次は遅れないように投稿出来る...はず...。
said Renata Scarlet
──紅魔館(フランの部屋)
ルネが初めて紅魔館に来てから...百数年の時が過ぎた。その百数年の間にもルネは何度か紅魔館に来て、転生のこと、エルジェーベトのことなど、色々話してくれた。
前にお姉様から言われて、聞くのを忘れていた話も聞いた。バートリは町を奪っている最中、正確に言うと、もう少ししたら町を落とせると言う油断するであろう時に殺されたらしい。実は、バートリを殺すことは兄弟全員知っていたらしい。それでも止めなかった理由は、バートリが虐待するからとからしい。まぁ、私達からしたら親の仇だし......お姉様を殺してたかもしれない奴だからどうでもいい。
そして、今のエルジェーベト家の当主は長男のフリッツ・エルジェーベトになった。ルネ曰く、バートリ並に残虐で非道な吸血鬼らしいから、出来るだけ関わらないようにした方がいいらしい。
因みに、初めて『狩り』に行ってから、数年後にまた『狩り』をお姉様と一緒にした。まぁ、その時はお姉様に頼りっきりだったけど......。それからは何回も『狩り』に行っており、その時にお姉様は吸血している時に、少食のせいで吸いきれない血をこぼした姿を見られて『スカーレットデビル』と言う二つ名が人間の間で付けられた。お姉様はそれが気に入っているらしく、『狩り』で町に言った時はわざわざ自称している。
そして、私は偶然赤い服で『狩り』をしている時に、暗いせいか『狩り』の前から血に染まっていたと思われ、『血に染まった悪魔』とか言われた。正直、それを聞くと普通に怖いからやめてほしい。別に、私は全身血を浴びるとかみたいな変な趣味は持ってないし......。まぁ、お姉様にその二つ名を聞かれ──
「あら、いいじゃない。私はその二つ名好きよ」
──って言われたから、今は悪く思ってないけど......。
百数年の間に、変わったことは殆どない。
まぁ、何かあるかと言われれば、一度だけ、フランに魔法を教えるついでに図書館まで連れてきたことがある。フランはお父様が死んだ後も地下から出ようとはしない。私達を傷付けることがあるかもしれないのと外にそれほど関心が無いのが理由らしい。
『幻想郷』に行ったらこれも変わるのかな? ......と言うか変わって欲しいかな。フランにも外の世界を見せてあげたいしね。
他に変わったことはお姉様の手伝いをよくするようになった。フランも一人にしない方がいいけど......お姉様も一人にしない方がいいと、前に分かったからだ。
まぁ、私もまだ吸血鬼で言っても、子供だから一人で居ると寂しさで押し潰されそうになる、っていうお姉様の気持ちも分かるけどね。......それでも廊下で会うと悲しそうな顔で見るのはなんか私も悲しくなるからやめてほしいけど......。
「お姉様? 上の空だけどどうしたの?」
「いえ、大丈夫ですよ」
「そう、ならいいけど......。お姉様、何か悩み事でもあったら私に相談してよね。心配になるから」
「......本当に大丈夫ですよ。......でも、ありがとうです。さ、もう少ししたらお姉様も来るし、始めましょうか。」
今はお姉様を待っている。何故かと言うと、『召喚魔法』を使うからだ。結局、百数年の間は『召喚魔法』を使うことが無かった。と言うか、すっかり忘れていた。
だけど昨日、『召喚魔法』が書かれた本......『妖蛆の秘密』を見つけた。久しぶりに見て思い出したし......今日、やってみようということになった。
それで、念の為にお姉様とフランも一緒にいる。もしも、精神攻撃系の魔物が召喚されたらフランが危険だからフランは私と手を繋いでいる。
「お姉様、レミリアお姉様がもう少しで来るみたいだから魔法の準備をしたら?」
「ん、まぁ、そうですね。では、フラン。少し離れて下さい。......終わったらすぐに手を繋いで下さいね」
「勿論、分かってるよ。じゃ、お姉様、頑張って」
「はい、頑張りますね」
そう言って私は頭の中で魔法陣を描き、呪文を呟く。
「......よし、これで今すぐにでも呼べるはずです。フラン、お姉様は何処にいますか?」
「んー、もう近いんだけど......階段で転けて、頭を打ったみたい。頭を抑えて痛がってる」
「......お姉様は一体何をしているのでしょうか?」
フランには、お姉様が何処にいるか魔法を使って教えてもらっている。
それにしても、お姉様、吸血鬼なんだし飛んできても良かったんじゃ......。
「......待たせたわね!」
お姉様が、ガチャ、と扉を開けて入ってきた。
「いえ、そこまで遅くなかったので大丈夫ですよ。......それよりも、お姉様、怪我はないですか?」
「え!? ど、どうして知ってるの!? ......あ、いえ、べ、別に? 何も無かったんだから、怪我なんてしてないわよ」
「レミリアお姉様、私見てたよ。勿論、魔法を使ってね。魔法って便利よね」
「うっ、うー......分かったわよ。認めるわよ。でも、さっきは痛かったけど今はもう大丈夫よ。それに、怪我なんてすぐに治るんだし......。そ、それよりも、レナ。もう召喚は出来るのかしら?」
