次回からは、また戻す予定です()
side Renata Scarlet
──月が綺麗に見える夜 幻想郷(上空)
「うわぁ......酷い光景ですね......気分が悪くなってきました......」
「お姉様、さっきからそれしか言ってないよ? それに、顔もどんどん真っ青になってきてるし......大丈夫?」
「......貴女、本当に妖怪なの?」
正直に言おう。グロイのは苦手だ。少量の血程度なら毎日飲んでるし、もう慣れたけど......それでも、バラバラ死体みたいなグロ過ぎるモノを見ると、気絶しそうになる。
「だ。大丈夫ですし、妖怪ですよ......うわっ、あ、フラン、私は目を瞑っているので、手を引っ張って連れて行ってくれませんか?」
「え、無理。もし流れ弾が来たらどうするの? お姉様避けれなくなるよ? まぁ、もし来ても、私が庇ってあげるけど」
「......フランが傷付く可能性があるなら、やめます。でも、出来る限りみたくはないです......」
「......貴女、結構ちょろいのね。いや、妹に弱いだけかしら?」
え? ......まぁ、フランに弱いのは認めるけど、ちょろいのは流石に認めないよ? 流石に、詐欺とかには引っかからない......はず。
「ふむ、ここでもないみたいね。次は湖の方にでも行ってみましょうか」
まだ日が昇るまで結構時間はあるけど、それでも時間をかけすぎている気がする。お姉様、大丈夫なのかなぁ......。
お姉様って心配症だから、私とフランが急に居なくなったら、驚きすぎて気絶とかしそう。それか、無茶とか言って私達を探しに行きそうだなぁ。まぁ、パチュリーとか咲夜が居るから大丈夫かな。
「......ねぇ、お姉様。誰かに見られてる気がしない? 森を出た時から、ずっと視線が感じるの」
「え? ......そうですか? 周りに私達の方を見ている人はいませんし、魔法で見えなくなってるっていう人もいないみたいですけど......」
魔法で透明になっても、魔法使いには魔力で分かる。私も魔法使いだし、よくフランと隠れんぼしているから、この手の魔法はすぐに察知出来るはずだ。だから、目に見えない魔法を使っているやつが近くにいるなら、すぐに分かるはず。そんなやつの気配は感じないし、多分、フランの気のせいなのかな。
「んー......ならいっか。あ、お姉様、湖が見えてきたよ!」
「あ、本当ですね」
「あれが霧の湖よ。いつも霧がかかっているからそう言われているわ。後はここと妖怪の山くらいだから、こっちから先に探しましょう」
「へー......『妖怪の山』ってどういうところ?」
「妖怪の山は主に天狗達が住んでいる場所よ。出来れば、入らない方がいいわ」
「? 分かったー」
こうして、私達は霧の湖周辺を探し始めた。
前世の記憶では、この湖の何処かに必ずあるはずだけど......霧が濃いせいか、なかなか見つからないなぁ......。
「結構広いんだね〜」
「そうね。......あら? あの赤い建物かしら? 貴方達の館って」
探してから、しばらくした後、アリスが指差して言った。そこには、霧に隠れて見えにくいが、確かに赤い建物があった。
「あ、あった! あったよ、お姉様!」
「え、あ、本当ですね。良かったです......」
「あれが貴方達の館で間違いないみたいね。さ、行きましょうか」
「良かった〜。もう見つからないかと思ってたよ〜」
「......本当に見つかって良かったですね」
こうして、私達は紅魔館へと向かった──
──紅魔館(門前)
「あれ? 美鈴居ないね」
「おそらくですが、館の中に居ると思いますよ。元々手を出さない予定でしたし、美鈴が間違って攻撃される可能性もありますしね」
「あぁ、なるほど」
「......ねぇ、血の臭いがしない? しかも、結構な量の」
「......え?」
その言葉を聞いた時、頭の中に最悪な考えが浮かんだ。
そして、その考えに辿り着いた途端、私はいつの間にか、紅魔館の中に向かって走っていた。
「あ、ちょ、ちょっと!」
「あ、お姉様ー! 待ってー!」
アリスとフランの声を無視して、私は紅魔館の中に入って行った────
side Remilia Scarlet
──紅魔館(館内 出入り口前)
あの妖怪に言われた通り、この館に来た他の吸血鬼達を殺している時のことだった。
まさか、これほど多いとは思っていなかった。あの妖怪、何かしたのか?
「......はぁ、ここまで多いとはね。全く、どうしてかしら?」
「ぐはっ! くっ......き、貴様! 裏切ったのか!?」
今、目の前には死にかけの吸血鬼が一人いる。そして、周りには、二十人くらいのの吸血鬼達の死体が転がっている。
「私は元から仲間なんて思ってないわよ。私の仲間はこの館の住人だけ」
ごめんなさいね。貴方達、同じ種族よりも、この館の住人......レナとフランの方が大切なのよ。
「覚えてろよ! 俺を倒したところで、他の仲間達が必ず、貴様を殺すだろう!」
「あっそ。話はそれだけ? じゃ、先に死んでいった他の仲間達に伝言でも頼もうかしら? 『私達の為に、犠牲になってくれてありがとう』ってね。まぁ、貴方達のことなんてすぐ忘れるけど」
「き、貴様ァァァ! 必ず、必ずなか──」
他の吸血鬼なんてどうでもいい。私はレナとフラン、パチェに美鈴に咲夜......紅魔館のみんなが居れば、後はどうでもいい。
「あら、最後まで聞いた方が良かったかしら? まぁ、どうでもいいわ。......私はあの娘達さえ助かれば......」
その時、門を開く音が聞こえた。
また来たのかしら? まぁ、いいわ。不意打ちで槍を投げれば、すぐに死ぬでしょう。
そう思い、私はグングニルを構えた────
side Renata Scarlet
──紅魔館(館内 出入り口前)
「はぁっ!」
「え!? うわっ!?」
中に入ると、声と同時に、槍が飛んできた。それを、私は間一髪で回避する。
あ、危なかった......。って、あれ? 今のはお姉様のグングニルじゃ......?
