【凍結】Fate/Grand Order 特異点X 東方戦国魔城 日本 〜戦国の三英傑〜   作:餌屋

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以前から歯車が足りない、ページが足りない、ぼんち揚げが足りないと言っていましたが。
ついにウチのカルデア、QPの底がつきました。

深刻な財政難。

明日木曜は宝物庫荒らしに明け暮れることになりそうです。


第3節 反信長同盟

 

 

 

 

更に二時間ほど歩き進むと、次第に山間の小さな村が見えてきた。

いや村ではない、殆どが木造ではあるがもはや要塞並みの設備だった。

 

「あそこが本拠地になります…廃村を改装して再利用しました…」

 

先導してくれる武将の『彼女』がそう教えてくれる。

なるほど、実際の距離的にはそこまでではないが、江戸と山を一個挟んだ場所だ。

中々敵もこちらまで偵察も来ることはないのだろう。

 

本拠地に近づくと、思った以上に鎧姿の兵達や逃げ延びてきたのか、女性や子供たちの姿があった。

 

「…なんか、すごく賑わっていますね」

「まあ…暗いばかりでは息苦しいと秀吉が率先して盛り上げているので…」

「あーサルは相変わらずのようじゃの、『龍』よ」

 

ノッブがそう言うと、『彼女』は驚いたのかビクッと身を強張らせ、ジト目でノッブを見た。

 

「っ…やはり気づいていましたか…魔王」

「そりゃあの宝具を見れば誰だって気づくじゃろ。現に藤丸も気づいておったろ?」

「まあ、な。『小豆長光』を持つ武将って言えば一人しか思いつかないし」

「むっ…魔術師さんまで…」

「え、先輩。彼女の真名をご存じなんですか?」

 

『彼女』が俺にまでジト目を向けだす。

何か悪い事してしまった気分だ。解せない。

俺は気を取り直して、マシュの質問に首を縦に振って答える。

 

「ああ、名刀『小豆長光』の所有者として有名で、クリーム色の馬に乗る武将と言えば…越後の龍、上杉謙信くらいだろ」

 

その言葉に、ノッブを除いた他のメンバーが驚きの声を上げる。

 

『僕もまさかとは思ってたけど、本当にあの上杉謙信なのか!?女性というのにも驚いたがまさかこんな…その…可愛い女の子だとは!』

「ドクター?」

 

上手い言葉が見つからなかったんだろうな…

 

「歴史家達が知れば発狂物だろうな…」

「でも男として伝わったけど実は女って英雄、ホント良く多いですね~」

「ホントですね~」

「沖田さんと頼光さんは他の方の事言えないと思うのですが…」

 

騎士王しかりローマ皇帝しかり伝説の海賊船長しかり…

実はソロモンあんななりして女でしたとか言われてももう驚かないな。

 

 

 

いやそれは驚くか。

 

 

 

「まあ…どうせお話しするつもりでしたし…もう良いです」

 

上杉謙信はそう言うとそっぽを向いてしまった。

何だ、ちょっと可愛いな。なんで怒ってるのか全く分からないが。

 

「そ、そういえば上杉公」

「謙信で良いです」

「へ?」

「呼び捨てで構いません。敬語もいりません。この身はサーヴァント…別にあなたが私の配下という訳ではないですし…その代り私も呼び捨てにさせてもらいます…」

「ああ、了解。それで謙信、君は彼女が織田信長だと分かるのか?」

「ええ…今の私は彼女と直接面識がある訳ではありませんが…何となく雰囲気で分かりました」

「なるほど…それにしては友好的に思えるんだけど」

「まあ…私たちが生きていた頃は対立もしましたし、江戸を襲撃したのも『織田信長』ですが…同盟の兵を守ってくださったのですから私に信用しない理由はもはやありません…」

「そうか、ありがとう」

「ですが」

「ん?」

「他の武将達はどうか保証しかねます」

 

そんな事言われると怖いんだけど。

ノッブとか冷や汗ダラダラだし。

俺達大丈夫かなホントに?

