今回は新たなオリキャラ追加されました。まぁ、たまにしか出てこないんだけど()
side Renata Scarlet
──紅魔館(図書館)
今、私達は八雲紫と話をしている。吸血鬼を一夜にして全滅させた女性......戦えば、外じゃなくても、瞬殺なんだろうか......。
そんな不安を感じながら、私は八雲紫の話を聞いている。
「......そう。で、話は何かしら? 私達も消すつもりとか?」
「いえいえ、協力して欲しいのですよ。これから、この『異変』によって、この幻想郷には新たなルールが作られるでしょう。貴方達には、一番最初にそのルールに能登、『異変』を起こして欲しいのです」
「......どうしてルールが作られると思うの?」
「貴方達は知らないかも知れませんが、実は、この幻想郷が外の世界と隔離されてから、貴方達、吸血鬼が初めての外敵なのです」
「ふーん......で、それがどうしたの?」
「......ここでは、妖怪と人間のバランスが崩れないように、妖怪は無闇に人間を食することを禁じられていました。そして、妖怪達は、食事は食料係と言う者が給仕する食料を与えられ、ただそれを食べるだけの体たらくな生活を送っていました」
へぇ......あれ? 私とほとんど同じじゃない? 食料の調達はいつもお姉様がやってるし、料理を教えるだけで、いつもは咲夜が料理しているし......今思えば、私も体たらくな生活をしてるんだなぁ。少しは運動しないと......いや、フランと遊んでるから、ギリギリセーフなのか。
「その為、妖怪全体に無気力化が広がって、強い外敵と戦う力を失いつつあったのです」
「ふーん、そこに私達、吸血鬼が来たわけね」
「はい、その通りでございます。ある者は力の前に屈服し、ある者は恐れをなして寝返り、吸血鬼の傘下となりました。だからこそ、貴方達、吸血鬼のおかげで、幻想郷中の妖怪達はこの危機を改めて理解することが出来たでしょう。そして、今、幻想郷の妖怪達が力を失わないように、新たなルールが出来ようとしています」
「ふーん、なるほどね。貴女がすぐに殺さなかったのは、その危機を理解させ、その新たなルールが必要だと思わせることだったのね。すぐに殺すと、危機感なんてないものね」
ふむふむ......そうして、『スペルカードルール』が作られたわけね。自分で言って作らせようとしない辺り、やっぱり、黒幕みたいな人だなぁ。
「それで? 誰がそのルールを作るの? やっぱり、貴女みたいに強い妖怪?」
「ほとんど正解ですが、少しだけ補足がありますわね」
「どういうこと?」
「まぁまぁ、それよりも、まず、貴方達に聞いておくべきことがあります。話は戻りますが、貴方達にはそのルールに則って『異変』を起こして欲しいのですが、いいでしょうか? あぁ、勿論、貴方達が『異変』を起こす為にも、こちらからは良い条件を出しますわよ?」
良い条件ねぇ......この人、胡散臭いから、ちょっと信用出来ないんだよなぁ......。
「例えばどんな条件かしら? その条件次第で、『異変』を起こすかもしれないわね」
「半永久的な食料の調達、私からはこの館の住人には手を出さないこと。それと、幻想郷の住人とのいざこざでは、私が間に入りましょう。他にも、望む物があれば、出来る限り用意して差し上げましょう」
『私からは』......ねぇ。まぁ、八雲紫が敵にならないだけでも良い条件なのかな? ......な訳ないか。どうせ、私達が邪魔になった時の為に、何か用意してるんだろうなぁ。
「......まぁ、それならいいでしょう。しかし、約束は破らないこと。いいわね?」
「えぇ、勿論ですとも。私は絶対に約束を破りませんよ」
