【全知全能】になった俺がアイドルになって人生を謳歌していく   作:PL.2G

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なんだかんだ3話まで来ました。
でもやっぱり話のテンポは遅いです。

※この作品に出てくる小説・ドラマはすべてフィクションです。



第3話 - 英雄と騎士 Hero & Knight -

 さて、宴も酣とは言いますが俺のバースデーから早数ヵ月・・・

 俺の正式な成人式や、志希の誕生日も終え、

 今日はなんてことない日常だ。

 

 

「俺は、あの日、オーストラリアで君に助けられた・・・ハイイロペリカンなんだっ!!」

 

 

 

「はいっカットぅ!!」

 

 監督の独特なカットがセット内に響き渡る。

 今日は来季から始まる、ベストセラー小説が原作の、

『鳥合えず恋でもしませんか?』のドラマ撮影収録。

 ありがたい事に主役の一人である、

『ハイイロペリカン』役をやらせていただく事となった。

 

 初めてこの小説タイトルを見た時は、

「なんじゃこりゃ?」だったのだが、

 読み出して2章位までは【全知全能】をもってしても、

 先読み出来なかった程度に面白い作品だ。

 基よりこの著者は【全知全能】の予想外を書く事が出来るので、

 正直、神の領域に達して居るんではなかろうかと思えてくる程だ。

 

 

 閑話休題  8X―・・・・・・・・

 

 

 メガホンで手をコンコン叩きながら一つの人影がこちらに近づいて来た。

 

「騎士ちゃぁん、今回も最強に最高だったわぁん」

 

 監督が話しかけてきた。

 

「ありがとうございます。また、監督のお世話になれてとても光栄に思っていますよ」

 

「やぁん、何言ってんのぉ。嬉しい事言ってくれるじゃなぁい。

 でもぉ、騎士ちゃんならどんな役だって熟しちゃうんだからぁ、

 ドラマに映画に引く手数多なんでしょうよぉ?」

 

 俺の胸に人差し指をグリグリしながら監督はそう言ってきた。

 

「いやいや、僕に映画とかドラマはあまり廻って来ないって事は御存知でしょ?」

 

「え?御存知で無いわよっ。初めて聞いたわよっ、何!?隠し事!?ヒドイっ!!」

 

 何所からともなく取り出したハンカチを口に咥えヨヨヨと声を出しながら泣き始める。ちなみにそろそろ突っ込まれそうだから答えておくが、監督は男性だ。

 角刈りに大きめの黒いサングラスを掻け、厚めの唇に特徴のある角張った顔、

 Yシャツに肩からパーカーの袖を下げ首もと結んだ形で羽織っている。

 よくある撮影監督のイメージ像そのままの恰好をした男性だ。

 

「隠してるつもりは無かったんですが・・・英雄(ひでお)の奴から聞いてないんですねか?」

 

「あら、英雄(えいゆう)ちゃん絡みなの??」

 

「いえ、完全に僕の我儘ですね。映画やドラマの撮影って間違いなく

 確定で確実に詰め込まれるじゃ無いですか?

 撮り終わるまではそれこそほとんど毎日のように現場に詰め寄って、って感じで」

 

「ワタシの仕事をそんな風に思っていたのね・・・もう、ダメね・・・ワタシたち・・・」

 

 いつの間にか足元にはびりびりに引き裂かれた先程のハンカチが・・・

 

「何、意味解らない事仰ってるんですか?最後まで話は聞いてください」

 

「んもぅ、冗談よジョ・ウ・ダ・ン」

 

 バチコンッと音がしそうな程の大げさなウィンクをしてきた。

 

「で、「あらスルー?」そんな感じで詰め込みまくりで働くのは正直疲れちゃうので・・・」

 

 疲れたと言っても、肉体的に全然問題は無く、

【全知全能】である故に、身体もそれ相応のものを持っているのだ。

 あらゆる事を行えるのだから当然と言えば当然だろう。

 

「英雄にお願いして、言い方は悪いですが、受ける仕事は厳選して貰ってるんです。

 そして僕は英雄に言われ今ここに居るわけです」

 

「あらぁ、天下の8723(はなぶさ)プロの御眼鏡に適ってるって訳ねぇん。

 いやぁん嬉しいわぁ」

 

