VividStrikeScarlet!   作:tubaki7

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番外編など無かった(キリッ

というか18巻読んだですよ。涙が、涙が溢れるですよ。ほんとね、みんないい子達ですよ。

 という訳でヴィヴィオ対ミウラ開幕です!


♯20

 あの人との出会いは、少し変わっていて。まだ幼くて、何もわからずにただ泣いていた時。どうしようもなく不安でただ泣く事しかできなかった私の手を握ってくれたのが全ての始まりだった。

 

 きっかけは、ホントに偶然で。偶々見かけた砂浜での光景の壮絶さに、目が離せなかった。別に格闘技に興味があったわけじゃないけど、それでもその人が作り出す軌跡がなんだかかっこよくて、綺麗で。そこで声をかけてくれたのが、始まりだった。

 

  出逢った場所も時間も違う。過ごした時間も何もかもがバラバラ。でも、胸に秘めた想いは同じ。――――憧れに、追いつきたい。そしていつか、追い越して・・・。今、二人の少女がついに激突する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

「え!?アスカ居ないの!?」

 

 ルーテシアの隣に座るシャンテがそう叫んだ。ヴィクターとの試合後、シャマルの治癒によりある程度まで回復したシャンテはヴィヴィオが試合をするということで医務室を出て観客席に来ているのだが、アスカがいないということを聞いて思わず立ち上がってしまう。

 

「落ち着きなさいシャンテ」

「そーだぞ、それにおまえまだ本調子じゃないんだからそんなオーバーリアクションすっと・・・・って、言わんこっちゃない」

 

 声にならない声で悶えるシャンテを介抱するように座らせるセイン。

 

「どっちを応援したらいいかわからない、だってさ」

「~、ったくそんな理由で観ないとか・・・」

「まあ先輩も二人の事大好きですし・・・私もアインハルトさんと対戦が決まった時はちょっと複雑でしたから」

 

 コロナがリングにあがるヴィヴィオを見つめながら言う。同門で、先輩後輩で、友人で。そんな関係であってもいつかは戦う時が来る。同じ大会に出場しているのであれば避けては通れない道だ。でも、と思うのもまた本音。

 

(ま、アイツからしてみればそれ以外の事情もあるけど・・・)

 

 二人は、どう思うかしらね。

 

(先輩・・・・やっぱり観に来てないのかな)

 

 観客席を軽く見渡してみても特徴的な赤い髪は見当たらない。少しの寂しさを覚えつつ、ヴィヴィオは深呼吸をする。観てくれていないのは寂しいし不安もある。でも、それと同じくらい今これからに胸が高鳴るのもわかる。選考会の時から気になっていたミウラとこんなにも早く対戦する機会に恵まれた。それが嬉しくて、楽しみで。一方ミウラはというとおっかなびっくりでリングに上がっている。

 

「ミウラ、油断するなよ!」

「は、はいっ!」

 

 セコンドであるザフィーラの激にビクッとして返すミウラ。ハイランダーの選手相手に勝利をもぎ取ったというのにいまだ慣れないこの観衆はミウラにとって少しやりずらいのかもしれない。元々大人しく引っ込み思案だった子だ。そんな子がそこまで間をおかずに出た公式の大きな大会。そこで格上に勝利するというジャイアントキリングを成し遂げたのだから少しは良くなってくれていると思ったが・・・。

 

(そうそう上手くはいかないか)

 

 試合開始のゴングがやがて鳴り響く。構えるミウラ、その目に映ったのは・・・目の前に肉薄した(・・・・・・・・・)ヴィヴィオの姿だった。驚く間も防御をする間も与えず、小柄で華奢な躰が宙を舞った。先手を取ったのはヴィヴィオだ。

 

「しっかりしろミウラ!まだ試合は終わってないぞッ!」

 

 ヴィータの叱咤する声にハッとなって起き上がる。クラッシュシミュレートは脳震盪をミウラに忠実に再現する。フラフラになりながらも立ち上がって構える。レフリーに試合続行の意志表示を示して再び試合再会。

 

(ヴィヴィオさんの一撃、思ったよりも鋭い。でも、逃げるとかない・・・前進、あるのみッ!)

 

 踏み込んで、拳を振るう。しかし躱されこそしたものの、一発の重みとスピードではミウラの方が上だ。当たれば大ダメージを与えることができる可能性が高い。しかし、ヴィヴィオもまたミウラの試合を観て入念に研究してきた。癖、タイミング、得意な間合いと試合運び・・・。その一つ一つを覚え、復習し、試合に生かす。たとえ自身の欠陥(・・)が大きなハンデだとしても、それを上回るようできることを全てやってきた。そして今、それをヴィヴィオは見事に生かしている。

 

  が、ミウラもそれだけで超えられるほどやさしくはない。

 

 ダメージを受けながらも、それでも退くことをせずに一歩踏み出す。繰り出す拳は、ガードの上からでもヴィヴィオに強い衝撃を与える。大人モードで体格差のあるミウラだが、一見してその小さな躰からは想像もできないほどの爆発力を見せ、ヴィヴィオを場外へと叩きだしてしまう。リングアウトしたヴィヴィオは壁に叩きつけられ、ぐったりとなる。それを見たなのはとフェイトは今にも悲鳴をあげてしまいそうな表情をし、その反対ではやては余裕の笑みすら見せている。

 実況がダウンか否かと様子をうかがう。しかし直後ヴィヴィオが見せたのはダメージで歪む顔でも痛みを堪えるものでもなく――――笑顔だった。

 

(さすがミウラさんだ。映像で見た時も思ったけど重いし速い。当たれば痛いし強い。正直恐いけど・・・楽しい!)

 

 セコンドのノーヴェとウェンディの心配をよそに元気な様子で再びリングに戻るヴィヴィオ。そんな彼女の姿に、ミウラは戦慄する。

 

(うっそ!?結構本気で撃ちこんだのに・・・でも、そうこなくっちゃ!)

 

 そしてまた、ミウラもヴィヴィオと同じように笑みを浮かべる。

 

「・・・こういう時、先輩だったらなんて言うんでしたっけ」

 

 ヴィヴィオの言葉に、ミウラが答える。

 

「・・・本当の戦いは、ここからだッ!ですよね」

 

 ヴィヴィオとミウラ。スタイルが噛み合う者同士の対決。それは楽しくて、譲れなくて。憧れとワクワクを募らせて、再びゴングが鳴り響いた。





~とあるメールのやりとりにて~

 『先輩、次の試合頑張りますので、応援よろしくお願いします!もし勝ったら・・・フフ、先輩にまた撫で撫でしてほしいです!
                         byヴィヴィオ』

『アスカ先輩。ボク、頑張りますよ!だから、その・・・応援、してほしいです・・・(*ノωノ)
                         byミウラ』



BH『というメールが届いていますが』
アスカ「どうしたらいいだあああああああああああああああああああああああああああ!?」

 こんなメールが送られてきたことが原因だとは、誰もしらない・・・。

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