東方紅転録   作:百合好きなmerrick

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番外編 9.9「吸血鬼ごっこ」

 side Renata Scarlet

 

 ──紅魔館(図書館)

 

「みんなに集まってもらったのは他でもないわ。今から鬼ごっこならぬ吸血鬼ごっこをする為よ」

 

 いつも通り、お姉様の気まぐれで集められた。本当、お姉様ってわがままだよね......まぁ、別にいいけど。

 

「いつものことですけど唐突ですね。で、『吸血鬼ごっこ』とは、どんなルールですか?」

「ほとんど鬼ごっこと変わらないわ。ただ、捕まったらそこで終了。鬼は最初から固定よ」

「ふむふむ、鬼は誰がやるのですか?」

「私かレナかフランね。吸血鬼だし」

「そんな簡単な理由で......いやまぁ、遊びだからそれでもいいのでしょうけどね」

「あ、はいはい! 私が鬼やりたーい!」

 

 フランが勢いよく手を挙げてそう言った。

 私はどっちでもいいから、フランが鬼でいいとは思うけど......何か企んでそうで怖いんだよねぇ......。

 

「ならフランで決まりね。レナもそれでいいわよね?」

「......え? あ、はい。いいですよ」

「やったー! みんな捕まえたいなー」

「あ、言い忘れてたけど、パチェは不参加よ。理由はパチェの体調的な問題よ。だから、逃げる側は私、レナ、美鈴、咲夜、小悪魔ね」

 

 そう言えば、パチュリーって病弱なんだっけ? たまにしか会わないけど、そんな風には見えないんだよねぇ。まぁ、魔法行使した時とか体を動かす時とかはやばいんだろうけどね。

 

「お嬢様、逃げれる範囲はどうしますか?」

「この館の中なら何処に逃げてもいいわよ。制限時間は3時間よ。それと、能力を使うのは禁止よ。と言っても、使っても分からないんだけどね。まぁ、その辺りは信じると言うことにするわね。それと、捕まったらここに来なさい。さ、ルール説明はこれで終わりね。フランは今から60秒数えて。そのうちに私達は逃げるから」

「はーい! いーち、にーい、さーん......」

 

 うん、テンポ早いね。まぁ、いいや。私も早く逃げよっと。

 

「......それにしても、フランにずっと見られている気が......」

 

 そんなことを呟きながら、私は図書館から出ていった────

 

 

 

 

 

 side Flandre Scarlet

 

 ──残り三時間 紅魔館(図書館)

 

「ろくじゅうー! さーて、みんなは何処に行ったのかなぁー?」

 

 確か、お姉様はあっちから出ていったよね。で、美鈴はあっちからか......お姉様からでいっか。お姉様の魔力は強いし、見えなくても大体の位置は分かるしね。魔力は見ようとしなくても、見えちゃうし仕方ないよねー。

 そんなことを考えながらお姉様が出ていった扉から廊下へと出た。

 

「何処かなー? お姉様は何処に居るのかなー? あっちかなー、こっちか......な......あ、みーつけた!」

「え!? あ、ふ、フラン様!? まだ一分しか経ってないのに見つかるの早くないですか!?」

 

 廊下に出たら、十数メートル先にこあが居た。

 いやー、運がいいなー。まだ逃げれてなかったんだなー。

 

「こあは逃げるの遅いねー。そんなんじゃ......すぐに終わっちゃうよ? ま、終わらせるの私なんだけどね、っと!」

「ぐぁっ!」

 

 そう言いながら、こあに突進して行って、タッチした。すると、こあは床に倒れ込んだ。

 首に当たったせいかな?

