東方紅転録   作:百合好きなmerrick

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少し遅れたけど、無事投稿出来た()

それと、後2話で3章が終わりそう()


4、「一時の休息 動き始めようとする『異変』」

 side Renata Scarlet

 

 ──紅魔館(フランの部屋)

 

「おはよう......あ、お姉様、フラン。......フラン、起きてください」

 

 起きると二人に抱きしめられて動けなかった。お姉様はそこまで強く抱き締めてないからすぐに抜け出せるだろうけど、今はフランが居る。フランの力が強過ぎて抜け出せないのだ。

 

「んー......あ、お姉様。おはよう」

「おはようございます。フラン、力が強過ぎるのですが、離してくれませんか?」

「無理。絶対に離さないよ。......ふぁ〜、眠たい」

「寝てもいいのですが、その前に、離してください。少し痛いですので」

「え〜、いいじゃん、少しくらいなら。それとも、お姉様はわたしのこと嫌いなの? だから、離してほしいの?」

 

 フランが悲しそうな顔をして、そう言った。

 

「い、いえ、嫌いじゃないのですが......むしろ、大好きですけど......」

「なら、別にいいよね?」

「......はい、いいです......」

 

 駄目だ。フランには勝てない。と言うか、逆らえなくなってる......。

 

「よかった。分かってくれて。お姉様、大好きだよ!」

 

 そう言って、フランが私を強く抱き締めた。

 流石に、骨が折れるほど強くは抱き締めてないけど、それでも結構痛いなぁ......。

 

「ん、おは......あ、フラン! レナを取らないでよ!」

 

 フランが私を強く抱き締めた時に、同じく私を抱き締めていたお姉様の手から私が離れたのが原因か、お姉様が起きてそう言った。

 

「えー! 別にいいじゃん! お姉様は私のものだしー」

「ちょっと、フラン? 今聞き捨てならない言葉が聞こえたんですが」

「そうよ! 私のものでしょ!?」

「お姉様、便乗しなくてもいいんですよ? その言葉、嘘ですよね? と言うか、嘘と言ってください」

「お姉様、ちょっとうるさい」

「そうね。レナ、少し黙ってなさい。フラン、ここは勝った方がレナの所有権を得るってことにしましょう」

「いいよ。じゃ、早速だけど......始めましょ!」

 

 そう言って、お姉様とフランが宙に浮き、弾幕ごっこを始めた。

 ......一つだけ言わせて欲しい。

 

「......解せ──」

「レナ! 黙ってなさいって、言ったでしょ!」

「レミリアお姉様、よそ見してたら負けちゃうよー?」

「あら? 貴女に負けるほど弱くないわよ」

「へぇー、言うじゃない」

 

 お姉様とフランは会話をしながら、弾幕ごっこを続けた。

 取り敢えず、心の中だけでも言おう。......解せぬ──

 

 

 

 ──数十分後

 

「はぁ、はぁ......はぁ〜、引き分けか〜」

 

 お姉様とフランが勝負をし始めてから十数分後、弾幕が同時に当たったことで、勝負は引き分けに終わった。そして、フランが疲れたのか、勝負が終わるとすぐにベッドにダイブした。一方で、お姉様はまだ元気だったのか、ゆっくりと地面に降り立ち、歩いてフランの傍まで近付いた。

 それにしても、こんなに長い時間よく続けれてたなぁ。

 

「強くなったわね。フラン」

「......まぁ、いいや。強くなったって思ったのは本当のことだろうし」

「あら? どういうことかしら?」

「さぁ? 自分に聞いてみたらいいんじゃない?」

「? えーと......話が全く読めないのですが......」

「お姉様ってやっぱり馬鹿だよね。それと鈍感。......まぁ、別にそれでもいいんだけど。それにしても、勝負しなくてもよかった気がするなぁー」

 

 さらっと悪口をいれるのはやめて欲しいなぁ。まぁ、本気で言ってるわけではないと思うし、別にいいんだけどね。

 

