今までなかなか書けなかった設定が入ってたりする。
side Renata Scarlet
──紅魔館(フランの部屋)
「レナー! まだなのー? 早く支度しなさーい」
「あ、もう少しお待ちをー!」
今、私は博麗神社に行くために準備をしている。と言っても、慌てて服を着替えてるだけなんだけど。
何故こうなってるかを一言で説明すると、魔理沙が博麗神社で宴会あると言いに来た。そして、お姉様がどうせならみんなで行こう、と言って早めに寝ていた私達を起こしたのだ。......あ、二言になったけど、まぁ、そういうことだ。
「もぅ、急に起こしたのに、早く支度しろ、だなんてレミリアお姉様も酷いよねぇ」
「まぁまぁ、お姉様も悪気がある訳では無いですし、逆に善意の行動なんですし......」
「ま、それもそうだけどさ。......っていうか、お姉様は自分の服着ないの?
ルナは無いからいいとして、お姉様は自分の服あるでしょ?」
「え、だって、自分の部屋まで取りに行くのも面倒臭いですし、魔法を使うとしても、魔力使うので結果的に変わらないので」
と言うか、今更な気がするけどね。一週間に四、五回はお姉様かフランの服を着ているし。
それに、自分の服はほとんどミアに貸してるしね。まぁ、ミアもお姉様かフランの服をよく着ているけど。
「そ、なら別にいいよ。でも、汚さないでよね? いつも咲夜が洗ってくれるから、あまり気にしなくてもいいとは思うけど......」
「......オネー様がフランの服借りてるなら、私はオネー様の服欲しい」
「ルナ、やめといた方がいいよ? お姉様の服、黒しかないから。意味分からないほど黒しかないから」
「他の色もありますからね!? ただ、黒が異常なほど多いだけで......」
本当にどうして黒が多いのか分からない。別に好きっていうわけじゃないのに、私の服は黒色がかなり多い。
いやまぁ、赤よりはマシだけどね。髪も翼も赤いのに、服まで赤は嫌だし。
「それでも、欲しい」
「着たいのではなく、欲しいというのに疑問がありますが、また今度、ミアに貰いに行きましょうか。
それよりも今は、早く支度しないと、お姉様に怒られますし」
「うん、分かった」
とまぁ、そういうわけで、私達は宴会の舞台、博麗神社に行くために準備を進めていたのであった──
──夜中 博麗神社
「よぉー、ようやく来たか」
「あ、魔理沙。呼んでくれてありがとね」
数十分程かけて、私達は博麗神社へとやって来た。
なお、美鈴は寝ていたので、咲夜にお留守と言われていた。いやまぁ、美鈴お留守なのはいつものことなんだけどね。
「あぁ、いいぜ。お前達も来たがってただろ? いや、私が呼びたかっただけか」
「ん、そうなの?」
「そうだぜ。宴会は多い方がいいからな」
確かに、見渡す限り、結構な数がいる。まぁ、いつもと比べての話だけど。
「まぁ、取り敢えず......今宵はお招きいただき有難うございます」
「あぁ、そんな堅苦しいのは別にいいぜ? 宴会ってのは楽しむものだからな」
「別に、貴女に言ったつもりはないわよ? 私は霊夢に言ったの」
「ああ、そうかい。あ、今の植物の名前だぜ。亜阿相界」
「へぇー、そんな植物があるの?」
「あぁ、あるぜ。お前達の図書館の本にも載ってると思うから、見とくといいぜ」
それにしても、人間の数が少ないね。神社の宴会なのに。見たところ、霊夢と魔理沙と咲夜しかいないみたい。
「ちょっと、どうして呼んでもいないのに、こんな数が来るのよ......。しかも、全員妖怪だし......」
「あぁ、私が呼んだからな」
「......はぁー、怒る気力もないわ。咲夜、ついでに料理作るの手伝いなさい。奥で妖夢にも手伝ってもらってるから」
「まぁ、いいわよ。お嬢様。お嬢様もそれでよろしいでしょうか?」
「えぇ、いいわよ。呼んでもらった恩もあるし、手伝ってきなさい」
「私は呼んでないんだけど?」
「私が呼んだからな。仕方ないな」
こうして、宴会が始まった。
私達以外の他の参加者は、今まで霊夢と魔理沙が異変を解決していた時に倒された人達ばかりだ。
それ以外にも、気になって来たのか妖精が多い。
「じゃぁ、私達も飲みましょうか」
「えぇ、そうね。こあ、持ってきたワインを」
「はいはーい。あ、お嬢様もいれましょうか?」
「えぇ、お願いするわ。あ、こあ。レナ達にもいれてあげて」
そう言って、お姉様が私達にも、持ってきたグラスを手渡した。
「はーい。ささ、妹様達もどぞどぞ」
「あ、ありがと。じゃ、カンパーイ!」
「こういう時に言うものだったかしら......まぁ、いいわ。乾杯」
こうして、私達、紅魔館組も飲み始めた。
違う場所では、幽々子と紫、その式神達が一緒に飲んでいたり、アリスと魔理沙が二人で飲んでいたりしている。
「じゃ、お姉様。どんどん飲んじゃおうねー」
「え、え? そんなにいれられても......」
「レナ、ここはフランの言う通りにして、飲もっ?」
「え、ミアまで......何か企んでいるのですか?」
「え? 何も?」
「私、知らない」
うん、あからさま過ぎないかな? 絶対よからぬ事を考えてるに──
