小説でわかる幕間の物語   作:ニコ・トスカーニ

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タイトルどおり


オルタちゃんは乙女かわいい

 ……そろそろか。

 

 俺とぐだ子はある事態に対処するため揃ってマイルームで待機していた。

 

 ノックも無く勢いよくドアが開く。

 想定通りだ。

 俺とぐだ子はニヤリと笑って見合った。

 

 アヴェンジャーのサーヴァント、ジャンヌ・ダルク・オルタが怒りで顔を真っ赤に上気させて立っていた。

 

「あんたたち……やってくれたわね!!!」

 

 彼女は怒りのあまり声が半ば裏返っていた。

 必死すぎて逆にかわいい。

 

 「えーなんのことかわからないなぁ!?ぐだ子困惑」とぐだ子は思い切りすっとぼけた。

 

 オルタちゃんことジャンヌ・ダルク・オルタは怒りのあまり声にならない声を発しながら事の顛末を話し始めた。

 

 

「オルタ。ちょっといいですか?」

 

 ジルの部屋に行こうとしていたオルタちゃんを白い方のジャンヌが呼び止めた。

 オルタちゃんはジャンヌのことを嫌っているが、ジャンヌはオルタちゃんと仲良くするための努力を怠らない。

 「どうしたらオルタは仲良くしてくれるのでしょうか?」とマスターの俺たちにジャンヌは度々相談に来る。

 

 ジャンヌはその日、俺たちから受けた相談を愚直に実行した。

 

「失礼します!」

 

 ジャンヌはオルタちゃんを壁際まで押し込めると、そのまま壁に手をついた。

 オルタちゃんは完全に呆気に取られていた。

 ジャンヌは真剣極まりない表情で壁ドン状態を維持していた。

 

「あ……あんた何してんの?」

 

 やっとのことでオルタちゃんが疑問をぶつけると

 

「壁ドンです!」

 

 とジャンヌは真剣そのもののまま答えた。

 真面目なジャンヌは俺たちのアドバイス(笑)を鵜吞みにしたわけだ。 

 

 オルタちゃんが呆気に取られているのでジャンヌも不審に思ったらしい。

 

「……おかしいですね。こうすればあなたが喜ぶと聞いたのですが」

 

 と首を傾げた。

 

「……誰からの入れ知恵よ。それ」

 

 やっとの思いでオルタちゃんが言うと

 

「ぐだ子からです!あなたたちは仲良しですね。私、とてもうらやましいです!

あ、あとぐだ男が『顎クイ』なるものをするとあなたが喜ぶと言っていたのですが、『顎クイ』とは何ですか?」

「殺す!焼き殺す!」

 

 

 そしてここに至る。

 

「あんたたち!何、簡単に人の好みバラしてるのよ!トップシークレットって言ったでしょ!」

「トップシークレット(笑)」

「トップシークレット(笑)」

 

 オルタちゃんはぐだ子から与えられた乙女ゲーと少女漫画にハマっている。

 本人は「馬鹿じゃないの!」と吐き捨てていたが、俺たちは彼女が徹夜して『アオハ●イド』と『君に●け』と『ハチミツとク●ーバー』を読破していたことを知っている。

 

「……あんたたち。他にも私の秘密バラしてないでしょうね!?」

「もちろん秘密は守るよ。オラオラ系も行けるけど、『360°マテ●アル』の滝くんみたいな文系男子も好きとか口が裂けても言えないわー。

サンタ・リリィにもジルにもジャンヌにもそんな話はしてないよー」

「殺す!焼き殺す!こんがり丸焼きにしてやる!」

 

 ぐだ子の故意に不用意な発言がオルタちゃんの怒りに火をつけた。

 よし。頃合いだ。

 

 ぐだ子が一転して真剣な表情になった。

 

「オルタちゃん。エミヤお手製のマドレーヌ、ジャンヌの分まで食べたでしょ?

しかもジャンヌ本人の前で」

 

 オルタちゃんの手が止まった。

 反転しているとはいえ、元は聖女。

 バツが悪いらしい。

 計算通りだ。

 

 俺が畳みかける。

 

「そういうの良くないと思うよ。ジャンヌのことが嫌なのは仕方無いにしても嫌がらせとかよくないと思うよ」

 

 オルタちゃんが「ぐぬぬ」と唸って止まった。

 

「罰とは言え、呪わしい魔女に、あまりちょっかいをかけるものではありません。共に炎で焼かれますよ」

 

 ようやく少し落ち着いたオルタちゃんは怒りで顔を引きつらせながら呪詛の言葉(笑)を吐いた。

 こういう時、なんと言えばいいか。

 俺たちは勿論わかっている。

 

「だってオルタちゃんからかうと面白いんだもん」

「だってオルタちゃんからかうと面白いんだもん」

「殺す!焼き殺す!あんたたち殺して私も死ぬ!」

 

××××××××××××

 

 また、別の日。

 ……そろそろか。

 

 俺とぐだ子はある事態に対処するため揃ってマイルームで待機していた。

 

 ノックも無く勢いよくドアが開く。

 想定通りだ。

 俺とぐだ子はニヤリと笑って見合った。

 

