【全知全能】になった俺がアイドルになって人生を謳歌していく   作:PL.2G

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毎々お世話になっております。

遅ればせながら、投稿させていただきました。



Third Side Story ~ The Secret Birthday ~

『レディ~スア~ンドジェントルメ~ン!!』

 

英雄がマイク越しに語り出した

 

『我が8723プロにおける稼ぎ頭、一ノ瀬騎士の挨拶だ~!!皆の者、心して聞けぇ~!!』

 

「おいおい、いきなり俺の挨拶かよ・・・」

 

アイツは本当に自由な奴だな

 

しかし、英雄の事は気に入らないが、

来てくれている方々のために挨拶はキチンとしなくては

英雄が立っているステージに向かって歩く

周りを見れば、友達であったり仕事柄お世話になってる方々が見える

軽い会釈や挨拶をしながらステージに上がって行く

 

「よっ、騎士。おめでとさん。ほれマイク」

 

マイクを放り渡される

 

「どーも。色々言いたい事はあるが、今回に関しては感謝してるよ」

 

「うわっ、騎士がデレた。キモい」

 

素直に感謝の言葉を述べたと言うのに

この言われ様である

 

「やっぱ感謝なんかするんじゃなかった」

 

「ほれほれ、さっさと挨拶挨拶」

 

挨拶を急かされる

まぁグダグダと英雄と喋っていてもしょうがない

挨拶を済ませてさっさとこのステージから降りてしまおう

 

『本日はこんな私の為に、お忙しい中お集まりいただき誠にありがとうございます』

 

定番的な語り出し

 

「一番忙しい騎士君が言ってもイヤミにしかならないわよ~」

 

川島さんがガヤを入れてくる

巻き起こる笑い

 

『川島さん、本日は主催者として、そして人生の先輩として、

 参加して下さって本当に感謝しています』

 

「あら無視ー?それに人生の先輩って言い方は少ーしいただけないわねー」

 

『軽いお返しです』

 

「あら、してやられたわね」

 

また起こる笑い

 

「コラコラー、騎士さーん。もう一人の主催者を忘れて貰っては困りますよー」

 

人溜まりの中から、ウサギの耳がピコピコと出てきた

 

「主催者のもう一人、安部菜々ことウサミンでーす。キャハッ」

 

右手の親指と人差し指、中指を起て

人差し指と中指の間から右目を覗かせ

ウィンクをしてきた

 

『安部さん、本日は本当にありがとうございます。

 と言うかウサ耳は外さないのですね』

 

「だーかーらー、安部さんはダメですっってばー!!

 ななちゃんかウサミンでお願いしますって

 いつも言ってるじゃないですかー!!

 それとウサミンはウサミンですからウサ耳は外せません!!」

 

 

この女性は『安部菜々(あべなな)

この人もアイドルだ

346(みしろ)プロ所属で、346プロ敷地内のカフェでアルバイトもしている

安部さんは『永遠の17歳』と豪語している・・・が、

俺の【全知全能】の前では実年齢は隠せない

周りの人もその事に勘付いて居る人は少なくない

何より安部さん自身が墓穴を掘りまくっている

とある界隈ではそれを『ウサミン式多段階墓穴掘削法』と呼ばれていたりする

 

『まぁ、その話は置いておきましょう。

 安倍さんも、そして来て下さった全ての方へ、今日は本当にありがとうございます。

 本日は皆様の時間の許す限り、是非とも楽しんで行ってください。

 私も存分に楽しんで行きたいと思います。

 重ねて御礼申し上げます。本日は誠にありがとうございます』

 

送られる拍手と歓声

 

『楽しんで行きたいと思います』

 

存分に楽しめるわけ無いのに、作り笑顔でそんな事を言う

心を込めて言の葉を紡げない事が酷く歯痒い

 

「なーに難しい顔してんだよ」

 

いきなりそんな事を言われ背中を叩かれた

 

「え?」

 

俺は笑顔を崩したつもりは一切無い

が、それでも英雄は俺に指摘した

 

「難しい顔なんてしてないぞ?」

 

反論しておく

が、こいつには一体全体何が見えているのだろうか?

たまに鋭い所を突いてくる

 

「そうかー?まぁそう言う事にしておくか。

 ほれ、色んな人にまだまだ挨拶いっぱいしなきゃいけないだろ、

 さっさと行ってこいよ」

 

また背中を叩かれる

 

「一々叩くなよ」

 

「真っ先にお前の挨拶を入れてやったのも、

 マメなお前のためを思っての事なんだからな。

 大いに感謝しろよ」

 

はははっと笑う

 

「そうかい。じゃあ行ってくるよ」

 

「うーい、酒は飲むんじゃないぞー。成人式が終わってからだかんなー」

 

ひらひら手を振り俺より先にステージを降りる英雄

小さい気遣いや気回しの巧さがあいつの性格と相まって本当に腹が立つ

取り合えず心の中で感謝をしつつステージを降りるのだった

 

