東方紅転録   作:百合好きなmerrick

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次で1章は最後の予定です(番外編除く)


8、「崩れ始める日常その3──悪魔の死と姉妹の決意」

 side Renata Scarlet

 

 ──紅魔館(フランの部屋)

 

「......お姉様、お父様達は大丈夫なんですか?」

「......えぇ、今は大丈夫よ。まだお父様達の運命(未来)が見えるから......」

「ふぅ......良かったです」

 

 今は人間の襲撃があり、お父様に言われて地下に来てからまだ三十分程しか経っていない。しかし、お姉様の暗い表情が気になり、お父様達の安否を確認した。

 

「レミリアお姉様、外に出ちゃ駄目なの?」

「駄目よ。危険すぎるわ。......特にレナ、貴女は絶対に外に出ないで」

 

 ......私は外に出たら駄目......か。お姉様の能力は......私に対しては100%に近い運命(未来)しか見ることが出来ない。多分、見た結果として出るなと言っているのだろう。......やっぱり、私が外に出て死ぬ運命(未来)でも見えたのかな。

 

「......はい、お姉様」

「え? お姉様、どうしたの? 顔が暗いけど......大丈夫?」

 

 私がそう言うと、フランが心配そうな顔をして聞いてきた。......そんなに暗い顔してるかな?

 

「大丈夫ですよ。心配はいりません」

「それなら...…いいけど......」

「あ、お姉様、魔法を使ってお父様達の様子を見るのはいいですか?」

「えぇ、それならいいわよ。......でも、何が起きていても絶対にここから出ないで、絶対よ」

 

 お姉様が真剣な顔でそう言った。

 やっぱり、行ったら私に危険なことが起きるんだ......。

 

「......はい、分かりました。お姉様」

「......一応、言っておくけど、もし、行こうとしたら力ずくでも止めるから」

「お姉様......その時があったら、力ずくでも行かせてもらうかもしれません」

 

 もし、お父様達が殺されそうになっていたら、何がなんでも助けに行こうとするかもしれない......。それで、お父様達が助かるなら......。

 

「そう......まぁ、その話は見てからでもいいわね。さ、レナ。頼むわよ」

「はい......出来ました。これを今からお父様達の所に向かわせます。お姉様、今は何処にいるか分かりますか?」

 

 そう言われて呪文を頭の中で唱え、『眼球』を作り出す。『眼球』というのは魔法で作った眼球のことで、これは私の右目と視覚を共有している。しかし、速度は人間の歩くスピードと変わらないからあまり使い物にはならないが......まぁ、今は仕方ない。それをお父様達の所に行かせ、状況を見ようと考えているのだ。

 

「......流石に分からないわ。でも、多分、ここからは遠いと思うわ。私達を助けるために......囮となって出来るだけここからは離れている場所に居ると思うの」

「そうですか.....。なら、まずは探さないといけないですね」

 

 そう言いながら私は魔法で作った抜け道から『眼球』を図書館に出した。理由はここから近いというだけだ。

 

「......図書館には誰もいないですね。お姉様の言う通り、ここら辺には誰もいないみたいです......」

「お姉様、盗られた本とかも無いの?」

「......はい、何も盗られてはいないみたいですよ」

「ほっ......良かったわ」

「そうですね。フランにはまだ色んな魔法を覚えて欲しいですし」

「うん、私もお姉様に色んな魔法教えて欲しいわ。だから、盗られてなくて本当に良かった」

 

 そう言ってフランが安堵した。

 もしも盗られていたらフランに魔法を教えるのが難しくなるから盗られてなくて良かった。......まぁ、後で人間が来て、盗られる可能性もあるんだけど。

 

「......あ、誰か来たみたいです」

「え? 誰か来たの?」

「はい。......今、扉が開かれました。これは......人間ですね」

「そう、人間が来たのね。......もしかしたらこっちに来るかもしれないからレナ、フラン。準備だけはしときなさいよ。

 それで? レナ、人間の数は?」

「......四人ですね。この数なら不意打ちすれば殺れると思いますが、お姉様、どうします?」

 

 普通の人間が四人程度ならまだ若い私達でも殺れないことはない。それに、いざとなればフランの能力もある。......でも、出来ればフランには能力を使って欲しくないし......もしも、普通の人間でなく魔術師とかだったら、少しやばいかもしれない。

