小説でわかる幕間の物語   作:ニコ・トスカーニ

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こいつら仲良さそう。こいつら仲悪そうという勝手なイメージ。


サーヴァントの相性

 人理修復の戦いを続ける狭間

 時折現れるイレギュラーな特異点がある。

 物によってひずみの大きさはまちまちで重要度も違う

 だけどひずみがあるなら正さなければならない。

 

 今回はその小さな特異点が2つ同時に発生した。

 この世界に残った最後のマスターである俺とぐだ子はそれぞれにパーティを編成して

レイシフトする準備を整えていた。

 

 俺の率いるパーティーはセイバークラスのサーヴァントたちだ。

 理由はセイバークラスにとって相性のいいエネミーが多数観測されているためだ。

 

 ローマの軍師、ユリウス・カエサル

 ケルトの戦士、フェルグス・マック・ロイ

 フランス元帥、ジル・ド・レェ

 円卓の騎士、ベディヴィエール

 

 彼らでパーティーを組んだ理由はたまたま他のセイバーがオーバーワーク気味で魔力不足だったからだ。

 とはいえ彼らも強力とまでは言えずともそれなりに格の高いサーヴァントたちだ。

 戦力的には問題ないだろう。

 だが、レイシフト前から俺は不安いっぱいだった。

 

 なぜなら

 

「最適な人材の運用とは呼べんなこれは」

「マスター!酒と女はまだか!?」

「おお……ジャンヌ……ジャンヌ……」

「あの……作戦は?ブリーフィングとかしなくていいんでしょうか?」

 

 誰も一切、会話をしようとしない。

 最近召喚に応じたベディヴィエールはただオロオロするだけだ。

 

 大きくため息をつく。

 こっちのパーティーを率いることになったのはぐだ子に負い目があるからだ。※

 自業自得とはいえこれは堪える。

 

 もう一方のパーティーをみる。

 

 反逆の闘士、スパルタクス

 雷光の怪物、アステリオス

 近代最高のスパイ、マタ・ハリ

 神童、アマデウス

 大英雄、アーラシュ

 オルレアンの救世主、佐々木小次郎

 の6人だ。

 

「アステリオス、クッキー焼いたの。食べる?」

「……うん。ありがとう。ママ」

「スパ殿。レイシフト前に手合わせ願いたいのだが」

「おお!小次郎!君も反逆者であったか!」

「ははは。相変わらず話の通じぬ御仁だ。しかし、それもまた良し」

「アーラシュ。新しい曲を思いついたんだ。タイトルは『僕のケツにイボ痔ができた』だ」

「お前は本当に下品だな!アマデウス」

 

 こちらのパーティを率いるぐだ子はというと……まるで保護者のようなほんわかした目で彼らを見ていた。

 

 そこにサーヴァントに転身したマシュが戻って来た。

 

「先輩。レイシフトの準備が完了しました」

「……ああ、ありがとう。……マシュ」

 

 セイバー軍団は相変わらず目も合わせようとしない。

 あ、ヤバい。

 胃がキリキリしてきた。

 

 マシュは俺と俺の率いるパーティーを見て言った。

 

「先輩、心中お察しします。

あの、私も同行しますので……」

 

 ああ、ありがとう。俺の後輩ちゃん……

 あと、ごめんねベディヴィエール。

 次は円卓組と組ませるから……

 

「じゃあ、みんな行きましょう」

 

 レイシフトの準備完了の報を聞いたぐだ子が向こうのパーティーに号令をかけた。

 思い思いに過ごしていた彼らだが号令がかかると誰からともなく作戦会議を始めた。

 

「では、いつも通り切り札はアステリオスの迷宮だな。

私は宝具展開までの時間を稼ぐ盾になろう」

「じゃあ、私とアマデウスは妨害ね」

「拙者は撹乱しながらの露払いだな」

「じゃあ俺は一発こっきりの取って置きをお見舞いしてやる。

最後は任せたぜ!アステリオス」

「うん……ありがとう、ステラさん」

「お前、言い加減俺の名前覚えろや」

 

 アーラシュの発言に対し「大体合ってるじゃないか」というアマデウスのツッコミが入る。

 パーティーを率いるぐだ子は笑顔でそのやりとりを見ていた。

 

 それを見ていたマシュが一言、感想を漏らした。

 

「先輩、サーヴァントの相性って不思議ですね……」

 

※エピソード「ぐだ子の秘密」をご参照ください。




6章の師子王を星3サーヴァントセイバー中心に戦った時に思いつきました。
なんかなんとなく星3セイバー軍団相性悪そうなので。

ちなみにヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが下品だったのは史実。
『俺の尻を舐めろ』というタイトルの歌曲を書いていますし、
姉のマリア・アンナ・(ナンネル)・モーツァルトに充てた手紙に「う●こ」という単語を多数使用していたことが確認されています。

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