 

「ハロハロー、ナイトくーん。お誕生日オメデト~」

 

軽い感じの挨拶が聞こえた

 

「その声は、フレデリカか・・・どうしてここに?」

 

彼女は『宮本(みやもと)フレデリカ』

俺が通う短大の後輩

学校の昼食中に絡まれて以来、良く一緒に飯を食ったりする仲になった

鮮やかな金髪、綺麗なエメラルド色の瞳、日本人離れした整った容姿

フランス人とのハーフだそうだ

性格は妹の志希と似通っている所が多い

傍から見てるとテキトーな感じで無責任っぽい言動が多く、

トラブルメーカーになりがちなのだが、

その実、面倒見が良く、やるべき所はしっかりやる、

とメリハリはっきりした子だ

 

「フレちゃんはナイトくんのプロデューサーから招待状をいただいたのだった。

 そして本日は暇だったために来たのでしたー、ぱちぱちー」

 

パチパチと拍手をしている

 

「そうなのか。なんでアイツはフレデリカの存在を知ってるんだ?」

 

「フレちゃんは、学校のお友達にナイトくんの

 サインを頼まれる事が多いのだよ。

 んで、ある時に8723プロへ直接行った事があるのだよ~」

 

両腕を胸の前で組み、上を向いて本当に誇らしげな顔をしていた

 

「なんだそりゃ?初めて聞いたぞ?

 わざわざフレデリカに頼まずに俺に直接言いに来ればいいのに・・・

 そもそもフレデリカも8723まで行かないで俺に言えばそれで良いだろうに」

 

「ノンノ~ン、その時はナイトくんは仕事でお休みー。

 そしてそして~、ナイトくんは気付いて無いかもしれないけど~、

 学校にいる間ナイトくんはなかなか話しかけられるオーラをしてないよ~?」

 

驚愕の事実

 

「え?そうなの?」

 

「そうじゃなかったら学校でいつも一人になっていないとフレちゃんは思うな~」

 

確かに・・・俺は一人だと話し掛け辛いオーラを発してるのか・・・

まあ、変装もしてるしな

 

「だからフレちゃんは、ナイトくんはボッチなのかと思って話しかけたのだよ~」

 

やはりフレデリカは志希に似て優しいみたいだ

その行動と情報に感謝しよう

 

「ふむ・・・以後気を付けるよ」

 

「そのままで良いんじゃなーい?

 フレちゃんはナイトくんと一緒に居ると楽だし」

 

「楽とは?」

 

「フレちゃんもそこそこアイドルしてるからね~。

 男の子から色々話しかけられたりするわけなんだよ~。ワタシって可愛いし~。

 それが疲れちゃう事だって無くは無いからね~。

 ナイトくんの近くは静かで良い休憩所替わりなのだよ~」

 

なるほどね。アイドルならではの苦労ってやつだな

 

「じゃあ善処するって事にしておくよ」

 

「ウンウン♡」

 

フレデリカとばかり話していてはいろいろ時間が足りなくなりそうなので

いい具合に話を切り上げて他の人に挨拶に行くとしよう

 

「まったね~、次は仕事とかで会いたいね~」

 

「その時はよろしくな、今日は楽しんでってくれ」

 

「もっちろんそのつもりだよ~」

 

大きく手を振るフレデリカを尻目に移動を始めた

 

この時点で疑問を持つ人が居るだろうから答えておこう

疑問に持って無い人も居ると思うがそこはご愛敬って事で

でだ、何に答えるのかと言うと・・・

 

【全知全能】の癖に、フレデリカとの会話の中で

俺がわかっていない部分が多過ぎなのでは無いか?と言う事に関してだ

はっきり言って【全知全能】と言っても本当に何でも出来るし何でも知っている、と言う訳では無い

ある程度の年齢の時に色々試しているので、可能不可能は俺の中でしっかり分別できている

そして人の心は完璧に読める訳ではない

眼球の動き、発汗、心拍数、筋肉や身体の挙動により行動の先読みは可能

メンタリズムのように、統計学・心理学術的読心術は可能

しかし妖怪の「(さとり)」の様な、その人が現在考えているであろう物事全てを汲取る、

なんて芸当は【全知全能】をもってしても不可能だ

それ程に人間というのは奥が深く未知数である

ただ、【全知全能】でそれが出来ないことは俺の中の救いでもあるのは確かだ

間違いなくそんな事が出来ていたら、間違いなく俺は、今この世にいない・・・

 

 

閑話休題 8X―・・・・・・・・

 

 

さて、次はっと・・・

おっ、あの人は・・・

 

「ご無沙汰しております、武内さん」

 

武内瞬輔(たけうちしゅんすけ)

