東方紅転録   作:百合好きなmerrick

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久しぶりに間に合った気がした(←おい)

この小説を書き始めてから、二ヶ月。ようやく幻想郷に来た紅魔館組。これからどうなるのか......お楽しみ下さい。


11、「幻想入り──迷子の姉妹──」

 side Renata Scarlet

 

 ──とある森 夜

 

 目が覚めた時、辺りは変な雰囲気がする森だった。そして、近くにはフランしか居なかった

 

「ん、あ、あれ? え、ど、どういうこと?」

「あ、フラン。起きたみたいですね」

「あ、お姉様。......お姉様だけなの?」

「......はい、辺りを探しましたが、私と貴女だけでした」

 

 どうしてこうなったんだろうか?

 

「え、えーと......お姉様?」

「......おそらく、成功はしてます。魔力も前よりは強く、いえ、これは元に戻っていると言った方が正しいでしょうか。まぁ、今までよりも強いので、絶対に成功はしています。取り残されたわけではないでしょう」

「でも、お姉様達が取り残された可能性は無いの?」

「......それは分かりませんが、近くにいないのは確かでしょう」

「......お姉様、どうする? レミリアお姉様達を探す?」

 

 魔法でも間違えたのかな? それとも、別の何かのせいなのかな?

 

「んー......まずはお姉様を探すよりも、日をしのげる場所を探しましょう。死んだら元も子もないですし」

「ま、確かにそうだね」

「あ、フラン。出来るだけ私達が吸血鬼であることをこっちでバラしたくないので、今から魔法をかけます。少しだけ、動かないで下さいね」

「ん、分かった」

「はい、出来ましたよ。それと、手も繋いで下さい。魔力、妖力を『有耶無耶』にします」

「え、早すぎない? ......あ、お姉様の翼が消えてる。あ、私のもだ。あ、うん。分かったよ」

 

 まぁ、とにかく、どうしてこうなったのかを一から振り返ってみよう

 

「では、行きましょうか」

「うん。......そう言えば、お姉様と一緒に外に出たの始めてだよね」

「そう言えばそうですね。まぁ、こういう時に外に出たくはなかったですけど」

「まぁ、そうだけど。でも、私は嬉しいよ。こっちに初めて来て、初めてお姉様と外に出れたから」

「......ふふ、フランが嬉しいなら私も嬉しいです」

 

 確か、ここで目が覚める前は──

 

 

 

 ──時間は遡り 紅魔館(エントランス)

 

 ルネが来てから一ヶ月も経たない日の出来事だった。

 

「ふぁ〜、レミィ。みんな集まったみたいだけど?」

「あ、そうなの? ......あ、本当だ。こほん、みんな集まったみたいね。じゃ、早速だけど、今から『幻想郷』に行くけど、質問はある?」

 

 目が覚めた時、お姉様に急に呼ばれ、こんなことを言われた。......まぁ、もう慣れたから急にこう言われても何とも思わないや。

 

「え、お嬢様。もう出来たんですか? それと、結構急に言いますね」

「はい、もう出来ましたよ。それと、お姉様が急に言うのはいつものことです」

「レナ、いつもじゃないでしょう? まぁ、いいわ」

「いつものような......あ、お嬢様。一応、聞きますが、危険はありませんよね?」

「ないと思うわ。多分」

「いやいや、多分だと怖いんですけど......」

「仕方ないわねぇ。パチェ、レナ。どうなの?」

 

 そう言って、お姉様がパチュリーと私を見た。

 お姉様、分からないなら先に聞けばよかったのに......。

 

「ちょっと、レミリアお姉様? 私も手伝ったんだけど?」

「そう言えば、そうだったわね。で、貴女には分かるの?」

「......お姉様、聞かれてるよ?」

「やっぱり知らないんじゃない。一応、聞くけど、レナは分かる?」

「はぁ......まぁ、フランにはまだ魔法の難しい部分は教えてないですし、仕方ないですね。

 危険はありませんし、失敗する可能性はかなり低いはずです。......ですよね? パチュリー」

 

 正直に言うと、そこまで私は詳しくない。ほとんど作ったのはパチュリーだし、私とフランは主に補助の部分しか手伝っていないからだ。

 

