東方紅転録   作:百合好きなmerrick

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お待たせしました。無事、テストが終わったrickです()
今回は5章最後の話です。次回から6章

の前に、いつの間にか、お気に入り登録者数200突破、総合評価300突破したので、久しぶりの番外編と日常編があります()
まぁ、この話は後書きで......というわけで、13話、始まりまする。


13、「『春雪異変』EX後編 猫と狐とBB(ピチューン)」

 side Hakurei Reimu

 

 ──冥界

 

「うぅ、寒いわね......。いえ、寒気がする、かしら?」

 

 じゃんけんに負けたせいで、私は二度目の冥界探索へとやってきてしまった。

 冥界はすでに春になったらしいけど、幽霊とかが居るだけで寒気がする。

 これじゃあ、今の幻想郷と変わらないじゃない。

 

「あ、見つけたわ! ここで遭ったが百年目。今日は憑きたてのほやほやだよ!」

「どの辺がほやほや?」

 

 冥界に入ってからしばらく飛んでいると、どこかで見たことがある猫が飛んできた。

 確か、日用品を貰った時にいた猫のような......まぁ、どうでもいいわね。

 取り敢えず、温まるためにも、体を動かすついでに倒しちゃいましょうか。

 そんなことを考えながら、私は弾幕を放ち始めた──

 

 

 

 ──数分後 冥界

 

「うん、ちょっとはマシになったわね」

 

 弾幕を撃たずに、温まるために弾幕ごっこをしてみた。

 相手との力差もあったせいか、意外と上手く出来るものだ。

 敵は倒せたし、体もあったまったし、一石二鳥とは、こういう時にも使えるのね。

 

「それにしても、あの猫、どうしてこんな場所に居たのかしら?

 前に見た時は、妖怪の山にあった迷い家に居たはずなのに......」

 

 こいつの使い手が元凶なのかしら? それとも、偶然ここに居ただけ?

 

「まぁ、どっちでもいいけど、あの世くんだりまでやってきて、目標が居なかったら退屈だわ」

「おお? これは珍しい。こういう人間もこんな所にいるんだ」

 

 猫を倒した後、時間もそこまで経たないうちに次の妖怪が飛んできた。

 容姿は、金髪のショートボブに金色の瞳を持ち、その頭には角のように二本の尖がりを持つ帽子を被っている。

 さらに、腰からは金色の狐の尾が九つ、扇状に伸びている。

 服装は長袖ロングスカートの服に青い前掛けのような服を被せた、どっかの門番と出身が同じような服だ。

 この妖力、この尻尾とあからさまな帽子の尖がり......九尾の狐かしら。はぁー、面倒臭い相手ね。

 

「こういうって何よ」

「見ての通り、赤かったり白かったりで目出度い人間」

 

 む、なんだか癪に障る奴ね。

 力の強い妖怪ってこういう奴が多いのかしら? いや、妖怪だからか。

 

「......猫の次は狐。いつからここは畜生界になったんでしょ」

「あ、お前が橙に酷い目に遭わせた人間だな」

 

 あら、唐突に聞いてくるわね。まぁ、こういう時は知らない振りをするのが一番ね。

 

「そうだっけ?」

「橙は私の式神。今は回復して、もっと強くなっているわ」

「......強かったっけ? って、あんたの式神? あんたが式神じゃないの?」

「私も式神。ご主人様はまだお休みですわ」

 

 まさか、九尾の狐が式神ですって? 九尾の狐を使役する使い手......只者じゃなさそうね。

 はぁー、嬉しくない誤算だわ。でも、目的はこいつに変わりないんだし、別に関係ないか。

 

「やっぱり、あんたが目標ね」

「何か用?」

「それはもちろん、冥界と顕界の境を修復......って、よく考えたら直接用があるのは、あんたの使い手のような気もしてきた」

「ご主人様は冬眠中ですが」

「起こして」

「私は護衛でもあるわ。私の式神に酷い目を負わすような人を、ご主人様に会わせる訳がない。

 ここは、今度は強くなった橙にやられるがいいわ」

 