 監督は頬に手を当てクネクネと身を捩り始めた。

 

「と、そう言った訳ですので、これからもご指導ご鞭撻の程、宜しくお願い致します」

 

 深く頭を下げる。

 

「こちらこそよぉん。全知全能の偶像さまっと、これは嫌いだったのよね。

 ごめんなさいね、無神経で・・・」

 

「いえ、別に大丈夫ですよ。折角ファンの方達に名付けて頂いて居るんです、

 そんな人達の前で文句なんて言えませんよ。

 と言っても、監督には既に知れているので説得力は無いですけどね・・・」

 

 はぁ、とため息を一つ吐き少し肩を落とす。

 トップアイドルとして、俺はファンの憧れを崩す事はしてはいけないし出来ない。

 だから簡単に愚痴や弱音は吐かない、そう心に決め、今アイドルを続けているのだが、

 そんな俺にも若い頃があった訳で、その時この監督に胸の内の語れるもののみを語った事があるのだ。

 

 そんな経緯もあり、今では監督は俺の一つの心の拠り所となっている。

 

「何言ってるの、騎士ちゃん。ここではいくらでも弱音愚痴悪口暴言バッチコイよ!!

 みんな仕事に集中しているから何にも聞こえていないs「なんにも聞えませーん」

 ウフフッ、ワタシみたいな変なおっさんの話なんて誰も耳を傾けないし、

 口は滅茶苦茶に硬いしね、それにワタシだけが知ってる騎士ちゃん・・・

 あぁ甘美・・・」ウットリ

 

 なぜ俺の周りにはすぐにトリップする人ばかりなのだろう・・・

 これが類は友を呼ぶってやつなのか・・・

 そう考えたら少し世界が楽しくなってきた。

 

「監督は本当に素晴らしい方だと思っています。最初に光栄だと言ったのも本心です。

 これからも末永く、一緒に仕事が出来る事を楽しみに、そして誇りに思いますよ」

 

「てやんでぇバーロォー、前が霞んで良く見えねぇっ!!

 こんなおっさん泣かせて何が楽しいんでぃ!!

 おうオメー等さっさと仕事終わらせろ!!打ち上げ行くぞ打ち上げ!!」

 

 急に口調が男らしくなる、これもこの人の個性だ。

 

「監督~、今日撮影初日ですよ~?」

 

 照明を弄っていたスタッフが言った。

 

「バカヤロゥ、空気を読め空気を!!」

 

 投げたメガホンがスタッフに当たる。

 

「監督~、危ないっスよ~」

 

「はははっ」

 

 心から笑っている訳では無いので、

 監督たちに申し訳なくなってくる。

 だけどこの空気は嫌いじゃない、寧ろ好きだった。

 大分昔に感じていた温かな何かを思い出せそうで、

 考えるのが大嫌いだった感情を欠落させる前のあの頃の何かを・・・

 

 

 8X―・・・・・・・・

 

 

「そう言えば志希が日本に帰ってくるのって今日かぁ」

 

 盛大な独り言をかます。

 本格的にアメリカの学校に飽きたらしく、日本に戻りたいと言い出した。

 もともと、日本では学べること少ないからアメリカで勉強してくるって

 飛び出してるのに・・・まぁ、往々にして天才って奴はそう言うものなのだろう。

 

 

 8X―・・・・・・・・

 

 

 現在、自分の車で次の現場まで移動中だ。

 ちなみに英雄は事務所から動く事は非常に少ない。

 何故かと言うと社長兼プロデューサー兼事務員だからだ。

 意味わかんないって?

