東方紅転録   作:百合好きなmerrick

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遅くなって申し訳ないm(_ _)m

今回はフラン視点です。

ただ、子供らしく遊んだり姉の話をしたりと、平和を充実するお話。


10、「紅魔館のお泊まり会 後編」

 side Frandre Scarlet

 

 ──紅魔館(フランの部屋)

 

 目覚めの朝。吸血鬼なのに朝に起きるのもおかしいが、今の生活に慣れてしまっているせいか、朝にしか起きれなくなっていた。

 さらに、今日は珍しく友達のこいしちゃんが来ていることもあり、遊ぶためにも朝に起きるしかなかった。

 

「ふにゃぁ......おはよぉ」

「おはよ......。こいしちゃん、猫みたいな声出すんだねー......」

 

 目を開けると普段目に映っているお姉様やルナの顔はなく、代わりに緑色の髪をした少女の顔が目に入っていた。

 

「あれ? ルナはぁー?」

「フラン。私なら、ここにいる......」

「......何してるの? 大丈夫?」

 

 声が聞こえた方へと目を移す。

 

 すると、ベッドの下に落ちているルナの姿があった。

 

「二人の寝相悪すぎる......」

「あぁー。それで落ちちゃったの? ごめんね」

「ううん......。落ちたのは私も寝相悪かったから」

「紛らわしっ。はぁー。手、貸そうか? それとも自分で起きれる?」

「......ん」

 

 ルナはしばしの沈黙の後、気だるそうな返事とともに手を差し出す。

 

 ──素直に言えばいいのに。どうして恥ずかしがることがあるのよ。

 

 そう思いながらも、手を引っ張り上げ、ルナを起こした。

 

「あ、ありがと......」

「なんでそんなにしおらしく言うのかなぁ......」

「おぉー。お熱いですねー」

「こいしちゃんはややこしくなるから黙っててっ!」

「えぇー。そんなこと言われると寂しいなー。私も混ぜろー」

「えっ!? なに飛び込んで──」

 

 その言葉が合図となり、こいしが暴れ、戯れ付き、部屋中に騒がしい声が響く。

 

「あ。私も混ぜて!」

「ルナも!? ちょっと、ベッド壊さないでよっ!?」

「ひゃっほぅ! 祭りだー!」

「祭りじゃないからっ!」

 

 珍しくルナもはしゃぎ、毛布はめちゃくちゃに、誰が投げたのか、ぬいぐるみも普段置かれている場所とは違う場所に転がっていた。

 

「こ、こいしちゃん。ちょっと、落ち着いて......」

「嫌だー! 自由だー! ひゃっはー! やーっ!」

「もう何言ってるか......あっ、フラン! 枕!」

「え? ぶわっ」

 

 ルナの声に反応できず、投げられた枕に当たった私は、いつの間にか頭に枕をのせ、ベッドの上で倒れていた。

 

「フランちゃん当たったからフランちゃんの負けねー」

「や、やったわねぇ......。もう怒ったからー!」

「きゃー! フランちゃんが怒ったー」

「わ、私も投げる!」

「っていうか、これどういうルール? ま、いいや。とりあえずさっきの恨みー!」

「そんな攻撃私にぶわっ!」

 

 私の攻撃を合図に、狭いベッドの上で三人だけの枕投げが始まった。

 

 

 

 それからどれだけ経ったのだろう。

 楽しいこともあり、時間を忘れ、また疲れて眠たくなるほどには遊んでいた気がする。

 

 ──家に友達が来るのは初めてだったからか、私も少しテンションを上げすぎたかもしれない。

 

「はぁー......疲れたー」

「まだだ! まだ終わきゃっ」

「終わりだからね? 起きてすぐに遊ぶのは本当に疲れちゃうわ」

「もっと遊ぼうぜー!」

「それ誰のモノマネ? 遊ぶのはいいけどちょっとだけ休ませてー」

 

 それだけ言うと、毛布を被り、勢いよくベッドに突っ伏した。

 

 これだけ遊んでも疲れている気配がないこいしを横目に、目を閉じようとする。

 

「あ、寝ちゃダメー!」

「えぇ!? ちょっとだけ休ませてよー」

「私も疲れたから......うん。おやすみ......」

「えぇー!? ......しょぼーん」

「......こいしちゃんってさ、たまに意味の分からない言葉話すよね......」

 

