東方紅転録   作:百合好きなmerrick

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今回はフラン戦。レナ戦は長さの都合上、次回となりました()

なお、戦闘描写が下手すぎて、会話の方がメインになっている模様()


10、「『紅霧異変』EXその2 悪魔の妹」

 side Hakurei Reimu

 

 ──紅魔館(図書館)

 

「ここよ」

「ふーん、図書館って言うだけあって、本当に本が多いわね」

「いや、それでも多過ぎるだろ......」

 

 扉を開いた先は、数えるのも馬鹿らしくなる量の本が置かれた図書館だった。

 確かに図書館とは言っていたが、流石にここまで広いとは思っていなかった。

 

「あ、魔理沙。ちゃんと巫女さんも連れてきたのね」

「レミリアオネー様もいる!」

「おかえりなさいです。お姉様も帰ってきたのですね」

「あら、フラン、ルナ。ただいま。みんな行くと暇だったから、私も帰ってきたのよ」

「......妹って三人居たのね。前に話を聞いた時は、二人だった気がするんだけど......」

「あぁ、それは気にしないで。一人や二人、違っても問題ないでしょ?」

 

 いや、妹なんだし、数も少ないんだから、違ったら失礼でしょ。

 まぁ、別にいいけど。違っても特に問題は......ないわよね?

 

「......まぁ、何でもいいわ。弾幕ごっこしたら、帰ればいいだけだしね」

「それでもいいが、ちゃんとやれよ? まぁ、やらなければ死ぬかもしれないからやるしかないけどな」

「......まぁ、そうね。はぁー、やっぱり、妖怪を相手にするのは嫌ね。人間でも強いのは嫌だけど」

「お前も強い人間なんだけどな。さて、どうするんだ? ルナシィもやるのか?」

「ルナは出来ません。ルナは吸血鬼(フラン)と同じように生きることによって、生きる為に必要な魔力を少なくしています。なので、その少ない魔力を使うようなことは出来ないのです。

 まぁ、吸血鬼の身体能力はフランと同じくらいありますから、肉弾戦なら出来ますけどね。

 勿論、傷ついて欲しくないので、許可はしませんけどね」

 

 勿論、妖怪の決闘はここでは禁止されているから、私も許可を出さないけどね。

 

「そっか。それなら仕方ないな。ん、と言うことは、お前ら二人が相手でいいのか?」

「そう言うことになりますね。まぁ、勿論、一対一ですけどね。二対二ですと、私のスペルカードはフランを巻き込んでしまいそうですし」

「あんた、密度とかが凄いのは使わないでよね。避けにくいから」

「それは保証出来ません。特に切り札は」

「なら、その切り札を使わないようにしなさいよ」

「えぇっ!? せ、せっかく考えてきたのにですか!? それが無いと、ミアと一緒に放つスペルカードもないので、残りは十個しかないのですが!?」

 

 そう言って、レナと言う吸血鬼が、悲しそうな目つきで訴えてきた。

 まぁ、それでも嫌なものは嫌だけど。死にたくないし。

 

「死にたくないから嫌よ。それに、それでも充分よ」

「そ、そうですか......」

「お姉様、後で私が遊んであげるから、気を取り直して」

「フラン......ありがとうございます」

「まぁ、そんなことは置いといてだな。どっちがどっちの相手をするんだ?」

「私はどっちでもいいわよ」

 

 どうせ、同じくらいの力を持っているんでしょうしね。

 

「では、フランが先に魔理沙と相手をしてくれませんか? 魔法の補助の為に作った『ソロモンの指輪』の分の魔力を回復させたいのです」

 

 レナがそう言って、自分の手を見せた。その手の人差し指には、指輪がついていた。

 

「うん、分かったよ。じゃ、そう言うわけだから、魔理沙、お相手お願いね」

「あぁ、いいぜ。じゃ、早速始めようか」

 

 そう言って、魔理沙は箒に乗って、フランは普通に宙へと浮かんだ。

 それにしても、ここでやっても、本は大丈夫なの? ......まぁ、レミリアは何も言わないみたいだし、大丈夫か。

 そんなことを考えているうちに、魔理沙とフランの弾幕ごっこは始まった────

 

 

 

 

 

 side Kirisame Marisa

 

 ────紅魔館(図書館)

 

