【全知全能】になった俺がアイドルになって人生を謳歌していく   作:PL.2G

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お久しぶりです。
色々ありました。
徐々に作品を投稿していこうと思います。

コチラは続きをどうしようかが思い出せ無いのですが、
途中まで仕上がって居た物を、一先ずそのままにするのは嫌でしたので、
投稿しようと思いました。

拙いものですがご承知おきください。

申し訳ございません。違うやつ投稿してました。
正式版投稿しなおします。
ご迷惑おかけします。




第10話 - 全と壱 ALL and One -

 Continuation──────────────────────────

 

 

「──っ!!??」

 

 五感への衝撃。

 深い眠りの最中、轟音で起こされたような身体が強張る感覚。

 焦りながら辺りを見渡す。

 ノイズ混じりの聞き馴染んだメロディーと澄んだ声が俺の耳に入ってくる。

 

「がんばれー♪」

 

 どこからか取り出した手のひらサイズの日本国旗を振り、画面内のメンバーに応援を送る楓さん。

 それを見てなお焦りは募る。

 楓さんの前に置かれたモニターの画面を見やると美嘉ちゃん、卯月ちゃん、未央ちゃん、凜ちゃん、そして志希の5名が、()()楽しそうに踊っていた。

 

「(既視感(デジャヴュ)? いや・・・これは、まさかっ!? しかし・・・)」

 

 胸の奥が妙にざわつきだす。

 

「騎士君・・・? 凄い汗」

 

 ふと気付くと、隣に居た楓さんは手に持ったハンカチで俺の顔を伝う汗を拭ってくれていた。

 

「あっ・・・あぁ、すみませ・・・ん?」

 

 顎から滴る程の汗をかいて居る中、胸の中のさらに奥の方、何かが燻っている様な妙な感覚に気付く。

 

「今、水を持ってきますね!」

 

 ステージ衣装のまま小走りで水を取りにその場を離れる楓さん。

 

「くっ・・・がぁ・・・胸が、いっ、づぅっ・・・」

 

 心臓を握り潰されるような感覚と鈍痛。

 呼吸をする事が困難になり始め、視界に映る世界が歪み、明滅する。

 鈍器で殴られたような激しい頭痛も襲ってきた。

 

「っはぁ・・・はぁ・・・っく・・・はぁ・・・」

 

 尚も汗は床に滴り落ち、足に力も入らず立っている事も困難になり、膝と手を突いてしまう。

 

「騎士君っ!?」

 

 楓さんが大声を出し駆け寄って来る。

 

「騎士君っ!! ねぇ、どうしたのっ!? 騎士君!! しっかりしてっ!」

 

「ぐっ・・・がっ・・・」

 

 楓さんが俺を心配してくれているのがわかるが、耳に届く声は酷く篭って居て何を言っているのか解り難い。

 体温が上昇を続けている。

 鼓動は段々と早くなる。

 震えが止まらない。

 胸が、胸の奥が痛む。

 頭痛がする。

 吐き気が酷い。

 

 そして俺の世界は真っ白になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────、──────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 眼を開く。

 楓さんは目の前で今にも泣き出しそうな顔をしていた。

 楓さんの頬に手を添えると、楓さんはその手を両手で包んで微笑んだ。

 

「騎士・・・君っ・・・」

 

 その顔を見て、俺の胸の奥に不思議な温かさを覚えた。

 その心の不思議を振り切り俺は立ち上がり、楓さんを見詰める。

 

「騎士・・・君?」

 

「楓さん。今から起こる事のすべてを、これからここに訪れる人たちに、事の全てが終わるそれまで、何も言わずにいてくれますか?」

 

 話し掛けながら腕を上げ、首を捻り、身体の調子が万全な事を確認する。

 

「騎士君、それはどういう・・・それに身体の方は「それに関しては()()()()お話ししますよ。必ず」・・・」

 

 楓さんの話を断ち切る。

 

