可愛いゼットンさんの描写がまずかったんですウゥゥウ!!
今回重めの話です、我ながら1話目でこれって…
ウルトラ学園 朝のホームルーム
1年α組、春が終わり、生徒も学校に馴染んできた頃合いの出来事…
キーンコーンカーンコーン…
「きりーつ、おはようございます!」
「「「「「「「おはようございます!!」」」」」」
「はい、皆さんおはようございます。」
「ちゃくせーき」
チャイムが鳴り、このクラスの担任である私、ウルトラマンはいつものように挨拶をし、いつものように出席をとる、
「ゴモラさん」
「はい!はーい!!」
「レッドキングさん」
「はい!」
「レイモン君」
「はい」
「ゼットンさん」
「は、はい」
「ゼロ君」
・・・・・
またか、またあいつか。
「ゼロ君?」
「せんせー!ゼロ君いないでーす!」
ゴモラさんが元気よく返してくれるが、こちらとしてはあまり嬉しく無い状況だった。
ウルトラマンゼロ、
あのウルトラセブンの息子である。
ゼロは成績も中々優秀だし、ウルトラ戦士としての才能は私をも凌ぐだろう…ただ…
「ゼロは欠席、と」
と、その時
「ちょっと待ったぁぁぁあ!!!」
ガラガラッ
肩で息をして、カバンを持ったゼロが現れた。
「俺ならここだぜ!ウルトラマン!」
「また遅刻かゼロ…あと先生をつけなさい、」
「おいおい!遅刻じゃねーだろ!?こうしてちゃんと間に合って…」
「ねーぞゼロ」
「うそーん」
私を代弁するかのようにグレンファイヤー君が言う、彼もまた遅刻魔でもあるのだが、今日は間に合ったらしい。
「まったく…早く座りなさい、えっと次は…ミラーナイト君」
「はい」
「ジャンボット君」
「はい」
「メビウス君」
「はい」
出席を取っていくが、内心余り穏やかでは無い、理由はゼロのことだった。
ゼロは確かに優秀だ、戦闘力ではウルトラ戦士トップクラスだろう。
だか、若い。
若いと言うのは悪いことでは無い、だが決して良いとも言い切れない。
物事に熱中する熱量が激しい年頃だ、だが熱中のあまり周りを見ることを忘れてしまいがちな年頃でもある。
私が地球で犯してしまった罪…。
決して他のウルトラ戦士や生徒たちには味合わせたく無い苦しみ。
ゼロは物分かりいいところもある、いつかわかってくれるといいが。
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「それでは、今日の授業はここまでです、最近ウルトラ交通事故が多発しています、みなさんも加害者や被害者にならないように気をつけて下校してください、メビウス君」
「きりーつ、さようなら!」
「「「「「さようなら」」」」」
今日も1日問題なく終わる、日に日に生徒たちは新しい知識を蓄え、さらに覚えようとする、喜ばしいことだ。
「あの…先生…///」
「ん?」
振り返ると生徒の1人、ゼットンさんがいた。
「授業で少し分からないところがあるので少し見てもらって良いですか?///」
顔を少し赤くしながら聞いてくるゼットンさん、なぜだか目が潤んでる、具合が悪いのだろうか?
「ゼットンさん?熱があるんじゃないですか?大事があってはいけません、授業の内容ならまた今度教えてあげますから、……メビウス君!ゼットンさんを送って行ってあげてください。」
「え、あ、わ、私は…///」
ゼットンさんが反論するがやはり大事があってはいけない、ここは面倒見のいいメビウス君にお願いするのがいいでしょう。
「あ、はい!兄さ…先生!」
「よろしい、それではゼットンさん、体に気をつけてください、勉強熱心なのはいいですが体を壊さないように」
「うう…はい…先生///」
私は内心ゼットンさんが少し苦手だ、決して嫌っているとかでは無い、なぜなら…
なぜか、可愛らしい女性の姿なのだから…
いや、私も自分の言っていることが相当頭の悪い事だとは分かっている。
地球から帰って、怪獣墓場の研究員になったユリアンから聞いたところ、
なんでも、『死を迎えた怪獣は怪獣墓場に行き、何事もなければ、浄化されて、また新しく生まれ変わる』という
しかも『生まれ変わると言っても、そのまま同じ姿形で生まれ変わるとは限らないわ、性別が変わったり、性格が変わったり、確定したわけでは無いけど、地球の人に似た転生をする個体もいるの、それに加え偶に前世の記憶を持ったままの怪獣もいるわ』とも言っていた。
その理論で言うと、ゼットンさんは地球の人に似た転生をした怪獣に分けられる、しかも女性の。
ちなみに私のクラスの生徒で、ゴモラさん、レッドキングさんをはじめ、多くの怪獣が女性の形で転生している。
だが、私が彼女が苦手な理由はもう一つある。
さっき前世の記憶を持ったままの怪獣もいると言っただろう?