 

「......フラン、貴女はここで隠れてなさい。そして、レナ、貴女はここでフランを守りながら私の援護とかをお願い」

「お姉様、それは出来ません。お姉様が行くなら私も──」

「駄目よ。......貴女は絶対にここから出ちゃ駄目なの。......私なら大丈夫よ。私が死ぬ運命(未来)は見えないから」

 

 お姉様が私を安心させる為に微笑んでそう言った。

 

「......本当ですか? 本当にお姉様は......死んだりしませんか? ......私達を置いて、先に死にませんか?」

「勿論よ。もしも......もしもだけど、お父様、お母様が死んで、私も死んだら貴方達の面倒を見る人がいなくなっちゃうじゃない。だから私は死なない......いえ、死ねないのよ」

「そう、ですか......。なら、行ってもいいです。......でも、お姉様が危険になったらすぐに行きますからね」

「レミリアお姉様、私も貴女が死にそうになったら助けに行くからね」

「はぁー、貴方達は本当に心配症ねぇ。......でもまぁ、お礼だけは言っておくわ。ありがとう、心配してくれて」

 

 お姉様が微笑みながらそう言った。

 

「うん......お姉様、その人間はまだ図書館にいるの?」

「はい、まだ図書館に居ますね。......あ、お姉様! こっちに近付いて来てます!」

「そう、なら急がないとね。さ、レナ。『抜け道』を作って」

「はい......出来ました。お姉様、これに入るとすぐに人間が居ます。気を付けて行ってください。」

 

 私は人間の近くへ繋げた『抜け道』を幾つか作った。その中の一つはお姉様が通る道だ。他の『抜け道』はそこから魔法を飛ばしたりしてお姉様を援護するのに使う。

相手に魔術師とかの魔力を見れる人間がいなければいいんだけど......。

 

「ありがとう。レナ、フランのことをよろしくね」

「はい、お姉様」

「レミリアお姉様、気を付けてね」

「大丈夫よ。本当に心配症ねぇ。......じゃ、行ってくるわ」

「行ってらっしゃいです」

「行ってらっしゃい!」

 

 そう言ってお姉様が『抜け道』を通って図書館へと行った。

 

「......行っちゃったね」

「そうですね。フラン、今から援護に回るので......手伝ってくれますか?」

「うん! 勿論、手伝うよ。私は何をすればいい?」

 

 そう言ってフランが嬉しそうな顔で聞いてきた。

 

「念のための魔法を準備するので......フランは私の代わりにお姉様の援護と私の手伝いもお願いします。

 あ、このことはお姉様に内緒にして下さい。一応、許可はされていますが......まだ使ったことないので。」

レミリアお姉様に言って、後でお姉様がお仕置きとかされてるのを見たいけど......今回はお姉様との約束は守る。レミリアお姉様には内緒にするね」

「ふふ、そう言えばフランも悪戯とか好きな方でしたね。......ありがとうございます」

「いいよ。お姉様は優しいし面白いし、それに......ね」

「それに? ......何ですか?」

「ふふ、お姉様には秘密よ〜」

 

 そう言ってフランが悪魔じみた笑みを浮かべる。......いや、吸血鬼だから悪魔だけど。

 

「え、気になります」

「だ、だから、秘密よ。秘密。それよりもお姉様は大丈夫なの?」

 

 フランが顔を赤くしながらそう言った。

 何か怒らせるようなことを言っちゃったのかな......?

 

「え、は、はい。今のところは大丈夫です。まだ話をしているだけみたいなので」

「え、話をしている? レミリアお姉様......結構余裕なんだね。」

「ふふ、流石お姉様ですよね。......フラン、準備をして下さい。そろそろ始まりそうです。今から私が見ている景色を貴女にも見えるように視覚を共有させます。......準備はいいですか?」

「うん、大丈夫よ。人間に向かって弾幕を当てるだけなら簡単だし、いつでも準備は出来ているよ」

 

 そう言ってフランは両手に妖力を集め始めた。

 

「では、あっちも始まったみたいなので......こちらも始めましょう!」

「うん!」

 

 そう言って私とフランは援護を始めた────

 

 

 

 

 

 side Remilia Scarlet

 