 あ、これは正直に言った方がいいかしら? ......まぁ、このまま黙っていても、どうせバレるだろうし......言っちゃうか。

 

「あぁ、猫なら、さっき遭ったけど......」

「なんだって? それでどうなったのよ」

「特に何も無かったかの様だったわ。強いて言うなら、体が温まってよかった」

「......まぁ、橙は病み上がりだから」

 

 この式神......とんだ親バカね。いや、式神バカ? まぁ、どっちでもいいか。

 あれね、強い奴は大体身内が可愛い過ぎるものなのね。どっかの吸血鬼達と同じように。

 

「さっきは、回復したっていってた癖に」

「ふむ、ここは、私が橙の仇を取らなきゃいけないみたいね」

「さすがに、式神を倒せば使い手も冬眠から目覚めるかしら」

「ご主人様は、春眠も暁を覚えずよ」

「まあ、取りあえずは目の前の障害から」

「私は橙とは桁が違くてよ、色々と」

 

 

 まぁ、確かに色々と桁が違うみたいだわ。......色々と。

 そんなことを考えているうちに、九尾の狐から弾幕が放たれた──

 

 

 

 ──約一時間後 博麗神社

 

「あぁー、疲れたー」

「あら、思ったよりも早かったわね〜」

 

 結局、あの九尾の狐を倒しても、使い手である狐の主人は出てこなかった。

 なので、勝者の特権ということで、また夜に来るからそれまでにご主人様を呼ぶ、ということを約束させた。

 

「お帰りなさい。食事の用意が出来ましたよ」

「......は?」

「......あ、最後の文は幽々子様に対して言ったことなので、霊夢は気にしなくても──」

「気にするわよ! 何勝手に人の家の物でご飯なんて作ってるのかしらね!?」

 

 この半人半霊め......唯でさえお金や食料が少ないっていうのに......!

 とか思いながら、妖夢の頭をグリグリとした。

 

「い、痛い! 痛いからやめ、止めて! ゆ、ゆるイタタタタ!」

「許すわけないでしょ! 人の家のを勝手に使いやがって!」

「もぉー、妖夢ったら。あれほど怒られるから止めときなさいと......」

「幽々子様が何とかするからやれって! い、イタタタタ!」

「ついでだから、主人の分も貴女が受けなさい!」

「なんで!? あ、イタタタタ!」

「......ふー、気がすんだわ」

 

 しばらくの間、妖夢の頭をグリグリし続けた結果、妖夢が痛そうにして頭を押さえながら、隅で項垂れることになった。

 

「うぅ......幽々子さまぁ......」

「あら、そんなに痛かったの? 霊夢、次からはもう少し力を抑えなさい」

「もうしないで下さいよ!?」

「あぁ、分かった分かった。次からはこうなる前に止めなさい。貴女が」

「うっ、味方がいない......」

 

 ......ちょっとやり過ぎたかもしれないわね。まぁ、それはそうとして、今帰ってきてよかったわ。

 食料は......まぁ、こいつらに買わせばいっか。

 

「......で、どうして貴女は帰ってきたのかしら? もう倒したの?」

「いえ、まだよ。っていうか、貴女。九尾の狐が暴れ回ってるなんて聞いてなかったんだけど?」

「まぁ、言ってなかったから」

「あぁ、そうね。言ってなかったわね。......で、あの狐の主人のことは教えてくれないの?」

「そうねぇ......ま、秘密ってことで」

「まぁ、そう言うとは思ってたけど!」

 

 思ってても、実際に言われると腹立つわね。

 取り敢えず、夜まで待つしかないから......。

 

「妖夢。ついでに私の晩ご飯も作りなさい。あ、拒否権はないから」

「えぇ!? ゆ、幽々子さまぁ!」

「まぁ、仕方ないわよね。じゃ、頑張ってね〜」

「ど、どうして私ばっかりぃ......」

 