「えぇ、その通りよ。でも、危険は少なからずあるかもしれないわ。特に、咲夜。貴女にね」

「え? 私に......ですか?」

「ちょ、ちょっと、それはどういうことなの?」

「レミィ、慌てないの。メイドよりも主人が慌ててどうするのよ。それに、『幻想郷』に入る時に、私達とは別の場所に飛ばされる可能性があるって言うだけよ。勿論、『幻想郷』の中の何処かに飛ばされるだろうから安心しなさい」

「いや、安心出来ないわよ! 他の吸血鬼がそこの住民相手に戦争するって言ってたでしょ! それに巻き込まれたら大変よ!」

「お嬢様、心配いりませんよ。私には時を止める能力があります。何処かに飛ばされても、すぐに戻ってきますよ」

 

 ......本当に大丈夫なんだろうか? 幻想郷には『鬼』などの強力な妖怪がいたはずだ。人間なら、一発でも攻撃が当たれば瀕死になるだろう。でもまぁ、咲夜なら本当に大丈夫そうだけど。

 

「......咲夜が言うなら、心配ないわね。......パチェ、どうしてそんな危険があるのか教えてくれない?」

「それは、咲夜が人間だからよ。普通、人間では持っていない能力を咲夜は持っているとしても、咲夜が人間だと言うことは変えれないわ。そして、『幻想郷』は『人間』に忘れられた私達が行くような場所。同じ人間で、人間を超える能力を持っている咲夜は入れたとしても、別の場所に飛ばされる可能性があるってわけよ」

 

 それは対処のしようがないか。咲夜は人間のまま一生を終えることを望んでいるし、お姉様もそれを了承しているからね......。

 

「......咲夜、何処かに飛ばされても、私がすぐに助けに行くから安心しなさい」

「お嬢様、お言葉ですが、それをすると見知らぬ土地ですし、すれ違う可能性が高いです。お嬢様はゆっくり部屋で待っていて下さい」

「ま、まぁ、それもそうなんだけど。でも、心配だし、探すくらいはいいじゃない」

「パチュリー様、レナ様、フラン様。お嬢様が本気で探しに行こうとすれば、止めれるのは皆様しかいません。その時は、お願いします」

「まぁ、私は力ずくならレミリアお姉様よりは強いからね。出来る限り止めるよ」

「あら、フランに私が止めれるとでも? 力ずくなら私の方が強いわよ?」

 

 あ、また始まりそう。......止めたら怪我しそうだし、止めるのはやめとくか。

 

「へぇー、姉だからって私に勝てると思ってるの?」

「姉なんて関係ないわ。同じ歳でも私の方が強いに決まってるじゃない」

「お姉様、能力的にもそれはフランの方が強いと思います」

「あら、レナも私よりもフランの方が強いって思ってるのね。なんなら、ここで試してみてもいいのよ?」

「いえ、そうは言ってませんけど......」

「レミリアお姉様、いいの? 恥をかくことになるけど」

「あら、それはこっちのセリフ──」

「やめなさい。ここに転移魔法の魔法陣を描いてあるのよ? それに傷が付けばまた最初からやり直しだから。せめてあっちに行ってからにしてちょうだい」

 

 結構大変だったからね。それに、今からやり直したら、時間が間に合わなくなるだろうし。

 

「......分かったわ。フラン、後で決着をつけましょうか」

「そうだね。まぁ、結果は目に見えてるけど」

「へぇ、言うじゃない。でも、私に勝とうなんて千年早いわよ?」

「千年早いのはレミリアお姉様の方だけど? そうだわ。お姉様、私とレミリアお姉様、どっちが勝つと思う?」

「え、ど、どうして私に聞くんですか?」

「それは私とフランと一緒にいる時間が一番長いのはレナだからでしょ? で、どっちなの? 勿論私よね?」

「え? 私だよね?」

 

 これはわざとやってるんだよね? どっちを言っても言わなかった方に殺される気しかしないんだけど。と言うか、誰か助けて......って言っても無駄か。パチュリーは諦めて、可哀想な子を見る目で見てるし、咲夜と小悪魔は見て見ぬふりをしてるし、唯一頼れそうな美鈴は吸血鬼を二人相手ではすぐに負けるだろう。

 

「......保留ということでは駄目ですかね?」

「勿論駄目よ。今すぐ決めなさい。じゃないと、後でどうなっても知らないわよ?」

「お姉様、私って言わないと知らないから」

 

 いや、そんなストレートに言われても困るんですけど。あれ? 私の人生ってここまでなのかな? これ究極の選択だよね? お姉様に殺されるか、フランに殺されるかを選べって言ってるようなもんだよね?