「え? どういうこと?」

「だって、お姉様って二人になれるでしょ? それを別ければ......あ、レミリアお姉様は知らなかったっけ?」

「フラン、それとか言ってはダメですよ。お姉様、簡単に説明すると、私の魔力を全て使って、もう一人の私を作る魔法です」

「へぇ、フランみたいに分身出来るってことね」

 

 厳密に言うと、少し違うと思うのだけど、まぁ、いいか。

 

「 まぁ、はい。フランよりは数は少ないのですけどね。その代わり、精度はフランよりもいいですけど」

「えぇっ! 私の方がいいじゃん! 四人だし、全員攻撃出来るし!」

「......ふふ、そうですね」

「お姉様、頭撫でないでよ! 子供扱いしてるの!?」

 

 あまりにも可愛かったから、つい、フランの頭を撫でてしまった。そしたら、フランが頬を膨らませてそう言った。

 いつも私が寝る前にしてるのになぁ......。まぁ、寝てるから気付いてないだけなんだろうけどね。

 

「いえいえ、フランが可愛かったので、つい」

「むー......まぁ、それならいっか。お姉様、もっと撫でてー」

 

 そう言って、フランがベッドの上に座っている私の膝を枕にして寝転んだ。

 なんだろう......猫みたいで可愛い......。

 

「それならいいんだ。......フラン、私も撫でてあげましょうか?」

「レミリアお姉様、上から目線で言わないで。それを言うなら、『撫でさせていただいてもいいでしょうか?』でしょ?」

「うっ......撫でさせていただいてもいいでしょうか?」

「え......う、うん。いいよ」

 

 あ、言うんだ。っていうか、そんなに撫でたかったんだ......。フランも同じことを思っていたのか、びっくりしてる。

 

「なでなで......フラン、レナ。一つだけ聞きたいことがあるんだけど、いいかしら?」

 

 珍しく、お姉様が真剣な顔をしてそう言った。

 

「はい。勿論、いいですよ」

「ん? いいよ。それにしても、お姉様もレミリアお姉様も撫でるの上手だよね。気持ちよすぎて眠くなってきちゃった」

「そう、ありがとうね。......もしも、もしもの話よ? 私が貴方達を守る為に、自分を犠牲にしたら......どう思う?」

「......お姉様、逆に聞きますが、私がお姉様を守る為に、犠牲になったらどう思いますか?」

「それは......怒るわね......。私よりも、貴方達の方に長生きして欲しいし、貴方達が死ぬのとか見たくないしね」

「まぁ、同じ理由で怒ります」

 

 まぁ、私は怒られても、お姉様とフランが生きるなら、自分が犠牲になる道を選ぶんだけどね。絶対に。

 

「レミリアお姉様、私も貴女が死ぬのは嫌。あ、お姉様が死ぬのも嫌だからね。それと、私はもう子供じゃないから。自分の身は自分で守れるから......お姉様達は心配しないで」

「......そう、分かったわ。それにしても、貴女も大人になったのねぇ......」

「ふふん、そうでしょ?」

「......大人になっても、フランが可愛い妹なのは変わりませんね」

「ふふ、えぇ、そうね。まぁ、私からしたら、レナ、貴女もそうなんだけどね」

「私からしたら、お姉様は優しくて、馬鹿で、鈍感な人かなぁ。レミリアお姉様は頼りがいがあるけど、肝心なところで......ねぇ」

 

 フランが意味ありげな視線をお姉様に向けた。

 確かに、お姉様はなぁ......。

 

「え、ちょっと!? 何よその目は!? レナもそんな目で私を見ないでよ!」

「まぁ、お姉様は......その、なんと言うか......優しいですよね。はい」

「レナ、どうして目を逸らしてるのよ!?」

「レミリアお姉様、諦めた方がいいよ。レミリアお姉様は......レミリアお姉様だから」

「意味が分からないんだけど!?」

「まぁまぁ、その話は置いといて、今日はどうする? お客さんが来るなら、ずっとこの部屋に居るわけにもいかないでしょ?」

 