彼は346プロのプロデューサー

周りの人より頭2つ分以上飛び抜けた大柄な男性

目つきが非常に鋭く、彼を知らない人が見たら

きっととあるスジの職業の人だと勘違いしそうな風貌だ

むしろ何度か警察の方のお世話になっている、と噂を聞いた事がある

 

「どうも・・・ご無沙汰しております・・・一ノ瀬さん」

 

耳心地の良いバリトンボイスで返事をする武内さん

確か最後にあったのは年始の生放送番組の時以来か

約一年も経ってるのか・・・

なんだかんだアイドルになってからは年月の流れが早くて助かる

 

「この度は・・・おめでとうございます」

 

武内Pからお祝いの言葉が続いた

 

「ええ、ありがとうございます。これからも変わらぬお付き合い宜しくお願い致しますね。

 仕事上ライバルという形になってしまうかもですが、僕としてはそんなことは抜きで、

 色々な方々と仲良くして行きたいと思っていますので」

 

「いえ、こちらこそよろしくお願い致します」

 

「あ、居た居た~、お兄様~!!」

 

背中に急に負荷が掛かった

志希だ

 

「コラ、志希。他の人が居るのに迷惑だろ、何より失礼だ」

 

「ブ~、い~じゃんべっつに~」

 

口を尖らせ子供の用に拗ねる志希

 

「とりあえず俺の背中から降りなさい」

 

「ヤダ」

 

先程と打って変わって笑顔で答える

 

「良いから降りろ」

 

「や~だ~!!」

 

「あの・・・こちらの女性は、一ノ瀬さんの妹さん・・・

 なのですか・・・?」

 

武内Pが会話に入り込んで来た

とても通る声色なので兄妹は会話を止め武内Pに向き直る

 

「はい。そう言えば武内さんは会うのは初めてでしたね。

 ほら志希、挨拶しなさい」

 

「む~」

 

俺の背中の上で非常に面倒そうに唸りだす

 

「何をそんなにむくれてるんだよ」

 

「だってぇ・・・、知らない人ばっかりで

 さっきまで放って置かれてたから・・・」

 

とても幼稚な事を言い始めた

 

「お前、子供じゃ無いんだから・・・」

 

「お兄様に会うの久々なのっ!!」

 

言われてみれば、ずっとアメリカの学校行ってたわけだしそうなるのか

 

「わかったわかった、埋め合わせはするから、今はちゃんと挨拶してくれ」

 

「約束だよ!!嘘ついたら醤油1リットル飲ますからね」

 

「うわ、致死量」

 

「あの・・・」

 

武内さんが首に手を回し、困った顔をしながら口を開いた

 

「ああぁ、ごめんなさい!ほら、志希!!」

 

「はいは~い、志希ちゃんは~、一ノ瀬志希ちゃんだよ~

お兄様の妹君で~す。よろしく~」

 

結局、俺の背中に乗ったまま挨拶をしてしまった

 

「武内さん、本当に申し訳ないです。ちゃんと言って聞かせますので」

 

「いえ、問題ありません。初めまして、わたくし346プロダクションのプロデューサーで、

 武内瞬輔・・・と申します。今後、会う事もあると思いますので、お見知りおきを」

 

そう言って、志希に名刺を差し出した

 

「一ノ瀬・・・志希さんは、アイドルに興味はありませんか?」

 

そしてスカウトし始めた

 

「お、仕事熱心ですね」

 

「あ・・・申し訳ありません。つい・・・」

 

また首に手を当て、困り顔をし始めた

 

「いえいえ、これは志希や武内さん等の問題ですので、構いませんよ」

 

志希はと言うと

 

「ふーん、アイドルかぁ・・・考えた事もなかったなぁ・・・」

 

存外乗り気なのか、悩んでいる

 

「でもそれなら、お兄様と同じ所が良い!!」

 

「やはり・・・そうなりますよね・・・」

 

苦笑いをする武内さん

 

「まあ、今日明日で決められる事じゃないしゆっくり考えれば良い」

 

「そ~する~」

 

「武内さんもそんな顔しないでくださいよ

 自分で言うのもあれですが、今日はおめでたい日なんです。

 パーッと羽を伸ばしちゃってください」

 

「はい、では・・・そうさせていただきます」

 

「お兄様~、志希ちゃんお腹空いた~。あっちにピザがあるから行こ~」

 

俺もそろそろお腹が空いてきたし、志希と一緒にテーブルを回りますか

 

「それより早く背中から降りろ」

 

「やだ。お兄様のおんぶ最高です」

 

誰か助けて




ここまで読んで頂き誠にありがとうございました。

武内Pの名前は中の人とは別の漢字を使っております。
ご承知おきの程よろしくお願い致します。

頭の中でこうしたいと考えていても、
それを表現できない自分がひどく嫌になります。

回を増す毎に文章がどんどんどんどん酷いモノになっています。

その為、これ以降は最初から何度も読み直し、
加筆修正をしていきます。
次回投稿は日が空きますのでご承知おきください。

では失礼致します。

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