「ふぅ・・・」と小さく息を吐く声が聞こえ頭を上げる。

 

 残り時間3分2秒

 

 じぃっと俺を見つめる楓さんが口を開く。

 

「騎士君が必ずと言うなら・・・【そのうち】、なのだとしても私はそれを信じましょう」

 

 クスっと小さく笑う楓さん。

 

「こんな事、僕が言うべきではないですが、話さないかもしれないですよ?」

 

 残り時間2分21秒

 

「私・・・今日まで騎士君とそこそこ一緒に過ごしてきました。その中で騎士君を疑った事は・・・うーん、あぁっ!! 有りましたね、一度」

 

 そう言って悪戯っぽく舌を出し笑う。

 そして数拍のち、「騎士君と初めて会った時・・・ですね♪」と楓さんはそこで会話を切ると何かを思い出したのか「ふふふ」と小さく笑った。

 

 残り時間1分33秒

 

「それに──

 

 そこで再度言葉を切り、すぅっと息を吸い、まるで覚悟を決めたようにその綺麗な瞳を俺に向け、

 

 ──騎士君の見た事も無い様なそんな真剣な瞳でお願いなんてされたら・・・私はそれを裏切るなんて、到底できっこありません」

 

 力強く、そう答えた。

 開いた口が塞がらない。

 楓さんの今の言葉、俺が今までの人生で感じた事のない新しい何かを含む、そんな言葉だった。

 しかし、その事実に喜んでいる暇は、今の俺には、最早無い。そんなのは後だ。

 

 残り時間24秒

 

「──ありがとう、ございます」

 

 お礼を言うと同時、楓さんは「まぁっ!?」と口を手で覆い、驚く素振りを見せる。

 だが、それに対し疑問を抱いている暇も、やはり無い。

 俺は数度大きく呼吸する。

 

「では、これから少し席をはずします、先程の約束、お願いしますね」

 

 楓さんの両目を覆い隠すように右手を翳す。

 

「へ? 騎士君、なに・・・を・・・え? いな、い?」

 

 

 

8X―・・・・・

 

 

 

 残り時間11秒

 

 何度も言うが残り時間は少ない。

 形振りに構っていられず、現在ライブが行われている会場の扉を開け放ち、そのまま()()()()()()()()ステージの上に向かう。

 踊っている5人の上をも飛び越し、後方へ着地する。

 歌い、踊り続ける5人はまだ俺の存在に気付いては居ない。

 だが、観客の何人かは、ステージの上に居る俺という存在に気付き始めていた。

 見上げると、照明とそれらが取り付けられているパイプが不自然にユラユラと揺れている。

 徐に水平に手を伸ばすとそこにポトリとボルトが落ちてきた。

 3秒後、ステージ上は()()()()()に悲惨な姿へと変わる。

 

 だが、俺がココに居る時点でそれは存在し得ない未来だ。

 

 持っていたボルトを親指で弾き頭上へ打ち上げる。

 そして親指と中指、二本の指の腹を重ね合わせる。

 

 ──パチンッ!! 

 

 音楽と声援が飛び交うこの騒がしい会場内に、異様な程澄んだその軽快なスナップ音は綺麗に会場内に響き渡っていった。

 そしてその音に応えるように会場中の照明が消え、様々な音を、人々の声を、暗闇が飲み込む。

 その一瞬で、静寂が会場中を支配した。

 

 しかし直ぐにその静寂は破られる事となる。

 

 

 

ガッシャーンッ!! 

