ちなみに活動報告に『巌窟王の真実』のオマケを掲載しました。
よろしければ併せてどうぞ。
カルデアにはまだ多くのサーヴァントが残っている。
そして彼らの中には生前面識のあった者たちも少なくない。
例えばヘラクレス。
同じアルゴー船の乗組員だったメディアさんとアタランテは知己の中だ。
最も残念なことに三人ともその頃の記憶は曖昧ということだそうだが。
俺とぐだ子、それにマシュといういつもの三人で今日は
ダヴィンチちゃんのおつかいのために件の大英雄ヘラクレスを連れて出かけるところだった。
廊下を歩いていると向こうから銀髪に赤目が特徴的な大小2人組と出くわした。
アイリさんとイリヤちゃんだ。
二人を見つけるとヘラクレスはその巌のような体躯を折り曲げて恭しくお辞儀した。
「あ!おはようございます。ヘラクレスさん」
「■■■■■■■■■■■■■■■■!!(おはようございます。お嬢様。今日も実に可憐ですね。
このような無機質な空間に不釣り合いな貴女の姿は……そう、まるで荒野に咲く一輪の百合の花のようです)」
「あはは…。その、ありがとうございます」
イリヤちゃんは俺とぐだ子が絆レベル8に到達するまで理解できなかった
狂化している彼の言葉が何故か最初から理解できた。
ヘラクレス曰く「何かこちらのお嬢様とは強い縁を感じます」
とのことだったが全く違う時代に生きた二人にどんな縁があったのか俺には想像もつかない。
「おはよう。バサカちゃん」
「■■■■■■■■■■■■■■■■!!(おはようございます。奥様。今日も実に麗しいですね。
お嬢様が荒野に咲く花なら貴女は……漆黒の空を照らす月といったところでしょうか)」
「もう。バサカちゃんったら」
アイリさんも何故か最初からヘラクレスの唸り声が理解できた。
そして何故彼女が真名を隠す必要のないカルデアで彼をクラス名で呼ぶのかも不明だ。
「■■■■■■■■■■■■■■■■!!(ではお二人ともごきげん麗しゅう)」
挨拶を済ませると彼は見た目に全くそぐわない紳士的な物腰で二人に一時の別れを告げた。
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生前に全く縁のありそうになかった人物と何故か知己。
その点で最も不思議なのはエミヤだ。
エミヤは自身を現代の英霊と言っていた。
なのに槍兄貴と英雄王とは犬猿の仲。
ヘラクレスさんの事も知っていたし
彼女にエミヤのことを聞いた時など
「彼とともに戦う時が来るとは、嬉しくもあり、悲しくもあります」
などと言いながら頬を赤らめていた。
いったい過去に何があったんだ。
この一級フラグ建築士め。
対するエミヤの反応だが、犬猿の仲である兄貴とガメッシュさん以外の知り合いが召喚された時には
いつも曖昧な表情をして沈黙するばかりだった。
これまた複雑な縁のあるアサシンエミヤが来た時もイリヤちゃんが来た時も
ジャガーマンが来た時もひたすらに曖昧な表情を浮かべて効きもしない胃薬を飲むばかりだった
ガングロおかんだがついにその鋼鉄の忍耐を破る存在が現れた。
「女神イシュタル、召喚に応じ参上したわ」
夥しい数のi○unesカードを犠牲にし、ウルクで縁を結んだ女神の召喚に成功したその場に
彼も立ち合っていた。
その姿はついにエミヤの鋼鉄の忍耐を打ち破ったようだった。
「信じられん……。以前から災難体質だと思っていたが……まさか、女神に取り憑かれるとは!」
しかしすぐにその表情は平静を保ったものに変化していく。
「いや…デミサーヴァントとは言え人格は女神の物。彼女とは別の存在か」
その様子を観察していたイシュタルは召喚陣から降りるとエミヤに近づいて行った。
曖昧な表情を浮かべて沈黙している彼を彼女はしげしげと眺め観察し始めた。
しばらく経つとその女神は悪戯な笑顔を浮かべてこう言った。
「そう、そういうことね。
その言葉を聞いたエミヤの表情に再び驚きの色が混じっていく。
「この人格は
どう、本当の女神になった私と再会した気分は?」
その言葉に何を思ったか、ニヒルな笑顔を浮かべてエミヤは答えた。
「全く。何を言い出すかと思えば。
――君は昔からずっと私の女神だっただろう?」
この答えは女神の意表をも突いたらしい。
「な……何言ってるんだか!」
はいはい。ツンデレ乙。
エミヤの一級フラグ建築士ぶりは女神にも有効なようだった。
エミヤとイシュタルの2人。
マイルームに特殊会話があるのですが私こういうの期待してました。
ちなみのこの話はFGOの公式絵師でもあるCrazy Clover Club(城爪草先生)
の同人の一節を元に膨らませたものです。
弓凛いいですよね。
私はFate/stay nightのカップリングではエミヤと凛の組み合わせが一番好きです。