すぐに怪我は治るっていっても、心配だから言ってほしいけど......まぁ、お姉様が大丈夫って言うなら、もう何も口出ししなくていっか。
「はい、大丈夫ですよ。......では、もう召喚してもいいですか? 私にも『不可視の下僕』というのが召喚されると言う以外、何も分かりません。私の命令を聞くのか......聞かないのかも全く分かりません。
ですので......充分に気を付けて下さい」
「大丈夫よ。ここに居る誰も死ぬ
「......レミリアお姉様の言う事だから、あまり信用出来ないや」
「ちょ、ちょっと、フラン!? それってどういうことよ!? 私の能力が嘘だと思うの!?」
「うん。だって、レミリアお姉様の能力って、適当に言うだけでいいじゃない。私やお姉様と違って。」
あぁー、また始まった。たまにお姉様とフランは喧嘩をする。......まぁ、私もする時はするけど、お姉様とフランの喧嘩よりは回数がかなり少ないし、短い。......やっぱり、『本当の姉妹』だからなのかな?
でもまぁ、本気で喧嘩はしてないって分かってるからいいんだけどね。
「そんなことないわよ! 私の能力はこれ以上ないほど便利な能力よ!」
「お姉様、それは言い過ぎです。世界中を探せばもっと凄い能力も......あっ」
あ、これはやばい。
「い、今のは、なんと言うか......口が滑ったと言うか、なんというか......」
「れ、レナ! 貴女もそう言うのね! もういいわ! 後で覚悟しなさい、二人まとめてお仕置きよ!」
そう思い、言い訳したが既に遅かった。お姉様は顔を真っ赤にして怒った。
逆鱗に触れたっぽいね。完全に怒ってるや。
「えー、私は嫌よ。レミリアお姉様、本当のことを言われたくらいでそんなに怒らないでよ」
「ほ、本当のことじゃないわよ! もう知らない! レナとフランの馬鹿!」
「むー......馬鹿じゃないもん! レミリアお姉様の方が馬鹿じゃない!」
「はぁ!? 貴女よりは馬鹿じゃないわよ!」
あ、これは止めないとやばい気がする。絶対に巻き添え食らう。
「二人共、喧嘩はやめて────」
「もういいわ! レミリアお姉様、覚悟して!」
「フラン! 覚悟するのは貴女の方よ!」
そう言ってお姉様は『グングニル』を、フランは『レーヴァテイン』を出した。
こうなったら気が済むまでか、力ずくでしか止めることが出来ない。
私にお姉様とフラン相手に力ずくなんて出来ないし......こうなったら......。
「はぁー、もういいです。好きにしてください......」
私は喧嘩を止めることを諦め、しばらくお姉様とフランの喧嘩を見守ることにした──
──数十分後 紅魔館(フランの部屋)
「はぁ、はぁ、もう......無理、しんどい......」
「はぁ、これが、はぁ、姉の力よ......」
しばらくお姉様とフランが斬りあったり、弾幕を当てあったりした後に、フランが先に剣を下ろして諦め、お姉様が続いてそう言った。
「あー......もう疲れたー! レナ! 『召喚魔法』は明日にしましょう!」
「さんせーい! お姉様、もう戦えないから明日にしましょ! それにしても......レミリアお姉様、手加減してよね。本気だったでしょ?」
「本当なわけないじゃない。そもそも、フランだって本気でしてないでしょ? 妹が本気じゃないのに本気を出す姉が何処にいるのよ」
うん、まぁ、私達は姉妹同士であんまり本気で戦うことないしね......。それでも、喧嘩は止めて欲しいけど。
「ま、それもそうね。......お姉様、喉が渇いたから紅茶が欲しーい」
「あ、レナ、私のも頼むわ。動きすぎて疲れちゃった......」
「え、まぁ、いいですけど......と言うか話を勝手に進めないで、って言ってもどうせ聞いてくれないですよね。はぁー、今すぐ、取りに行ってきますよ」
そう言って私は『抜け道』を作り、紅茶を取りに行った──
──次の日 紅魔館(フランの部屋)
「今日は......出来るんでしょうか?」
昨日、結局出来ずに、全員でフランの部屋で寝ることにした。あの後、お姉様とフランは喧嘩なんか無かったかのように機嫌が良く、仲良く一緒に寝ていた。
絶対遊び感覚でやってたんだろうけどっっz...本気でやってるんじゃないかと、ひやひやするからやめてほしい......。
「私達が喧嘩をしなければ大丈夫よ」
「そうだね。お姉様、安心して。多分、今日は大丈夫だから」
「『多分』なら安心出来ません。......では、始めますよ。魔法陣は昨日の状態で置いてあるので、すぐに出来るはずです。......準備はいいですか?」
「えぇ、いいわよ」
「私も大丈夫!」
「では、始めますね」
私はそう言って呪文を唱え始めた。......すると、魔法陣が光り始め、一瞬だけ轟音が響き渡った。
「うるさい! お姉様、こうなるなら教えててよ!」
「......フラン、静かに。......何か聞こえます」
何処からか、クスクス、と笑うような音が聞こえる。これは『不可視の下僕』の声か何かなのかな?
