東方紅転録   作:百合好きなmerrick

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ここから次章までほぼシリアスになる予定です。


6、「崩れ始める日常その1──妹の狂気と姉の誓い」

 side Renata Scarlet

 

 お父様が『狩り』帰って来て、フランの部屋でパーティーをしてから15年...私が17歳になった時、あれからも魔法、空を飛ぶ練習を続け、ようやくお姉様に『召喚魔法』を使用することを認められた。

 そして...あれから色々と分かったこと、変わったことがある。

 まず、分かったことは...私の能力が分かったことだ。きっかけはお姉様と一緒に寝ている時...お姉様が寝ぼけて私の首を噛んでしまったことだ。

 

「お、お姉様! 痛い!」

「え?......あっ! ご、ごめんなさい。レナ、大丈夫?」

「うん、私も吸血鬼だから、大丈夫。すぐに治るよ」

 

 そう言ったと同時に、私は吸血鬼の再生力で傷を治していく。......そこまでは何も分からなかったけど、お姉様が私を噛んだ時に、誤って吸血してしまったことで私の能力が分かった。

 

「あ、レナ。貴女の血......少し飲んじゃった。」

「大丈夫だよ。それよりも......私の血って美味しいの?」

「......えぇ、とっても美味しいわよ」

 

 ...…これは、普通に気になったから聞いただけで、別にまた吸血されたいとかは思っていないからね。吸血されると地味に痛いし。......本当のことだからね。

 

「なら、良かった。お姉様に不味い血を飲ませた、なんてことがあったら嫌だからね」

「貴女の血が不味いわけ......あ、あれ? ど、どういうこと?」

「え? お、お姉様? どうしたの?」

 

 私の血を飲んだ後に......いきなりお姉様が震える声で何かを言い始めた。

 

「だ、大丈夫よ。い、いつも通りに......あれ?いつも通りって、いつもはどうやっていたのかしら...…?」

「お姉様! 声が震えてるよ!? 本当に大丈夫なの!?」

「わ、分からない......何が起きたのか分からないわ! どういうこと!? どうして、どうして私の能力が......」

 

 お姉様が混乱しすぎて......会話が殆ど成り立たない。本当にどうしちゃったの?

 

「......お姉様、能力がどうしたの?」

「能力が使えないのよ! 貴女にも! 私自身にも使えないの! 今までどうやって使ってたのか......それが分からないの!」

「わ、分からない? 能力の使い方が?」

「えぇ! 今までどうやって使ってきたのか! どうやったら使えるのかが分からないの!」

「お、お姉様!......落ち着いて。大丈夫、私が居るから。安心して......ね?」

 

 取り敢えず、お姉様を落ち着かせないと......。大丈夫......私ならお姉様を正気に戻せるはず。

 そう思いながら、お姉様を抱きしめて言った。

 それにしても...…こんなにも感情が不安定なお姉様は初めて見た。まるで......感情を抑制出来ていないみたい。

 

「レナ......大丈夫。ごめんね、心配かけて。もう大丈夫よ」

「......お姉様、私からも......ごめんなさい。もしかしたら私のせいかもしれない。私の血を飲んでから使えなくなったみたいだし......」

「レナ、誤って飲んでしまったのは私だし......貴女は悪くないわ。......それに、もう能力の使い方も思い出したわ。確かに、貴女の血の影響かもしれないけど、これで貴女の能力も分かったし......大丈夫よ」

 

 え? 私の能力が分かったの? ......そんな顔をしているとお姉様が説明してくれた。

 

「多分、貴女の能力は誰かの能力を......いえ、能力以外にも理性とかも『分からなくする』みたいだわ。......さっきの私は感情を抑制する『理性』が欠けていた。......と言うよりはそれを『忘れていた』。今まで普通に使っていたことを『忘れさしてしまう能力』......貴女の能力は何かを分からなく......いえ、どちらかと言うと、『何かを有耶無耶にする能力』みたいだわ。