 まぁ、確かに、ここに居たら、そのお客さんも来にくいだろうしね。まぁ、今は夜で外に吸血鬼が一杯いるから、どっちにせよ来にくいだろうけど。

 

「貴女からその話をしたくせに......まぁ、いいわ。確かに、ずっとここに居るわけにはいかないわねぇ......。そうだわ。図書館に行きましょう」

「え? どうして?」

「特に意味はないわよ。行くのめんどくさいとかじゃないから」

「......お姉様、魔法である程度の場所なら何処にでも行けますよ」

「......図書館に行くわよ。いいわね?」

「は、はい。分かりました」

 

 お姉様、絶対忘れてたよね。まぁ、私もさっきまで忘れてたんだけど。

 

「レミリアお姉様、勿論、お姉様の魔法で行くんだよね?」

「え、えぇ、勿論よ」

「......まぁ、それならいっか。意地張って、『魔法使わずに行こう』って言うかと思ってたよ」

「い、言うわけないでしょ?」

「お姉様、準備が出来たのでもう行けますよ」

 

 お姉様達が話しているうちに、魔法で地面に『抜け道』を作っておいた。ちなみに、この『抜け道』は図書館の床に作っておいた。天井とかでもいいけど、後でお姉様とフランに怒られて、お仕置きされるだろうからね。特に、フランのお仕置きは怖い。もう二度とされたくない......。前にされた吸血は次の日にお姉様に助けてもらうまで、放置されるし......。他のも、たいていの場合、次の日を無駄にしてしまうし......。

 

「貴女はいつも通り早いわね......さ、行きましょうか」

「うん。あ、お姉様。ちょっと『抜け道』の前に立ってみて」

「え? あっはい」

 

 そう言われて、私は『抜け道』の前に立った。

 ......ん? あれ? 嫌な予感がする......。あ、もしかして──

 

「じゃ、お先にどうぞ」

「え、あ、フラ──」

 

 私はフランに後ろから押され、『抜け道』へと落ちていった──

 

 

 

 ──紅魔館(図書館)

 

「うわっ! ......ふぅ、床に作っておいてよかったです」

「よっ、と。あ、床だったんだね。ごめんね、お姉様。お姉様がいたずらで天井に作ってた時用に、先に仕返ししようと思って押したの」

「仕返しは先にするものではないんですけど......まぁ、いいです。後で、フランには仕返しでもしましょう」

「お姉様? 気のせいかな? 今、私に仕返しするって聞こえたけど?」

「......すいませんでした。何もしません。なので、許してください、お願いします」

「はぁ、レナ、フランに弱味でも握られてるの?」

 

『抜け道』から出てきたお姉様が呆れた表情でそう言った。

 

「いえ......ただ、フランが怖いだけです。まぁ、可愛いからそれでもいいんですけど......」

「レナ、目が死んでるわよ。無理しなくてもいいのよ?」

「いえ、無理してませんよ。えぇ、決して......」

「そうだよねー。お姉様は私が好きだから一緒にいるんだよねー」

 

 フランがそう言って、私を抱きしめてきた。そして──

 

「お姉様、ずっと一緒にいてくれるよね? レミリアお姉様は忙しそうだから、ずっとじゃなくてもいいんだけど、お姉様はずっと一緒にいてね。まぁ、出来るなら、二人ともずっと一緒に居てほしいけど」

 

 ──フランがお姉様に聞こえないくらいの小声でそう言った。

 

「......はい、ずっと一緒にいさせていただきますよ。フラン。お姉様も、この騒動が終われば、きっと......」

「えーと......何か話してるみたいだけど、もういいかしら?」

「あ、大丈夫です」

「あ、全然いいよー。で、ここで待っとくの?」

「えぇ、そうよ。まぁ、来るまで暇だし、パチュリーでも探しましょうか。暇つぶしにはなるでしょうから」

「はーい」

「寝ている可能性もありそうですけどね。......まぁ、いいですか」

 

