東方紅転録   作:百合好きなmerrick

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遅れてすいませんm(_ _)m

今回は、題名通りです。


4、「次女達の地底探索」

 side Renata Scarlet

 

 ──地底(入り口前)

 

「ミア、本当に大丈夫なのですか?」

 

 二月半ば、普段よりも少し暖かい冬のある日。

 私はミアと一緒に、地底の入り口まで来た。理由は、ルネとか何してるのか気になる、ってことらしい。

 まぁ、本当は地底に興味があるだけなんだろうけど。ミアって、好奇心旺盛な方だし、一度だけでも行ってみたいのだろう。

 

「大丈夫だよ。ほら、 私達には能力があるでしょ?」

「ま、まぁ、そうですけど......地底と言ったら、鬼とか私達よりも強い妖怪が沢山いるのですよ? 地上の妖怪だとバレたら......」

「まぁ、確かに妖怪同士で何か取り決めとかしてるらしいけど? そんなの、私達には関係ないじゃん」

「いえ、私達も妖怪なので関係はありますよ」

「え、そうなんだ」

 

 確か、地上の妖怪は地底に入っちゃダメで、地底の妖怪は地上に行っちゃダメなんだよね。まぁ、こいしみたいに、バレなければ大丈夫なんだろうけど。

 

「......ミア、何かあったらすぐに帰りましょうね。安全第一なので」

「うん、それは分かってるよ。あ、その『何か』の判断はレナに頼むね。私だと、まだもう少し居たい、とかなるだろうしね。最悪、無理矢理連れて帰ってもいいからね?」

「そこまでわかっているのなら、無理矢理連れて行かれるような状況にしないようにして下さい......」

「あははー、まぁ、私はそう言う性格だから仕方ないね。......さて、行こっか。早く帰らないと、お姉ちゃんが大変だろうしね」

「お姉様なら大丈夫だと思いますよ? フラン達も、お姉様に迷惑をかけるようなことはしないと思いますし」

 

 今、フランとルナはお姉様に見てもらっている。フラン達は、私達と一緒に行きたいと言ってたけど......危険だから、フラン達に気付かれないように、お姉様に見てもらっているうちにここまで来た。

 帰ったら怒られるだろうけど......フラン達が危険な目に合うのに比べたら、それでもいいか。

 

「......そう言えば、行くと言っても、何処に行くのですか?」

「え? ......そう言えば、何処に行く? ルネとか何処にいるか知らないや......」

「......もう、帰りません?」

「えー、それは嫌。んー、あ、さとりのところに行かない? さとりなら、ここのこと詳しいだろうし」

「さとりと面識無いのですが? 妹のこいしならありますけど......」

「それなら大丈夫でしょ。まぁ、多分だけど」

 

 ......ぐだぐだだなぁ。まぁ、それでもいいや。ミアと二人きりで出かけるなんて、これが初めてだと思うから、楽しまないとね。

 地底で楽しむなんて、どうすればいいのか分からないけど。

 

「それにしても、かなり深い大穴だねー。真っ暗で何も見えないや。

 さ、能力を使って行こうか。暗くても妖怪には見えるだろうから、慎重に行こうね」

「はい、そうですね」

 

 こうして、私達は地底の入り口である、奥深い大穴へと入っていった──

 

 

 

 ──地底(旧都)

 

 私達は、旧都まで来ることが出来た。

 ここに来るまでに、橋姫棺桶に入った娘や土蜘蛛らしき娘の横を通ったけど......まぁ、バレてないみたいだから大丈夫かな。

 正直、ちょっと話してみたかったけど......。

 

「レナ、鬼が沢山いるね」

「見つかったらやばそうですよね......。ミア、絶対に私のそばを離れないで下さいね?」

「うん。逆に私のそばを離れないようにしてね? レナって方向音痴だし」

「え、そんなに酷くないですよ?」

「フランとルナが言ってたけど? 真っ直ぐ歩くだけでいいのに迷子になった、って」

「うっ......口止めするのを忘れていました......。取り敢えず、はぐれないようにはしましょうか。ミア、手を繋ぎましょう」

「ん、分かった。......あ、あれって星熊勇儀じゃない?」

「え? あ、本当ですね」

 

