東方紅転録   作:百合好きなmerrick

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萃夢想終了までもう少し。
今回は霊夢編。
いやまぁ、吸血鬼姉妹と霊夢編しかないんだけど()


4、「『3日おきの宴会』 博麗の巫女編 前編」

 side Hakurei Reimu

 

 ──宴会前日 博麗神社

 

「おーい、霊夢ー」

 

 それは、とある夏の日。いつものように縁側でお茶を飲んでいる時に、魔理沙が箒にまたがって飛んできた。

 

「んー......あぁ......魔理沙ね」

「どうしたんだ? めちゃくちゃ怠そうだが」

「最近宴会が多いから疲れてるだけよ。後片付けもほとんど私だし......。

 で、話変わるんだけど、最近宴会多すぎない?」

「変わってないぜ。というか、今更だな。お前以外の奴はもう知ってると思うんだが......」

 

 ふーん、私以外の奴らは知ってる......って、はぁ? どういうこと?

 

「ちょっと、私以外は何を知ってるってわけ?」

「全部だ。あれだな。なんだかお前......ハブられてるみたいだな」

「何? 『夢想封印』して欲しいの?」

「あぁ、すまんすまん。っていうか、お前なら本当にやりそうだよな」

 

 まぁ、やるでしょうね。流石に、全力ではやらないけど。

 

「で、私以外の奴らは何を知ってるわけ?」

「すまないな。私は負けたから言えないぜ。そういう約束なんでな」

「ふーん......貴女も約束を守ることがあるのねぇ」

「おいおい、失礼だな。結構守る方だぜ? 私は」

「へぇー、よく言えるわねぇ」

 

 

 魔理沙のためにも、今度、鷽でも連れてこようかしら。

 いっぱい集まるでしょうし。

 

「まぁな。知りたいのなら、自分で探すことだぜ。多分、お前なら見つけれると思うからな」

「その根拠は?」

「お前の勘」

「根拠なんて無いのね。分かったわ」

「いやいや、お前の勘が根拠なんだぜ? 凄く当たるからな」

 

 そんなに当たるかしら? 普通だと思うんだけど......。

 

「ふーん、まあいいわ。それじゃあ、適当に探してくることにするわね。貴女は宴会の用意でもしといて」

「嫌だぜ。......って言っても、夜には宴会だしな。できる限りのことはしとくぜ」

「頼んだわよ。夜前には、咲夜や妖夢が来ると思うから、手伝ってもらいなさい」

「分かったぜ。夜前には、サボっていいんだな」

「誰もそうとは言ってないでしょ。貴女も働きなさいよ。幹事なんだし」

「幹事は盛り上げ役だぜ? だから私は働きたくないんだよなぁ」

 

 こいつ......まあいいわ。盛り上がっているのは確かに魔理沙のお陰だし。......人を集め過ぎてるのも魔理沙だけど。

 そのせいで、私がいつも忙しくなってるのも魔理沙のせいだけど。

 

「じゃあ、夜までには帰ってくるから」

「あぁ、待ってるぜ。あ、一つだけヒントをやろう。ヒントは『霧』だぜ」

「霧? ......まぁ、ありがとうね。それじゃあ、行ってきます」

「行ってらっしゃい。土産、期待してるからなー」

 

 最後に魔理沙のその言葉を聞いて、私は博麗神社から飛び立った──

 

 

 

 ──紅魔館(エントランス)

 

 色々な場所を回った結果、魔理沙のヒントの通り『霧』が関係していることが分かった。

 というか、いつかの異変のように、妖霧が出ていた。

 出現元も方向も種類も全く分からない妖霧。そもそも、霧のようなだけで、本当に霧なのかも不明だ。

 

「お邪魔しまーす」

「勝手に上がり込んで第一声がそれって......貴女、天然?」

 

 というわけで、一番怪しそうな奴の家に来た。

 

「逆に言いたい気もするわね。ほら、気付いているか知らないけど、妖霧が出ているでしょ?

 で、妖霧を出す犯人っていったらあいつかなー、と思ってわざわざやってきたのよ」

「ふーん......そういう事ね。で、お嬢様に何か用?」

「悪い事をしていそうなので懲らしめてあげようと」

「してそうだけで来るな。......しててもおかしくないけど」

 

 メイドにまでそう言われるなんて......あいつも信用低いわねぇ。

 

「まぁ、というわけで、あいつは何処に居るの?」

「はぁー......前にも言った気がするけど、あわせる訳が無いじゃない。

 今、お嬢様は妹様達とお遊び中。そんな時にここから先は通させないわよ」

「いいから、さっさとやられてくれない? 犯人があんたじゃ無いのは分かってるから」

「それも失礼な言い方ですわね。慌てなくても大丈夫、時間は無限にあるわ」

「明日の宴会までもう一日切っているのよ!」

 

 というか、もう昼過ぎなのよね。......そう言えば、ご飯、食べたかしら......。

 

「まぁ、今日の夜だから一日切ってるでしょうね。でも、私にとっての時間が無限なだけ」

「あんたはただの踏み時計。こうしている間にも犯人はのうのうと......」

「待ちなさい。『ずっと』前にも言った気がするけど、お嬢様にあわせる訳が無いじゃない」

 無限なのにずっと前なのね。でも何だろう。前にもこんな事があったような気がするわ」

「あったのよ。『あの時』も迷惑が突然押しかけてきて......」

「『あの時』も迷惑な霧が原因で......って『あの時』はこの後どうなったんだっけ?」

「ふん。こうなったのよ!」

 

 そう言って、咲夜が不意打ち気味に弾幕を放ったのだった──

 

 

 

 ──紅魔館(エントランス)

 

