東方紅転録   作:百合好きなmerrick

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一日遅れてホワイトデー!()
予約投稿を忘れるという......すいません()

気を取り直して、今回は番外編。9.7の一ヶ月後のお話です。


番外編9.75「長女と末妹のホワイトデー」

 side Flandre Scarlet

 

 ──紅魔館(レミリアの部屋)

 

「レミリアお姉様ー、入るねー」

「フラン、それは入る前に言うのよ。入りながら言うものじゃないわ」

「はーい」

 

 お姉様から『バレンタインチョコ』と言う物を貰ってから一ヶ月が経った。

 今日は『ホワイトデー』と言って、そのお返しを渡す日らしい。

 

「で、レミリアお姉様。そう言うわけで、お姉様にお返し渡すの手伝ってくれる?」

「......どういうわけか分からないんだけど。一から説明してくれない?」

「今日は『ホワイトデー』って言う日らしいよ。一ヶ月前に『バレンタインデー』って言う日にチョコ貰った人がね、お返しにキャンディとかあげる日なんだって」

「ふーん......結構貰ってるのに、初めて知ったわ」

 

 毎年ってほどじゃないけど、お姉様には結構貰うからねー。

 どうしてこんなことをやってるか本で調べて、偶然知ったからね、『ホワイトデー』のことは。それにしても、その本......なんか近未来な感じがしたけど......どうしてだろ? ま、何でもいっか。

 

「ねぇ、そう言うわけだからさ、今年こそはお姉様に渡さない?」

「いいけど、今日中に作れるかしら? 私、料理は下手よ? 咲夜にいつも任せきりだし」

「うん、知ってる。でも、レミリアお姉様もお姉様にお返ししたいでしょ?」

「ま、まぁ、そうだけど......」

「大丈夫。私がいるから。それに、咲夜も手伝ってくれると思うし」

 

 咲夜もバレンタインチョコは貰ってたからね。忙しくなかったら手伝ってくれるはず。

 

「それもそうね。で、何を作るつもりなの? やっぱりキャンディ?」

「うん。ま、正確に言うとイチゴ飴ってやつなんだけどね。お姉様、イチゴ好きらしいし」

「へぇー、初めて知ったわ......フラン、どうしてレナが好きな物とか知ってるの?」

「レミリアお姉様よりも長くお姉様と一緒に居るから」

「そ、そっか......」

 

 レミリアお姉様は少し悲しそうにそう言った。

 

「......レミリアお姉様、羨ましい? お姉様と一緒に居れる私が。私と一緒に居れるお姉様が」

「えぇ、羨ましいわ。でも、大丈夫よ。パチェや咲夜も居るし。咲夜達が居ない頃は、貴方達と一緒に居れたから......」

「ふーん、それならいっか。......残念だなぁー、レミリアお姉様をいじるネタが増えたと思ったのに」

「......貴女、性格悪いわね」

 

 レミリアお姉様が呆れた顔でそう言った。

 お姉様にもたまに言われるんだよね。ま、お姉様はそんなことを言った瞬間に黙らせるけどね。物理的に。

 

「さ、そんなことは置いといて早く行こっ? 一日なんてすぐに終わっちゃうしね」

「え、えぇ。そうね。あ、咲夜はどうするの? 先に呼ぶ?」

「うーん......そうしよっか。じゃ、先に咲夜の部屋に行こー」

「ちょ、ちょっと! そんなに引っ張らないでよ! まだ寝巻きなのよ? 外に出るなら、せめて着替え──」

「家の中だからいいじゃん。別に客人が来る予定なんてないでしょ?」

 

 ま、この数百年、客なんて、あんまり見たことないけどね。私が下に居て知らないだけかもしれないけど。

 

「そ、それもそうだけど......」

「それに、ネグリジェ姿のレミリアお姉様、可愛いよ?」

「そ、そうかしら? じゃなくて! 着替えくらいさせなさい! 汚れたら洗わないとダメなのよ? 大変なのよ? 咲夜には自分で汚したなら自分でやれって言われるし......」

 

 ちっ、照れたからいけると思ったのに......ま、いっか。それにしても、咲夜もレミリアお姉様のことを簡単にあしらうようになったねぇ。やっぱり、誰にとっても、レミリアお姉様ってめんどくさいんだね。

 

「じゃ、待ってるからね。早く着替えてねー」

「えぇ......貴女は外に出ないの?」

「出ないよ。別にいいでしょ? 姉妹なんだし」

「......まぁ、それもそうね。なんか嫌な予感するけど」

「ふふ、気のせいじゃないかなー」

 

 レミリアお姉様って勘がいいよねぇ。ま、気付かせないし、気付く事なんて無いんだけど。

 

「......何よ、そのニヤニヤ顔は」

「うふふ、さぁねー」

 

 こうして、私はレミリアお姉様の着替えが終わるまで、しばらく待つことになった──

 

 

 

 ──数分後 紅魔館(咲夜の部屋)