 ミアが指差す先には、金髪ロングで頭には赤い角が一本生えている鬼がいた。私と同じ赤い目に、服装は体操服のような服にロングスカートをはいている。

 それにしても、どうして体操服? まぁ、似ているだけで、本当は違うんだろうけど。

 

「まぁ、今はやり過ごした方がいいよね。......なんだか近付いたら気付かれそうだし、少し距離を置こっか」

「はい、そうで......あれ? あの人、こっちを見ていません? あ、完全に気付かれる逃げましょう。絶対に絡まれると面倒ですよ、あの人は」

「うん、それは分かる。じゃ、逃げよっか」

 

 幸い、まだ距離はあるし、完全には気付かれていない。多分、そこに何かがいる気がする、程度にしか思っていないだろう。

 能力を使っているはずなのに......鬼ってやっぱり恐ろしい。

 そんなことを考えながら、旧都を後にして、地霊殿へと向かった──

 

 

 

 ──地底(地霊殿)

 

 なんとか鬼に気付かれることなく、ここまで来ることが出来た。......のだが──

 

「レナだよね? 遊びに来てくれたの!? 嬉しいわ! ......それにしても、どうして二人に増えてるの?」

 

 ──こいしがいた。そして見つかった。

 いやまぁ、ここはこいしの家なんだし、いてもおかしくはないんだろうけどさ......。年中ふらふらと外を歩き回ってる娘だよ? どうして運良く......まぁ、いた方がさとりと会話しやすいからいいんだけどね。

 

「えーと......レナ、能力使ってたよね? どうしてバレたの? と言うか、もう家の中だからいいけどさ、外だと絶対に死んでたよね?」

「死にはしないとは思いますよ? それと、バレたのはこいしの能力とかのせいでしょう。私は悪くありません」

「んー、何の話? ま、別にいいや。それよりもさ、何して遊ぶ? 私、かくれんぼとか得意だよー!」

「すいません。今日はさとりに用があって来たのです」

「あ、そうなのね。残念。で、お姉ちゃんに用があるのね。私も今帰ってきたところだから、お姉ちゃんに会いに行こうと思ってたんだよね。さ、私についてきてー!」

 

 そう言って、こいしが走っていった。......なんだろう。こいしがフランみたいに危なかっしくて心配だ。

 こいしとフランってそこまで似てない気がするのに......やっぱり、妹だから? ま、それよりも、今はこいしを追わないと。

 

「レナ、早く。こいしを見失うよ」

「あ、待ってください」

 

 こいしについていくと、こいしがとある部屋へと入っていった。

 そして──

 

「お姉ちゃん!」

「ひゃっ!? こ、こいし!? いつからそこに居たの!?」

「お姉ちゃんのびっくりした顔おもしろーい! ねぇねぇ、もっとやってー!」

「い、嫌です!」

 

 ──等という、会話が聞こえてきた。

 うーん......何故だか昔を思い出すなぁ。

 

「......レナ、入っていいと思う?」

「いいんじゃないでしょうか?」

「そう? じゃあ、レナが先に入って」

「え、まぁ、いいですけど。......失礼します」

「え!? あ、ゴホン......はい、貴方達は......どちら様でしょうか?」

 

 部屋に入ると、こいしの横には、薄紫のボブに深紅の瞳を持つ少女がいた。

 服装は、フリルの多くついたゆったりとした水色の服装をしており、下は膝くらいまでのピンクのセミロングスカート。

 頭の赤いヘアバンドと複数のコードで繋がれた、こいしと同じような第三の目が胸元に浮いている。唯一違うことと言えば、その瞳が開いていることだ。

 

「私はレナ。レナータ・スカーレットです。まぁ、見ての通り、吸血鬼です」

「私はミア。よろしくね」

「ふむ、私は古明地さとりです。レナと言うと......少し前に、こいしから聞きましたが、そのレナですか?」

「あ、そのレナですね。あの時は、助かりました」

「いいよいいよー。迷子になってる娘を私は放っておけない質なのよねー」

「こいし、嘘はいけませんよ。......今日はどのようなご用件で? いつもなら、聞かなくても分かるのですが、貴方達は少し特殊なようなので......」

 

 片目をしばらく閉じた後に、さとりがそう言った。

 あ、自動で能力がかかっている私達の心は読めないのか。......そう言えば、どうやって自動の方は消すんだろう? やっぱり、出来ないのかな?

