東方紅転録   作:百合好きなmerrick

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毎度遅れてすいませんね()
二章も後1、2話で終わると言う今日このごろ。時間って経つの早いですよね()


10、「吸血鬼の訪問者 幻想のお話」

 side Renata Scarlet

 

 ──紅魔館(美鈴の部屋)

 

 咲夜が来てから数年の年月が過ぎたある日。

 今日は久しぶりにルネ・バートリが来るらしい。ルネとは、私と同じ転生者らしい吸血鬼だ。ルネの親はお姉様のお父様やお母様を殺した奴だから、恨んではいるけど、その殺した張本人は死んだし、ルネには罪はないからもういいんだけどね。

 それにしても、何百年振りだろう? 最後に会ったのは、美鈴が来る前だったはず。......あれ? 美鈴が来てからも来たっけ?

 

 と、疑問になったので、今は美鈴の部屋に来ている。

 

「では、そのルネさんに会ったことがあるのか聞きに来たんですね」

「はい、会ったことありましたか?」

「んー......おそらく、会ったことはないはずです。ですが、私は昼以外には出ませんし、私が居ない夜に来た可能性もありますから、私が来てからも来ていた可能性はありますよ」

「あ、そう言えばそうでしたね。ふむぅ......お姉様もどうせ憶えていないでしょうし、ルネに聞いた方がいいかもしれませんね。まぁ、ルネも憶えていない可能性はありますが」

 

「お姉様ー、あ、ここに居たんだ。レミリアお姉様が『レナを私の部屋に呼んでくれないかしら?』って言ってたから、呼びに来たよ」

「お姉様が? もう来たんでしょうか? あ、フラン。ありがとうございます」

「別にいいよ。あ、美鈴も来てって言ってたよ」

「え? 私もですか?」

「うん、そうだよ。後、パチュリーも小悪魔も咲夜も居たよ」

「みんな呼んで何をするつもりなんでしょうか? ......お姉様のことですから、どうせ碌でもないことでしょうけど」

 

 お姉様はいつも気まぐれで何かするし、今回もその気まぐれだろう。......でも、何か忘れているような......そう言えば、お姉様はもう少しで500歳だっけ? それに何か関係してた気がするんだけどなぁ。何か思い出せないや。

 

「お姉様、どうしたの? 早く行こっ?」

「あ、すいません。今行きます」

「あ、私も行くんで待ってくださいよ〜」

 

 こうして、三人でお姉様の部屋へと向かった。

 

 

 

 ──紅魔館(レミリアの部屋)

 

 お姉様の部屋に着いた時、そこには五人の人物が居た。勿論、さっきフランが言った、お姉様、パチュリー、小悪魔、咲夜に加え、もう一人。

 青い髪をして、お姉様と同じ吸血鬼独特の翼を持った男性の吸血鬼が居た。歳の見た目は私と同じ十代前後で、黒い服を着ている。久しぶりで顔は少し忘れているが、ルネで間違いないだろう。

 

「あ、三人とも来たみたいね。さ、さっきの話をもう一度お願いするわね。ルネ」

 

 私達が来たことを確認して、お姉様がそう言った。

 

「はい、分かりました。の前に、久しぶりですね。レナータ、フランさん。それと、初めまして、美鈴さん」

「数百年振りですかね? お久しぶりです」

「あ、初めまして。ルネさん......で合ってますよね?」

「はい、合ってますよ」

「......ちょっと待って。どうしてお姉様だけ呼び捨てなの? どんな関係? それと、私こいつ知らないんだけど」

 

 フランが少し怒ったような顔でそう言った。

 ......どうして怒ってるんだろう?