「え!? れ、レナ!? レナなの!? よ、良かったわ......私、心配で心配で......もう、会えないかとまで思ったわ! ......でも、また会えて良かった。本当に、生きてて良かったわ......」
お姉様が半分泣きながら、私に飛び付いて来た。
「......お姉様、私も──」
「あ! お姉様、ずるい! レミリアお姉様に抱き締めてもらってるなんて!」
「フラン! 貴女も無事だったのね! 良かったわ!」
そう言って、次はフランに飛び付いた。
......まぁ、フランだしいっか。
「え、あ......うん。私もレミリアお姉様にまた会えて嬉しいよ」
「あ、あの、お姉様。この死体は......?」
「......あぁ、気にしなくていいわよ。昔から私が嫌いで、私の命を狙ってた連中らしいわ」
「へぇ......え、命を狙われたんですか!? お姉様、怪我はありませんよね!? 他にも命を狙ってるやつはいませんか? いたら私がすぐに殺しに行きます。私の能力さえあれば、誰にも気付かれることなく、暗殺出来ますから!」
「レミリアお姉様、私も狙ってるやつを殺しに行くわよ。私の能力なんて、一発で殺せるからね。だから、狙ってるやつは全員教えて。全員殺しに行くから」
「......頼もしいけど、物騒すぎるわね。それに、二人とも、殺気が強過ぎるわよ。......今は大丈夫よ。もう全員殺したから。貴方達は何も心配することはないわよ」
......お姉様が大丈夫って言うならいいのかな......。
「......もういいかしら?」
「あら? レナ、フラン。この方は?」
「あ、この人はアリスさん。私達をここまで案内してた人です」
「そう......アリス、妹達をここまで案内してくれて、ありがとうね。よければ、今夜は泊まっていくといいわ。外はまだ戦っているでしょうし」
「ありがとう。でも、遠慮しとくわ。ここまで案内したのは、魔導書を読ませてもらう為だけであって、泊まりに来たわけじゃないから。これ以上何かを貰ったり、何かをしてもらったりするのは、対価としては、多すぎると思うから」
「そ、そうなのね。分かったわ」
「あ、レミリアお姉様、美鈴やパチュリー達は?」
あ、そう言えば、誰も見かけてない。妖精メイドも辺りには居ないみたいだし、どうしたんだろう?
「あぁ、今は寝てるわよ。夜中だしねぇ。今起きてるのは、私とパチェくらいよ」
「あ、なるほど、そういうことね」
「さぁ、レナ、フラン。アリスを図書館に連れて行ってあげなさい」
「えー! もっとレミリアお姉様と一緒に居たい!」
「フラン、我が儘言わないの。明日から、ずっと一緒に居れるから、安心しなさい。私はまだ、仕事があるから。寝るわけにはいかないのよ」
「むー......分かった。でも、絶対に明日はずっと一緒に居てよね。こっちに来たんだし、これからはずっとみんなと居たいから......」
「フラン......えぇ、勿論よ。さ、早く行きなさい。......あ、レナは少し待ってて」
え? 私? ......真剣な顔になってるし、何かあるのかな?
「お姉様だけずるい気がする......ま、いいや。じゃ、アリス、行こー」
「え、えぇ。って、痛い痛い。強く引っ張り過ぎよ!」
「あ、ごめんね」
そして、フランとアリスが図書館に行って、見えなくなった時に、お姉様が口を開いた。
「レナ、何も聞かないで、フランを図書館から出さないでくれない? 勿論、貴方も出ないで欲しいわ。私が貴方達に会いに行くまでは、絶対に貴方達、二人は図書館を出ないで」
「......分かりました。お姉様、何があったかは知りませんが、気を付けて下さい」
「ふふ、ありがとうね。......レナ、魔法を使って私の様子を見ようとしても駄目だからね。絶対に」
お姉様がいつもフランがするような悪魔みたいな笑みを浮かべてそう言った。いやまぁ、悪魔なんだけど。やっぱり、姉妹って似るんだなぁ......。
「あ、バレてました? まぁ、バレては仕方ないので、やめときます。お姉様、死にそうになったら、絶対に呼んで下さいね」
「あら? 私が死ぬわけないでしょ? ......じゃあ、また明日ね。フランを止めるの頑張ってね」
「えぇ、また明日です。フランは......まぁ、なんとかして見せます」
こうして、私は図書館へと向かった────
次回は日曜日の予定。
レミリアの出番の方が多いと思って、フランとオリキャラが主人公の小説を書いていたけど、フランの出番が思ったよりも多かったと言う()
まぁ、作ったものを消すつもりはないので、この小説が終わる頃に投稿するかもです