「え? ......本当だ。......あ、何も無いところに『目』が見えるよ」
「多分、それね。レナ、何か命令でもしてみて」
「はい。『不可視の下僕』さん、私の命令を聞いてくれるなら......私の前まで来てください」
「お姉様、もしも、命令を聞かなかったら..,...あ、お姉様、近付いてきてるよ」
「ふむ、聞いてくれているんでしょうか......?」
今更だけど...聞いているかどうか分かりにくい質問をしてしまった......。まぁ、下僕って言うくらいだから大丈夫でしょ。多分だけど。
「レナ、一回止めてみて。それなら分かるはずよ」
「あ、はい。『不可視の下僕』さん、止まって下さい」
「......お姉様、止まったみたい」
「ふぅ......これで一先ず安心ですね」
「えぇ、そうね。......レナ、これを退散させる方法は知っているの?」
「はい、それは大丈夫ですよ」
召喚させた後はしっかり、退散もさせないとね。じゃないと、危険なことになるかもしれないし。とか思って、退散の魔術だけはしっかりと憶えている。
「じゃ、実験は終わったし、もう退散してあげなさい。......姿を見ようなんて考えなくていいわ。また今度にしなさい」
「え? まぁ、はい、分かりました」
お姉様......結構真剣な顔だったけど、姿を見ない方がいいってことなのかな?
「では、『不可視の下僕』さん。ありがとうございました」
そう言って。私は『不可視の下僕』を退散させる呪文を唱えた。
「へぇー、凄いね。お姉様、『目』が消えたわよ」
「ふぅ......成功したみたいですね」
「良かった。じゃ、レナ、フラン。私はそろそろ部屋に戻るわね。また明日会いましょ」
「うん! レミリアお姉様、バイバイ!」
「お姉様、また明日、です」
「えぇ、またね」
そう言ってお姉様は部屋に戻って行った。
「お姉様、今日も一緒に寝てくれるよね? 一人だと寂しいし......」
「はい、いいですよ。毎日一緒に寝てもいいくらいです。......フラン、明日、お姉様と少し約束がありますので、早めに出ますけど......いいですか?」
「......うん、いいよ。その代わり、明日も一緒に寝てくれる?」
「まぁ、今までも殆ど毎日、一緒に寝てる気がしますけど......いいですよ」
「それは気にしたら負けよ、お姉様。......じゃ、おやすみなさい、お姉様」
「はい、おやすみです、フラン」
そう言って私達は目を閉じた──
──次の日 紅魔館(門前)
「ふわぁ......お姉様、用事って何ですか?」
「レナ、眠たそうね。まぁ、私も眠いんだけど......」
まだ日が落ちて数分しか経っていない時間帯、お姉様に言われた時間通りに私は門前に来た。
「用事はね、今からここに人間が攻めてくるのよ。それを止めるのをレナにも手伝ってほしいの」
「へぇー、人間が......って、え!? 人間が攻めてくるんですか!?」
「そうよ。まぁ、少ないから、そこまで苦戦はしないはずだけどね」
「んー......お姉様がそう言うなら大丈夫なんでしょうけど......まぁ、フランのためにも頑張ります」
「え? レナ? わ、私のためには、頑張ってくれないの......?」
「え、あ、い、いえ! お姉様のためにも頑張りますよ!」
急に、お姉様が泣きそうな顔で──
「なーんてね。さ、もうそろそろしたら来るわよ。準備しなさい」
「......え? お、お姉様? 嘘泣き......ですか?」
「勿論よ。これくらいで泣くわけないじゃない。さ、後五分くらいで来るわよ?」
「......お姉様、私帰りますね。後は一人で頑張って下さい」
「え、あ、ちょっ......ご、ごめん! レナ、私が悪かったから戻ってきて!」
お姉様って......案外ちょろいよね。まぁ、私もさっき騙されてたけど。
「はぁー、いいですよ。でも、今回だけですからね」
「ほっ、良かったわ......。貴女がいないと少し面倒だし......え? あ、レナ! 危ない!」
そう言ってお姉様が私に飛び込んで、私を後方へと突き飛ばした。
