東方紅転録   作:百合好きなmerrick

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この話は、ただ自分が書きたかった作品です()

題名通り、ただの日常編()


11、「吸血鬼の次女 風邪を引く」

 side Renata Scarlet

 

 ──紅魔館(レミリアの部屋)

 

「んー......あ、あれ、お姉様......?」

 

 異変を解決し終えた次の朝。

 目を覚ますと、目の前にはお姉様の姿があった。

 そう言えば、昨日はお姉様に呼ばれて、そのまま寝たんだっけ? 頭がモヤモヤするし、痛いしでよく思い出せない......。

 

「それにしても、まだねむゴホッゴホッ!」

 

 喋ろうとした瞬間、咳が出た。

 ......あぁ、なんだか久しぶりの感覚だ。何百年ぶりだろう?

 

「ゴホッ、ゴホッ......はぁー......」

 

 私、風邪引いちゃったんだ。

 よく考えてみると、喉も痛いし、体がだるいし、鼻が詰まっているし......って、よく考えなくてもこれ風邪じゃん。

 んー......魔法で何とか......って、風邪を治す魔法とか知らないや......。

 

「と、とにかく、自分の部屋に......あ、痛っ! うぅ......」

 

 お姉様に風邪を移さない為にも、部屋から出ようとした。が、ベッドの段差につまづき、毛布を巻き込みながら転んでしまった。

 

「うーん、寒いわね......って、あら? 何してるの? 大丈夫?」

 

 そして、お姉様の毛布を巻き込んでしまったせいか、お姉様が起きてしまった。

 

「あ、お姉様......。ごめんなさい、起こしてしまって......」

「それはいいわよ。それよりも、顔が真っ赤よ? それに、転けたようだし......大丈夫なの?」

 

 え、顔真っ赤になってるの? そう言えば、風邪と自覚したせいか、さらにしんどくなってきた気が......。

 とにかく、ここでお姉様に嘘言ってもすぐにバレそうだし、これ以上何かを話すのも疲れてきたし......正直に言っちゃうか。

 

「それが......少し風邪を引いてしまったみたいなので......自分の部屋に戻ろうとしたら、こんなことに......」

「あら、珍しいわね。吸血鬼である貴方が風邪なんて......。っていうか、どうして自分の部屋に戻る必要があるのよ。

 ここで寝なさい。自分の部屋に戻るのも疲れるでしょ?」

「い、いえ! 私は大丈夫です! それよりも、お姉様に風邪を移しては──」

「気にしないの。今は貴方の方を優先しないと。風邪、辛いでしょ?」

 

 うっ、確かにそう言われると辛いとしか言えない......。

 でも、お姉様に移したくないし......。

 

「レナ、私なんて気にしなくていいのよ。それよりも、自分の体のことを気にしなさい」

「お姉様......お姉様も自分の体のことを気にした方がいいですよ。特にむ──」

 

 そう言いかけた途端に、お姉様の拳が私の顔を掠めた。

 

「レナ、それ以上言ったら、怒るわよ? 風邪を引いてるなら、何も喋らずに早く寝なさい」

「うぅ......お姉様もフラン達も気にしすぎです......」

「貴方が気にしなさすぎなのよ。大体、貴方の方が小さいから。私が一番だから。

 そんなことよりも、貴方、饒舌になってない? 風邪を引くとそうなるものなの?」

「え? 一番はフランとルナな気が......」

「そっちはもういいわよ! それよりも、私の質問に......いえ、これ以上喋らすのはダメね。色んな意味で。

 さ、もう寝なさい。咲夜に風邪を引いた時の......アレ、なんて言うんだっけ? ほら、貴方が前に言ってた風邪を引いた時に食べるアレ」

 

 風邪を引いた時に食べる物? ......色々あるけど、やっぱり私はおかゆが一番好きかな。というか、前世でも風邪を引いた時はそれしか食べてなかった気がするくらいだし。

 

「......おかゆですか?」

「あ、そうそう、それよ。......後、どれくらい高いかも調べておかないとね。レナ、少しだけ、じっとしてて」

「え? あっはい」

 