「じゃ、やるよー! ルナ! これがスペルカードだよ! しっかり見ててね! 『禁忌「クランベリートラップ」』!」

 

 最初のスペルカードは、私とフランの周りに、数個の魔法陣が現れ、縦横に移動させつつ私を狙った弾を発射させると言うものだった。

 弾幕の密度は少ないが、油断していると、後ろから来た弾幕に当たりそうだ。

 などと考えながら、それもしっかりと注意して避けていく。

 

「へへんっ! これくらいなら余裕だぜ! ほらっ! お返しだぜ!」

「え、うわっ!? あ、危なかった......ちょっと、魔理沙! せめて何か言ってから弾幕撃ってよ!」

「まぁまぁ、当たらなかったからいいじゃないか」

「よくない! 当たったらお終いなんだからね! 最後までちゃんとやらせてよね!」

 

 まぁ、弾幕ごっこはスペルカードを全て攻略しても勝ちだしな。最後までやらせるか。

 

「まぁ、いいぜ。だが、当たりそうになったらスペルカードは使うからな?」

「んー、ま、それはいいよ。最後を見ずに終わるのも可哀想だしね。じゃ、次ね。『禁忌「レーヴァテイン」』! それっ!」

「なっ!? 直に狙うか普通!?」

 

 次のスペルカードは、赤い剣のような物をフラン自身が振り回すと言う、簡単なものだが、逆に避けるのが難しいものだった。

 さらに、その剣が振られた後には、小さな赤い弾幕が配置されて動くから余計に避けづらくなる。

 

「んー、惜しかったなぁ。ま、いいや。それそれっ!」

「うわっ! おいおい、そんなに振り回すと危ないぜ?」

 

 そう言って、フランが適当に振り始めた。振る事に、ブォン、と言う音が響き渡る。

 適当に振ったとしても、振った後には弾幕も配置される為、逆に狙って振るよりも避けるのが難しくなる。

 狙われた方がどこからくるか分かりやすいからな。まぁ、難易度高い方が楽しいけどな。

 

「大丈夫。少し離れているから、お姉様達には当たらないし、ここの本には耐火とか色々ついているから。だから、思いっきり振れるよ!」

「会話中に振るなよ! っ! ちっ、小弾も厄介だな」

 

「ねぇねぇ、オネー様、私にも弾幕ごっこ出来る?」

「しばらくすれば、出来るようになりますよ。今でもそうですが、フランは妖力をあまり使わないので、その身体が完全に吸血鬼の身体になれば、妖力もフラン並になって使えるようになりますので」

「ふーん、そっか。それならオネー様とも遊べるネ」

「ふふ、えぇ、そうですね」

 

 ......なんか呑気な会話が聞こえる気がするなぁ。こっちは命懸けだってのに。まぁ、楽しいからいいけどな。

 

「魔理沙! お姉様達の会話は気になるかもしれないけど、よそ見はしないでね。

 と言うか、よそ見してたら死んじゃうよ? 『禁忌「フォーオブアカインド」』、今から、私は増えるからね。

 頑張ってね?」

「ん? どういう、えっ」

 

 そう言って、フランは魔法陣を展開し、四人に増えた。

 レナがやっていたのと同じ魔法には見えないな。ただの分身か? それなら──

 

「あ、これはただの分身とかじゃないからね。全員攻撃出来るから」

「なるほど。ただの分身ではないんだな。......なかなか厄介だぜ」

「ま、そう言うことだから、頑張って避けてね! みんな魔理沙を狙って!」

 

 フランの言葉と同時に、全員が一斉に赤い小弾を放ってきた。

 時折、少し大きめの色々な弾幕を放ってくる。

 

「おっと、これはやばいな、っ! あ、危なかったぜ」

「ちっ、もう少し左だったらなぁ」

 

 危うく、直撃しそうになった。今も本当にギリギリ避けれているくらいだ。長く避け続けるのは危険だな。

 ......それなら──

 

「......流石に、四体一はキツいぜ! フラン! 本体はしっかり避けろよ! 『恋符「マスタースパーク」』!」

 

 私はスペルカードを宣言して、フランとその分身達に向かって、極太レーザーを撃った。

 

「うわっ、なにこれ凄っ。あ、これ避けきれ──」

「......あっ」

 