「そうか思い出したわ! あの時もこうなったのね」

「う~ん。また負けた......」

 

 結局、不意打ち気味な弾幕を受けても、咲夜に負けることはなかった。『あの時』と同じ結果になったのだった。

 

「さて、と......ほら、さっさと呼んで来なさい。メイドでしょ? お客を案内するだけが取り得のメイド」

「仕様が無いわね。でも、今回はお嬢様は何にもやってないですよ。ほんと。多分」

「ここまで来たら、後には引けないでしょ?」

「ちょっとは引かないと、いつか痛い目に会うわよ」

「次は痛い目ね」

 

 そんな無駄口を叩きながら、私は咲夜に案内され、レミリアの場所へと向かうのであった──

 

 

 

 ──紅魔館(フランの部屋)

 

「さぁ、出てきなさい! 居るのは分かってるわ」

「そりゃ居るでしょ」

「あ、霊夢。って、どうしたのです?」

「んー? 騒々しいわね。今日は宴会まで、この娘達と遊ぶつもりなんだけど? 何の用かしら?」

 

 レミリアが居るらしい、地下の部屋に着くと、中にはいつも通りの四人の姉妹が居た。

 流石に、これだけの数を相手にしていたら面倒ね。時間も無いし、なんとかレミリアだけ倒して霧を消させれないかしら?

 

「あんたを倒しに来て、ついでに番人も倒したんだけど」

「いい加減に目的を話すな! 全く意味が分からないじゃない」

「そうそう。あんたがこんな事した目的が分からないのよ」

「こんな事? 突然紅魔館に殴りこんできて......。逆に殴られてとぼとぼ帰ること? そんな事、私の知ったこっちゃないわよ」

「あれでしょ? あんた。明日の宴会、何か企んでるんじゃない?」

「まぁ、企んでるっちゃ企んでいるわね......」

「え? お姉様?」

 

 レミリアがそう言って、ちらりとレナの方を見た。

 ......なんか、大体分かった気がするわね。でも。そうだとしたら、この霧はどうして......。

 

「何でもないわよ。安心しなさい。で、それがどうしたの?」

「この辺一帯危険な妖霧が溢れてるのよ」

「妖霧? ......あぁ、なるほどね。そういうこと......」

「やっぱり、何か知っているみたいね。話しなさい」

 

 と言っても、どうせ碌でもない事なんだろうけど......。

 

「まぁ、それは言えないわね。残念だけど、約束だから」

「......あんたもか......。やっぱり、他に犯人が......」

「レミリアお姉様〜、早く話終わらせてよ〜」

「あぁ、ごめんね。まぁ、そういう事だから。早く帰ってちょうだい。私はそのことを知っているけど、犯人じゃない。

 宴会に現れるみたいだから、待っていなさい」

「んー......まぁ、もうちょっとだけ探すわ」

 

 これだけ探して、何の成果も得られなかったなんて嫌だし......。

 

「あ、咲夜」

「何?」

「今、魔理沙が神社で宴会の準備してるし、手伝ってあげてくれない?」

「まぁ、それくらいは......いいですよね?」

「いいわよ。宴会が始まらないのは困るしねぇ」

「では、失礼します。じゃ、私は神社に行くから、霊夢も早めに見つけて来なさいよ」

「はいはい。それじゃあ、お別れね」

 

 そう言って、私は紅魔館を後にしたのであった──

 

 

 

 ──博麗神社近くの森

 

「結局、夜になってしまったわ......。妖霧の出現元も目的も判らないし。こうなったら、宴会中に何か起きた時、その時解決しよう。

 今日は余りお酒飲まないようにしとこ......」

「うふふ。今日の宴会で何か起きるのかしら?」

「!?」

 

 声がした方向を振り返ると、そこには『スキマ』から顔を覗かせた紫がいた。

 

「さっさと宴会始めましょ? 大丈夫、今日も何も起きないわよ」

「そう? 既に何かが起こっている様にも見えるんだけど......」

「大丈夫、みんなが喜ぶお酒も持ってきたわ。度数九十度。直角ね」

 ちょっと待って。宴会に、あなたは呼んでいたかしら?」

「あら、呼ばれていたわよ~。前も来てたしね〜」

「私は知らないし、呼ばれてないな」

 

 多分、紫のことだから、本当に来ていたんだろうけど......絶対私に見つからないように来ていたわね、こいつ。

 

「もう、みんなして酷いわね。私だけ仲間外れかしら?」

「大体ねぇ。どこに棲んでるんだか良く判らないし。厄介ごと増やしてもなんだし」

「今度、私のお屋敷に案内しましょうか?」

 

 紫の屋敷......なんだか嫌な予感しかしないわね。

 

「というかねぇ、何企んでるのよ。この連続宴会も妖霧もあんたの仕業でしょ?」

「あらまぁ、呼ばれてもないのにそんな暇なことしないわよ」

「怪しすぎるわ。大体いつも怪しいのよ。呼ばれてもないのに出てくる。呼んでも出て来ないし......」

「あら、私を呼んだ事なんてあるの?」

「ない!」

 

 というか、絶対に呼びたくない。来て欲しくないわ。面倒事しか持ってこなさそうだし。

 

「まぁいいわ。もうすぐ夜が来るわ。あんまり意地悪するから、昼と夜を同時に楽しめるように空をいじっておいてあげたわ。

 今のまま夜が来れば、空は朝になるでしょう。日光と月光の境は私のもの、それでも夜宴ができるのかしら?」

「夜は......幻想郷のものよ!」

「ちょっとそれは間違いね!」

 

 こうして、私と胡散臭い妖怪の弾幕ごっこが始まった────




次回は日曜日の予定っすヾ(:3ヾ∠)_

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