 

「こらっ、フラン。それだとレナが貴女って言うじゃない。......いや、私も言えばいっか。レナ、私って言いなさい。言わないと明日からどうなっても知らないから」

 

 なんで!? どうしてそうなるの!?

 

「......あのぉ、パチュリー様、あれは止めた方がいいのでは?」

「大丈夫よ。レナが明日、死んだようにぐったりしてるかもしれないけど、明後日には普通に生き返って動いているから」

「そ、それは......大丈夫なんでしょうか?」

「パチュリー様、魔法の準備をした方がいいかと」

「そうね。あの姉妹は放っておいて、早速始めましょうか」

 

 いやいや、止めてよ! って言うか、この状況で始めるの!?

 

「お姉様! どっちか早く言ってよ! じゃないと......きゅっとしちゃうよ?」

「フランがそれを言うと普通に怖いです......はぁ、フランにしますよ。お姉様、お仕置きとかはあっちに行った時にして下さいね」

「......え? 本当に?」

「本当ですよ」

「あら、意外だったわ。このままどっちも決めないで、どっちからも怒られるっていう予想をしてたんだけどねぇ。まぁ、お仕置きはちゃんとするけど、殺しはしないから安心してね。それにしても、どうしてフランにしたの? もしかして、私が嫌いになった?」

「安心出来ません。それと、お姉様は好きなままですよ。......た、ただ、フランにあのお仕置きをされると、次の日を完全に無駄にするので......」

 

 フランと一緒にいるのは嬉しいけど、フランのお仕置きは嫌だ。もう、あんな目にはあいたくない......。

 

「え、ど、どうしたの? なんか目から光が消えたんだけど。え、フラン? いつも貴女はレナに何をしてるの?」

「さぁ? 何をしてるんだろうねー。......それよりも、お姉様、ありがとうね。......それと、出来ればあのことはレミリアお姉様に言わないでほしいなぁ」

 

 最後の一言を、フランはお姉様に聞こえないように私の耳元で呟いた。

 お姉様に言ったらフランに殺されそう......。

 

「......はい、分かりましたよ。ですが、もうしないで下さいよ? まぁ、フランと一緒にいれますから、別にいいんですけど......」

「ふふ、それなら良かった。......お姉様、大好き」

「私も大好きですよ。フラン」

 

 パタパタと嬉しそうに翼を動かして、フランが私を抱き締めた。

 

「お嬢様方、なんか良いところで悪いけど、もう準備は終わったから、今すぐにでもあっちに行けるわよ」

「あ、ごめんね、パチュリー」

「何が? いつも通りの光景だし、いつも通りの行動にしか見えないわよ?」

「あ、あら、そうなのね。あ、もう転移魔法を使ってもいいわよ。みんなここに居るし、妖精メイドも紅魔館内に全員いるはずだから」

「そう。なら詠唱を始めるわよ」

 

 そう言って、パチュリーが詠唱を始めた。もう少しで、『幻想郷』に行くのか......これからが本番だ。頑張らないと。

 それにしても、フラン、強く抱き締めすぎでは? 地味に痛いです。......それにしても、どうしてなのかな? 少し懐かしい気がする。昔にもこんなことあったっけ?

 

「あ、ごめんなさい、お姉様。強く抱き締めすぎちゃったよね......」

「......いえ、大丈夫ですよ。全然痛くないです」

「お姉様って結構強がりだよね。まぁ、それがいいんだけど」

「おーい、妹様方ー、もう転移魔法が発動するから、何処かにつか──」

 

 パチュリーが何かを言っていたが、その後は聞こえなかった。おそらく、転移魔法が発動したのだろう。辺りは光で包まれ、抱き締めていたフラン以外は何も見えなくなった──

 

 

 

 ──時間は戻って とある森

 

 ......あれ? もしかして、違う場所に飛ばされたのって、元人間の私のせい? フランは転移魔法を使った時に、私が触れていたから?