 ──稀にお姉様と同じようなことも喋るから、全てが意味の無い言葉ではないんだろうけど。やっぱり、こいしちゃんだけお姉様と通じているみたいで......ずるい気がする。

 

「失礼な! 意味はちゃんとあるからね!」

 

 私の気持ちなど知る由もなく、顔はいつもの笑顔で、怒っているかのような口調で話す。

 

 ──あ、言い方悪かったかな。......謝らないと。

 

「そうなんだ......ごめ──」

「まぁ、多分だけどね!」

「あ、そ、そっか......。ねぇ、こいしちゃんはさ、お姉様のこと、どう思ってるの?」

 

 ふと思い付いた私は、何気ない会話のように、そう切り出す。

 

 ──おそらくはただの友達のはず。というか、そう思いたい。

 

「唐突だねー。大好きだよー」

「へぇー......えぇー!? ど、どうして!?」

「え? フランちゃんも自分のお姉ちゃんのこと好きじゃないの?」

「......あ、あぁ、そういう......」

 

 勝手に勘違いして、変な汗をかいてしまう。

 

 ──ま、まぁ、勝手に勘違いした私が悪いんだけど......。

 

「な、ならさ。私のお姉様、レナはどう? 好き? 大好き?」

「大好きだよー! ルナちゃんもフランちゃんも大好きよー!」

「......ふふん。そ、そっか。ちょっと嬉しいかも」

「そうなの? あ、フランちゃんはレナのことどう思ってるのー?」

 

 突然そう言われたからか、恥ずかしくて顔が熱く感じる。

 

 ──も、もしかして、顔赤くなってない、よね? へ、平常心......平常心を保たないとっ。

 

「べ、別に......大好き、だけど?」

「ほうほう。それは親愛的な方で? それとも恋愛的な方でかな?」

「も、もう! か、からかわないでよ......」

「にははー。その反応は恋愛的な方だよね! 私もお姉ちゃんのこと好きだから同じだねー」

「そ、それはどちらの意味かによって変わる気も......わふっ!?」

 

 何の前触れもなく、こいしは私に飛び込んできていた。

 

 ──あ、なんだか......暖かい。今にも眠ってしまいそうなくらい、暖かくて気持ちいいかも。

 

「私ねー。お姉ちゃんとはあまり遊べてないの。お姉ちゃんはいんどあで、私はあうとどあ、だからね。でも、そんなお姉ちゃんでもね。遊んでくれる時は、私の遊び方に合わせてくれるんだー」

 

 こいしの温もりを肌で感じながら、静かに目を閉じ、話を聞く。

 

「......お姉様達と同じだね。レミリアお姉様はお姉様と違って外で遊ぶのが好きな方だけど、仕事? っていうのがあるらしいから。あまり遊べないの。でも、遊んでくれる時は最後まで付き合ってくれるんだよね。もちろん、お姉様もね。お姉様は暇人だから、毎日のように遊んでいる気がするけど」

「ニー......自宅警備員って言うんだよね! 私知ってるよ!」

「んー、多分違うかなぁ......」

 

 その言葉を聞くと、何故か否定したくなる。お姉様の話なのに、まるで自分にも言われている気がするからだ。

 

「そっか。なら違うんだねー。あ。ルナー。起きてよー」

「ううん......何? まだ寝たーい......」

 

 こいしは私から離れると、次はルナに覆いかぶさるように顔をぺちぺちと叩いていた。

 

「えぇー! 仕方ないなぁ......お姉ちゃん達来るまで寝ちゃう?」

「もうすぐしたら来ると思うけど......でもなぁ」

 

 寝るよりも、まだ遊びたい。

 

 疲れて眠たいはずなのに、その気持ちだけが強くなっている。

 

「明日もまた遊びに行くよ?」

「......ふふっ、心でも読んだのかな? ありがとう。そう言ってくれて嬉しいよ」

「どういたしましてー。じゃ、寝よっかー」

「まぁ、うん。そうだね。寝よっか」

 

 私とこいしはルナを挟むようにして隣に寝転ぶと、すぐに目を閉じることになった────




余談ですが、ごく稀にレナータ等の絵を描いたりします。気になる方はpixivやTwitterにて投稿しているのでどうぞー。

次回からは異変のお話。霊夢視点が多くなるかな。稀にレナ視点もあるけどね

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