 その極太レーザーは、ブォン、と言う音を出して、全ての弾幕とフラン達を全員巻き込んで壁に当たり、光の泡となって消えていった。

 そして、そのレーザーが通り過ぎた後には、何も残っていなかった。

 

「......おーい、フラーン!」

 

 い、いや、大丈夫だよな。威力は強いが、あいつは吸血鬼だし。妖怪に対しては、無傷とは言えなくても、限りなく軽傷に近いはずの威力だからな。

 ......人間が当たったら大変だけどな。

 

「フラーン! 返事をしてくれー!」

「魔理沙ー!」

 

 大声でそう言われたので振り返ると、そこにはレナ達が居た。

 あぁ、怒ってそうだな。ま、まぁ、生きているはずだけど......。

 

「早く逃げた方がいいですよー」

「え? どういうことだぜ? あぁ、やっぱりフランは生きて、うわっ!?」

 

 その時、下から緑色の弾幕がライン状になって伸びてきた。

 

「おいおい、どこから、なっ!? ま、またか!」

 

 次々と、色々な場所から同じように、弾幕がライン状になって伸びてくる。

 しばらくすると、それは網目模様に配置されているのだと気付くことが出来た。

 

「あぁ、逃げ場を少なくしたのか?」

「うん、それもあるよ。それにしても、さっきの危なかったんだよ? 蝙蝠になって避けたけどね」

 

 いつの間にか、少し離れた位置にはフランが居た。

 やっぱり、避けれてたんだな。それにしても、吸血鬼って凄いな。強いうえに、蝙蝠になることも出来るのか。......まぁ、その代わりに弱点がいっぱいあるらしいけどな。

 

「じゃ、さっきのお返しね。『禁忌「カゴメカゴメ」』! えいっ!」

 

 フランはそう言って、大玉を放った。

 その大玉はライン状の弾幕を崩しながら私に向かってきた。その崩れた弾幕は周りに拡散して、よりこのスペルカードの難易度を上げている。

 弾幕同士が干渉するスペルカードは、弾幕が制御不能になって、遊びとして成り立たなくなることもあるんだが......遠慮しているせいか、大丈夫そうだな。

 

「えいっ、えいっ!」

 

 フランがそう言いながら、次々と大玉を放ってきた。

 

「よっ、と。ふむ、拡散しているのに気をつければ、そこまで難しくないな」

「え、そう? ま、これが本命じゃないからいいんだけどね」

「結構凝っているのに、本命じゃないのか」

「うん。......そろそろいいかな。次のスペルカードね。『禁忌「恋の迷路」』、これから貴女は私に近付くことが出来なくなるよ」

 

 そう言って、フランは弾幕を高速で渦巻き状に放ち始めた。

 それも、一つや二つではなく、幾つも渦巻き状の弾幕を放っている。

 

「おいおい、こんなの避けれないぜ!?」

「魔理沙、よく見て。ちゃんと切れ目を作ってるでしょ? そこを通って避けるのよ」

「ん? ......あ、本当だ。アドバイスありがとな!」

 

 フランの言う通り、全ての渦巻き状の弾幕には、切れ目があった。それも、私がそれを通れば、回り続けることになるように、配置されていた。

 

「よし、そうと分かれば......一気に駆け抜けるぜ!」

 

 私は魔力を箒に集中させ、スピードを上げてフランも周りを回り始めた。

 勿論、切れ目を通らないとダメなので、慎重に行かないといけないのだが、結構早く動かないと当たりそうなのでそうした。

 

「へぇ、魔理沙って怖いもの知らずなんだね〜」

「まぁな!」

 

 出来る限り話しかけて欲しくはないんだけどなぁ。

 集中を切らすと当たりそうだしな。......まぁ、当たってないからいっか。

 

「ま、あまり急ぎすぎると、次が今からが大変なんだけどね。それっ、逆回りだよ!」

「え!? マジかよ!?」

 

 フランが言った通りに、渦巻き状の弾幕の切れ目が、逆回りになるように配置されてしまった。

 

「くっ、間に合わないか? ......いや、間に合わせるか。『マスタースパーク』!」

 

 そう言って、私は進行方向とは逆向きに出力弱めの『マスタースパーク』を撃った。

 それを推進力にして、私はなんとか逆回りに回ることに成功した。

 