──紅魔館(フランの部屋)

 

「大丈夫よ。本当に心配症ねぇ......。じゃ、行ってくるわ」

「行ってらっしゃいです」

「行ってらっしゃい!」

 

 そう言って私はレナが作った『抜け道』を通って人間が居る図書館へと行った。

 

「え、きゃっ!? ......あ、あの娘、どうして天井に......危なかったわ......」

 

 抜け道を出た瞬間、上下が逆さまになっていた。すぐに飛ばなかったら真っ逆さまに落ちていただろう。

 レナったら、あの娘......天井に繋がっているなら言ったら良かったのに......。後でお仕置きしないとダメね。

 

「さて、人間は......あれね。確かにレナが言った通り四人だわ」

 

 図書館の扉前......フランの部屋に繋がる廊下の扉を開けようとしている人間が四人いた。

 このままでは、不意打ちをする前にフランの部屋に行きそうね......。もしかしたら、不意打ちが成功しても......逃げられるかもしれない。まぁ、あの人間の中に魔術師とか居たら危険だけど......仕方ないわ。

 そう思い、私は人間の近くに行った。

 

「......私達の館で何をしているのかしら?」

「なっ!? き、吸血鬼!? お、おい、話が違うぞ!」

 

 私が話しかけると振り返り、驚いた顔でそう言った。

 吸血鬼の館なんだから吸血鬼が居てもおかしくないのに.....人間ってどうしてこんなに驚くのかしら。

 

「お、落ち着け! よ、よく見ろ。吸血鬼とは言ってもまだ子供だぞ。子供なら俺達でも何とか出来る。それに、俺達には街で一番の吸血鬼ハンターがついている。最悪、そいつの所に逃げればいい」

「お、おい、だが今、そいつは別の吸血鬼を相手にしてるんじゃ......」

 

 人間が小声──と言っても私達吸血鬼にとっては小声と言い難いが──で話し出した。

 他の吸血鬼......お父様かお母様のことかしら?

 

「な、なら外に逃げれば──」

「あら、この私に会って逃げれると思っているのかしら? それに、貴方達人間は客人でもないのよ。そんな奴らが勝手にこの館に入ってきて無事に帰れるとでも思っているのかしら?」

「う、うるせぇ! お前を殺せばいい話だ! おい、お前ら、殺るぞ!」

「はぁー......人間って本当に愚かねぇ。私は子供と言っても吸血鬼よ? 人間が......それもたった四人でかなうわけがないのに......。

 さ、今なら見逃してあげるわ。今から自分のお家に帰りなさい。家族も待っているでしょ?」

 

 本当......初めて生きた人間に会ったけど......これじゃ、ガッカリだわ。もっと面白い人間はいないのかしら?

 

「......俺の家族を連れ去り、家を壊したのはお前ら吸血鬼どもだろうが! お前らに......全て奪われたんだぞ!」

 

あ、地雷踏んじゃった? ......まぁ、いいわ。

 

「あら、貴方達人間も同じようなことをしてるでしょ? 貴方達はいつも何を食べているの? 貴方達が食べているのも生きているのよ? ......生き物は全て、何かの生き物を食べないと死んじゃうわ。だから、それで命を奪われても文句は言わないで。自然の摂理っていうやつよ」

「吸血鬼が......屁理屈を言いやがって......おい、皆で一斉にかかれば吸血鬼の一人や二人殺れるはずだ!」

「お、おう!」

 

 そう言って人間が武器──剣や槍──を持ち、一斉に向かってきた。魔法使いは居なさそうだし......レナ達の援護なんて要らなかったわね。

 私は空を飛んで回避する。やっぱり、魔法使いとかが居ないと倒すのなんて簡単ねぇ。

 

「お、おい、当たらないぞ!」

「銃だ! 銃を使え! いくら吸血鬼と言えどそれなら当たるはずだ!」

 

 そう言って人間の一人が銃というものを持ち、こちらに向けてきた。

 これは......避けた方がいいかしら。

 

「よし、これなら当たるは──」

「おい! 気を付けろ! 横から何か飛んで来るぞ!」

「な!? ぐはっ!!」

 

 他の人間がそう言った瞬間、銃を持っている人間の手が弾幕に当たり、当たった手と銃が消えて無くなった。

やっぱり、危険なやつだったのかしら。レナが当ててきたし......でも、今の弾幕はフランのだった気がするけど......まぁ、いいわ。

 

「な、わ、罠か!?」

「お、おい! 気を付けろ! そっちからも来ているぞ!」

「な!? こっちからもだ! あ、これぐっ! あ、て、手が......手がァ!」

 

 私の妹ながら恐ろしいわね......。と言うかやっぱり、この弾幕はフランのよね? あの娘......サボっているのかしら?

