自分の仕事をサボってまでしてくれなくて良いですからね」

 

「い、いやでも、実際換金とかに何人も人数使わないし、僕くらいいなくても……」

 

「そういうところから、組織の足並みは崩れて行くんです。団長なんでしょう?しっかりなさい」

 

「で、でもっ……」

 

「フィン()()?」

 

直後、急に氷河期になったかの如く、ヒンヤリした空気が流れ出した。パキンッと窓に亀裂が入る。

 

「「ッ⁉︎」」

 

ティオナとティオネも寒気を感じたのか、自分達の肌をさする。

ルイはニコニコ微笑んだままフィンに言った。

 

「あんまり聞きわけがないようですと、怒りますよ?」

 

「す、すみませんでした!」

 

逃げ出すように走るフィン。

 

「あ、待ってください」

 

そのフィンに後ろからルイが声を掛けた。いつの間にか、寒気は無くなっていた。

 

「お手伝い、明日からお願いできますか?」

 

「! わ、分かった!」

 

「じゃあ、よろしくお願いします」

 

言われて、嬉しそうにフィンは部屋を出て行った。

これは、ヤバイ……と、本能的に悟ったティオナとティオネは、どうする?みたいに顔を見合わせた。その直後、

 

「そこで隠れてるお二人も、早くお仕事に戻りましょう?」

 

「「ッ⁉︎⁉︎⁉︎」」

 

思わず腰を抜かしながら、ティオナとティオネはアイズ達の元に戻った。

 

 

 

×××

 

 

 

「あれ?アイズさん、お二人とも戻って来ましたよ」

 

「ほんとだ。もう交代?」

 

「………なんで走ってるんでしょうか」

 

「さぁ……?」

 

「どうしたんですか?二人とも」

 

「……………」

 

「……………」

 

「二人とも?」

 

「手伝いは明日からにしましょう」

 

「なんで?何かあったの?」

 

「…………ルイさんはヤバイ」

 

「……………?」

 

 


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