「おぉ、魔理沙って凄いんだね。じゃ、お姉様も待ってるし、次ね。『「禁弾「スターボウブレイク」』!」

 

 そう言って、フランは自身の後方に、色とりどりの少し大きめの弾幕を出現させた。そして、それらが一気に私に押し寄せる。

 全て直線上にしか進まないが、弾幕の速度にばらつきがあり、密度も濃いから少し難しくなっている。

 

「どう? 綺麗でしょ!」

「よっ、と。あ、危ねー。ん、あ、あぁ、綺麗だぜ」

「なんか適当に答えられてる気がするなぁ。ま、別にいいんだけどね。避けている最中だし」

 

 それを分かっていて話しかけているのか......悪魔だな。ん? 吸血鬼って悪魔だっけ? まぁ、何でもいいや。

 

「んー、やっぱり当たらないかぁ。人間って凄いんだね。ん? 魔理沙が凄いのかな? ま、どっちでもいいや。どっちにしろ、遊べて楽しいからね〜」

「っ! 、い、今掠ったぜ!」

「あー、うん。やっぱり聞いてないか。ま、それでもいいや。魔理沙ー! 次ねー! 」

「え、あぁ、分かっ、危なっ!?」

「あー、ごめんねー。ま、今から次のスペルカードを宣言するんだけどね。『禁弾「カタディオプトリック」』!」

 

 次のスペルカードは、小弾、中弾、大弾の三つを一組として放つと言うものだった。

 

「ん、これは......なんだか嫌な予感がするな。よっ、と。簡単に避けれたが、何があるんだ?」

「まぁまぁ、そう急かさないで。ほらっ、第二波だよ!」

 

 そう言って、フランは同じ組の弾幕を幾つも放っていく。

 

「......ん? あ、そう言うことか! あ、くっ!」

 

 気付いた時には遅かった。箒に中弾が掠ったのだ。

 この弾幕は、全て一回だけ反射する。

 先ほど、本棚に当たった弾幕が跳ね返ったので気付いたのだが、掠ってしまった。だがまぁ、直撃じゃないから良しとするか。

 

「あぁ、惜しかったね。ま、気付いたなら今まで避けてきた貴女には簡単かな?

 ま、さっきよりも密度は濃いけどね! えいっ!」

 

 そう言って、フランは次々と弾幕を放っていく。

 

「っ!? ま、また掠ったか。これは本当にやばいな。三回目か......まぁ、後二回くらいは大丈夫だよな。『恋符「マスタースパーク」』!」

 

 そう言って、私は『マスタースパーク』を放った。

 

「あ、またこっちに──」

「え、あっ、フラン!?」

「......あ、大丈夫だよ? また蝙蝠になって逃げたから」

 

『マスタースパーク』は全ての弾幕を消しながら、フランへと向かっていった。

 直撃したと思ったが、先ほどと同じく、フランは蝙蝠となって逃れたみたいだ。

 

「なんかずるいな。まぁ、全てのスペルカードを攻略するつもりだからいいんだけどな」

「あははー、ま、お姉様達とやったら、勝負つかないもんねぇ」

「ん、あぁ、そう言えば知らないんだな。それは霊夢も同じだぜ。あいつの能力はチートだからな」

「ふーん、私と同じ能力とか? ま、それは後で聞くとしよっか。『禁弾「過去を刻む時計」』

 あ、魔理沙。言うの忘れてたけど、これもいれて後三つだからね」

「ふーん、結構多いんだな」

 

 次のスペルカードは、青い十字型の回転するレーザーとフラン自身が放つ赤い弾幕とを合わせたものだった。

 

「わっ、急に出てくるからビックリしたぜ。また後でこれのやり方教えてく、れっ!? また急に出てきたか!」

「魔理沙、慌てないで。ゆっくり慎重にいけば、避けれる......はずだから!」

「アドバイスになってないぜ!?」

 

「オネー様、どうしてフランはずっとアドバイスしてるの? これって勝ち負けでしょ?」

「まぁ、そうですけど......貴女に色々と知って欲しいのではないでしょうか。

 弾幕ごっこで避けれないスペルカードは普通はやらないので。ルナがそんな弾幕を作らないように教えてるとかじゃないですかね?

 普通に言ってもいい気がしますが......まぁ、少しだけ、気持ちは分かります」

「ふーん、そっか」

 

 どうして結構離れてるのに、あいつらの声が聞こえる気がするんだ? あ、気のせいなのか?