 

「あ、憶えていませんか? 僕は──」

「お前には聞いてないけど? 私はお姉様に聞いてるのよ。で、お姉様。どうなの?」

「ほら、結構前に会いましたでしょう? ルネ・バートリですよ。あ、一応、言いますが、いい人ですよ」

「......バートリ? まぁ、今はいいわ。それよりも、お姉様、こいつとどういう関係なのよ!?」

「え、あ、あの......どういう関係と言われても困るのですが。ただの知り合いなんですけど......」

「なら、どうして呼び捨てだったの? お姉様が言ったの?」

「はい、そうですよ。......どうして怒っているのかは分かりませんが、落ち着いて下さい、フラン」

「あ、そうだった。お姉様はこんな人だったんだ......もういいや。さ、話って何なの? 早く始めて」

 

 え? 何故か飽きられているんだけど、どういうこと? ルネも頭にはてなマーク出てるし、全く以て、どういうことか分からないんだけど......。

 

「では、話ですね。皆さんは、自分の力が弱まっていると思ったことがありませんか? それか、吸血鬼、まぁ、妖怪ですね。その存在が、人間達に忘れ去られてきた感じがしたこととか」

「んー......私はないよ。お姉様は?」

「そう言えば、最近、魔法のキレが無くなってきてる気がします」

「私も、最近力が出にくいですね。......あ、そう言えば、最近人間の襲撃が全くないですね。最後にあったのは、十数年も前の話です」

「実はですね。僕達、妖怪の恐怖が薄れてきたのが原因か、人間達に忘れ去られようとしているのです」

「......で、それがどうしたの? 人間に忘れられて、何か悪いことでもあるの?」

「はい、あります。僕達、妖怪が人間に忘れ去られることで、僕達の力が弱まるんです。そして、最後には僕達が消えてしまうでしょう」

 

 あ、そうだ。思い出した。もう少しでお姉様の500歳の誕生日だ。そして、お姉様が500歳、フランが495歳になった頃に──

 

「ふーん、信じ難いけど、お姉様や美鈴は力が弱くなってるのを感じてるらしいし、本当っぽいね。で、何か対策はあるの?」

「はい、実はですね。『日本』という東洋の島国に、『幻想郷』という場所がありましてね。そこは、妖怪達が人に忘れられず、普通に暮らしているらしいのです」

 

 ──幻想郷に行くんだった。

 

「へー、そんな場所があるんだ。で、どうやって行くの? 普通に歩いたり、飛んだりして行くのは無理でしょ?」

「そこは大丈夫ですよ。その『幻想郷』では、こっちの世界──あ、幻想郷はこことは別の世界らしいです。まぁ、異空間とでも考えていいかと──で『忘れ去られてたモノ』が入りやすくなっているらしい特性......ですかね? まぁ、それを利用して、移転魔法で入り込む予定です。おそらくですが、パチュリーさんやレナータになら、転移魔法くらいなら出来るはずです」

「えぇ、確かに出来るわよ。レナが使っていた移動魔法を改良すれば、すぐにでも作れるはずよ」

「あ、私も手伝いますね」

 

 まぁ、私が居なくても普通に作れるんだろうけど、協力した方が早く終わるだろうから、手伝って損はないよね。

 

「で、本題なんですけど......」

「え? 妖怪の力が弱くなってるから、一緒に移動しようって話ではないんですか?」

「えぇ、まぁ。実は、兄がその『幻想郷』を支配しようと考えているのです。だから、ここに来た目的は協力して欲しいからって言う理由もあるのです。兄は、貴方達以外にも、現代に生きている吸血鬼達を集めています。おそらく、国の一個くらいなら、崩壊させることも出来るかもしれない戦力になるでしょう」

 

 ......え? マジですか? そうなの? え、幻想郷に攻め入るつもりなの? ......あ、思い出した。『吸血鬼異変』ってやつか。詳しくは知らないけど、なんか聞いたそんな異変があるって、前世で聞いた気がする。吸血鬼が幻想郷に攻めるっていう異変なのかな? まぁ、幻想郷はその後でも普通にあったはずだし、失敗するってのは分かった。

 

「その話までは私達も聞いたわね。それで、その話の続きもあるんでしょ? わざわざそれを言うってことは、協力して欲しいとかが」

「はい、近いですね。で、話の続きなんですが......現在、吸血鬼達のリーダーは兄と言うことになっているんですが、今は、貴方達の方が人間達に知れ渡って、吸血鬼で強いと言ったら、レミリアが一番よく言われていますし、出来ればレミリアにリーダーになって欲しいと思っているんですけど、それでもいいですか? 勿論、無理なら無理でいいですよ」