 

「いえ、読めないわけではないですよ。どちらかと言うと、読みにくいのです。それに、私には少し理解出来ないのもありますし......」

「あ、理解出来ないのは深く考えない方がいいよ、絶対に」

「それは逆に気になりますけど......まぁ、こいしもお世話になったことですし、いいでしょう」

 

 いやまぁ、お世話になったのはこっちの方なんだけどね。

 

「......それにしても、面白い方達ですね。心と外で、口調が違うとは......。それで、話を戻しますが、どのようなご用件でこちらに来たのですか?」

「あ、私達はルネと言う吸血鬼を探しているのですが、何処にいるか分からないので、何処にいるか知ってそうな貴女に会いに来たのです。ということで、ルネと言う吸血鬼が何処にいるか知りませんか?」

「ふむ......すいません。私は色々あって、少し引きこもっている状態なのです。なので......おや、『そう言えばそうだった』と......本当に不思議な方達です。私の能力はともかく、どうしてそこまで知っているのでしょうか?」

 

 まぁ、それは前世でね......って、これ言ったらダメなやつか。今のは聞かなかったことにしといて。

 

「え、あ、はい。分かりました。......よく分かりませんが、とにかく、お役に立てず、すいません。あら、いいのですか? そう言ってくださると嬉しいです」

「お姉ちゃん、一人で話してるみたいだから、変な人にしか見えないよ?」

「こいし、お願いですから、それだけは言わないでください。この方達も、そうは思っていても、口に出さないように、我慢していたのに......」

 

 うん、それバレてるのなら、言ってるのと変わらないや。

 

「......さとり、最後に一つだけいいですか?」

「え、えぇ、いいですよ。......ふむ、って、え? 遊びにですか? いいです......って、貴方達、地上の妖怪だったのですか!?」

「あれ、こいしから聞いてないの?」

「いえ、全く......。てっきり、旧都で迷っていた時に出会ったものだと......。地底には、地上の妖怪は来てはいけない取り決めになっていますし......」

 

 あぁ、こいしは何処で会ったとかは言わなかったのね。......

 

「あ、私達が来ているのは秘密にしといてね? 妖怪の賢者とか、お姉ちゃんに怒られるのは嫌だしね」

「確かに、お姉様に怒られるのは嫌ですね。怖いですし......」

「まぁ、面倒事を起こすつもりは無いみたいですし、いいですよ。ただし、出来る限りここに来るのは......おや、転移魔法? それなら一直線でここに来れると......まぁ、バレなければそれでもいいですよ」

 

 ふぅ、良かった。これで怒られずにすむね。......あ、何処に行ったとか聞かれたら、やばい気がした。あれ、最悪、フランとルナとお姉様の三人に怒られない? ......ま、まぁ、何とかなるよね、うん。

 

「それと......こいしをこれからもお願いします。この娘、いつもふらふらとしていて、危なかっしいですから......。本当は」

「はい、勿論いいですよ。私も、フラン達をこいしと遊ばせたいですし......」

「ふむ、精神年齢的に同じくらいの娘と遊ばせたいのですね。確かに、こいしもふらふらしてますし......って、あら? こいしは?」

 

 え? ......あれ、本当にいない。さっきまで居たはずなのに......。

 

「いつの間にか居なくなっていますね。気付きませんでした......」

「ま、まぁ、このように、いつもふらふらしていますから、よろしくお願いしますね」

「はい、分かりました」

「うん、任せてよ。......それじゃあ、また遊びに来るね。今度はお姉ちゃんやフラン達を連れてくるからね」

「はい、またお会いしましょう」

 