 

「咲夜、居るかしら?」

 

 レミリアお姉様の着替えが終わり、今は咲夜の部屋に来ている。

 

「はい、居ますよ。どうなされましたか?」

「ちょっと料理を手伝って欲しいんだけど、大丈夫かしら?」

「大丈夫ですよ。それにしても、珍しいですね。お嬢様が料理をなされるなんて......」

「そうだよねー。絶対こんな日じゃないと料理しないもんねぇー」

 

 ま、気まぐれで料理しよってなる時もあるだろうけどね、レミリアお姉様は。

 いつも気まぐれで何かやろうとするし。

 

「あら、フラン様も居たのですね。レナ様はご一緒ではないのですか?」

「お姉様は寝てるよ。それに、お姉様には秘密にしたいしからねぇ」

「レナ様が寝ている......珍しいこともあるのですね」

「そうね。もう起きててもおかしくない時間帯なのに......珍しいこともあるのね」

 

 ま、本当はお姉様に教えてもらった魔法をお姉様に使っただけなんだけどね。多分、起こしに行くまで起きないんだろうなぁ。......好き邦題に出来るけど、今日は我慢しないとね。

 

「さ、お姉様が起きてこないうちに早く厨房に行こー」

「えぇ、それもそうね。咲夜、行きましょう」

「はい、分かりました」

 

 こうして、私達は厨房へと向かった──

 

 

 

 ──紅魔館(厨房)

 

「そう言えば、お嬢様。何を作るつもりですか?」

「イチゴ飴よ」

「それですと、私が居なくても作れるかと」

「え? そうなの?」

「イチゴと水と砂糖さえあれば作れますよ。作り方も簡単です」

 

 ま、飴は水と砂糖を小鍋で焼くだけだしね。それで、その飴の中にイチゴを入れて、形を作ればいいだけだしね。

 

「ま、そう言うことだから、レミリアお姉様が作ってみる?」

「え、えぇ。やってみるわ」

「フラン様、嫌な予感がするのですが、手伝ってもいいでしょうか?」

「ダメー。絶対面白いことになるからー」

 

 レミリアお姉様の料理下手は酷いを通り越して尊敬するレベルだからねぇ。絶対見てて面白いことになるはず。ま、そのせいでお姉様に渡すの遅くなりそうなんだけどね。

 

「......フランでもいいわ。手伝って」

「無理。咲夜も手伝ったらダメだからね」

「はい、分かりました」

「いや、咲夜は私の従者でしょ!? どうしてフランの指示を聞いてるのよ!?」

「お嬢様の妹様ですから」

「私はレミリアお姉様よりも偉いから」

「なるほど、分かったわ。貴方達、表に出なさい。誰が一番偉いか教えてあげるわ」

 

 もぅ、本当にレミリアお姉様って、挑発に乗りやすいんだから。ま、それが子供っぽくて可愛いんだけどね。

 

「きゃー、こわーい」

「フラン、姉を舐めているのかしら?」

「レミリアお姉様、どうしたの? 怒気が凄いよ?」

「貴女のせいでしょ!? ......はぁー、もういいわ。今日は許してあげる。早く作りましょう。レナが起きてしまうわ」

 

 ま、起きないんだどね、絶対に。今日は絶対に起きない自信があるよ。

 

「では、まずは材料を用意しましょうか。咲夜、何処にあるの?」

「自分で探せばいいのにね」

「その通りですね。イチゴは冷蔵庫、砂糖は上の棚に置いてありますよ」

「そう、分かったわ。......それにしても、メイドにまで舐めている気がするわね。まぁ、今は気にしないようにするけど......」

 

 珍しい。レミリアお姉様が耐えるなんて。明日は雨が降るのかな? ま、外に出ないからどうでもいいけど。

 

「それにしても、結構色々揃ってるのね。冷蔵庫とか、レナが作ったの?」

「うん、そうだよ。ま、そんなことは置いといて、水と砂糖をその鍋に入れて焼いて、それから......」

 

 こうして、私達のイチゴ飴作りが始まったのだった──

 

 

 

 ──紅魔館(フランの部屋前)

 

「上手に出来たかしら?」

「大丈夫だと思いますよ。それなりには出来てたと思いますので」

「そ、そう。それなら大丈夫ね」

 

 料理が完成して、今はお姉様が寝ている私の部屋に来ている。

 

「それにしても、なかなか上手かったね、レミリアお姉様。ま、簡単な料理だったってのもあるけど」

「ふふん、そうでしょ? やれば出来るのよ、私は」

「......なんかウザいんだけど」

「そんなストレートに言われたら、傷つくんだけど......」

 

 あ、本当に傷ついてるみたいだ。しょんぼりしてる。こういうレミリアお姉様も可愛いんだね。

 