 アヴェンジャーのサーヴァント、ジャンヌ・ダルク・オルタが怒りで顔を真っ赤に上気させて立っていた。

 

「あんたたち……やってくれたわね!!!」

 

 彼女は怒りのあまり声が半ば裏返っていた。

 必死すぎて逆にかわいい。

 

 「えーなんのことかわからないなぁ!?ぐだ子困惑」とぐだ子は思い切りすっとぼけた。

 

 オルタちゃんことジャンヌ・ダルク・オルタは怒りのあまり声にならない声を発しながら事の顛末を話し始めた。

 

 

「オルタ、『ヘタレ攻め』『誘い受け』とは何ですか?」

 

 ジルの部屋に行こうとしていたオルタちゃんを白い方のジャンヌが呼び止めた。

 オルタちゃんはジャンヌのことを嫌っているが、ジャンヌはオルタちゃんと仲良くするための努力を怠らない。

 「どうしたらオルタは仲良くしてくれるのでしょうか?」とマスターの俺たちにジャンヌは度々相談に来る。

 

 真面目なジャンヌは俺たちのアドバイス(笑)を鵜吞みにしたわけだ。 

 オルタちゃんが呆気に取られているのでジャンヌも不審に思ったらしい。

 

「……おかしいですね。この質問をすればあなたが喜んで答えてくれると聞いたのですが」

「……誰に唆されたの?」

「ぐだ子です!あなたたちは仲良しですね。私、とてもうらやましいです!

あ、あとぐだ男が『肩ズン』なるものをするとあなたが喜ぶと言っていたのですが、『肩ズン』とは何ですか?」

「殺す!焼き殺す!」

 

 そしてここに至る。

 

「あんたたち!何、簡単に人の好みバラしてるのよ!トップシークレットって言ったでしょ!」

「トップシークレット(笑)」

「トップシークレット(笑)」

 

 オルタちゃんはぐだ子から与えられた乙女ゲーと少女漫画にハマっている。

 本人は「馬鹿じゃないの!」と吐き捨てていたが、俺たちは彼女が徹夜して『緋●の欠片』をクリアしたことを知っている。

 ハマりすぎて最近では、腐っている方の薄い本にまで手を出している。

 

「もちろん秘密は守るよ。『薄●鬼』の土方さんと沖田さんがオルタちゃんを取り合う二次創作書いてるとか口が裂けて言えないわー。

サンタ・リリィにもジルにもジャンヌにもそんな話はしてないよー」

 

 ぐだ子の故意に不用意な発言がオルタちゃんの怒りに火をつけた。

 よし。頃合いだ。

 

 ぐだ子が一転して真剣な表情になった。

 

「オルタちゃん。エミヤお手製のガレット、ジャンヌの分まで食べたでしょ?

しかもジャンヌ本人の前で」

 

 オルタちゃんの手が止まった。

 反転しているとはいえ、元は聖女。

 バツが悪いらしい。

 計算通りだ。

 

 俺が畳みかける。

 

「そういうの良くないと思うよ。ジャンヌのことが嫌なのは仕方無いにしても嫌がらせとかよくないと思うよ」

 

 オルタちゃんが「ぐぬぬ」と唸って止まった。

 

「罰とは言え、呪わしい魔女に、あまりちょっかいをかけるものではありません。共に炎で焼かれますよ」

 

 ようやく少し落ち着いたオルタちゃんは怒りで顔を引きつらせながら呪詛の言葉(笑)を吐いた。

 こういう時、なんと言えばいいか。

 俺たちは勿論わかっている。

 

「だってオルタちゃんからかうと面白いんだもん」

「だってオルタちゃんからかうと面白いんだもん」

「殺す!焼き殺す!あんたたち殺して私も死ぬ!英霊の座まで秘密持ち帰ってやる!」

 

×××××××××××××

 

「オルタ。オトメイトとネオロマンスならどちらがおすすめですか?」

 

 ジルの部屋に行こうとしていたオルタちゃんを白い方のジャンヌが呼び止めた。

 オルタちゃんはジャンヌのことを嫌っているが、ジャンヌはオルタちゃんと仲良くしようと努力を惜しまない。

 「どうしたらオルタは仲良くしてくれるのでしょうか?」とマスターの俺たちにジャンヌは度々相談に来る。

 

 真面目なジャンヌは俺たちのアドバイス(笑)を鵜吞みにしたわけだ。 

 オルタちゃんが呆気に取られているのでジャンヌも不審に思ったらしい。

 

「……おかしいですね。この質問をすればあなたが喜んで答えてくれると聞いたのですが」

「……誰に吹き込まれたの!?」

「ぐだ子です!あなたたちは仲良しですね。私、とてもうらやましいです!

あ、あとぐだ男が『耳つぶ』なるものをするとあなたが喜ぶと言っていたのですが、『耳つぶ』とは何ですか?」

「あんた、ちょっとは人を疑うことを覚えなさいよ!」

 

 この子、ホントいつも必死だな。

 そんなオルタちゃんは戦場ではとても強力なアタッカーだ。

 からかった分は今度、ご褒美で埋め合わせよう。

 オルタちゃんから逃走しながら俺とぐだ子はそんな話をするのだった。




オルタちゃんはポンコツかわいい

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