東方紅転録   作:百合好きなmerrick

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遅れてすいませんでしたm(_ _)m

最近遅れることが多いですが、できる限り間に合わせします。

今回は後編。


8、「地霊殿のお泊まり会 後編」

 side Renata Scarlet

 

 ──地霊殿

 

「お姉ちゃん達お待たせ〜」

 

 夕ご飯を食べ終える頃にはミアが地霊殿(ここ)に到着した。

 お出かけ好きなミアと会うのは、何気に二日ぶりだったりするのだが、元はと言えばミアはもう一人の私。そのせいか、久しぶりに会った、という感覚は全くしない。

 

「遅かったわね。今日は何処に行ってたの?」

「今日は妖怪の山巡りだよー。危うく天狗に見つかりそうになったり、河童と遊んだりして楽しかったよー。今度お姉ちゃん達も行く?」

「貴女ってチャレンジャーよねぇ。危なかっしくて心配になるわ......」

「大丈夫大丈夫! ここに来るのも本当はダメらしいし、お姉ちゃん達も割とチャレンジャーだからね!」

「大丈夫ではないと思うんだけど......?」

 

 確かに、前に霊夢か魔理沙に聞いたことがある。

 地上の妖怪は地底には行ってはいけないという、不可侵条約みたいなのを結んでいるんだとか。

 

 ──けど、バレなきゃ大丈夫だよね。バレても友達の家に遊びに行っただけなんだから、本当は咎められる謂れはない......はず。まぁ、ちょっとくらいはあるかもしれないけど......。

 

「さぁ、食事が冷えますよ。早く食べて、遊びませんか?」

「あ、そうだね。レナ。横失礼。それじゃぁいただきまーす!」

 

 そう呟くと、ミアは私の横に座り、ご飯をもぐもぐと食べ始めた。

 

 ──それにしてもよく食べるなぁ。お腹空いてたのかな?

 

「......お気に召したようで何よりです。えぇ、心を読む程度の能力ですよ。すいません。自動で読んでしまうもので......」

「ううん。自動なのは仕方ないからね。全然大丈夫だよー」

「そうそう。お姉ちゃんはいつもオドオドし過ぎー。もっと外に触れないとねー」

「そ、そうですか......? いえ、私よりも外に触れている貴女が言うのだからそうなんでしょうね」

 

 さとりは自分の妹に向かって、羨ましそうにも見える笑みを浮かべる。

 

 ──何か思うことでもあるのかな? ......それともただ単に、妹が羨ましいのかな?

 私もたまにあるし......。

 

「さぁて。ご飯食べ終わったら、みんなでお風呂入ろっか!」

「そうだね! お姉様! 今日は特別ってことで一緒に入ってもいいよね?」

「いつもお願いされれば一緒には入りますよ。ただ、早めに上がるだけで」

 

 私が前世が男だったはず、というのもあり、姉妹と一緒にお風呂に入るのは少し抵抗がある。一緒に寝る程度ならまだ問題は無いのだが、妹や姉の裸を見るのは恥ずかしくておかしくなりそうなのだ。

 

 ──それでもまぁ、長い年月を共に過ごしてきた成果もあり、短時間だけならフラン達は大丈夫だ。けど、お姉様は未だに慣れない。いや、慣れるのもダメだろうけど。

 

「えぇー! 今日くらいゆっくり一緒に入ろうよー!」

「そうよ、レナ。たまにはいいじゃない。それとも、何か悪いことでもあるの?」

「無いですけど......」

「あ、さとり様。お風呂上がりましたよー」

 

 お燐が大きな音を立てて扉を開け、部屋へと入ってくる。

 先にお風呂にでも入っていたのか、髪は濡れている様子だった。

 

 ──猫ってお風呂とか、水が嫌いなイメージがあるけど、お燐は大丈夫なのかな? 猫でも清潔に保つにはお風呂に入るしか無いし、しょうが無いか。

 

「あらそう。あ、悪いけど、お片付けお願いね。私達はお風呂に入っているから」

「いいですよー。じゃあ、ごゆっくりしてくださいねー」

「ありがとうね、お燐。あ、着替えとか大丈夫ですか? 無ければお貸ししますが」

「大丈夫よ。無くてもレナの魔法ですぐに取りに行けるしね」

「タクシーか何かですか私は......」

「お金払わない分いいよねー。あ、私一番最初に入るー!」

 

 結局はみんなで一緒に入ることになるのに、こいしはそそくさとお風呂へと向かって行く。

 

 ──って、ん? どうしてこいしはタクシー知ってるの......? ある意味怖いんだけど......。

 

「レミリアお姉様。お姉様をちゃんと連れてきてね。こいしー! 私も行くから待ってー!」

「あ......私も行く!」

 

 こいしにつられて、私の妹達も後を追うように走っていく。

 

「別に連れて行かれなくても、行くのですが......」

「......道に迷わずに着けばいいんですけど......」

「大丈夫じゃないかなぁ。あ、レナ。先に上がったらダメだからね?」

「はいはい。分かってますよ」

「ミア。そう心配しなくても大丈夫よ。さとり。お風呂まで案内よろしくね」

「はい、分かりました」

 

 さとりに案内され、私達はお風呂へと向かって行く。

 

 

 

 案内されたお風呂場の中には、既にフラン達が入っていた。

 

 地霊殿のお風呂はとても一人で入るような狭いお風呂では無く、まるで温泉かのように広い。さらに、男女別で分かれていることや、温泉によくある椅子付きのシャワーが複数あることもあって本当に温泉かと間違いそうになる。

 

「やっぱり広いのねぇ。紅魔館のお風呂よりも広い気がするわ」

「逆にこれ以外では取得が無いですけどね......。あ。足元にはお気を付けて下さい。滑るので」

 