 もしかしたら、元人間と言う理由も含め、私の能力──有耶無耶にする程度の能力──のせいでもあるのかな? 吸血鬼と言う存在が有耶無耶になっていて、人間と言う要素が強くなっていたとか? ......でも、どうしてそうなっていたのかは説明がつかないし、違うかもしれないか。

 

「お姉様、どうしたの? 顔が暗いけど、何かあった?」

「え、い、いえ。何もありませんよ」

「ふーん、何か隠してるみたいだけど、まぁ、紅魔館に帰ってからでいっか」

「......どうしてバレたのかは分かりませんが、そっちの方が助かります」

「私にはどうしてバレないと思ったのかが分からないけどね。あ、お姉様。何か家が見えてきたよ?」

 

 家? あ、本当だ。......そう言えば、さっきから何か変な気がしてたけど、もしかして、ここは『魔法の森』?

 もし、そうだとしたら、この家は......あれ? 誰だっけ? さっきまで憶えてた気がするんだけどなぁ。

 

「お姉様? どうするの? 誰か居るなら、泊めてもらえるかもよ?」

「......そうですね。誰か居るか訪ねてみましょう」

「じゃ、お姉様。頼むね」

「え、まぁ、いいですけど、手は離さないで下さいよ?」

「......うん、絶対に離さない」

 

 そう言って、フランがさっきよりも強く私の手を握った。......どうしたんだろ?

 

「すいません。誰か居ませんか?」

「はーい。......って、え? 子供?」

 

 私は「コンコン」と扉を叩いた。

 すると、一人の少女──と言っても、見た目では私達よりも上の女性──が二体の人形を従えて出てきた。その少女自体も一見すると人形のような姿をしているが、喋ってるし、本物の人間だろう。......多分。

 容姿は金髪に瞳の色は青。青のワンピースのようなノースリーブに、ロングスカートを着用していて、その肩にはケープのようなものを羽織っており、頭にはヘアバンドのように赤いリボンが巻かれている。手にはリボンで結び、鍵がかけられた一冊の本を持っている。

 

「えーと......こんなところでどうしたの? 危ないわよ?」

「え? そうなの?」

「そうなのよ。ここは『魔法の森』、普通の人間、妖怪にとっても居心地の悪い場所なのよ? よく化物茸の放つ瘴気に耐えれるわね。......あ、もしかして、私と同じ魔法使い?」

「あ、はい。そうですよ」

「へぇ、小さいのに凄いわねー。あ、私はアリス・マーガトロイドよ。よろしくね」

「あ、自己紹介がまだでしたね。私はレナータ。こっちは妹のフランです」

「よろしくー」

 

 アリス......あぁ、思い出した。『原作』で出てたキャラだ。人形を使う魔法使いってのは憶えているけど、詳しいことは知らないなぁ......。

 

「それにしても、まだ小さいのにここまで来れるなんて、本当に凄いわね。どうしてこんなところまで来たの?」

「んー......お姉様、どうしてだっけ?」

「え、あ、それはですね......実は私達、日光に当たると、灰になってしまうという呪いをかけられたのです。そして、この森まで魔法で飛ばされてしまい、ここがどこか分からないので、日をしのげる場所が無いかと探していたのです」

 

 とっさに考えた嘘だけど、大丈夫かな? 嘘をついた罪悪感はあるけど......魔法の部分以外は嘘を言ってないから......いいよね?