「それで、結局ルールの方はどうなったの?」
「詳しいルールはまだですが、原案は出来ております。詳しいルールは、後日、相談した後、持ってきますわ」
『スペルカードルール』の原案ねぇ。そんなのがあったんだね。まぁ、『スペルカードルール』の方も、詳しいルールは憶えてないんだけどね。
「出来る限り早くもってきなさいよ。それで、その原案は見せてくれるのかしら?」
「えぇ、勿論ですとも。これですわ」
そう言って、スキマから一枚の紙を取り出した。
本当にスキマって、便利だなぁ。まぁ、私も移動だけなら、似ているのあるんだけど。
「......ふーん、なるほどねぇ。はい、これ。貴方達も読みなさい」
「はい、分かりました」
そう言って、お姉様がその紙を私達に手渡してきた。
その紙には、『妖怪同士の決闘は小さな幻想郷の崩壊の恐れがある。だが、決闘の無い生活は妖怪の力を失ってしまう』と記されており、このルールの理念及び法案について書いていた。
『理念
一つ、妖怪が異変を起こし易くする。
一つ、人間が異変を解決し易くする。
一つ、完全な実力主義を否定する。
一つ、美しさと思念に勝る物は無し。
法案
一つ、決闘の美しさに意味を持たせる。
一つ、意味の無い攻撃はしてはいけない。
一つ、事前に使用回数を宣言する。
一つ、このルールで戦い、負けた場合は負けをちゃんと認める。余力があってもスペルカードルール以外の別の方法で倒してはいけない』
そして、最後には『具体的な決闘方法は後日、巫女と話し合う』と締めくくられていた。
「......八雲紫、一つだけ聞いておくわ。どうして人間が勝つようにしているの?」
「幻想郷のバランスを崩さない為にですわ」
「それじゃあ、何? 私達に負け戦をしろと?」
「えぇ、その通りですわ。これからの幻想郷のバランスを保つ為に、貴方達には『異変』を起こしてもらい、負けてもらおうと思っています」
うわっ、真っ正面から言ってきたなぁ。まぁ、そう言うだろうとは大体思ってたけど。
「......これで負けても、負けた方は何も無いのよね?」
「まぁ、その通りですわ」
「ならいいわよ。『異変』を起こしてあげるわ」
「ありがとうございます。では、他に質問がないなら、私は行きますわね」
「あ、はいはい。質問」
フランが手を上げてそう言った。
なぜだろう......前世の小さい時を思い出すなぁ......。
「なんですか?」
「『巫女』ってなに? 偉い人?」
「幻想郷の結界を担う人間ですわ。私と『博麗の巫女』で幻想郷の結界を張っています。どちらか片方でも無くなると、ここは危うくなるでしょう。ですが、偉いかどうかは微妙ですわ」
『博麗の巫女』......今はもう博麗霊夢なのかな? まぁ、どうせすぐに分かるか。『異変』がすぐに始まると言う前提でだけど。
「ふーん......じゃ、私はもうないよ」
「......私もないわね」
「私もないですよ」
「それでは、私はもう行きますわね!また後日、お会いしましょう」
そう言って、紫は虚空にスキマを作り、何処かへ行ってしまった。
いやまぁ、胡散臭い妖怪だし、あんまり会いたくないけど。
「行ったわね。さて、レミィ、どうするの?」
「さて、どうしましょうか。まずはどんな『異変』を起こすかよね?」
「えぇ、そうね。まぁ、どんなものにしようとも、準備をするのはどうせ私なんだし、早く決めてよね。じゃ、私はアリスと話の続きでもしてくるわ」
「えぇ、また後でね。......明日は美鈴だけに門番させといて、咲夜には考えるのを手伝ってもらいましょうかね......」
あ、そう言えば、今は二人とも寝ているんだっけ? ......あれ? 小悪魔はどこ行った?
