多分、その3まで続いて、この章は終わります。次章からは、もっとネタ豊富でほのぼのにしたい(願望)
side Hakurei Reimu
──博麗神社
『紅霧異変』から約一ヶ月の月日が流れた。あれから変わったことと言えば、何故か、
迷惑なことは特に何もしない。けど、神社に妖怪が居るだけで、里の人達がどう思うかは火を見るより明らかだ。
だから、正直来ない方が嬉しいんだけど......言っても聞かないからもう諦めた。
なので、今日もレミリアは一人で来たが、私は特に何も言わずに、縁側に座ってお茶を飲んでいた。
しかし──
「おーい! 霊夢ー!」
──騒がしいのがやって来た。
騒がしいのが一人ならともかく、二人は流石に疲れる。ほんと、こいつらは私を過労死にでもさせようとしてるのかしら?
「騒がしいわよ、魔理沙。何よ?」
「魔理沙、久しぶりね。今日は一体どんな御用?」
「あ、レミリアも一緒か。丁度いいぜ! 今から
はぁー、魔理沙はいつも面倒事を持ってくるわねぇ。まぁ、いつものことだし、慣れたけど。
「嫌よ。絶対めんどくさいことに巻き込まれるに決まってるじゃない」
「いやいや、ただ遊びに行くだけだぜ? そのついでに弾幕ごっこをするってくらいだぜ?」
「それがめんどくさいって言ってるのよ。どうせ弾幕ごっこする相手って、あの館の住人でしょ? 咲夜とか戦うの大変だったんだからね?」
「あぁ、住人だな。レミリアの妹だぜ」
......異変の主犯であるレミリアはともかく、そのメイドの咲夜ですらスペルカードを使わされたのに、その妹と戦えって言うの?
どうして異変の主犯レベルであろう奴と何度も戦わないとダメなのよ......絶対に嫌だわ。
「......余計嫌になったわ。こいつの妹? なんでそんな奴と......」
「まぁまぁ、いいじゃない。レナもフランも遊び足りないと、また新しい異変が起きるかもしれないわよ?」
「そんなの、貴女が止めなさいよ。姉なんでしょ? 私のところに来ないで、妹と遊んでいなさい。
それと、館を長い間空けても大丈夫なの?」
「大丈夫よ。咲夜が居るもの」
だから咲夜が居る時と居ない時があるのね......。って言うか、咲夜も主人を一人で外に出さないでよ。こいつ、何しでかすか分からないんだから。
「で、霊夢。どうするんだ? 行くか? 行かないか?」
「......はぁー、行けばいいんでしょ。行けば」
「ようやく分かったか。じゃ、行くぜ! レミリア、お前はどうするんだぜ?」
「んー......ここに居ても暇なだけだし、行くわ。それに、さっき霊夢も言ってたけど、たまには妹達と遊んであげないとね」
「ずっと遊んでいなさい。そっちの方が私としては嬉しいわ」
まぁ、仲が良いなら別にいいけど。
不仲なら逆に一緒に遊んであげないと、何しでかすか分からないからね。それで巻き込まれる可能性もあるし。
まぁ、周りに迷惑かけないなら別に不仲でもいいんだけど。
「いつも会ってるから大丈夫よ......多分」
「多分って何よ?」
「......それじゃあ、行きましょうか!」
「え、っておい! 逃げるな! 結局多分って何なのよ!」
「あ、おーい! 置いていくなー」
こうして、私達は再び、紅魔館へと向かった────
side Renata Scarlet
──???
気付くとそこは、記憶にないはずの、しかし、見覚えがある場所だった。
地面はコンクリート。おそらく、外の世界にある道路だろう。
そして、目の前にはトラックと一人の男性が、血塗れになって横たわっていた。
多分、トラックで轢かれて死んだのだろう。......お気の毒に。
......それにしても、見覚えがある気がする。どこか......そう、はるか昔に見たことがある男の気がする。
「おい! おいってば! 聞こえるんだろ? 本当は聞こえているんだろ!? ......起きてくれよ......」
その男性の近くには、人が集まっていた。その中に居た、同じ歳くらいの男が既に死んでいるであろう男に話しかけていた。
友達とかかな? 可哀想に。あの傷はもう助かる見込みなんてないのに......。まぁ、諦めたくない気持ちは私にも分かるけどね。
それにしても、どうして私はこんな場所に? ......それに、太陽の光が私に当たっているのに、何ともない。
もしかして、これは夢? それとも、今までのが全て夢なの? ......違う。いや、絶対に認めない。今までのが全て夢なんてわけない。
お姉様やフラン、紅魔館のみんなや魔理沙達。その全員との記憶がただの夢だなんて認めたくない。
......これが夢だ。絶対そうに決まっている。......早く覚めないのかな?