「あ、手が滑ったー」
「え? あっ、ムゴッ!?」
「え、レナ!?」
突然、フランがそう言って無理矢理私にワインを飲ませてきた。
そして、その後何が起きたかは、何も覚えていなかった────
side Remilia Scarlet
──博麗神社
「ゴクゴクッ......ぷはっ!」
特に何も特別なことが起きずに終わるかと思われていた宴会はフランとミアによって変えられた。
突然、フランとミアがレナにかなりの量のワインを飲ませたのだ。
「......うん、やっぱり早いね。流石レナ。期待を裏切らないね」
「ちょ、ちょっと、レナ!? 大丈夫!? 貴方達! 何をして──」
「......おねぇさまぁ! フラン達がいじめるー!」
「え? あ、ちょ、ちょっと!」
レナは、顔を真っ赤にして私に泣きついてきた。
それにしても、よくあれだけワインを飲まされて無事に......いえ、明らかにおかしいから無事ではないわね。
「グスッ、おねぇさまぁ......。フランが、フランが......うぅ、うわ〜ん!」
「え、え!? ちょっと!?」
「レナって泣き上戸なのね。じゃぁ、私も泣き上戸なのかな?」
「私は酔いにくいから別にねぇ」
「あらあら、レミィも大変ね」
「ちょっと!? パチェ、レナはどうしちゃったの!?」
いつもなら、こんなことで泣くはずないレナが泣き出した。
それに、私から全く離れようとしない。
「それはもちろん、酔ったのよ」
「お姉様、私よりもお酒に弱いからねぇ。ま、泣き上戸になるのは予想外だったけど。私は積極的になるのを期待してた」
「私は面白ければ何でもよかった。反省はしてないし後悔もしてない」
「貴方達!? 特にミア! 貴女はねぇ!?」
「おねぇさまぁ......慰めて......?」
レナが半分泣きながら、上目遣いでそう言ってきた。
あれ、何か......心臓がドクンって......あれ、何この娘超可愛い。
「......あ、えぇ、よしよし、可哀想にね......」
「グスッ......えへへ、おねえさまぁ......」
「......やっといてアレだけど、なんだか羨ましいわ」
「おねぇさま好きー。ふりゃんのバカー」
「お姉様、噛んでるよ。っていうか、もう色々とおかしくなってない?」
「貴方達のせいだけどね!?」
「あれね。幼児退行ってやつね。まぁ、貴方達の見た目からして、中身と外が一致しただけにも......」
「貴女も地味に失礼ね!? 取り敢えず、貴方達の得意な魔法でどうにかならないの? 視線を感じて辛いんだけど......」
レナが泣いていたせいもあり、周りからの視線を感じて恥ずかしいし辛い。
まぁ、未だにレナが私に抱きついているせいもあるんだろうけど。......まぁ、それは可愛いから良しとしましょうか。
「無理ね。そんな魔法知らないわ。知ってたとしても、面白いからしないわ」
「そう、なら仕方......って、えぇ!? 貴女もなかなか酷いわね!?」
「うーん、私もお姉ちゃんの役に立てる魔法は知らないかな〜。
って言うか、私もワイン飲んで同じようにお姉ちゃんに抱きついて、同じようによしよしってされたい」
「するのはいいけど、今は視線が辛いから嫌だわ。絶対私、変な目で見られてるわ」
「大丈夫よ。元から変な目で見られているから」
「そう、ってそれはどういうことよ!?」
「おねぇさまぁ、もっとよしよしー」
「あぁ、はいはい。よしよし。......ってこれ、この娘が後で見たら精神的に辛そうね」
多分、レナが後で知ったら、恥ずかしくなって、部屋から出てこないようになる気も......まぁ、そこはフランとルナがいるから何とかなるかしら。
「んー、まぁ、大丈夫だと思うよ? レナって見た目よりも精神的には強い......と思わせて、実は強くないから一週間は出てこないかもね」
「ダメじゃないの! はぁー、そうなった時は、ミア、フラン。貴方達が何とかしなさいよ。
って、ルナ? さっきから全然喋ってないけど、どうしたの?」
「んー......ひっく、何でもないよ〜......ひっく」
「あぁ、これはダメね。酔ってるわ。やっぱり、私達も弱いみたい」
「まぁ、静かな分まだいいわよ」
「おねぇさまぁ、うるさいの、いや?」
「いえ、別に嫌ではないわよ。だから、安心しなさい」
「お嬢様、お待たせしました。......えーっと、大丈夫ですか?」
いつの間にか、咲夜が料理を片手に戻ってきていた。
これ......食べれるかしら? まぁ、ご飯は先に食べてきたし、私はそこまで食べないからいいけど。
「大丈夫よ。いえ、大丈夫ではないわね。視線とかが辛くて」
「いえ、微笑ましい光景でいいと思いますよ」
「......それにしては、さっきから紫辺りに笑われている気がして嫌なのよね」
「まぁ、微笑ましい......ですから」
「それ、違う気がするけど?」
それにしても、食べにくいわね......。まぁ、たまにはこんな宴会もいいか。
もう二度とレナにワインは飲ませないけど。
こうして、私達の宴会は続いていくのであった────
ちなみに、これからもレナにお酒を飲ませる妹達の姿があったとか()