東方紅転録   作:百合好きなmerrick

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いつの間にか、総合評価が200超えてました。閲覧者の皆様、ありがとうございますm(_ _)m
さて、総合評価は......小説内のキャラの1日だった......よね?(あやふや)
まぁ、そういう訳で、次は美鈴の1日かな

さて、今回から二つ目の異変。なお、『紅霧異変』よりは短くなったり、戦闘描写少なくなったりします()


6、「『春雪異変』の始まり」

 side Hanasaki Reimu

 

 ──博麗神社

 

 とある日。もう五月だと言うのに、まだ雪が降る寒い日。

 

「......今日も寒いわねぇ」

 

 外には一面の銀世界。私は、あまりの寒さに布団でくるまっていた。

 

「霊夢ー! 異変だぜ!」

 

 そんな時、騒がしい白黒の魔法使いが、私がいる部屋へと襖を開けて入ってきた。

 

「あぁ、うん。じゃ、解決よろしく」

「えっ、どうしたんだぜ? いつもみたいに、一緒に解決しに行こうぜ!」

「はぁー、分からないの? こんな寒い日に外に出るなんて有り得ないわ。それに、異変を解決しに行ったのは一回だけでしょうに」

 

 普通、こんなに寒い日は家でゴロゴロするものなのに。外に出るなんて有り得ないわ。

 

「それに、異変って何よ?」

「勿論、春なのに雪が降ってることだぜ!」

「そんなの、冬が例年よりも長く続いてるだけでしょ」

「ふふふ、そう思うだろ? これを見てみろよ」

 

 そう言って、魔理沙はポケットから桜の花びらを取り出した。

 

「......これ、何なの?」

「見て分からないか? 花びらだぜ。多分、桜のな」

「そんなのは分かってるわよ。これがどうしたって言うのよ」

「おかしいと思わないか? 幻想郷中は雪が降っていて、とても桜が咲けるような場所はないぜ。これは明らかにおかしい。絶対に異変だぜ」

 

 異変ねぇ......前の異変から、まだ半年くらいしか経っていないのに......。

 こんなに早いペースであると、流石に博麗の巫女でも疲れるじゃない。

 

「じゃ、魔理沙。異変解決は貴方に任せるわ。私は寒いからここから動きたくない」

「はぁー、我が儘な奴だなぁ。......そうだ。霊夢、私はこの桜の花びらが異変に関係していると思っている」

「......それがどうしたのよ?」

「分からないか? 花びらがあるってことは、桜があるってことだ。そして、桜があるってことは、そこは桜が咲くのに適している場所ってことだ」

「......なるほどね。要するに、そこはここよりも暖かい場所かもしれない......と」

「そうだぜ。お前は寒いのが嫌いなんだろ? それなら、暖かい場所に行こうぜ! そのついでに異変を解決するってことにしようぜ!」

 

 まぁ、必ずしも暖かい場所とは限らないけど......この異変を解決すれば、元の暖かい季節に戻るかもしれない。

 はぁー、めんどくさいけど、行くしかないわね。

 

「仕方ないわね。行きましょうか」

「やっと分かってくれたか! よし、霊夢! 何処に黒幕がいるか分からないから、お前の直感だけが頼りだぜ!」

 

 ......まさか、その為に? 異変を起こしている黒幕が何処にいるか分からないから、私の直感に任せようと思ったのかしら?

 私の直感は万能ではないんだけど......まぁ、いいわ。どうせ異変を解決するまで春は来ないんだろうし、やるしかないわね。......と言うか、早く終わらせて帰ってきたいわ。

 

「はいはい。それじゃぁ、行くわよ」

 

 私はそう言って、雪が降る銀世界へと飛び立った────

 

 

 

 

 

 side Izayoi Sakuya

 

 ──紅魔館(レミリアの部屋)

 

 最近、おかしいことが起きている。

 この幻想郷では、今の時期は春だと言うのに......まだ雪が降っている。

 いい加減、春が来てくれないと貯蓄がねぇ。

 