「ふむ......そういうことらしいけど、貴方達はどっちの方がいいと思う?」

 

 お姉様がそう言って、私達の方を見た。

 

「私はお嬢様の命令に従います」

「私はどっちでもいいわね」

「あ、私はパチュリー様と同じ意見で」

「リーダーと言う響きはいいですけどねー。でも、私はお嬢様の命令に従いますよ」

「ふーん、今のところはリーダーになる派の方が多いわね。と言っても、一人しか意見言ってない気がするけど。貴方達、もっと意見を言ってもいいのよ?」

「私は本当にどっちでもいいのよ」

「私はお嬢様の従者です。お嬢様の命令に従うのが筋というものです」

「いや、従者でも、主人がおかしいことしてるって思ったら言ってよ? まぁ、いいわ。最後は貴方達ね。レナ、フラン。どう思う?」

 

 お姉様が私達の目を見て言った。なんか、かなり真剣みたいだけど、どうしたのかな?

 

「んー......私はお姉様と同じ意見にする。なんか、そっちの方がいい気がするから」

「ふーん......で、最後はレナね。貴女は、どうしたいのかしら?」

「......私は、吸血鬼のリーダーになって、もしも負けた時にお姉様が責任を負いそうですし、リーダーじゃない方がいいです。お姉様が責任を負って、死ぬなんてのは嫌ですから」

「......ふむ、分かりました。後、多分ですが、兄もレナータと同じ意見なのでしょう。会った方達全員に頼んでいるみたいですから。あ、なんか騙しているみたいになりましたけど、お許しくださいね」

 

 え、ルネ、酷くないですか?

 

「別にいいわよ。そもそも、負ける要素なんて無さそうだけどね。でも、先に言っておくけど、私達は戦力にならないわよ?」

「え? どうしてですか? 貴方達は結構強い方だと思うんですけど......」

「戦う気がないからね。私一人だけなら、戦おうとは思えるけど、妹が二人もいるし、大切な友人も、従者も、門番もいるからね」

「......優しいんですね。レミリアは。まぁ、そういう事なら仕方ないでしょう。では、私は戻りますね。あ、後、僕達が転移するのは今からちょうど一ヶ月後の予定です。他の吸血鬼も一ヶ月後に転移するでしょうから、出来れば同じ時間に来てください」

「えぇ、戦わない代わりに、それは守るわ。じゃ、またね」

「はい、次に会うのは一ヶ月後でしょうね。では、またお会いしましょう」

 

 そう言って、ルネが部屋から出て行った。

 それにしても、幻想郷か......これからが本番か。お姉様やフラン、美鈴、パチュリー、小悪魔、咲夜。みんなが死なないように頑張らないと。私が来たせいで、未来が変わるなんて嫌だからね。

 

「じゃ、パチュリー、早速始めてちょうだい。あ、紅魔館ごと転移出来るようにしてくれないかしら? ......出来る?」

「はぁ......出来るわよ。でも、疲れそうね......。レナ、それとフラン。貴方達にも手伝ってもらうからね」

「え? 私も手伝うの?」

「文句は貴女の姉に言ってちょうだい。紅魔館ごと転移となれば、少し難しいのよ。だから、出来るだけ紅魔館が転移出来る時間を少なくして、出来るだけ転移の成功率を上げるためには、人手がいるのよ」

「はぁ......まぁ、お姉様も一緒ならいっか。じゃ、お姉様、行こっか」

「はい、分かりました。では、行ってきますね」

「えぇ、みんな頑張ってね。じゃ、美鈴はもう夜だし、寝ていいわよ。咲夜は紅茶を入れてくれないかしら?」

「はい、分かりました」

「......レミリアお姉様っていつも楽してる気がする......まぁ、いっか」

 

 そして、私達は転移魔法への準備へと移り、一ヶ月後までに完成させるように頑張ったのであった────




次回は、金曜日に投稿予定

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