そう、彼女は前世の記憶を持ったゼットンなのだ、しかもよりによってあのゼットン…
地球で私を殺めたゼットンなのだ。
だが、彼女は私を殺めたことを相当引きずっているらしく、出会った当時は謝ってばかりいた。
だがちゃんと向き合い説得したことで、今では心優しい娘に育っている、命の重みを知り、無闇に破壊を繰り返さない、喜ばしいことだ。
今では姉のゼットン星人さんと暮らしている、あちらは転生してもあまり変わってないが…
そんなこと考えていると目の前をゼロが走って行った。
「こら、ゼロ!危ないぞ!」
「悪りぃ悪りぃ!先生!急いでるんで!じゃーな!」
まったく、ゼットンさんを少しは見習ってほしいものだ。
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ウルトラ星立運動場
ここはウルトラ星立運動場、光の国の民の公共施設である、ランニングをする者、飛行訓練をする戦士、果ては必殺光線練習をするものまでいる。
サウナ、プール、ジム、トレーニングについてならなんでもござれの施設だ。
ちなみにここの施設の館長はゾフィーの同期で筋肉モリモリマッチョマンのウルトラ戦士、ゴライアンだ
「うーし、ついたぜ!今日もやっていこうぜ!」
「ゼロ、あまりはしゃがないように、他の方の迷惑ですよ」
このウルトラマンゼロとミラーナイト、グレンファイヤー、ジャンボットもこの施設をよく利用している。
「おいおい、固いこと言うなよ、ミラーナイト、せっかくだ、ちょうどランニングロードだし、戦闘訓練エリアまで競争しようぜ!」
ゼロたちはいつも学校帰りに、戦闘訓練エリアで特訓をしている、いついかなる時でも万全の状態で戦えるようにである。
「いいだろう、だが他の人の迷惑にならないように。」
「だから、分かってるってジャンボット!」
「よっしゃあ!じゃあ、ビリのやつ帰りにジュース奢れよ!」
「お!言ったなグレンファイヤー!よし!行くぜ!」
ゼロ、グレンファイヤー、ジャンボット、ミラーナイトの4人はランニングロードで構える。
「行くぜ…3.2.1…ゼロ!!」
「「「「ッ!!」」」」
ゼロの掛け声で一斉にスタート、4人ともデッドヒートを繰り広げる、4人の力は拮抗しているかに見えた、だが戦闘訓練エリアが直前まで来ると…
「うおおおおおおぉぉぉお!!」
ゼロはラストスパートをかけ一気に戦闘訓練エリアまで駆け抜けた。
「きゃあ」「危ないぞ!!」「うわっ!!」
周りにいる人をギリギリで避けて、ゴールした。
「よっしゃあ!俺の勝ちだな!!」
「おい、ゼロ、今のは流石にヤバいんじゃないか?」
「あれほど周りに迷惑をかけるなと言っただろう」
「ゼロ、すこしは落ち着いたらどうです?」
一位を取ったゼロだが仲間から言葉の袋叩きにあった。
その様子を上の階から見ている人影があった。
「またか…流石にもう捨て置けないな…」
ウルトラ運動場、館長のゴライアンである。
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後日 ウルトラ学園 朝の職員会議
このウルトラ学園ではホームルームの前に職員会議が行われる、普段から顔を合わせて仲のいいウルトラ兄弟達だが、今日は少し様子が違った。
「うむ、今日は皆に言わなければならないことがある。」
ウルトラの父ことウルトラマンケンが口を開く。
「実は昨日ウルトラ運動場から連絡があってな、素行の悪い生徒が出入りしていると言われてしまった。」
「素行の悪い?」
ジャックが言う、他の教師も自分の教え子が言われていると思い、緊張が高まる。
「ああ、我々の身内、ゼロだ」
その言葉に一斉に、ゼロの父、セブンに目が集まる。
「ゼロが…」
セブンはついにこの日が来てしまったと言わんばかりに、俯いてしまう。
「ゼロは確かに優秀、だが、若さゆえ突っ走り過ぎてしまっているのだろう、心苦しいが、なんらかの処罰を下さなければならない。」