 

「私もサボってないで攻撃しないとね。人間なら......これでも当たるかしら…...はっ!」

「お、おい! あいつが槍を投げてきたぞ! 気を付け──」

「......え? ひ、ヒィィィ!」

 

 私はそう思いながら『グングニル』を作り、近くにいた人間に向かって投げた。......すると、うまい具合に頭に命中し、首から上が吹っ飛んでいった。

 

「ば、化けも......ぐっ! い、痛てぇ!」

 

 人間が何か言おうとした時に、フランの弾幕がその人間の足に当たり、その人間の足が一部弾け飛んだ。

 フランの弾幕の力は相変わらず強いわね。私でも当たると当たった場所が弾け飛ぶかもしれないわ。

 

「このくらいのレベルなら私一人でも良かったわね。......これ以上やっていてもレナ達に心配かけるし、さっさと終わらせましょうか!」

 

 私はそう言って再びグングニルを構えた──

 

 

 

 ──数分後 紅魔館(フランの部屋)

 

「さぁ、レナ。私に何か言うことはないかしら?」

「え、えーと......お疲れ様でした?」

 

 今は人間の殲滅が終了し、レナにフランの部屋までの『抜け道』を作ってもらい、フランの部屋に戻ってきたところだ。

 

「違うわよ! 貴女、フランに弾幕を任せっきりで何もやってなかったでしょ!?」

「うっ......お、お姉様、それには訳がありまして......」

「そうよ! レミリアお姉様、お姉様を怒らないで!」

 

 レナがしょんぼりした顔でそう言った。

 本当に何か理由があったみたいだけど、それでもフランに任せっきりだったのは許せない......けどフランが『怒らないで』と言っているなら話は別だ。

 

「......はぁー、フランがそう言うならもういいわ。......でも、レナ、どうして任せっきりだったの?」

「そ、それは......もしもの時の為の魔法の準備をしていたので......」

 

 もしもの時の為の呪文ねぇ......。まぁ、さっきの人間には全然必要無かったみたいけど。

 

「ふーん......どんな魔法かしら?」

「え!? え、えーと......極大消滅呪文?」

「どうして疑問形なのよ! ......はぁ、分かったわ。召喚魔法ね」

「え!? どうして.......あっ」

 

 やっぱり、レナは嘘が苦手ね。と言うか、自分から言っちゃったし......。

 

「レナ、召喚魔法は前に許可したから別に隠さなくてもいいのよ?」

「そうですけど......一度も使ったことがなかったので......」

「レナ、さっきも言ったけど貴女は心配しすぎよ。......もうこの話は終わりにしましょう。レナ、引き続き魔法でお父様達をを探してちょうだい」

「......はい、お姉様」

 

 私はそう言ってレナにお父様達を探させた──

 

 

 

 ──数時間後 紅魔館(フランの部屋)

 

「あ......お姉様、少しお話が......」

「ん? どうかしたの?」

 

 私が帰ってから数時間後、なかなかお父様達が見つからず──なかなか見つからない理由はレナが使っている魔法は速度が遅いかららしい──、人間もあまり見なくなってきた時にレナが私を呼んだ。......それも、フランに聞こえないくらいの声で。

 今、フランはレナの魔導書を読んでいる。多分、気付いてはいないだろう。

 

「グスッ、お、お姉様......お、お父様達を見つけました。でも、お父様達は既に......」

「そう......やっぱり、運命は変えることが出来なかったのね......」

「......お姉様、これから私達は、どうしたらいいんでしょうか......?」

 