「......どうしましょうか」

「あら、咲夜? どうしたのかしら?」

「あ、いえ、何でもありません。ただ、早く春が来てくれないと、そろそろ食料や暖を取る薪が......」

「あぁ、確かにそうね。......もしかしたら、異変かもね」

「異変......ですか?」

 

 異変と言えば、半年ほど前にお嬢様が起こしたのと同じのよね? ......春が来ないのが異変......確かに有り得るけど、そんなことをして、一体誰が、どんな得を......。

 

「そう、異変よ。そう言えば、昨日、フランが桜の花びらを持ってきたわ」

「さ、桜の花びら? ですが、今の季節、花が......ましてや桜なんて咲くのですか?」

「だから異変なのよ。......そうだわ! 咲夜、異変を解決して来なさい」

 

 ......え? 今、お嬢様は何て言ったの? 異変を? 私が?

 

「ですが、私はメイドです。それも、吸血鬼である貴方様の」

「そんなの関係ないわよ。貴方はメイドである前に一人の人間。異変を解決するのは人間よ。ね? 何も問題ないわ」

「ですがお嬢様──」

「ですが、じゃないわよ。私は大丈夫よ。行ってきなさい」

「されどお嬢様──」

「咲夜。これは命令よ。行きなさい。そして、異変を解決しなさい」

 

 全く、お嬢様の我が儘にはいつも困らされる。......だけどまぁ、たまにはそういうのも良いかもしれない。

 

「......分かりました。では、行ってきます」

「行ってらっしゃい。あ、マフラーとかは忘れちゃ駄目よ。外は寒いからね」

「えぇ、分かりました」

 

 こうして、私は異変を解決する為に、雪が降る外へと出ていった────

 

 

 

 

 

 side Renata Scarlet

 

 ──紅魔館(フランの部屋)

 

「......フラン、ルナ。外に行きません?」

「んー、急にどうしたの?」

 

 雪が降る五月のある日。私は昨日、桜の花びらを見つけた。

 これは、おそらく『春雪異変』が始まる予兆、もしくは既に始まっていると言うことだろう。そして、フランとルナが異変を解決してみたいと言っていた。

 こうなると、私が取る行動は一つしかない。......妹を連れて、異変を解決しに行く。まぁ、普通は妖怪が異変を解決とかおかしいけど、私は元人間だし大丈夫だよね。まぁ、多分だけど。

 

「異変を解決しに行きたくはありませんか?」

「え!? 異変!? 起きてるの!?」

「起きてるなら、行きたい。でも、どうして分かったの?」

「それは勿論、これですよ」

 

 そう言って、私は一枚の桜の花びらをポケットから取り出した。

 

「花、びら? お姉様、これがどうしたの?」

「はい、桜の花びらです。雪が降る季節に、普通は桜なんて咲きません。多分ですけど」

「うん、一気に信用度が下がったけど、続けて」

「咲かないはずの桜の花びらがある......これは、絶対に異変です。一〇〇パーセントの確率で異変です」

「......フラン、どう思う?」

「なんか、お姉様が子供みたいで可愛いなぁ、って思った」

 

 えっ、思ってた反応と違う......。それに、私が子供みたい? フランとルナの方が子供っぽくて可愛いのに? ......確かに、お姉様が子供みたいになったら可愛いとは思うけど、妹に子供と言われるのは心外ね。私は姉なんだし。

 

「......お姉様? 聞いてる?」

「え? あ、すいません。何ですか?」

「聞いてなかったのね。もしも異変だったとして、その黒幕は何処にいるか分かるの?」

「......いえ、分かりません」

「あ、やっぱり? 分からないなら、どうしようもないよね?」

「うぅ......確かに......」

 

 流石に、何処に冥界があるのかは分からない。これは......どうしたら......。

 