「!!!」
セブンはハッと顔をあげ、何か言おうとするが、阻まれた。
「ウルトラの父!ゼロがああなったのは私の責任です!処罰するなら私も一緒に!!」
ゼロの師であり、体育教師のウルトラマンレオが立ち上がる。
「待て!レオ!実の父でありながらちゃんとした指導が出来なかった私の責任だ!」
「セブン兄さん…」
「レオ、これは私が背負うべき問題なんだ…!!」
セブンは優しくレオを見つめ、彼を引き下がらせた。
「うむ…では致し方ない、セブンとゼロに一週間のk「待ってください。」…ん?どうしたウルトラマン?」
ウルトラの父の言葉を遮ったのは、ずっと沈黙を守っていた私、ウルトラマンだ。
私は皆の顔を見て言う。
「ここは学園です、学園ならば担当の教師が生徒を背負うべきです。」
「兄さん!?」
セブンが驚くように、悲しそうに見つめるが、私は続ける。
「大隊長、ウルトラの母、ゾフィー兄さん、弟達…私に少しだけ時間をください、必ずゼロを導いてみせます…!!」
会議室に沈黙が訪れる、皆が考え込む中、声をあげる者がいた。
「私は兄さんに任せてみようと思う。」
「80…」
そう、かつて地球で子供達と教師として最も長く接して来た彼だ。
「80…いいでしょう私はあなたとウルトラマンを信じます。」
80に続き、ウルトラの母も賛成する。
「…私も兄さんに任せよう。」
ジャック、
「私もだ!」
タロウ、
「そうだな、頼む兄さん!」
エース
次々に賛成していく、それを見たレオとセブンも頷いた。
「よし、それではウルトラマン、お前に任せよう、頼んだぞ。」
「はい!」
大丈夫、きっと分かってくれる。
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それから10分後。
ウルトラ学園 体育館
普段は授業や雨の日の体育、学年集会などで使われる。
そんな体育館が、ウルトラ学園全校生徒に埋め尽くされていた。
「急な集会って、なにかあったのか?」
「いえ…分かりません、いづれ兄さん達から説明があるでしょう…」
「…………」
ゼロは何となく分かっていた、幾度となく注意や警告を受けて来たのだ、今度の話も俺に関係があることだろうと。
やれやれまたか、ま、俺に非があるのは確かだし聞いとくか。
レイモンとメビウスの会話の中、壇上にあがる影があった。
「あ!ウルトラマンせんせーだ!」
ゴモラの言った通り、学年主任のウルトラマン先生が登壇していた。
「ゴモラ、分かったから静かにしてような?」
「…うん、レイお兄ちゃん」
「しかしなぜ兄さんが?」
その問いに答えるようにウルトラマンはマイクをトントンと叩き、全校生徒に向かって話し出した。
「みなさんおはようございます、学年主任のウルトラマンです、この度みなさんに集まってもらったのには訳があります。」
「昨今、ウルトラ交通事故が多発しているのは知っていますね?、幸い、死亡者は出ていません、ですが被害者は出てしまった。」
「いずれも軽い怪我で済んでいます、この中にその被害にあった生徒もいます、加害しかけた生徒もいます。」
「ですが軽い怪我で済んでいるのは!我々が肉体的に優れている、ただそれだけなんです!」
私は鼻息荒く、独白のように続けた。
「私が地球の人々において最初に記憶されたウルトラマンだと、地球の人々は笑って私を迎えてくれました。」
「だが、私が地球に来て最初にした事は、ベムラーさんの前世を倒したことでもなく、人助けでもない。」
「私は…人間を殺しました。」
「みんな知っていることだろう、ウルトラマンがち 地球のハヤタ隊員と同化し、ハヤタは一命を取り留めたと。」
口調が教師になるため練習した敬語ではなく、ただ1人の男として私は言う。
「だが…私がハヤタを殺したのは紛れも無い事実、故意では無いとはいえ、守るべき人を殺めたのだ。」