 貴女の血を飲むことで発動するみたいだけど......常時でも微弱ながら発動しているみたい。貴女が貴女自身を分からなく、有耶無耶にして、貴女に対する能力は効きにくくするみたいだわ。......だから、私の能力が効きにくく、フランの能力で貴女の『目』を見つけにくいの。

 それと、貴女が私を抱きしめてくれた時に理性も、能力の使い方も思い出した。......貴女自身が対象に触れることでも発動、解除が出来るみたい。

 とまぁ、私に分かったことはこれくらいね。」

 

 やっぱり、私のせいで......。

 

「お姉様、怒ってる?」

「え? どうして?」

「だって、私のせいで......」

「あら? 誰も貴女のせいとは思わないわよ。私が勝手に噛んで吸血しただけよ。それに、もう元に戻ったしね」

「......お姉様、ありがとう」

「どういたしまして」

 

 この能力が分かってからはお姉様と一緒にこの能力を使い方を練習した。

 そして、他にも分かったことがある。生物以外にも、無機物に対して使えることが分かった。無機物に対して使えると言っても、『存在』を『有耶無耶』にして自分以外からその無機物を認識しずらくすることくらいしか出来ない。他にも、血での効果は時間制限があるらしい。詳しい時間は分からないけど......量によって差が出るみたい。

 それと、自分にはどんなことでも能力を発動、解除することが出来るが、他の生物に対しては触れている時じゃないと発動、解除が出来ない。

 この能力の使い方を覚えて良かったことがある。それは、フランにいつでも会いに行けるようになったことだ。まぁ、自分の『目』を『有耶無耶』するという条件付きだけどね。

 ......でも、この能力が分かるのがもっと早かったら良かったと後悔している。お母様はもう手遅れらしい。能力を使用し過ぎて......生きても後1年だとか。お母様は今、自分の部屋で安静にしている。

 だから......今のフランは独りぼっちだ。お姉様と私が能力を使って部屋には毎日行っているけど......それでも私達が居ない時は......独りぼっちだ。だから、少しでも独りにしないように毎日行っている。ただでさえ、フランは精神状態が不安定。もしも、一日中独りで過ごすとなると......もしかしたら狂気に染まって、手遅れになることもあるかもしれない。そうならないように、姉である私達が何とかしないと......。

 ......だから、今日も魔法と空を飛ぶ練習が終わったら行くことにした。

 

「お姉様、今日こそは勝たせてもらいます!」

「あら? 妹が姉に勝てると思っているのかしら?」

 

 今はお姉様と一緒に空を飛ぶ練習......と言うよりかはお姉様と勝負をしている。勝負の内容は『弾幕ごっこ』とあまり変わらない。しかし、『弾幕ごっこ』と違い、美しさを重視してない。相手に当てる為だけに弾幕を放っている。ルールも簡単、先に相手と数メートル離れて、その相手に一発でも弾幕を当てたら勝ちだ。

 ......私が15歳の時からやっているけど、未だにお姉様には勝ったことがない。と言うか遊ばれている気もする。

 

「姉と言っても三年しか変わらないです! だから、今日こそは!」

「三年しか変わらないのに毎回負けているでしょう? 私に勝とうなんて.....千年早くてよ!」

 

 お姉様がそう言ったと同時に槍状の妖力の塊(グングニル)を放った。私も負けじと同じような槍状の妖力(ブリューナク)を放つ。

 私のブリューナクはいつかするであろう『弾幕ごっこ』のためにお姉様のスペルカード『神槍「スピア・ザ・グングニル」』を真似して作ったスペルカードだ。勿論、この勝負では威力を重視にしているから本来のスペルカードとは少し違うようにしている。本来は天に向かって投げてから効果を発動させるのだが......これは槍に力を込め、普通に相手に向かって投げる。

 そして、投げた槍はお姉様の『グングニル』によって相殺された。

 