「......あ、れ? ......フラン?」
遠くに、フランが見えた。......あ、ただの夢なんだから、居てもおかしくないか。
「......やっぱり、あいつだったんだね。......お姉様、ごめんなさい。自分で決めさせれなくて」
え? どう言うこと? いや、夢だから意味なんてないか。......でも、聞いてみたい。何故か、私にとって、とても重要なことな気がする。
「......フラ──」
そう言いかけた時、目の前が光に包まれ、全てが見えなくなった。
しかし、血塗れになっていた男だけは、最後まではっきりと見えていた──
──紅魔館(フランの部屋)
「オネー様! 起きて!」
「お姉様ー、早く起きてよー」
目が覚めると、そこはいつも私が寝ているフランの部屋だった。
目の前には、フランとルナの顔があった。
......何か、夢を見ていた気がするけど......どんな夢だっけ? んー、まぁ、いっか。
「ん......ルナ? フラン? もう起きる時間なのですか?」
「うん、そうだよ。やっぱり、吸血鬼だからか朝に起きるのは大変だね。特にお姉様は」
「いつも一番遅いよネ」
あぁ、そうだった。お姉様が朝に起きるようになったから、私達も早く起きるようにしたんだったね。
「あ、お姉様は?」
「もう行っちゃった」
「うん、お姉様が起きるの遅かったからね」
「そ、そうですか......」
いつもお姉様を送る為に早く起きてたのに......寝過ごすなんて......。
「オネー様、落ち込まないで」
「そうだよ。お姉様、今日は魔理沙が来る日だし、ね?」
「あ、そう言えば今日でしたね」
異変からもう一ヶ月かぁ。
異変が終わった後も、魔理沙はよくこの館にやって来た。まぁ、大体はいつも勝手に入ってきて、図書館にある本を借りパクしていくだけなんだけど。
パチュリーにあれだけ『借りる時は言いなさい』って言われているのに、何も言わずにパクっていくって、流石魔理沙だよね。
まぁ、しばらくしたら、魔理沙の家に行って返して貰わないとね。
「フラン、ルナ。貴方達は魔理沙と遊ぶのが楽しみですか?」
「うん!」
「うん、私も楽しみ。お姉様は?」
「私も楽しみですよ。......ミアは遊べないですけど、まぁ、それは仕方ありませんね」
ミアは、召喚されてからと言うもの、魔法の研究やメイドの仕事をしている。そして、たまに外にふらっと出かけることもある。今は、メイドの仕事をしている為、遊ぶことができない。
多分、今まで私がこの身体の所有権を持ってたから、やりたかったことを色々とやっているのかな?
感覚共有は魔力消費量が大きくて消したから、危険な目になっても分からないけど......まぁ、ミアは身体が壊れても、精神さえ無事なら元に戻るから大丈夫かな、うん。
「ま、本人がしたいことを出来てるなら、それでいいと思うけどね。ささっ、早く図書館に行こー」
「早く早くー」
「あ、ルナ、引っ張らないで下さい」
「ん、ごめんなさい」
「それは謝らなくてもいいですよ。まぁ、とにかく急ぎましょうか。いつ来るか分からないですしね」
そう言って、私はフランの部屋から出て、図書館へと向かった────
side Hakurei Reimu
──紅魔館(門前)
「久しぶりにここに来たわね。もうあれから一ヶ月なのね」
「なに黄昏てるんだ? さ、早く入ろうぜ?」
異変から約一ヶ月。またここに来るなんてね。しかも、遊ぶ為とか言う理由で。
「あ、魔理沙さん! 本は持ってきたんですか!?」
「ゲッ! あ、なんだ。美鈴か。パチュリーかミアかと思ったぜ。あいつら、本を返せってうるさいからな。私は借りるって言ったのに。
ま、死ぬまでだけどな!」
「だから返せって言われてるんでしょ!」
「えーと、魔理沙。先に入ってるからね。後で来なさいよ」
「えっ、置いていくなよー」
「あ、待ちなさい! 本を返すまでここは通しませんよ!」
全く、自業自得じゃない。普通に借りて、普通に返せばいいだけなのに。
どうしてわざわざ泥棒みたいな真似を......まぁ、いいわ。放っておきましょう。
「ちっ、今日は遊ぶ約束もあるからな。通してもらうぜ!『マスター......』」
「え、ちょ、ちょっと、それは──」
「『スパーク』ッ!」
その声とともに、魔理沙は『マスタースパーク』を撃った。
それを避けれずに、美鈴は門ごと飛ばされていった。
「あらあら、どうしてくれるのよ」
「まぁまぁ、いいじゃないか。正当防衛だぜ」
「美鈴は攻撃してないけどね」
「はぁー......まぁ、いいわ。また後で美鈴に直させておくから」
ぶっ飛ばされた挙句、直させられるって......可哀想に。まぁ、別に私に関係ないからいいけど。
「さ、そんなことは置いといて、早く行こうぜ」
「あんた、なかなかの外道ね。まぁ、いいわ。早く終わらせて帰りましょう。あ、そうそう。私は弾幕ごっこしかしないからね」
「あぁ、それでもいいぜ。私は楽しめるなら何でもな」
「私は見るだけにしようかしら。レナとフランが弾幕ごっこをする姿を見てみたいしね」
「やっぱり、貴女、妹さんと一緒に居たらいいんじゃない? 好きなんでしょ? 妹達のことが」
レミリアが妹のことを話している時は、嬉しそうに微笑んでいる。
なのに、わざわざ私のところに来るなんて......何がしたいのかさっぱりだわ。
「まぁ、好きよ? この世で最も大切な家族だから。
でも......ちょっと、身体的にも色々と疲れるのよ......あの娘達、遊ぶのも色々と大変だから......」
「あぁ、うん。なるほどね。貴女も頑張ってるのね」
レミリアの顔には、明らかに疲れが見える。おそらく同じ力を持つ妹を二人相手では、遊ぶのでさえ大変なのだろう。
今からそんな二人を相手にするなんて......はぁー、嫌な予感しかしないわ。
「図書館で待ち合わせをしてるから、もうすぐ着くぜ」
「あら、そうなの。まぁ、私はどこにあるか知らないけど」
「......そこの扉よ」
「ん、ここ? なら、開けるわね」
そう言って、私は重い扉を開いた────
次は日曜日かな