 お風呂場の中では、フラン達が全員近くの椅子に座って体を洗っている。

 

 フランとルナの二人はシャワーを掛け合ったりして戯れている。

 すぐ横に居るこいしは珍しくその遊びには関わらず、我先にと体を洗っている。

 

「お姉ちゃんってば、それで一回転んだもんねー」

「こ、転んでいません! あれは、ちょっと滑っただけで......」

「あ、お風呂入っていいー?」

「突然話題が変わりますね......できれば体を洗ってからにして下さい」

「じゃぁ、もう洗ったから大丈夫だねー。やっふー!」

「あ、こいし──」

 

 姉の静止する声を無視して、こいしは浴槽の中へと勢いよくダイブする。

 浴槽の水は壮大に飛び跳ね、ほぼ満タンまで入っていた水は流れ出し、少なくなってしまった。

 

「痛ーっ! 頭打ったぁ〜......」

「この娘ったら......。こいし? 大丈夫なの?」

「うん! 大丈夫よー。あ、お姉ちゃんもしたいの? どいた方がいい?」

「やらないのでどかなくてもいいですよ。友達が来て楽しみたい、騒ぎたいという気持ちも分かりますが、程々にして下さいよ?」

「はーい!」

 

 元気にそう返事する辺り、反省をしている様子は無さそうだ。

 さとりもそう思っているのか、やれやれとした表情で体を洗いに向かっていた。

 

 ──フラン達がやりたそうな目で見ている気がするし、やらないように注意しとかないとなぁ。

 

「ねぇねぇ。お風呂の後は何かやったりするのー?」

 

 椅子に座り、体を洗っていると、突然、左隣に座っていたミアがそんなことを聞いてきた。

 

 もう片方の椅子には、お姉様が。そして、お姉様のさらに横にはさとりやフラン達が座っている。

 

「寝るくらいじゃないですかね」

「あら。それじゃ面白くないじゃないの。ねぇ、ミア」

「そうだよー。あ、恋バナでもする?」

「別に好きな人とか居ないので意味無いと思いますよ?」

 

 私は前世ではおそらく男だった。そのせいか、男性には恋心という興味は全く湧かない。いや、もしかしたらいつかは前世のことも全て忘れ、湧くようになるのかもしれないが。

 

「えぇー? お姉ちゃんのこと好きじゃないのー?」

「えっ? いえ、それは......大好き、ですけど......」

「あら。嬉しいわね。私も好きよ」

「あ、ありがとう、ございます......」

 

 まともにお姉様の方を見ることができない。目の前にある鏡により、顔が熱く、紅潮していくのが分かる。

 

「あれ、レナ? 大丈夫? ......あ、あぁ、いつものあれねー。そろそろ慣れればいいのに。

 そんなんじゃ、まだまだ先なのかなー」

「み、ミア......からかわないで下さい......」

「ん? レナがどうかしたの?」

「な、何でもありません......。あ、先にお風呂に浸かっていますね!」

 

 顔を近付けるお姉様から逃げるように、私は急いで浴槽へと入っていく。

 

「あ、お姉様が入るなら私も入るー」

「ようやくみんな洗い終わったんだね! 遅かったじゃないかー」

「こいしが早いだけだよー」

「......フラン。あまりくっつかないで下さい。狭いです」

「えぇー! そう言われると悲しいなぁー」

 

 フランの声は明らかに遊び半分で言っているが、顔だけは本当に悲しそうにしていた。

 

「......むぅ、そんな顔で見ないで下さい......。仕方ないです。少しくらいならいいですよ」

「流石お姉様ー。物分り良いねー」

「レナ。さっき、顔が真っ赤になってたわよ? 無理して長く入らないでよ?」

「あ、お姉様......。は、はい。大丈夫です......」

 

 お姉様がそう言いながら、私の横に入ってきた。後ろからは、ミアやさとりも付いてきている。

 

「それならいいけど......。貴女、無理し過ぎることがあるから心配なのよねぇ。

 あ、そう言えば久しぶりにお風呂に一緒に入るわね。......レナ?」

「......え、あ、そうですね。......お姉様。今日、久しぶりに一緒に寝ますよね。楽しみですか?」

「ふふっ、そうね。楽しみね。今日はミアやさとりも居るから、より一層楽しいでしょうね。けど、ごめんね。私は疲れてるからすぐ寝るつもりなのよ」

「あらま。そうですか......」

 

 お姉様と寝る時も話すことができると期待していたのだが、少し残念だ。

 だが、姉が疲れているなら仕方がないと割り切った。

 

「あー。なんだか頭がふらふらしてきたー。あ、私先に上がるねー」

「え? こ、こいし? それ大丈夫なんですか?」

「大丈夫大丈夫ー。私、強いからね!」

「こいしちゃんそれフラグ」

「回収速度そんなに早くないから大丈夫!」

「それいつか回収するってことだから大丈夫じゃないよね!?」

 

 何故か、こいしがミアと現代っ子のような会話をしている。

 

 ──ミアは分かるけど、こいしはどうして知ってるんだろう......。なんか普通に怖いんだけど。

 

「......まぁ、そろそろ上がってもいいわね。レナ。上がりましょうか」

 

 何気にお風呂でのお姉様に慣れてはきているが、まだまだ抵抗は多い。

 いつかは、完全に慣れているのだろうかと心配はあるが、それはまだ先の話だろう。

 

「......はい。そうですね」

 

 そんなことを考えながら、私はお姉様の促されるまま、お風呂を上がった────




寝る話や次の話が無いですが、特に何も起きないので割愛しました。申し訳ないです()

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