「お姉様、小悪魔は何をしているのですか?」
「んー......昨日、咲夜に聞いたら、『パチュリーと一緒に居ました』って言ってたし、パチュリーの世話で疲れて寝ているんだと思うわよ」
「あぁ、そうなんですね」
「それよりも、レミリアお姉様。どんな『異変』にする? 後で咲夜と一緒に決める?」
「えぇ、咲夜と一緒に決めるわよ。......でも、フラン。貴女は地下に居てなさい。能力が暴走して、人間を殺してしまわないようにね」
「えぇっ!? ヤダー! 私も遊びたーい!」
フランがそう言って、駄々をこね始めた。
確かに、人間を、博麗の巫女を殺してしまうと、後で面倒臭いことになりそうだもんねぇ......。
「何を言っても駄目よ。レナ、貴女はフランの面倒を見てて。『異変』は主犯格一人でも成り立ちそうだし、貴方達はゆっくり待ってなさい。すぐに終わるだろうから」
「お姉様......お断りします。私もあのルールで遊んでみたいですし、怒ったフランを一人で見るなんて出来ませんから」
それに、ここに来るまでにずっと考えていた『スペルカード』を無駄にしたくないからね。考えた後に、それをお姉様達に気付かれないように実践するのも、結構大変だったんだからね?
「はぁ......貴方達って本当に我が儘ねぇ。仕方ないわ。別に戦ってもいいけど、地下か図書館に来たらにしなさいよ。出来れば、上には来ないようにしなさい」
「むぅ......まぁ、いいや。こっちに来たら、遊び放題なんだし」
「......レナ、危なくなったら、フランを止めなさいよ」
「はい、分かっていますよ。止めれるかどうかは置いといてですけど。後、私は絶対に上には行きませんよ。私は」
そう、私は絶対に上には行かない。私はね。まぁ、フランも出させないけど。
「? ......フランを出したら、貴女にも怒るわよ?」
「はい、勿論出さないようにしますよ」
「え? ふ、フラン、レナが何を企んでいるか分かる?」
流石に、フランにも分からないだろう。
フランの前で使ったのは一度だけだし、それも結構前の話だからねぇ。......あれ? でも、今朝言ってたような......。
「んー......お姉様、『ミア』を出そうとか思ってないよね?」
「え!? ど、どうして分かったのですか!?」
「え、合ってたんだ。いや、適当に言っただけだよ。当たると思わなかった」
「えーと......何の話をしているか分からないんだけど?」
「あ、簡単に言いますと、もう一人の私です」
正確に言うと、魔法で私そっくりなモノを創るってだけだったんだけどね。いつの間にか、自我が芽生えてたので、フランに名前を付けてもらった。何故そう言う名前にしたのかは教えてくれなかったけど。
「うん、もっと詳しく言いなさい。それじゃあ、分かりにくいわよ」
「あ、すいません。詳しく言うと、魔法でもう一人の私を創った際に、自我が芽生えたみたいなので、その私に名前を付けた存在です」
どうして自我が芽生えたのかは分からないけど、まぁ、便利だしそんなの考えなくてもいいよね。
「へぇ......ねぇ、一回出してみて。レナにそっくりなの? 性格とか、見た目とかは」
「えーと......見た目はまんまお姉様だけど、性格は少し子供っぽくなってるよ。私に妹が出来たって感じるくらい」
「では、召喚しますよ。......あ、ミアを出している時は、私は一切の魔法を使えませんので。召喚する時に魔力がほとんど持っていかれ、常に魔力を供給しないと消えてしまうみたいなので」
まぁ、ミアの方は魔法使えるから別に苦ではないんだけどね。それに、妖力は全然使えるし。
「まぁ、それは別にいいわよ。別に今は危険とかじゃないんだし。それよりも、早く召喚してちょうだい」
「あ、分かりました。あ、少し離れて下さい。魔法陣を描きますので」
「魔法陣を描くの? 珍しいわね」
確かに、珍しいよね。大体は頭の中で描けるからねぇ。この魔法は効果が強いせいか、頭の中で描いても使えないんだよねぇ......そこが唯一不便なところかな。
そんなことを考えながら、自分の血を使い、数分掛けて魔法陣を地面に描く。
それと、どうやら、私の血じゃないと使えないらしい。他の人の血でやると、魔力は消費されても、何も召喚出来ないと言う残念な結果になってしまう。