 

「魔理沙ー、後でお姉様とちょっと話をするつもりだから、今は気にしないでー。

 さて、もう当たらなさそうだし、次ね。これから、消えるから。頑張って耐えててね。『秘弾「そして誰もいなくなるか?」』」

「ん? ......消えた? ......あ、なるほどな。そう言うことか」

 

 フランが消えたと同時に、青い弾幕が現れた。その弾幕は、青い小さな弾幕をばら撒きながら、私へと近付いて来た。

 

「はっ! ......あぁ、逃げるしかないな」

 

 弾幕を放っても、青い弾幕をすり抜けてしまう。おそらく、スペルカードでしか消せないのだろう。

 

「......ふむ、見えてるのか? ずっとこっちに向かってきてるな」

 

 青い弾幕は私が上下左右に逃げても前後に逃げても永遠と一定の速さで追いかけてくる。

 

「ん? っ!? あ、危ねぇ。小さい方のも厄介だな。......え? また消えたのか?」

 

 しばらく逃げていると、青い弾幕は消え、小さい方の弾幕だけが残っていた。

 

「んー、なんで......あ!」

 

 またしばらくすると、次はどこからともなく赤い弾幕が私を囲むようにして現れた。そして、その赤い弾幕は私に向かって進行していく。

 息をつくまでもなく、次は青い弾幕が私を囲むように網目状に現れ、赤い弾幕と同じように私を中心として進行してきた。

 それが緑、黄色が二回、そしてまた赤へと繰り返し現れては私に向かって進んでくる。

 

「くっ、結構続くなっ!」

「......お終いね。これでこのスペルカードは終了だよ。よく頑張ったね。お姉様は諦めてスペルカード使ってたけど」

「ふっ、私は強いからな」

「あぁ、うん、そうだねー」

「おいおい、棒読みとか酷くないか?」

「......あ、ごめん。私から言ったことなのに、お姉様を馬鹿にされた気がしたから」

 

 え......本当に酷かったな。ま、まぁ、姉思いの妹だからまだマシか......?

 

「......じゃ、最後ね。これが私の本命よ! 『QED「495年の波紋」』!」

 

 最後のスペルカードは、青い小さな弾幕を低速で円状に次々に放つと言うものだった。

 簡単に見えるが、弾幕の密度はかなり濃い。

 

「っ!? い、今三回くらい掠ったぜ!?」

「まぁ、密度がやばいしねー」

「くっ、めちゃくちゃ呑気に言うな!」

「まぁ、実際撃つだけの簡単なお仕事だからねー」

「仕事ではないと思う、ぐっ! う、腕に......こ、これはやばいな。仕方ない......」

 

 最後の弾幕だが......当たって終わるよりもマシだよな。

 

「ん? どうしたの? スペルカード使っちゃう?」

「あぁ、使っちゃうぜ! これが最後のスペルカードだ! 『恋符「マスタースパーク」』ッ!」

 

 そう言って、私はフランに向かって『マスタースパーク』を放った────

 

 

 

 

 

 side Renata Scarlet

 

 ──紅魔館(図書館)

 

 

「んー......魔理沙が勝っちゃいましたね」

「そうだネ。でも、フランも嬉しそう」

「フランは楽しめればいいって娘ですからねー」

 

 結局、魔理沙の『マスタースパーク』で勝負がついた。

 弾幕は消え、フランが蝙蝠となって避けることは出来たが、全てのスペルカードが攻略されたことによって、フランの負けになってしまったのである。

 

「さ、次は私と貴女ね。さっさと終わらせてて帰らせてもらうわよ」

「まぁまぁ、楽しみましょう?」

「......いいけど、私は遠慮なくスペルカード撃つからね?」

「それでも大丈夫ですよ。ただ、頑張って下さいね。私の使うスペルカードのほとんどは、神話の武器をモチーフにしたものなので、結構難しいのが多いと思いますのでね」

「あんたら姉妹が強いのは今まで見て分かってるわよ。......それじゃあ、あいつらが戻ってきたら、始めましょうか」

 

 この後、魔理沙とフランは帰ってきた後に、私と霊夢の弾幕ごっこが始まった────




次回は水曜日に投稿です(:3_ヽ)_

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