 

 8723プロはマジで英雄と俺のマンツーマンなプロダクションなのだ。

 今やトッププロダクションで、トップ企業と言われてもおかしくなく、

 総資本金は軽く億を超え、いつでも新しい仕事が選り取り見取り。

 にも拘らず、社員数はたったの2名。

 

 英雄と一ノ瀬騎士

 

 これだけである。

 

 英雄には一度、さっさと人を雇えと言ったんだが、

 

『丁度雇おうと思った矢先に横からそう言う事言われるとホントやる気無くすんだよねー』

 

 とか、小学生みたいなこと言い出しやがったあの野郎・・・

 それから早4年も経つのだが、未だに意志は固いらしく雇おうとしない。

 またこっちがフォローして先の二の舞になるのもアホらしいので、

 ほって置く事にしている。どうせ、疲れるのは英雄だけなのだ。

 

 ♪~♪~♪~(着信音)

 ピッ

 

「はいもしもし」

 

『一ノ瀬騎士さんですか~』

 

「今日日、電話帳に登録されてる番号にかけて間違えるってことは無いだろう」

 

『冷たい返しだな』

 

「どうした?今運転中だからなるべく早く要件を済ませるか俺が掛け直すまで待つか1秒で選べ」

 

 噂をすれば英雄だ。

 ちなみにハンズフリーで電話をしている。

 

『ちょっt』

 

 ツーッツーッツー・・・

 

 通話は終了した。

 どうせあと数分で着くのだ、到着してから電話しても問題無かろう。

 

 

 8X―・・・・・・・・

 

 

『はい・・・もしもし・・・』

 

「なぁ、なんでコール音が俺の声なんだよ」

 

 

 コール音参考

『もう少し待っててくれ、今呼び出してるから(騎士爽やかヴォイス)』

 

 

『俺が元気ないことはスルーか?』

 

「元気ないのか?じゃあ明日は地球が滅ぶな」

 

『いきなり地球規模!?』

 

「んで要件は?」

 

『 』

 

「この後仕事なの知ってるだろう、遊んでる場合じゃないんだよ」

 

『あぁ、件のCM撮影中止ね。先方にはもう了承貰ってるから』

 

「は?」

 

『だから、今から向かおうとしてるお仕事はキャンセルです。さっさと事務所に帰って来ましょう』

 

「おい、どう言うことだ?事と場合によっちゃ只じゃおかないけど」

 

『おぉおぉ、怖い怖い。心配スンナ、先方は快くキャンセルOKしてくれてるよ』

 

「お前なぁ・・・どうせ仕事を追加で増やしたとか、そんな約束勝手にしたんだろ」

 

 英雄はちょいちょい自分の都合で仕事のキャンセルをしたりする。

 社会人的には絶対やってはいけない事だと思っているので、

 非常に好ましくないのだが、仕事上こいつは上司で社長な為、

 言う事を聞かねばならない、それにしても腹が立つものは立つのだ。

 

『いや、騎士さま一日自由券』

 

「よし、○そう。今から速攻でそっち帰るから文字通り首を洗って待ってろ」

 

『はいよー』

 

 

 ピッ・・・

 

 

「はぁ」

 

 通話を終わらせ軽く溜め息を吐く。

 英雄のマイペースに付き合うのは本当に疲れる・・・

 今も昔も考える事が嫌いだが、今は疲れる事も嫌いだ。

 先程も言ったが体力的にでは無い、精神的に、だ・・・

 実際、何の変化も無い当たり前の日常の方が、

 何においても相当に本当に虫唾が走るくらい大っっっっっ嫌いなのだが、

 それは置いておいて、次点でって感じだ。

 

 体力的に一切疲れていないのに、

 良く解らん脱力感と気怠さが身体に圧し掛かるこの感じが本当に嫌いだ。

 

 良く解らんなら楽しい事なんじゃないのかって?

 トマトは好きだけどトマトジュースは嫌い、みたいなそんな感じのヤツだ。

 察してくださいお願いします。

 

 さて、速攻帰るって言ったし、

 安全運転法定速度ぴったりで飛ばして帰りますか。

 

 今回はどんな問題が事務所で待ってるんだか・・・

 少し落胆しつつも、ちょっぴり先の展開にワクワクしているのは事実だった。

 




ここまで読んで頂き誠にありがとうございました。

何度読み返してみても、やはり稚拙なのは治りませんね。
でも、一意専心で頑張っていく所存にございますので
もうしばらくのお付き合いを宜しくお願い致します。

追記分:)本作中に出てくる『鳥合えず恋でもしませんか?』は
適当に思いついたタイトルですので、気にしないでください。
実際に存在しません。
着メロの表現を変更致しました。
配慮が足らずに申し訳ありませんでした。

※※全体的に文章を修正致しました。:2017/01/26

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