「いまでも思う、私がちゃんとベムラーを監視していれば、ハヤタは死なずに済んだのでは無いか?、ハヤタをウルトラマンとして私の戦いに巻き込むのを阻止できたのでは無いか、私がいなければハヤタは幸せな人生を送れたのでは無いかと…私がいなければ…」
いつの間にか私は俯いて懺悔のように話していた。
顔を上げ、生徒たち全員を見る、
「この中にも卒業したら、他の星に行く生徒もいるだろう、だか忘れないでほしい!私たちの軽はずみな行動が思いもよらない事態に発展してしまうことを、……」
姿勢を正し、私は続ける。
「先生の話は以上です、それでは」
トントンと壇上から降りる、伝えるべき事は全て伝えた。
私は、私の生徒を信じる。
ハヤタがあの時私を信じて命を分け合ったように……
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放課後 生徒は帰りだし、部活などに勤しむ時間、
光の国商店街を1人のウルトラマンが歩いていた。
ゼロだ。
ウルトラマン先生の話がずっと頭から離れねぇ…
本当に背筋が凍ったぜ…笑い事じゃ無い、あの人の武勇伝は親父から何度も聞いた。
いつの間にかウルトラマン先生がハヤタを………殺しちまったのは、
『仕方のないこと、でもそれで、地球はハヤタとウルトラマンに救われた。』
なんて、美談にしてた。
俺も今まで運が良かっただけかもしれねぇ。
レオとの修業でピグモンを助けることが出来たのも。
あの時俺がピグモンを踏み潰してもおかしくなかった…
「ちくしょう……」
その時、ゼロの前に人影が…
「親父……仕事は終わったのかよ」
「兄さんが残りを引き継いでくれた。」
「そっか…」
言葉少なげに親子は語りながら、共に我が家へ向かう。
「怖くなったか?」
「…ああ」
「私もだ…」
「俺……人間と一緒の時あんなこと考えたことなかった…」
「私はモロボシ ダンとして人間と共に生きていたわけではないが、警備隊の隊長になった事がある…」
「ああ、レオが地球にいたときだろ?親父が怪我で変身できなくて、代わりに…」
「そうだ、だか私は今でも思う、MACの隊長である私が無茶な作戦を立てたせいで、円盤生物を刺激し、罪のない人々を多く…死なせてしまったのではと…」
「そんな事ッ!!あるわけ!!」
「あるのだ!!ゼロ!」
「だから私は再度誓った、この力は自分の為ではなく、慈愛の為、弱きものを守るために使うと…」
「そっか…親父もいろいろあったんだな…」
「ああ」
2人の間に沈黙が流れる、だがゼロは何か決心したようだ。
「んーー、なぁ親父!俺ちょっと考え直して見るぜ、 」
「ゼロ?」
セブンから少し離れ、ゼロは真正面から父に宣言する。
「……やっぱ、大事なモンはテメェの手で護りてぇ!」
「でも!!、無茶はしねぇ!…たぶん…」
「ちゃんと、周りを考えてやってやるぜ!」
「…そうか…よく言った、ゼロ」
2人の間に風が吹いた。
今までの暗い会話を吹き飛ばすような、爽やかな風が…
子供の幼稚な考えだと笑う者もいるだろう、だがセブンは目の前の息子がこう言ってくれたのが、たまらなく嬉しかった。
(ありがとう…兄さん、)
2人の緊張感がようやくほぐれ、いつもの2人に戻る。
「で!親父!今日の晩飯何にすんだ?」
「うむ、今日はカレーだ!」
「親父ぃ!もちっとレパートリー増やそうぜぇ!?ウルトラマンの方が沢山レパートリーあるだろ!!」
「むぅ、そうだなぁ、今度2人で教えてもらうか?」
「そうしようぜ!!」
そう言いながら、話し合う親子に陰りは少しも見えなかった。
光り輝く太陽のように爽やかな笑顔で、共に笑っていた。
後日ウルトラマンに料理を教えてもらいに行った2人だが、
食材をアイスラッガーとゼロスラッガーで切ろうとすると、
しばかれた。
いかがだったでしょうか?
善の象徴の彼らだからこその悩みだと思います。
あ、あと次から頑張ってもっとキャラ出します!!
ゼットンさんの出番増やします!!
ゴモラはアホの子です!!