間が空いたので、前回まで…………
京子の命がボンゴレに狙われている?!
SUN値がゴリゴリ削られて行った……
「……京子、何かあったのか?」
「えっ、えー…………な、何の事かな? 突然どうしたの、お兄ちゃん。」
家に帰って顔を洗った後、偶然出くわしたお兄ちゃんに聞かれて思わずぎくりギクリとした。
「……ふむ、何でもないなら良いが…………何かあったらまず俺に言う様に。」
「う、うん……」
私の頭を軽く叩くと、お兄ちゃんはそのまま廊下を歩いて行った。
「ふぅー……焦ったー…………。」
もしかしてバレてしまうかと思ったが、そうはならなくて本当に良かった。
お兄ちゃんは勘が良いのでこれからも気を付けなけらばなるまい。1人で何とかすると決めた以上、中途半端にやってバレておじゃんになるなんて事は絶対に嫌だ。
「京子ー!!」
「?!」
「? どうした??」
「い、いやぁ、何でもないよ! ちょっとびっくりしただけ。」
びっくりした!! 1人廊下で考え事に耽っていた私も私だが、いなくなったと思ったお兄ちゃんがひょっこり顔を出すなんて思わなかったので本当にびっくりした!!
「そうか、それはすまん。ところで目隠しを持ってないか?」
「目隠し? アイマスクなら持ってるけど、何に使うの?」
まさか良からぬプレイではなかろうな…………私物をそんな事に使われたくはないぞ。
「うむ、最近友人に〝聴頸〟と言うものを聞いてな。どうも視界ではなく、腕や武器の合わさる音だけを捉えて相手の次の動きを予測するらしい。素晴らしい技法だから俺もそれを習得しようとしたんだが、ずっと目を瞑ってられなくてな…………気が付くと目が開いてるんだ。」
「お兄ちゃん一体何を目指してるの?! って言うか理由がショボイな!!」
「ふっ、更に聞いて驚け。実は俺は未だに水の中で目が開けられないんだ。」
「可愛いなもう! この際、水の中で聴頸の練習したら?」
「む……確かにそれもありだな。」
「取り敢えず、アイマスクは貸してあげるよ。ちょっと待っててね。」
「礼を言うぞ! 京子!!」
ニカッとした太陽の様な笑みを浮かべて私を見送るお兄ちゃんを見て、少しだけ沈んでいた気分が浮上した。
■□■
ボンゴレに暗殺されそうになった場合、どうするべきか…………
その一、大人しく自首して全て話す。却下。それで許してくれるのか分からないし、原作知識なんてものがあれば私は道具として利用される可能性はとても高いだろう。漫画で読んだボンゴレの優しい組織としての印象から、それらが杞憂で終わる可能性も捨て切れないが、ここは漫画とは違う。そんな賭けに命を差し出す事は出来ない。だからこれは最終手段だ。
その二、ボンゴレで私の情報を持っている者の暗殺。これは実力と手段的に私では無理がある。また、誰が何処まで知っているのかも分からない。
その三、このまま静観の姿勢を取る。これは一番拙い。既に暗殺者が派遣されている今の状況で静観なんてしていたら、死をただ待つだけと何ら代わらない。
その四、ボンゴレが手を出せない様な地位や権力を手に入れる。…………そんなものどうやって手に入れるんだ? 一般人の小娘が簡単に地位を手に入れるなんて無理な話だ。
一人部屋の中、クッションを抱えて考える。どれもこれもが非現実的で希望が混じった楽天的な考えしか出て来ない。…………いや、一つだけ、たった一つだけ思いついてしまった事があるのだが……これは、出来ればやりたくない。
「はぁー…………取り敢えずは、常時警戒の現状維持かな。」
マフィアの掟があるので完全な一般人である私の家族に害が行く事はない筈……と考えるとして、今までも泳がされていたのに今更迅速に暗殺される可能性は低いと考えたい。
私へと向けられた暗殺者がイーピンだったと言うのも一つの理由だ。彼女は立派な暗殺者の一人ではあるが、未だ未熟な部分があるのも事実。そんな彼女を遣わすと言う事は、私の暗殺はそこまで重要視されていない、また暗殺が目的ではなく警告や目的が不透明なこちらの様子を把握したかったのかもしれない。
希望的観測も多大に混ざっているおざなりな推測に過ぎないが、私が今何も出来ないと言うのも事実で、それならば極力ボンゴレを刺激しない様にひっそりと過ごす事しか出来ない。
ボンゴレが本気を出したら私なんかはひとたまりもない。文字通り簡単に捻り潰されてしまうだろう。クッションに顔を埋めて、ぎゅうっと抱き締めれば、クッションは簡単に形を変えて潰された。