 

「......それとも、強過ぎたせいかな? ま、何でもいっか。次はお姉様かなー」

 

 どうせ後で起きるだろうし、ほっといてもいいよね。

 そう思いながら、お姉様の魔力が感じる場所へと向かっていった──

 

 

 

 ──残り二時間半 紅魔館(フランの部屋)

 

「入るねー! ま、私の部屋なんだけどねー」

 

 お姉様の魔力を辿っていくと、私の部屋に着いた。

 

「あれれ? ここだと思ったんだけどなぁー」

 

 魔力はここから感じる。......何処かに隠れてるのかな? 隠れれそうな場所って言っても、ベッドの後ろか大きめのクローゼットくらいだけど......。

 

「あ、え? もしかして......」

 

 少しクローゼットが動いた。......これ、本当にお姉様だったら、妹として恥ずかしいんだけど......。どうしてこんな子供みたいに......ま、いいや。

 

「......お姉様、そこに居るのは分かってるよ?」

「え!? ......あ」

 

 クローゼットの前まで来てそう言うと、中からお姉様の声がした。

 ......いや、本当に妹として恥ずかしいんだけど。お姉様ってたまにバカになるよね......。本当、レミリアお姉様もお姉様も肝心な時に......ま、今は肝心な時でも無いんだけど。

 そんなことを考えながら、クローゼットを開けた。

 

「......本当にお姉様じゃん。魔法で囮とか使ってるのかな? って少しでも思った私がバカだったよ。はい、タッチ」

「うー......まさかバレるとは思いませんでした......」

「いや、動いてたからね? クローゼット動いてたからね!? お姉様、貴女の妹とか恥ずかしいんだけど。色んな意味で」

「うっ、酷いです......」

 

 いや、こんなお姉様は見てて......もういいや。こんなこと言ってたら、疲れる。

 

「じゃ、私は他の人達を探すから......お姉様は自分で図書館まで行ってね。......一人で行けるよね?」

「い、行けますよ!」

「うん、それならいいけど......じゃ、また後でね」

「なんでそんな可哀想な人を見るような目で見るのですか!?」

「お姉様、分かってるなら聞かないで」

「えぇっ!?」

 

 

 一人で騒いでるお姉様を無視して、私は他の人達を探しに行った──

 

 

 

 ──残り一時間半 紅魔館(食堂)

 

「はぁ、流石に広過ぎて見つからないなぁー......」

 

 お姉様を見つけてから一時間経った。だが、一通り見て回ったはずなのに、誰も見つけることが出来なかった。

 

「誰もいないなー......」

「ガチャ」

 

 そんなことを呟いていると、食堂の扉が開き、咲夜が入ってこようとしていた。

 

「......失礼致しました」

「え、うん......あ! 見つけた!」

 

 ようやく見つけた。やっぱり、動き回っていたんだ。それにしても、運がいいんだね、咲夜って。今まで見つからなかったし。

 

「くっ、このままでは......っ!」

 

 扉を開け、逃げて行く咲夜を追いながら、弾幕を放つ。しかし、それを避けてどんどん距離を広げていく。

 

「ちっ、待てー!」

 

 それにしても、結構速いなぁ......ま、吸血鬼に敵うわけないけど。

 

「逃がさない!」

「なっ!? うっ!」

 

 全速力で咲夜に突進した。流石に、突進は予想してなかったのか、避けることが出来ずに咲夜と衝突してしまった。

 ......今更なんだけど、咲夜、大丈夫かな?

 

「あ、咲夜、大丈夫?」

「だ、大丈夫です......少し、骨が折れた気もしますけど......」

 

 お姉様の背骨が複雑骨折した時は、叫んだり、もがいたりしてた から......大丈夫だよね?

 

「喋れてるから大丈夫なのかな? 一人で図書館まで行ける?」

「は、はい......大丈夫です」

 

 腰の方を抑えて痛そうにしてるけど、本当に大丈夫なのかな......?

 

「......ご、ごめんね?」

「いえ、謝る必要はありません。大丈夫ですので、フラン様は引き続き、探すことに専念された方が良いかと......残り時間は一時間ほどですので......」

「あ、う、うん。分かった。じゃ、行ってくるね」

「はい、お気を付けうっ!? 少し痛みますね......」

「む、無理だったら言ってね?」

 

 やっぱり、大丈夫そうではないよね......。

 

「すいません、心配をかけてしまいましたね。本当に大丈夫ですので、お嬢様と美鈴を探しに行った方が......」

「......うん、分かった。咲夜、本当にごめんね!」

 

 そう言って、レミリアお姉様と美鈴を探しに行った。

 後ろで、「気にしないで下さい」と言われた気もするけど、普通は気にするよね......。

 そんなことを考えながら、逃げるようにして咲夜から離れていった──

 