 こうして、私は妖夢の料理を食べ、この異変、最後の決戦へと向かうのであった──

 

 

 ──数時間後 冥界

 

「さて、さっき会った場所はもうすぐね......」

 

 十日前までは、一日のうちに二度も冥界に行くなんて思わなかったでしょうね。

 でも、それも今日だけ。これ以上、冥界に行くこともないだろうから、本気で元凶を倒しに行くとしましょうか。

 あ、丁度いいわね、あの狐が見えてきたわ。

 

「お待たせ」

「また来たの? 今日はもう疲れたし、そろそろ寝ようと思っていたのに」

「約束通り、夜に来たわ」

 

 こうして、おそらく式神の中でも最強クラスの妖怪との弾幕ごっこが始まった──

 

 

 

 ──数分後 冥界

 

「ふぅー......やっぱり、狐は強いわね。あんなのを使役してるなんて、一体どれだけ......」

 

 ふと、背後から寒気がした。今まで感じたことがないような寒気。

 幽々子やその他の幽霊とはまた違った寒気......元凶か。

 

「......そろそろ、本命が出てきてもいい頃だわ。こんなにも闇が深いし」

「出てきましょうか?」

 

 やはり、背後から声が聞こえてきた。

 気配なんて、つい先ほどの寒気を感じるまで全く感じなかった。

 やっぱり、元凶か。

 

「ほら、出てきました」

「あ、丁度いいところに出てきた」

 

 背後に現れた者は、姿は人間と全く変わらないが、人間でないことがその妖力によって分かった。

 容姿は髪先をいくつか束にしてリボンで結んでいる金髪のロング。瞳は紫色だ。

 服装は紫にフリルの付いたドレスを着ている。

 この妖力に、この気配......只者ではないことが容易に理解出来た。

 

「あなたが、私の藍を倒した人間ね。あなたみたいな物騒な人間が居たら、おちおち寝ても居られないの」

「全然、起きてこなかったじゃない」

「今は起きているの。そんなことより、あなた......」

「はい?」

「博麗神社のおめでたい人じゃないかしら」

 

 やっぱり、強い妖怪って言うのは、こういう奴が多いのね。まぁ、それでも厄介にならなければいい奴もいるんだけど。

 厄介ごとを持ち込むのは強い妖怪ばかりっていうのが......。

 

「前半はそうで、後半はそうじゃない」

「あ、そうそう。博麗の結界は、北東側が薄くなっているわ。あのままだと、破れてしまうかも知れない」

「あらそう、それは危険だわ。わざわざ有難うございます」

「いえいえ、私が穴を空けてみただけです」

「って、引き直しておきなさい! 所詮、妖怪は妖怪。妖怪の始末も後始末も、人間がやることになるのね」

 

 やっぱり、前言撤回。妖怪は厄介しか持ち込まないわ。

 

「あら、あなたは気がついていない?」

「え? 何が?」

「今、ここ白玉楼の私の周りは妖怪と人間の境界が薄くなっていることに。

 ここまで来た時点で、人間の境界を越していることに」

「いいから、その境界も引き直してもらうわ。元々、目的はあんたに冥界の境界を引き直させること。

 そこに来て、一つや二つ結界が増えても変らないでしょ?」

「一つや二つ......結界は、そんなに少ないと思って?」

 

 そう言って、目の前の妖怪が妖力を垂れ流し始めた。

 やっぱり、やるしかないわよね。

 そんなことを考えているうちに、弾幕ごっこは始まったのであった────




で、日常編と番外編、6章1話(本編)について......うん、多いねぇ( ´ ω ` )
明日(土曜日)に番外編を、日曜日に本編を、日常編は水曜日辺りに投稿します。
なお、新規投稿予定の小説も日曜日に投稿予定なので、日曜日はこの作品以外にも......。
まぁ、取り敢えず頑張ります。

ではまぁ、お気に入り登録者の皆様、閲覧者の皆様。読んでくださり、有難うございますm(_ _)m
これからも頑張りたいと思います!

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