 

 

 破壊が齎される騒音が響き渡る。直ぐに会場内はざわつき始め、更に混乱に陥れんとばかりに追い打ちの如く激しい破壊音が続く。

 

 俺は再度パチンと指を鳴らす。

 その音は、またも会場中に響き渡る。

 

 

 ──ステージ上にスポットライトが当てられた。

 そこには後向きに右手を掲げ悠然と立つ人影、そしてその足元には、両手で頭を覆い、何事かと蹲り、辺りをキョロキョロとする5人の姿。

 

 困惑しつつも観客はその姿を見つめてしまう。

 そして戸惑いと疑問は徐々に膨れ上がる。

 

『あれはいったい誰なのか?』

 

『騒音の原因は一体何なのか?』

 

『一体全体何が起こっているのか?』

 

 そんな疑問も束の間、スピーカーはノイズを発し始め、そして観客のどよめきを切り裂いた。

 

「──All spectators!! Welcome to the live stage with 346 and 8723’s Knights!!!」

 

 声がスピーカーから流れる。

 ステージの上、一人立つ男はキレのあるターンをし、観客達に向き直る。

 

 客席の所々で、ポツリ、ポツリと『なんだなんだ?』『今、8723って』『騎士だ・・・』『ナイト様・・・?』『騎士様ぁ♡』『え? どう言う事?』と驚愕と疑問の声が上がり始めた。

 

 

 ──俺は左手を掲げ、もう一度指を鳴らす。

 その音に応じてスポットは切り替わりステージ全体を照らし、次いでスピーカーから曲が流れ始める。

 

 ──TOKIMEKIエスカレート──

 

「お兄・・・様・・・?」

 

「騎士さん? なんで・・・」

 

「みんな大丈夫?」

 

「一体・・・なにが?」

 

「説明は・・・まぁ、追々って事で。今は、一先ずみんなが踊れるかどうかを聞きたい。どうかな? いけるかい?」

 

 俺は5人の前に歩み出て少し左の位置取りで一人ポーズを取る。しばしの沈黙の後、隣に来た美嘉ちゃんは俺と対照的なポーズを取り始め「「「「「はいっ」」」」」と5つの返事が周りから聞こえた。

 

「よし。良い返事だ」

 

 俺はみんなを見ず、頷いた。

 

『TOKIMEKIどこまでもエスカレート~♪』

 

 

 ~♪ 

 

 

 こうして、俺と美嘉ちゃんで歌い上げ、無事()()()()()ステージは続いて行くのだった。

 

 

 

 8X―・・・・・・・・

 

 

 

「「「おつかれさまでしたーっ!!!!」」」

 

 出演者達、スタッフ、関係者ほぼ全員で舞台袖に集まり、円陣を組みながらの挨拶。

 

「いやぁ・・・無事に終わって良かったぁ・・・」

 

 俺は飲み物片手に安堵の息を吐く。

 

「しかし・・・TOKIMEKIのときのアレは・・・」

 

 スタッフが俺の横でそんな事を言い始めていた。

 正直どうしようか悩んでいたのだが、色々と面倒なので【全知全能(このちから)】に頼る事にする。

 俺は指をパチンと鳴らした。

 

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 ──────────────────────────

 

「いや~流石!!! やっぱり騎士さんのパフォーマンスはレベルが段違いですねっ!!」

 

 某和食店。

 俺の横でスタッフが興奮気味に酒を呷っている。

 今、初日の打ち上げ会場である。

 もう一度言おう、初日の打ち上げだ。

 

「いえいえ、他の出演者達とそう大して変わりませんよ」

 

「それは皮肉ですか?」

 

 賺さず横槍が飛んで来た。犯人は楓さんである。

 

「そんな訳無いじゃないですか」

 

「騎士君ならそう言うでしょうね。ただ、騎士君は自覚して居ないだけですけどパフォーマンスのレベルは段違いなんて言葉では生易しい位に常軌を逸していますからね♪」

 

「アッハイ」

 

 なんかゴゴゴゴゴッって文字が楓さんの後ろに見えた気がした。

 俺はそのまま見なかったことにしてテーブルを挟んで向かい側、志希に声をかける。

 

「志希お疲れ様。どうだった、初ライブは?」

 

「う~ん・・・。正直、お兄様よりぜ~んぜん萌えない・・・いや、燃えないんだけど~・・・でもでもっ、思ったよりいい感じ~だったかなぁって♪ お兄様お兄様♡私の出来は何点くらい? 教えろコノコノ~♪」