 こうして、私達はパチュリーを探し始めた──

 

 

 

 ──数分後 紅魔館(図書館)

 

「あら、貴方達。起きたのね」

「あ、まだお邪魔させてもらってるわ」

 

 しばらく歩いていると、魔導書を椅子に座って読むパチュリーとアリスに出会えた。

 

「あ、アリスさん。まだ用事でもあったんですか?」

「特にないわ。ただ、思ったより、魔導書が多くてね。ここでパチュリーに魔導書の解説でも聞こうと思って」

「へぇ......レナ、フラン。邪魔になりそうだし、行くわよ」

「は、はい。......私達、何の為にここに来たんでしょうか?」

「さぁ? 暇つぶしじゃないかな?」

「あら、暇なら、私も混ぜてくれませんか?」

 

 急に背後から声が聞こえた。

 いつの間に? 魔力は感じなかったから魔法ではない。......と言うことは、能力か。もしかして、八雲紫? 私が使っている移動魔法は、元々紫のような移動手段が欲しかったからと言う理由だ。だから、どんな能力かはよく憶えている。『境界を操る程度の能力』......まぁ、とにかく強い。チートレベルだから、私達が束になっても勝てないだろう......。

 

「え!? だ、誰!?」

「はぁ、だから、背後には現れないでって言ったでしょ?」

「あらあら、すいませんでしたわ。まぁ、それはともかく、初めまして。自己紹介が遅れましたわね。私は八雲紫、この幻想郷の結界を管理している者ですわ」

「初めまして、私はスカーレット姉妹の次女、レナータ・スカーレットです。よろしくお願いします」

「......私はフランドール・スカーレット。スカーレット姉妹の三女よ」

「私はパチュリーよ」

「あら、アリス。どうしてここに居るのでしょうか?」

 

 八雲紫がアリスの方を見てそう言った。

 知り合いだったんだ。......まぁ、同じ幻想郷に住んでるわけだし、知り合いでもおかしくないか。

 

「レナータとフランをここに送ったからよ。どうせ貴女も知ってるんでしょ? ずっと見てたみたいだし」

「あらまぁ、気付いていたんですね。てっきり、気付いてないものかと思っていましたわ」

「残念だったわね。気付いてたわよ。それよりも、何か内密の話でもあるなら、聞こえないところまで行くわよ?」

「そうしていただけると嬉しいですわ」

「分かったわ。じゃ、また後でね」

 

 そう言って、アリスは離れた場所へと行った。

 まぁ、約束を破るような人じゃないだろうし、本当に聞こうとはしないんだろうなぁ。

 

「で、アリスが行ったみたいだけど、どんな話かしら?」

「その前に、話は一度だけにしたいのですが、これだけの人数で大丈夫なのでしょうか?」

「大丈夫よ。他の人らは、昼、ここを守る為に、働いて、疲れていると思うから」

「そうですか。なら、話を始めましょう。今日、先ほどまで外にいた吸血鬼達は全滅しました。妖怪の山まで攻め込んでいる者達もいましたが、よく頑張ったと褒めてあげたいくらいですわ」

 

 ......え? 全滅したの? 早くない?

 

「......そう。で、話は何かしら? 私達も消すつもりとか?」

「いえいえ、協力して欲しいのですよ。これから、この『異変』によって、この幻想郷には新たなルールが作られるでしょう。貴方達には、一番最初にそのルールに則って、『異変』を起こして欲しいのです」

 

 異変......ようやく始まるんだね。『紅霧異変』が────




次回は日曜日
の前に、土曜日に総合評価100達成した記念に、レナータさんの一日を投稿します(要約:番外編)
閲覧者の皆様、本当にありがとうございますm(_ _)m

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