 レナが静かに泣きながらそう言ってきた。

 ......私は最初から知っていた。お父様やお母様が死ぬことを......そして、二人を絶対に助けることが出来ないことを......。

何故知っていても止めなかったのかと言うと......これは私の能力でも変えることが出来ない運命であり、これが一番の最善策だったからである。もしも、これを変えるために私やレナ、フランがあの時残っていたら......間違いなく全員死んでいた。お父様とお母様が犠牲にならないと私達三姉妹は生きることが出来ない運命だった。だから、お父様とお母様の命を引き換えに......私は私達、三姉妹が生きる道を選んだのだ。

 

「......大丈夫よ、レナ。私がなんとかするわ。私がこの館の当主となって......貴方達を守るわ。だから......心配しないで。ね?」

「お姉様......うっ、ひっく、うぅぅ......」

 

 レナが声を殺して泣き始めた。......勿論、フランに聞こえないようにするためだろう。

 

 もうこの館の中には人間はいない。何故ならお父様とお母様が自分の命と引き換えにこの館に攻めてきた全ての人間を殺したことを知っているからだ。

人間が戦力を今回で殆ど使ったことも知っている。前にお父様が『狩り』で得た情報を聞いたことがあるからだ。お父様を殺すために殆どの戦力を人間は使った。だから、当分ここが攻められることはない。......それに、あいつらも私達を脅威と思っていないだろうから、しばらくは大丈夫のはず......。

 ......この館に住む殆どの執事、メイドは死んだだろう。幸い、メイドの殆どが妖精だから死んでもまた生き返ることが出来る。しかし、この館の当主だったお父様も含め、殆どの住人は生き返れない。

 

「レナ、大丈夫よ。私がいるから......。それに、そんなに泣いているとフランに気付かれるわよ? フランに心配かけないためにも泣きやみなさい」

「グスッ......はい、すいません。......お姉様は知っていたんですか? お父様達が死ぬことを」

 

 レナが泣き顔でそう聞いてきた。

 

「えぇ、知っていたわよ。どうして分かったの?」

「お姉様、お父様達と別れた時に少し泣いていました」

「......そう。やっぱり、覚悟はしていても泣いしまうものなのね」

 

 私はお父様とお母様を犠牲にして、今から生きることを......レナとフランが生きることを選択した。お父様とお母様の犠牲があったからこそ、私達は生きている、これからも生きることが出来る。

 ......お父様、お母様。今までありがとう。そして、犠牲にしてしまってごめんなさい。

でも、私は後悔しないわ。レナとフランを救うためには、これしか方法が無かったから......。

 

「......お姉様、泣いて当たり前です。私達のお父様とお母様なんですから......」

「そうよね......当たり前よね......」

「お姉様......一人で何もかも抱え込まないで下さい。......私とフランがいつでも助けますから」

「そうよ、レミリアお姉様。......それと、お母様達が死んだことを隠さなくてもいいわよ。全部知っているから」

 

 フランがそう言って横から飛んできた。フランの顔には涙が流れた後があった。

フランも知っていたのね。お父様達が死んだことを......。

 

「ふ、フラン......いつから聞いていました? それに、お父様達が死んだことをどうして.....」

「昔、お姉様に教えてもらった魔法を別れる時に使ったのよ。だから、お母様達が死んだのも知っているわ。それと、お姉様達の声なんて全部聞こえているわよ。声がデカすぎるもの」

「フラン......本当に、貴方達って子は......。レナ、フラン、聞いてくれる? 私は貴方達が生きる運命を選択したわ。......お父様達を犠牲にしてね。

私は全て知っていてこうしたのよ。お父様とお母様が死んで、私達、三人が生きるように運命を操った。私は......親を捨てたのよ。私達が生きるために......。そんな姉とこれからも......一緒に居てくれるかしら?」

 

 私は妹を生かすために親を捨てた。親を見捨てる子供なんて、 本当に良いのかしら......。

 

「お姉様、私が知っていてもそうしたと思います。だから......一人で悩まないようにして下さい。顔に出てますよ?」

「そうよ、レミリアお姉様。貴女も、お姉様も一人で何もかも抱えすぎなのよ。たまには私にも相談してほしい。......姉妹なんだから」

「レナ、フラン......そうね。これからも、私達三姉妹で一緒に......生きていきましょう」

 

 この選択が本当に正しいかどうかなんて分からない。だけど、今はレナとフランが生きることを考えなくちゃ。

 そう思い、私は平和な日常が去ったこれからを妹達のために生きることにした────


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