「っ!? ......お、お姉様? 一体どう......え? お、お姉様!」
地に倒れているお姉様の背中には…....四、五本の矢が刺さっており、そこから血が出ていた。
「痛っ......だ、大丈夫よ。これくらいな......っ!? この矢......銀で......」
「お、お姉様!」
お姉様の顔は苦痛で歪んでいたが...私に心配をかけまいと無理をして笑っていた。
でも、銀の矢で攻撃を受けたみたいで......吸血鬼と言えど、早く抜かないと再生は出来ないみたいだ。
「よし! 『悪魔』は一体、仕留めたぞ! もう一体も殺っちまえ!」
そう言って矢を放ったらしい人間達が近付いて来た。
数は......八、九、十......十人か。半分はまた弓で狙っているみたいだけど、このくらいなら......。
でも、今はお姉様を優先しないと。
そう思い、能力で私とお姉様の存在を有耶無耶にした。
「お姉様、この矢を抜いてもいいですか? 抜かないと再生出来ないみたいですし......」
「だ、大丈夫よ。レナ、私はいいから......すぐに人間を片付けなさい。紅魔館に......フランに近付かせないようにして。あの子に会わしたら絶対に駄目」
「でも、この傷を放っておくってのも......」
「レナ、早くしなさい。貴女、今、能力を使ってるでしょ? あいつら、なかなか弓で狙ってないし......どんどん近付いて来てるわよ? 今ならチャンスだし......早く殺しなさい。貴女なら出来るはずよ?」
確かに、殺すのは簡単だけど、能力切った瞬間に......あ、このままで殺ればいっか。
そう思い、近くの人間に弾幕を放つ。
「ぐはっ!」
「お、おい! 大丈夫か!? くっ!? い、一体何処から!?」
放った弾幕が弓を持っていた人間の一人に当たった。
「お、おい! 今すぐ矢を放て! 『何か』がいるぞ!」
どうやら......この能力で存在を有耶無耶にしている間は本当に存在自体も有耶無耶になるみたい。
私とお姉様の記憶が無いのか、『悪魔』から『何か』になってるし......。さっきお姉様に矢を放ったのは憶えているのかな? ......まぁ、どうでもいいや。そんなことよりも......。
「お姉様を傷付けた。という理由で、貴方達を殺します。一人も逃がさず、命乞いも聞きません。......まぁ、音も有耶無耶にしてますので、聞こえていないでしょうけど......一応、言っときます」
そう言い放ち、私は人間を『食べる』という目的以外で、初めて殺した──
──数分後 紅魔館(門前)
「レナ、大丈夫? うあっぱり、私が殺った方が良かったかしら......。でも、いつかは......まぁ、いいわ。レナ、戻りましょうか」
「はい、大丈夫です。......これもお姉様とフランのためですから......」
結局、人間が10人程度集まったところで私達吸血鬼には敵わなかった。あの後、弾幕で弓を持っている人間を狙い撃ちにし、存在を有耶無耶にしたまま、近くの人間の喉を狙い、爪で切り裂いていった。そして、すぐに片付き、お姉様に刺さっていた矢を抜いて、お姉様に治療魔法を使った。まぁ、治療魔法は吸血鬼で再生力高いし、使わなくても良かったかもしれないけど......銀での傷って再生するの遅いらしいし......まぁ、いっか。
「レナ、無理しないでね。......私達のためって言うなら、絶対に......」
「はい、勿論無理はしません。お姉様達を守るための力は常に残しておく必要がありますから」
「そういう意味じゃないんだけど......今日はもういいわ。この話はまた今度にしましょうか。......さ、早くフランのところに行ってあげなさい。私はまだやることがあるから。多分、会うのは明日になるかもしれないわ。......じゃ、また明日ね、レナ」
「はい。お姉様、また明日です」
そう言って、私はフランの部屋へと向かった。
そして、この一週間後......私には新たな出会いがあった────
次の投稿日は日曜の予定。これは絶対に遅れないように頑張ります。
因みに、次の話でようやく一人目...。二章は3月までには終わるかな...。