 

 ふんふんと鼻を鳴らしながら興奮気味に俺に問うてくる志希。

 大分楽しかったようだ。

 

「ん~、そうだなぁ・・・。厳しめに言って、五不可量転点ぐらいにしておくかな。トレーナーさんにも甘やかすなって言われてたし、これ以上は志希が調子に乗っちゃってみんなに迷惑かけかねないからな」

 

「うわ~っ!! お兄様超キビシ~ッ!! もっと甘やかさないと、もっと周りに迷惑かけちゃうぞ~!!」

 

 志希はフンっとそっぽを向く。

 

「おいおい、勘弁してくれよ」

 

 俺は肩を落とす。

 

 楓「(シスコンですね・・・)」

 

 瑞樹「(シスコンね・・・)」

 

 幸子「(今日のボクもとびっきりカワイかったですね~♪ ンフフフ~♪)」

 

 卯月「未央ちゃん・・・ごふかりょうてんてん・・・って何ですか? 日本語・・・ですか・・・?」

 

 未央「さ・・・さぁ・・・?」

 

 卯月「凜ちゃん、わかりますか?」

 

 凜「不可量転って、たしか・・・物凄い単位、だった気がしたけど・・・」

 

 ありす「不可量転・・・10の2326148992623602777581662355490603008*1乗だそうですよ。騎士さんって・・・世に言う所のシスコンってヤツだったんですね・・・幻滅です」

 

 まゆ「あらぁ? ありすちゃん、そこがまた騎士様の可愛らしぃ所なんじゃないですかぁ。ギャップ・・・あぁっ!!! まゆもまゆも甘やかして貰いたい!! なぜ騎士様の隣の席は空いていないんですかっ!!!」

 

 幸子「みなさん何の話をしてるんですか? 宇宙一カワイイ幸子ちゃんの話でしたら、絶賛私が受け付けますよー」

 

 美穂「騎士さんのお話をしてたんですよ。でもやっぱり凄かったなぁ・・・どうしたらあんな風に堂々としていられるんでしょう?」

 

 茜「やはり、プロデューサーが言っていたアイドル力が関係しているんじゃないですかぁ!?」

 

 美嘉「しかし・・・」

 

 俺の対面に座ったアイドルたちは茫然と俺を見つめていた。

 

 まゆ「騎士さんってすっごい食欲なんですねー♡今度、まゆも何か作って来ますので是非食べてくださいな」

 

 素晴らしい提案がまゆちゃんから聞こえたのでそちらを見る。

 

「そう言うのは喜んで受け取るよ、まゆちゃん。あぁ、タダで貰うのもなんだし、俺が出来る範囲で何かお礼はするよ。何でも言ってね」

 

 まゆ「はぅううん♡」ズッキュウゥゥゥゥゥゥン‼‼‼‼

 

 まゆちゃんは胸を押さえドサリと大袈裟に倒れ込んだ。

 べつに病気ではないようだ。どうしたんだろうか・・・正直レッスンの時にも思ったけど、この子はちょっと不思議な子だからそこまで心配する必要は無さそうだ。と、勝手に思っておこう。

 

 まゆ「まゆは・・・まゆは・・・幸せ・・・者・・・です・・・ガクッ」

 

「騎士君、騎士君」

 

 楓さんが耳打ちをしてきた。

 

「自覚無しでそんなこと言い続けてるとそのうち大変な事になりますよって忠告しておきます」

 

「へ?」

 

 少し不機嫌そうにお酒を持って別の席に移動してしまった。

 まぁ、機嫌が悪くなるのはよくある事なので、俺は今この幸せの時間(お食事タイム)を堪能するとしましょう。

 

 

 8X―・・・・・・・・

 

*1
2澗3261溝4899穣2623予6027垓7758京1662兆3554億9060万3008




これから先、何とかコツコツがんばってみます。

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