「じゃ、オネー様。霊夢や魔理沙について行けば? あの人達も異変を解決する為に、黒幕を探しているんでしょ? なら、一緒に行けば見つからない?」

「......あ、その手がありましたね。ですが、霊夢が動いているかどうか微妙ですね。あの人、魔理沙から聞いた話ですと、めんどくさがり屋らしいですし」

「ま、そんな雰囲気だったよね、初めて会った時も。でも、動かないならそれでもいいよ。魔理沙なら、動いているだろうし」

 

 まぁ、確かにそれもそうだけど......博麗の巫女が解決しなくていいのかな? まぁ、吸血鬼である私達が異変を解決しに行こうとしている時点でおかしいけど。絶対にバレたら怒られそうだけど。まぁ、バレないように頑張らないとね。

 

「まぁ、確かに魔理沙に頼ればいいですね。魔理沙なら、協力してくれそうですし、先ずは魔理沙の家に向かいましょうか」

「うん、そうだね。......お姉様、レミリアお姉様に言わなくてもいいかな?」

「いいと思いますよ。ちょっと家を空けるだけですし」

「へぇー、ちょっと家を空けるの? どうしてかしら?」

「え? げっ、お姉様......」

 

 いつの間にか、扉が開けられ、お姉様が部屋に入ってきていた。

 どうしてこんなに運良く......私、なにかに呪われてたりするのかな?

 

「げっ、って何よ? 何か私に聞かれたら、不味いことでも話していたのかしらねぇ?」

「え、い、いえ、何も話していませんよ? ねぇ、フラン、ルナ?」

「うん。ただ、異変解決しに行こうとか言ってただけだよ」

「ふーん、異変をねぇ......妖怪である貴方達が......」

「ちょ、ちょっとフラン! お姉様にバレたら、怒られるかもしれないのですよ! だから、お姉様に隠そうと......あっ」

 

 うん、何故かデジャヴ。お姉様、笑顔だけど何故か怖い。絶対怒ってるよね? これ怒ってるよね!?

 

「......お姉様、先に謝ります。妖怪なのに異変を解決しようとしてごめんなさい」

「え? どうして謝るのよ。別にいいわよ、それくらい。ただ、私に秘密で行こうとしたのは許せないわねぇ」

「うわぁ......レミリアお姉様のあの顔、笑顔だけど絶対に怒ってるよね」

「......レミリアオネー様、お姉様をあまり怒らないで」

「......まぁ、いいわよ。異変を解決しに行っても。ただし、レナは帰ってきたら、私の部屋に一人で来るように」

「うぅ、はい......」

 

 絶対、帰ってきたらお仕置きされる。嫌という程お仕置きされる。......うぅ、帰りたくない......でも、帰りたい......。何だろう、この矛盾......。

 

「レミリアお姉様、あまりお姉様をいじめないでよね。私のなんだから」

「フラン、前半部分は嬉しいですが、後半部分は......いえ、やっぱりいいです。これ以上言うと、フランにもお仕置きされる気しかしませんし」

「ま、オネー様は私のだもんね。それよりも、レミリアオネー様からお許し出たし、行こっ?」

「......やっぱり、レナ、貴女も苦労してるのね。その、色々と」

 

 お姉様から向けられる視線が辛い。......フランもルナも、こうは言ってるけど、冗談だからね? お姉様、本気にしないでね?

 

「まぁ、それじゃぁ、行ってきなさい。......あ、そうそう。咲夜も行かせたから、会ったらよろしく頼むわ」

「あ、咲夜も行ったのですね。ということは、咲夜にも会わないとダメですね」

「まぁ、頑張って合流しなさい。......それにしても、少し静かになるわね。早く帰ってきなさいよ。まぁ、私はパチュリーがとでも待っておくから、寂しくはないけど......」

「レミリアお姉様って強がりよね。ま、そんなの昔からだからいっか。それじゃぁ、行ってきます」

「ではまぁ、フランとルナはお任せ下さい。絶対に守っていますので」

「えぇ、頼んだわね。......行ってらっしゃい」

 

 こうして、私達は、初めての異変解決の為に、一面に広がる銀の世界へと、飛び立ったのであった────




次回は金曜日。番外編は水曜日となります

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