 

 

 ──残り五分 紅魔館(図書館近くの廊下)

 

「......居ないなぁ」

 

 咲夜から離れて一時間以上経った。未だにレミリアお姉様と美鈴は見つからない。

 

「......灯台もと暗し。確か、お姉様がそんなことを言ってたよね。もしかしたら......」

 

 不意にそんなことを思い出し、図書館に向かっていた。

 

「......あ、レミリアお姉様」

「あら、フラン。遅かったわね」

 

 図書館の扉を開けると、そこにはレミリアお姉様と捕まった人達が居た。

 よかった、咲夜も居る。大丈夫そうでよかったよかった。

 

「ここに居たんだね」

「えぇ、ここに居たわよ。後五分しかないけど、どうする?」

「レミリアお姉様だけでも捕まえるよ。美鈴は見つからなかったからほっとく」

「あら、可哀想な美鈴。確か、貴女の部屋に隠れてたはずだけど......見つけれなかったの?」

 

 え? ......まさか、ベッドの後ろに? もしかして、お姉様......いや、まさかねぇ。囮とかそんなことをしようとしてた感じには見えなかったから違うんだろうね。多分。......でも、囮になってたって思いたいなぁ。

 

「......お姉様が囮になったせいで、気付かなかった」

「あらま。バレてしまいましたか」

「あ、本当にそうだったんだ」

「えぇっ!? 適当に言ってたのですか!?」

 

 まさか、本当にそうだったとはね。お姉様が可哀想な人じゃなくて良かった......。

 

「うん、適当だった。それよりも、レミリアお姉様、大人しく捕まってくれる?」

「いやよ」

「じゃ、無理矢理捕まえるね」

「やれるものならやってみなさい!」

 

 そう言って、私とレミリアお姉様は飛び上り、私は『レーヴァテイン』を、レミリアお姉様は『グングニル』を手に持ち構えた。

 

「......これ、吸血鬼ごっこでしたよね? どうして二人とも、武器を構えてるのですか?」

「レナ、知ってる? 吸血鬼ごっこ、すなわち、鬼ごっこの必勝法を」

「い、いえ、知りませんけど......」

「それはね......捕まる前に鬼を倒すことよ!」

「それは絶対におかしいです!」

「ちなみに、私はそんなレミリアお姉様から身を守る為に、レミリアお姉様を倒す!」

「だから、それもっ! ......いや、もういいです......」

 

 こうして、私とレミリアお姉様の戦いが始まった。

 

「せいっ!」

「遅いっ!」

 

 キンッ! カンッ! と金属のような物がぶつかる音が響く。

 攻撃をしても、避けられるか武器で止められ、なかなか致命傷を与えれない。

 

「レミリアお姉様、避けないで!」

「避けないと死んじゃうでしょ!?」

 

「......レナ様、止めた方がいいかと」

「私、怪我したくないです」

「しかし......」

 

「はぁ!」

「くっ! レミリアお姉様、ちょっとは手加減してよ!」

「嫌よ! 早く倒れなさい!」

 

「あ、みなさ〜ん! 勝ちましたよ〜」

「美鈴、遅い」

「もう終わってから十分くらい経ってますからねぇ......」

「......え、えーと、あのお二人は、何をしているのですか?」

 

「ちっ、後少しで当たったのに!」

「まだまだ私に勝てるとは思わないことね!」

 

「ただ、終了時間になったのも気付かないで、遊んでいるだけですよ。私は部屋に戻るので、後でフランを部屋に呼んでて下さい」

「はい、分かりました。美鈴、貴女はもう門番の仕事に戻ってて」

「あ、はい! 分かりました!」

「......多分、今日には終わらないですよね......」

 

 しばらくレミリアお姉様と勝負をした後、私はお姉様からの伝言を聞き、部屋へと戻った。

 後で終わってから一時間くらい勝負をしてたと聞いた時は驚いたけど......まぁ、楽しかったからいっか。

 そんなことを考えているうちに、今日もまた、一日が終わったのであった────




次回は200人の時かな…...
長い道のりだなぁ()

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