 

「あらあら、それは大変だったわね。もう少しで日が昇る頃でしょうし、貴方達さえよければ、今日は私の家に泊まっていきなさい」

「え? いいんですか?」

「本当にいいの?」

「えぇ、勿論いいわよ。ただし、本当のことを教えてくれたらだけどね」

「え!? お姉様、嘘ってバレてるよ!」

 

 あ、フラン、それは言ってはダメなセリフです......。いや、もうバレてるなら変わらないけど。

 

「やっぱり、嘘だったのね。貴方達、妖怪よね? 少し分かりにくいけど、妖力を感じるわ。それに、魔力を分かりにくくするくらいの技量を持っているから、結構長く生きている妖怪?」

「......お姉様、有耶無耶にしてもバレるものってバレるのね」

「まぁ、分かりにくくしているだけですし、相手に触れないと最大限の力を出せないみたいなので、仕方ないですよ」

「で、貴方達は何者? 流石に、正体が分からない人を家に入れるわけにはいかないからね。例え、子供だったとしてもね」

「むっ、私は子供じゃないもん! お姉様よりは大人だもん!」

「フラン、言い方が完全に子供ですよ。それと、私はフランよりは大人です。絶対に」

 

 ......それにしても、フラン可愛い。子供扱いしたらこうやって怒るんだね。後でお姉様に言って一緒に弄ろっかな。

 

「......先に言っておくけど、姉妹喧嘩なら別の場所でやってよね」

「あ、すいません。私達は吸血鬼と言う種族です。最近、と言うか今日幻想郷に来たばっかりの妖怪です」

「吸血鬼ねぇ。知らないけど、結構強そうな種族ね。貴方達を見る限りは」

「あ、そうでした。私達は移住目的でここに来ましたが、ここを侵略して、自分のものにしようとしている吸血鬼もいるので、気を付けて下さい」

「......お姉様、それを言ったってバレたら、他の吸血鬼に狙われるよ? まぁ、お姉様を狙った吸血鬼は全員殺すけど」

 

 あ、完全に忘れてた。まぁ、他の吸血鬼にバレなかったらいっか。

 それにしても、フランも頼もしくなったね。まぁ、出来れば、能力は使ってほしくないし、フランには誰も殺してほしくはないけど。

 

「あらあら、それは大変なことになりそうね......。教えてくれてありがとう。それにしても、ここまで嘘をついているかどうか分かりやすい人達には初めて会ったわ」

「え、そうなの?」

「顔に全部出てるわよ。でもまぁ、本当のことを言ってくれたし、責めはしないわよ」

「......お姉様、優しい人でよかったね」

「本当にそう思います」

 

 嘘が完全にバレてしまうのか......次からは表情とかでも有耶無耶にした方がいいのかな?

 

「さ、もう言うことはないかしら?」

「あ、実は、私達は住んでいる館ごとこっちに来たんですが、その館が何処にあるのか分からないんです。何か知りませんか?」

「館? んー......知らないわね。明日はどうするの? その館を探すなら、森から出た方がいいわよね......。よければ、森の出口まで案内するわよ?」

「あ、ありがとうございます」

 

 アリス......いや、アリスさんって、本当に優しい人なんだね。

 

「明日は館を探すとして、大丈夫ですか? 私達は夜にしか行動出来ないので、夜に移動することになると思いますが、危険ではないですか?」

「大丈夫よ。森の中までならね。流石に、森の外までは案内出来ないけどね」

「いえいえ、そこまで案内して頂ければ、大丈夫ですよ」

「ふぁ〜、もう眠い......」

「あ、入ってちょうだい。私はソファーで寝るから、ベッドを使ってくれていいわよ」

「ありがとうございます」

「お姉様......おんぶしてー」

「......どうして急に甘えてきたのでしょうか......まぁ、いいですけど」

 

 そう言って、私はフランをおんぶした。全然重たくはないけど、背の高さがほとんど同じだから、少しおんぶしにくい。

 たまに、フランは急に甘えん坊になることがある。まぁ、可愛いからいいんだけどね。

 

「仲が良い姉妹なのね。じゃ、重たいでしょうし、早く入りなさい。」

「色々とありがとうございます。アリスさん」

「いいのよ。困った時はお互い様だからね」

 

 こうして、幻想郷に来て、初めての一日が終わった。

 明日からは館を探さないと。......流石に、他の吸血鬼が明日に来て、いきなり襲撃とか始まらないよね? まぁ、流石にそんなことはあるわけないか。

 そう思いながら、フランをベッドに連れていった。

 

 そして、私の予想は当たることになるのだが、まだこの時の私は気付くことなんて出来なかった────




次回から3章に入ります。なお、次回の投稿日は日曜日の予定。

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