 

「着きました。どうぞお入りください」

 

そうしている内に俺達は村の中でも特に大きな屋敷にたどり着いた。

謙信に導かれるままに中に入ると、広間に一人の青年が座っていた。

何となく後ろから光が差し込んで輝いているように見える。

 

「おお!起こしになったか!ささ、カルデアの方々どうぞ座りなされ!」

「失礼します。あなたが…」

「おお!サルではないか!!」

 

と、俺が話を聞こうとしたがノッブが横から興奮気味に話しだす。

ノッブに『サル』と呼ばれた青年…豊臣秀吉はノッブを見て呆然とした顔を見せる。

 

「…まさか、ノブナガ様?」

「おお!儂の事がわかるようじゃの!久しいなあ!」

「ノ…ノブナガ様ですな確かに!分かりますぞ!何を隠そう今の儂はあなたに仕えた記憶があるのです!」

 

 

***

 

 

「なるほど、今のあなたには二つの可能性に分かれた生前の記憶が両方ともあるのですね」

「そうじゃ。この時代の儂は、現江戸城主である信長様に、別の時代の儂は今目の前にいるノブナガ様にお仕えした。その両方を知っております」

 

ようやく場が落ち着き、ゆっくり豊臣秀吉から話を聞いてみた。

 

「儂が知っている限りこの時代の信長様は、何者かによって聖杯の力で召喚され人理崩壊の手助けをしているようじゃ」

「それでは魔王信長はただ操られているだけと?」

「そこまでは分からん。忍びが集めてきた噂を聞くに、どうやら信長様には人理崩壊以外に何やら目的があるようじゃが…」

「目的?」

「うむ、とにかく放っておくわけにはいかん。例え操られていたとしても今の信長様は無差別に悪意を振りまく魔王。倒さねば人理崩壊はもはや免れぬ」

「そうですね」

「儂や皆様を連れてきた上杉殿は信長様が召喚したサーヴァント達へのカウンターとして聖杯に召喚されましてな。他にも三騎、同盟に参加してくれたサーヴァントがおります」

 

なるほど、同盟側は合計五騎か。

俺達合わせても十騎。敵に聖杯があるとしても十分な戦力だろう。

 

「ところでカルデアの事や人理崩壊の事はどこで?」

「む…まあ、儂にも優秀な情報源がいると言っておきましょう」

 

…はぐらかされたか。

少し気になるが、まあ今はそこまで重要じゃないだろう。

 

「…俺達はここまでに敵のサーヴァント・アサシン望月千代女と交戦しました。更に魔王信長がサーヴァントとして向こうにいるとすると…他に真名がわかっている相手は?」

「一応全員。とはいえ信長様の事じゃ、隠し玉があるやも知れぬが」

 

全員、と来たか。

 

「…既にこの一週間で部隊同士で何度も戦闘が起きていましてな。先日も大きな衝突があってこちらの兵力が大きく下がってしまった。もう一刻の猶予もないのです」

「なるほど…それで、俺達に何を求めるんです?」

「…ぜひ、同盟に協力していただきたい。一緒に信長様を倒し、人理崩壊を食い止めましょう」

 

ま、そうだろうな。

こちらとしても受けないという選択肢はない。

 

しかし…

 

「先輩、ここは協力する他無いと思われます」

「ええ、幾ら私たちでも大軍を相手に戦うのは危険と思います」

 

マシュと沖田が誘いを受けるよう促す。

いや、分かるんだ。だがどうしても一つだけ懸念事項がある。

 

「…藤丸」

 

先生が、念話をつかって俺に話かけてくる。

 

「お前の考えていることは何となく想像がつく。私も少し違和感があるからな。だがここは受けておく方が良い」

 

やはり先生もそうだったか。

うん。証拠はない。言ってしまえば勘だけだ。

 

だが、恐らく秀吉は何か隠している。いや、何か知っていて言おうとしない。

 

それだけがどうしても不安なのだ。

 

「…ま、ええじゃろ藤丸。儂も協力に賛成じゃ」

「ノッブ…分かった。豊臣殿、人類保証機関カルデア所属、藤丸翔太以下サーヴァント5名。反信長同盟と協力体制を」

 

 

 

 

「ちょ~っと待った」

 

 

 

と、俺が申し出を受けようとするがそれを遮る声が聞こえてくる。

 

ふすまを開け現れたのは緑色の甲冑に身を包み、何丁もの火縄銃を腰に下げる飄々とした男。

そして黒の甲冑に槍を携えた大柄の男だった。

 