「ふぅ......終わりました。では、召喚しますね」
「やっと終わったのね」
「お姉様、急かさないで下さい。すぐに終わりますから」
そう言って、目を瞑り、一分の時間を掛けて頭の中で呪文を唱える。
すると、魔法陣が光り始めた。しばらく唱え続けると、光は形を変えていき、私と同じような形になった。
「眩しいわね。それにしても、レナがこんなに時間を掛けて魔法を使うのって初めて見たわ」
「レミリアお姉様、静かにしてて......あ、召喚されたみたい」
私と同じ姿になったかと思うと、光は消え、人の形だけが残った。
姿のは私と全くで、目や髪の色まで同じだが、翼がない。おそらく、今の私の魔力では、これが限界なんだろう。
「......あ、レナ? フラン? それに......お姉ちゃん?」
「ミア、久しぶり!」
「記憶や五感の大体は私と共有出来ますので、久しぶりとは少し違うとは思いますよ」
「というか、え? お姉ちゃん? 私のことよね? ミアはお姉様じゃなくて、お姉ちゃんなの? 本当にもう一人の貴女なの?」
「『お姉ちゃん』と言っているのは、特に意味は無いと思いますよ。多分ですけど」
「初めましてだね! お姉ちゃん!」
そう言って、ミアがお姉様に抱きついた。
......いいなぁ......。
「え、えぇ、初めましてね。ミア、自己紹介はいらないと思うけど、私はレミリア・スカーレット。貴女の姉......よね?」
お姉様が心配そうに私を見て聞いてきた。それに対して、私は頷いた。
「レナも久しぶり? 私が召喚されていない時は、感覚共有されてて、ここに居る全員に久しぶりっていう気がしないけどね」
「確かに、そうですね。召喚していない時は、一心同体にでもなっているんでしょうね。まぁ、今もほとんど一心同体ですけど」
「へぇー、そうなんだ」
あ、初めて知ったんだ。それにしても、変な気分だなぁ。私と話しているなんて。
「ミア、ミア。私には言わないの?」
「あ、ごめんね! フランも久しぶりー」
「久しぶり。ちゃんと言えて偉いね、ミア」
「えへへー」
......なんだろう、違和感を感じる。やっぱり、私の姿だからかな?
「......レナが妹でミアが姉だったっけ?」
「いえ、私が姉ですよ。妹はミアの方です」
「お姉様、今日はミアとも一緒に寝ていい?」
「いいですけど......一日くらいしか持ちませんよ?」
今の限界では、一週間程度まで召喚し続けれるが、限界までやってしまうと、回復するのにかなり長い時間が必要になる。だから、正確に言うと、一日じゃないと、万が一の時に対応出来ないのだ。
「別にそれでもいいよ。レミリアお姉様とお姉様二人と寝れるなんて、そうそう体験出来ないからね」
「私もフランと寝たい!」
「......妹が二人出来たみたいです。片方は私なのに」
「あ、言い忘れてたけど、今日、私は貴方達とは寝れないからね。明日は早めに起きて、咲夜達と作戦会議するつもりだから」
「えぇ......まぁ、仕方ないか。それに、ミアが居るからいいやー」
その言い方だと、お姉様が少し可哀想な気もするけど......まぁ、いっか。
「なんか悲しいけど......まぁ、また明後日にでも会いましょう。じゃ、次いつ会えるか分からないけど、ミア、また会いましょうね」
「うん! またね、お姉ちゃん!」
「......やっぱり、なんか違和感があるわね......まぁ、いいわ。じゃ、貴方達もまたね」
「はい、また明日? いや、明後日でしょうか? まぁ、また会いましょう」
「ばいばーい」
そう言って、お姉様は図書館から出て行った。紫と結構長い間喋ってたんだね。
「それでは、行きましょうか」
「うん!」
「はーい! あ、今日は私が真ん中ね」
「いいよー」
「おや、珍しいですね」
「お姉様二人に囲まれて寝てみたいから」
まぁ、どっちかっていうとミアは妹って感じがするけどね。私なのに。
「レナー、早く行こー」
「そうだよー、お姉様、早く行きましょー」
「あ、はい。分かりました」
こうして、フランと妹にしか思えない私を連れてフランの部屋へと向かった────
次回は水曜日
2日休みだし、間に合うはず()
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