 こうして、私達はさとりと別れ、来た道を引き返して行った。

 そして、地霊殿の入り口まで来た頃に──

 

「......そう言えば、これからどうします? ルネが何処にいるかは分からないですけど......当ても無く探してみます?」

「んー......流石に、当ても無く探して、見つかるとは思えないからな〜」

「じゃ、帰ろうよー。私も貴方達の家に行ってみたい!」

 

 ──声がした方向を見ると、そこにはこいしがいた。

 

「え? ......あ、こいしじゃないですか。何処に行ってたのですか?」

「え? んー......どっか!」

「そ、そうですか......。ミア、こいしもこう言ってることですし、もう帰ります?」

「まぁ、行くあてもないしねー。じゃ、帰ろっか。レナ、私が『抜け道』を作っていいよね?」

「はい、いいですよ。こいし、一応聞きますが、私達の家に来ますか?」

「うん! 早く行こー」

 

 んー......なんでだろう? 限りなく心配だ。まぁ、帰る時は勝手に帰るだろうし、そこまで心配しなくてもいいんだろうけど。

 

「レナ、こいし。出来たよ。じゃ、先に入っとくから、早く着いてきてねー」

「あ、じゃ、私が次入るー!」

「......騒がしくなりそうですね」

 

 こうして、私達は紅魔館へと戻っていった──

 

 

 

 ──紅魔館(フランの部屋)

 

 館に帰ってくると、初めにお姉様の部屋へ行った。お姉様とルナがいたが、詳しく説明すると、怒られずにすんだ。

 しかし、ルナには、後でフランが怒るだろうから今は何も言わない、と言われた。それも、目が笑っていない笑顔で。正直、怖かった。

 そして、問題のフランの部屋へと向かった。

 

「あ、お姉様! 帰ってきたのね! 良かった......思ったよりも時間が経ったから、心配したの......」

「あれ? ......あ、いえ、心配をかけてすいません」

 

 思ってたのと違う。てっきり、心配をかけたから怒られると思ってたのに......。

 

「ねぇねぇ、お姉様。今度から約束してくれない?」

「え? な、何をです?」

「私を置いて何処かに行く時は、必ず私に言うって......約束守れる?」

「フラン......はい、守りますよ。必ず」

「よかった。......後、もう一つ約束してくれない?」

「勿論いいですよ。どんなことでも守ってみせます」

 

 その時、フランの口が三日月のように歪んだ。

 

「そう......どんなことでも守るのね? じゃ、明日、一日だけでいいから私の言いなりになってね? あ、断ることなんて出来ないからね?

 今、お姉様が言ったんだから。どんなことでも守る、ってね。お姉様も知ってる通りは悪魔との契約は絶対に破れないからねー。これで、明日、お姉様は私のものねー」

「......え?」

「あ、そこまで難しい命令はしないから安心して。ただ、私の言いなりになるだけでいいから。これは、今日、私を置いていった罰よ」

「あのぉ、フラン? 冗談ですよね? と言うか、冗談と言ってください、お願いします」

「あ、そう言えば、さっきこいしがいたよね? 今日、ルナはレミリアお姉様と一緒に寝るらしいから、一緒に寝るかどうか聞いてくるね」

 

 ......話についていけない。と言うか、どうしてこいしが居るの知ってるの? もしかして、帰ってきてからずっと見られてたとか? それとも、ミアが言ったのかな? いつの間にか居なくなってたし......。

 ......もういいや。どうせ、約束は破れないし......うん、諦めよう、色々と。

 この後、こいしが部屋に来て、一緒に寝ることになった。

 それにしても、こんなに寝顔が可愛いのに、悪魔みたいなことを......。まぁ、それも可愛いからいいや。

 そんなことを考えながら、私は瞼を閉じた────




次回は木曜日の予定。次は遅れないはず......。

ちなみに、次の話の中心はこいしと末妹達です。
次の日、レナさんがどうなったかはご想像にお任せします()

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