 そう言って、お姉様は私の額にかかってる髪をどけ、お姉様が顔を近付け、私の額に自分の額を当てた──

 

「──え? あ......」

「ん?どうしたの? ......って、また顔が赤くなってるわね。それに、熱も高いみたいだし......やっぱり寝てた方がいいわよ。

 私は咲夜にその......あ、おかゆね。おかゆを作ってもらうように言ってくるから」

「......あ、はい。分かりました」

 

 そう言って、お姉様は部屋を出ていった。

 特に何もすることがない私は、お姉様のベッドを借りて、寝ることにした──

 

 

 

 ──数十分後 紅魔館(レミリアの部屋)

 

「オネー様!」

「ルナ、静かに! お姉様、風邪引いちゃったんだって!? 大丈夫!?」

 

 寝ていると、騒がしい妹達が入ってきた。

 騒がしいのはいつもならいいけど、今日はちょっとやめて欲しいかも......。頭に響くし。

 でも、まだ子供なんだし、騒がしい方がいいのかな。って、私も子供だけどさ。

 

「うぅ、頭に......。大丈夫ですので、部屋に戻っていて下さい。風邪が移ると大変です」

「あ、ごめんなさい。......でもでも、レミリアお姉様は看病する為に今日はずっとここに居るって言ってたよ」

「だから、私達も居ていい?」

「......ダメです。看病はお姉様だけで充分ですので......移らないうちゴホッ、ゴホッ」

「あ、大丈夫!?」

「入るわよ。って、貴方達、部屋に戻ってなかったの? ......あぁ、そういう事ね。まだ秘密にしてればよかったわ」

 

 そう言って、お姉様が部屋に入ってきた。

 

「むぅ......私達だってお姉様の看病したいの。ねぇ、いいでしょ?」

「遊びじゃないのよ。今日は諦めなさい。......って、言ったところで諦めるわけないわよね......」

「うん。私達は平気。『子供は風邪の子』って言うし」

「ルナ、多分それ間違って覚えてますよね。『風の子』ですからね? それに、それは、子供は寒風の中でも遊び回れるもの、とか言う意味ですからね?」

「え、そうなの? ま、それよりも、私達、お姉様と一緒に居たい」

「はぁー......それなら、レナがご飯食べ終わるまでなら居てもいいわよ。その後は、自分の部屋で遊んでいなさい。

 さ、レナ。おかゆを持ってきたわよ」

 

 そう言って、お姉様がおかゆとスプーンを渡してきた。

 地味に熱いし、テーブルとか何か置けるものが欲しかったけど......まぁ、持ってきてくれただけでも有難いよね。

 

「ありがとうございます。......ふー、ふー......熱っ」

 

 いつもならこれくらい熱くないのに......風邪を引いたからかな? まぁ、美味しいからいっか。

 

「ゆっくり食べていいわよ。少しくらい居ても、そう簡単に風邪は移らないと思うし」

「......そう言えば、レミリアお姉様。咲夜は?」

「咲夜はここに来ないように言っといたわ。あの娘は人間だし、吸血鬼でもかかる風邪が人間にでも移ったとしたら......」

「あぁ、うん。なるほどね。でも、咲夜よりもパチュリーの方が危ない気がするけどね」

「......確かにそれもそうね。パチェにここに来ないようにだけ言ってくるから、貴方達はレナに迷惑かけないように待ってて」

「え、今の私じゃこの娘達が暴れたら......って、出るの早い.....,」

 

 お姉様は私の話が言い終わる前に出ていってしまった。

 もしも、フランとルナが暴れたら......うぅ、想像したら、頭が痛くなってきた......。

 いやまぁ、流石に大丈夫だよね? そこまで子供じゃないよね?