「秀吉~そういう大事な話は他の幹部にも話を通してからじゃなきゃダメだろ」

「孫市…帰ってきておったのか。忠勝殿も」

「孫市に忠勝…って、まさか雑賀孫市に本田忠勝!?」

「うおい!?何でお主らがここにおるんじゃ!?」

 

これには流石のノッブも驚いたようだ。

戦国時代の傭兵団『雑賀衆』頭領、雑賀孫市は実在するのか怪しまれた事もある人物だし、本田忠勝に至っては…

 

『二人からサーヴァント反応が出ているが…バカな!戦国最強と謳われた本田忠勝は史実じゃまだ生存しているはずだ!』

「まさか…」

 

と、俺が一つの可能性にたどり着くと、察した本田忠勝が口を開く。

 

「その通りだ、人類最後のマスターよ。お主らが助けた平助達は儂が江戸城から抜け出す手助けをした者達だ」

「じゃあ、平助さんが言っていた武将の方というのは…」

「儂だ。しかし致命傷を負ってな。逃げ切った後息絶えてしもうたが…何の因果かサーヴァントとして即召喚されたのだ」

「そうでしたか…」

 

特異点は何でもありかよ。

そんな事を少し思ってしまう。

 

「ところで孫市、お主は藤丸殿たちとの協力関係に反対だと?」

「当たり前よ!確かにお前さんから教えてもらった事や聖杯からの知識で事情は理解してるぜ?だからといってこいつらをそのまま信じる訳にゃあいかねえなあ。それに…そいつらの仲間には『織田信長』がいるんだぜ?」

 

孫市はこちらに喧嘩を売るように…いや実際売る気満々の目と口調で口元をニヤッとさせながら俺達を睨み付ける。

控えめに表現しても不快な態度だ。

しかし…弱ったな。予想はしていたもののこんな所でノッブの素性に突っ込みが入るとは。

 

「お主も分かっておるじゃろ!ノブナガ様は儂らの敵である信長様と全くの…」

「別側面だって言うんだろ?だがそれでも『俺が生前敵対した』信長には違いねえさ」

「そんな事を言うたら儂だって同じじゃろ!!」

「お前さんはもう認めたから良いんだよ。とにかく!俺は誇り高い雑賀衆頭領!仕事相手は自分で判断したいんでねえ」

「むむむ…忠勝殿も反対なのですかな?」

「ああ。理屈では信長と目の前にいるノブナガは別人と分かっていても…感情はどうにもならん。信に値する確証が欲しい」

「なら…どうすれば信じてもらえます?」

 

俺はこちらも挑戦的な目で二人に問う。

それを見た孫市は更に口元をニヤッとさせた。

 

 

 

「そりゃあこういう時はいっちょ喧嘩で分かりあうしかねーだろ」

 

 

 

 

 

 







作者「ピックアップ2の告知が来たぞ~!」
おき太「でも去年の年末年始の事を考えると極悪ピックアップ来そうですよね」
ノッブ「しかも最終決戦イベントでガチャ来ない訳ないじゃろ?お財布に良くないのう」
作者「吐きそう。コアトルも欲しいしゴルゴーンも欲しいし、でもピックアップで弓ギルやら7章ゲストが出たらそっちも欲しいし」
ちゃりん娘「皆さんは計画的にガチャ引きましょうね」
作者「石の貯蔵は十分か」
ちゃりん娘(この人また絶対課金するな…)


第3節でした。
外見に関して、秀吉はコハエースでも登場した豊臣秀吉より少し大人になった感じのイメージ。
雑賀孫市は戦国大戦の声優:杉田智和verまんまのイメージ。
本田忠勝は外見だけですが、大河ドラマ真田丸で藤岡弘、氏が演じられた本田忠勝を想像していただければ。

ちなみに前回登場の望月千代女は犬夜叉の珊瑚がポニテ姿で巫女服着ているイメージです。

若干無理くり感は否めない。
絵が描ければなあ…うまい事このイメージを伝えられると思うんですが。

ちなみにイメージボイスも考えてはいます。


次回は戦闘回。お楽しみに。
感想評価お待ちしております。

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