VividStrikeScarlet!   作:tubaki7

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最近色んななのは小説観て回ってますがコラボとかやってる人多いですね。・・・・やりたいなぁ。願わくば。そんな今日この頃。今回は原作で言う特訓回に相当します


♯9

 インターミドル選考会まで、あと一週間。この日八神道場に集められたミウラとアスカの二人。いよいよ大詰めとなってきたと肌で感じつつ、ヴィータ、ザフィーラ、シグナムの到着を待つ。

 

「いよいよ来週かあ・・・なんか緊張してきた・・・・」

「今からそんなじゃ、おまえ予選落ちかもな」

「そ、そんなことないですよ!ボクだって、ちゃんと練習を頑張ってきたんです。強くなる為に・・・そして、いつか追いつきたい人の為に」

 

 胸の内の決意を真剣な眼差しで語るミウラ。いつもはなんだか頼りない姿が印象に強く残るが、こういう時の妹弟子はハッキリ言ってかっこいいとすら思う。こんな風に自分の気持ちをストレートに言葉にできる彼女が、少しだけ羨ましく思えた。

 

「んじゃ、その追いつきたい人とやらを発表してみよーっ」

「ええ!?」

「ミウラちゃんもお年頃ですしぃ?まあそーいう人(・・・・・)の一人や二人いないとねぇ」

 

 ニヤニヤとゲスな笑みを浮かべながらミウラに迫るアスカ。端から観たら幼い女の子に迫るただのド変態だ。何も知らない人間がこの光景を見たら間違いなく彼は逮捕だろう。そんなカオスな空間だが、生憎と今はツッコミ役が不在なため止める者がいない。つまり、ミウラに救いの手はないということだ。涙目で怯える少女にもはや逃げ場など無い。

 

「さぁ、さぁさぁ!言うんだよォ!」

「え、えっと、その・・・あ、あ――――」

「なぁにしてんだテメーはァッ!?」

 

 怒号と共に一瞬にして首から上を黒こげにされるアスカ。一体誰だと振り返ると、そこには待ちわびた師匠たちの姿が。ミウラにとっては救いの神にでも見えたのであろう、猛ダッシュで駆け抜けシグナムに抱き着く。

 

「し、シグナムさん!」

「あー・・・そうか。すまなかったなミウラ。おまえとあのクズカを二人っきりにしてしまったことがマズかった。怖かったろう。私もアレと二人っきりにされたら発狂してしまいそうだからな。・・・それに、その気持ちは私も経験があるからよくわかるぞ」

「慰めとディスリを同時にこなせるシグ姉マジTURUGI。つかどんだけ他人にトラウマ植え付けてんだ俺のご先祖は」

「アレはシグナムじゃなくても発狂するぞ」

「あの聖王オリヴィエでさえ笑顔のまま失神するほどだからな・・・トラウマ製造機とは、よく言ったものだ」

「子孫の俺でさえ引くとか・・・ん?待てよ、俺が生まれてるってことは誰かと結婚したってことだよな・・・一体その気の毒な人誰だ」

 

 

 

 

 閑話休題(はなしがすすまない)

 

 

 

 

「で、なぜにアギトまでいるんでしょうかお姉さん」

「フン、今日はお前にコイツの使い方をみっちり叩き込んでやる」

 

 そう言いながら大きいサイズのアギト(とはいってもミウラより少し身長が高い程度)が手のひらに炎を発生させる。

 

「・・・アスカ。おまえの強さの源はなんだかわかるか?」

 

 真剣な問。そこにいつものテンションで切り返すほどのバラエティさは存在しない。ここからはオフザケ一切なしの流れだと悟り、アスカは脳内を巡らせる。

 

「炎の魔力変換資質と、術式に縛られないスタイル。シスターシャッハが見つけて、シグ姉とヴィーたんが鍛えてくれた、拳と蹴り」

「そうだ。そしてお前はそれをフルに使い、アインハルトに勝ってみせた」

「でも・・・それは、俺の実力なんかじゃない」

 

 褒めることから始める。シグナムはアスカが褒められて伸びるタイプだと思っていたからこその指導の仕方ではあったが、その褒めをアスカ自身が真っ向から否定してきた。何か思うことでもあったのだろう、その真意を聞く。

 

「ヴィクターやジークに話を聞いてわかったんだ。俺がハルちゃんに・・・・覇王流に初見で勝てたのは、俺の中にあるフロガのおかげなんだって」

「自分の実力ではないと?」

 

 コクン、と一つ頷く。

 

「俺の中には、フロガの記憶が生きてる。それが自衛の為無意識に引き出された結果、ハルちゃんの技にも対処できたし勝利することができた。この炎だって、もしかしたら・・・・。俺は、今までずっと、他人からの借り物で戦ってたに過ぎない。こんなんじゃ、あの子達と戦う資格なんてない。胸をはって、彼奴らにも会うことなんでできない・・・だから!」

「私とアギトの二人で、お前に教えられることは全て叩き込む。ここから先は音を上げることなど許さないと思え」

「アタシらの特訓は厳しいぞ~・・・やるか?アスカ・スカーレット」

 

 一度、目を閉じてみる。瞼の奥に浮かぶのは、自分を慕ってくれている後輩達。そして、幼き日に見た二人の笑顔。今どこで、何をしているのかさえもわからない。でも、この道を歩んでいたら、必ずどこかで会える気がする。そんな確信がアスカにはあった。もう一度、笑顔で出逢う為に・・・・そのためには、今のままではダメだ。もっと強く、もっと先に・・・・。

 

  どうするかなんて、決まってるじゃないか。

 

「このぐらいで逃げ出すようじゃ、アスカ・スカーレットの名が泣くってもんだぜ。やるさ・・・やってやる!」

「その意義だ。そうでなくてはこの為にわざわざ一週間の有給を取った意味がないからな」

「さて、そんじゃ先ずはいつも通りの模擬戦からだ。覚悟は、いいな?」

「・・・押忍ッ!」

 

 インターミドル開催まで、残り一週間。それぞれの決意と想いを胸に抱き、少年少女達はもがく。信念を貫くために。憧れに追いつくために。栄光を手にするために。全ては・・・・己の為に。

 

 

 

 

 

 

 

  ◇

 

 

 

 

 

「ところでアスカ、さっきミウラと何話してたんだ?」

「そういえばそうだったな」

「えっとですね、憧れてる人に云たらかんたらって・・・あって言葉しか聞き取れなかったッス」

「あ、か・・・・、ほう・・・・」

「フーン・・・・なあアスカ。お前、爆発しろ」

「ヴェ!?」

 

 かくして特訓は始まった!




今回はかなり短くしました。次回からはインターミドル編、スタートです

・・・・コラボ、やりたいなぁ・・・・

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