 

「......オネー様。食べさせてあげる」

「え、遠慮します。と言うか、近付いたら移ってしまいますよ?」

「大丈夫。そんなに簡単に移らないよ。多分。

 それに、オネー様に移されるなら、別にいい」

「何がいいのか全く分かりません。フラン、ルナを止めて下さい。......もうこれ以上は頭が......」

 

 あまり喋っていると、咳が出るし、頭を少しでも使うと頭が痛くなるし......妹とちゃんと話せなくなるとか、風邪って嫌だなぁ。

 

「あ、うん。ルナ、今日はやめとこ。お姉様、本当にしんどそうだし、いつもみたいな無茶は出来ないみたいだから」

「はーい......。お姉様、早く元気になってね」

「......はい、もちろんです。早く元気になりますね」

「じゃ、そう言うことで、お姉様。私が食べさせてあげる」

「あ、フラン! 抜け駆けダメ! 私が食べさせてあげるの!」

「えー、私がやるのー。......あ、お姉様は私かルナ、どっちがいい?」

「え......」

 

 これってどう足掻いても最悪な結果になる選択なんじゃ......。い、いや、どっちも断れば......いや、どうせ諦めないから無理か。

 それなら、他の選択肢を......あ、そうだ。

 

「......あ、交互でいいんじゃないでしょうか?」

「......ま、それもそうだね。じゃ、ルナからでいいよ」

「ん、ありがと。じゃ、オネー様。あーん」

「え、そんな子供みたいに......はぁー、あーん」

 

 そう言って、先ずはルナに食べさせてもらった。

 うん、味は変わらないはずなのに、さっきよりも美味しい。

 

「どう? 美味しい?」

「はい、美味しいですよ。さ、次はフランですよ」

「うん! じゃ、ルナ、貸して貸して」

「ん、はい、どうぞ」

「ありがと。じゃ、先ずは冷ましてあげるね。ふー、ふー......」

「そこまでしなくても......いえ、ありがとうございます」

 

 折角の好意を断るのも失礼だし、ここはフランに甘えますか。

 

「ふふ、お姉様も素直になってくれてありがとね。じゃ、口開けて」

「はい。あーん......」

 

 そうして、フランにも食べさせてもらった。

 やっぱり、美味しい。......どうしてなのかな?

 

「入るわよー......あら、お邪魔だったかしら?」

「あ、お姉様。いえ、お邪魔ではありませんよ。それにしても、早かったですね」

「まぁね。偶然、廊下で会ったのよ。パチェもお見舞いに来ようとしてたみたいよ。......あ、それと、パチェから溶けない氷を貰っわ。

 パチェが、これで冷やしなさい、って」

 

 お姉様にそう言われ、その氷を受け取った。

 うん、少し冷たすぎる気がする。まぁ、無いよりはマシだよね。

 

「ありがとうございます。......お姉様も食べさせてくれませんか?」

「え? ......まぁ、貴女がそれでもいいなら。フランとルナもそれでいいかしら?」

「ま、お姉様が言ってるならいいけど......私達にも言って欲しかったなぁー」

「うっ、すいません......」

「ふふ、冗談だよ、冗談。お姉様がレミリアお姉様大好きなのは知ってるしねー」

「え!?」

 

 その言葉を言われた途端、自分の顔が耳まで真っ赤になるのを感じた。

 い、いやまぁ、姉妹として好きって意味だよね? 家族愛とかの意味だよね?

 

「え? レナ、どうしたの? また赤くなってるけど......早く食べて寝た方がいいかしら。じゃ、早速。

 ふー、ふー......はい、あーん、ってして」

「え、あ......あーん......。あ、美味しいです......」

「そう? 良かったわ。咲夜もそれを知ったら喜んでくれると思うわよ」

「......レミリアお姉様って鈍感。これなら、私がお姉様を......」

「フラン、抜け駆け、ダメ」

「はいはい。ルナもお姉様達好きだもんねー」

 

 こんなことがあり、私が初めて風邪を引いた日が終わった。

 

 この風邪は一週間くらい続いたが、毎日のようにフランとルナが来て、お姉様が看病してくれた────




最近、モチベが下がってきた気がするから、他の小説書いてみたりしている(なお、こちらもGL、吸血鬼タグがある模様())

次回は日曜日。次回の妖々夢EX編を終えると、次章に行く予定です

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