「うふふ、冗談だよ。冗談。ごめんね、レミリアお姉様」

「べ、別にそこまで傷ついてないし、冗談って分かってたから大丈夫よ。そ、それよりも、着いたわよ」

「うん、着いたね。じゃ、先に入るね。お姉様ー」

「あ、ちょっと! ......まぁ、いっか。咲夜、私達も入りましょう」

「はい、お嬢様」

 

 中に入ると、ベッドの中に包まっているお姉様が居た。

 やっぱり、お姉様はまだ寝ているみたいだね。

 

「お姉様ー、もう起きる時間だよー! 起きないなら、それ!」

「うっ!」

 

 そう言ってお姉様に飛び込むと、痛そうな声が聞こえた。

 ま、そこまで痛くないから大丈夫だよね。私、お姉様達よりも体重軽いはずだし。

 

「え、ちょっとフラン! 飛び込んだらダメじゃない!」

「えー、いいじゃーん。お姉様は私のものなんだしー」

「いやいや、それは違うでしょ。それにしても、起きないわね」

「うん、起きないね」

 

 魔法の力が強過ぎたのかな? でも、飛び込んで痛めつけたしなぁ。もっと痛めつけたら起きるのかな? それとも、一定時間が過ぎたらとか? これだったら、お姉様に起こす時の魔法も聞くんだった。

 

「レナー、起きなさーい! レナー! ......起きないわね」

「お嬢様、これは流石におかしいのでは? お嬢様と違って、いつもレナ様達は時間通りに起きますし。起きる時間なんて、もう三時間も過ぎてますし......」

「なんか失礼なことを言ってる気がしたけど、確かにおかしいわね。......フラン、何か知らない?」

「え、どうして私? 知らないよ?」

「本当に? レナを魔法か何かで寝かして、起こす魔法忘れちゃった。とかじゃないの?」

 

 どうしてそんな正確に当てれるの!? いや、もしかして、能力使ったのかな?

 

「はぁー、バレたのならいっか。そうよ、私が今レミリアお姉様が言った通りのことをしたんだよ」

「そう......どうする? どうやったら起きるか本当に分からないの?」

「うん、分かんない。でも、痛めつければ......えいっ」

 

 そう言って、お姉様を殴ってみた。

 

「ちょ、今凄い音聞こえたけど!? と言うか、よく悪びれもなくそんな行動出来るわね!?」

「んー......ふりゃん? あふぇ? おねーひゃまも......」

「あ、本当に起きた。それにしても、寝ぼけ過ぎじゃない? それとも、フランのパンチで壊れた?」

「むぅ、もう一回殴れば......」

「ふぁ〜......眠いです......」

 

 魔法の副作用? それとも、ちゃんとした方法で起こさなかったせいかな? ま、何でもいっか。起きたんだし。

 

「ま、大丈夫そうだしいっか。それよりも、お姉様。はい、これ、バレンタインデーのお返しね」

「あ、いつの間に盗ってたの!? あ、作ったのは私達だからね。フランだけじゃないから」

「うふふ、ま、そう言うわけだから、いつもありがとうね、お姉様」

「......涙が出そうです。あ、勿論、嬉し涙ですよ。フラン、お姉様、咲夜。こちらこそありがとうございます」

「いえ、私は従者として、当然のことをした迄です。それに、ほとんど頑張ったのはお嬢様達ですので」

「えぇ、そうね。結構疲れたわ」

 

 なんだろう......咲夜がお母さんみたいになってる。

 それにしても、お姉様が嬉しそうでよかった。

 

「あらま、お姉様も作ったのですか? いえ、作れたのですか?」

「失礼ね、作れるわよ。と言うか、ほとんど作ったのは私だからね。まぁ、作り方は教えてもらったけど......」

「それでも、成長しましたね、お姉様」

「そ、そうかしら? ......とりあえず、ありがとう......」

 

 レミリアお姉様、羨ましいなぁ......。

 

「......お姉様、私には?」

「フランもお姉様を手伝ってくれてありがとうございますね」

 

 そう言って、お姉様は私を撫でてくれた。

 

「えへへー。あ、早く食べてみて。イチゴ飴、好きでしょ?」

「はい、好きですよ。まぁ、お姉様達が作った物は何でも好きなんですけどね。では、いただきますね」

「えぇ、どうぞ」

 

 そう言って、お姉様は私達が作ったイチゴ飴を食べ始めた。

 それにしても、赤い物なら血じゃなくても好きなんだね、お姉様って。ま、辛いのはダメみたいだけど。

 

「......美味しいですね、お姉様が作ったにしては」

「全く、本当に失礼な妹ね、貴女は。でも、『美味しい』って言ってくれたことは素直に嬉しいわ」

「じゃ、お姉様、早く起きて上に行こー」

「はい、食べ終わったら行きましょうか」

 

 ......お姉様にはいつもより長く寝てたのは言わないでおこうかな。絶対怒るだろうしね。

 そんなことを考えながら、お姉様が食べ終わるのを待つのであった────




次の番外編の予定はない模様()
何かのお祝い事とかの日に投稿するかも。

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