「あら、レナ、昨日よりも強くなったのね」

「えへへ。ありがとう、お姉様」

「レナ、褒められたからって照れて油断しては駄目よ」

 

 あ、やっぱり、褒めてくれてるのね。それにしても、お姉様に褒められると凄く嬉しいなぁ。

 

「はぁー、今日も貴女の負けね。レナ、後ろも注意しなさい」

「えっ? ......えぇ!?」

 

 後ろを振り向くとそこには、無数の弾幕があった。え? いつの間に!? っていうか、容赦なく弾幕を張りすぎじゃない!? めちゃくちゃあるけど!?

 さらに、後ろを向いている最中にお姉様が前でも弾幕を張り......その全てが私に襲いかかった。

 

「い、痛い! お、お姉様! 負けでいいから! 痛っ! も、もうやめて!」

「あらあら、私に勝つんじゃなかったの?」

「お姉様に勝つなんて痛っ! 千年早かったです!」

「よろしい。レナ、私に褒められても照れずに集中してたら避けれたかもしれないのよ。......私は貴女が油断している時に弾幕を張ったのだから」

 

 お姉様はそう言いながら弾幕を消した。

 

「うー......今日も勝てなかった......と言うか、お姉様。私の性格を知って褒めたでしょ......」

「あら? 何のことかしら?」

「うー......悪魔!卑怯者!」

「レナ、何か言ったかしら?」

 

 お姉様の目が私に鋭く刺さる......。絶対聞こえてるのに聞いてくるあたり、やっぱり悪魔だ。

 

「......何でもないです」

「そう、ならいいわ。さ、早くフランの部屋に行きましょう。......あの娘もそろそろ我慢出来ないみたいだし」

「......そうだね」

 

 そう言ってフランの部屋へと私達は向かった────

 

 

 

 

 

 side Flandre Scarlet

 

 ──紅魔館(フランの部屋)

 

「......お姉様達、遅いなぁ......」

 

 いつもより一時間以上遅い。......私、嫌われたのかな? ......でも、嫌われることは何もやっていないはずだし。きっと......魔法の練習とかがいつもより長引いているだけに決まっている...…。

 そう思っても、やっぱり心配だ。

 ......私の能力は危険らしい。前まではお母様が能力で抑えてたらしいけど、今はお姉様が能力を使えるようになったり、お母様の体調が悪くなったりして......今の私の能力は自由に使うことが出来る。

 私の能力は『ありとあらゆるものを破壊する能力』......全ての物には『目』と呼ばれるものがあり、私はその『目』を手に移し、握り潰すことでその物を破壊することが出来る。

 ......今もいたるところに『目』が見える。今、私が持っている人形にも、手が届かない距離にある人形にも......全ての物に『目』が見える。

 そっと......私が持っている人形の『目』に触れてみる。すると、人形があっけなくバラバラと壊れた。

 

「......また壊れちゃった。お姉様に怒られるかな......」

 

 物をあまり壊さないように言われてたのに、また壊しちゃった。

 ......何故壊そうと思ったのか、私にも分からない。たまに......自分が自分ではなくなってしまい、近くにある物を全て壊そうとしてしまうことがある。

 もしかしたら、近くにある物なら......お姉様達でさえも壊そうとしてしまうかもしれない。

 ......絶対にお姉様達は壊さない。もしも、壊そうとしてしまったら......私自身を壊す覚悟もある。......お姉様達は、こんな私を受け入れてくれた優しいお姉様達だ。何があっても私を守ろうとしてくれてる。そのお姉様達を......もしも、私自身が壊したら。そう考えるだけで胸が苦しくなる。何があってもそれだけは止めないと......。

 もしも、私が狂気に染まって、お姉様達を壊そうとしたら......私自身が止めないと。何をしてでも......。

 それにしても...…お姉様達遅いなぁー。

 独りぼっちは寂しい。......本当はこんな場所に独りで居るだけでも嫌だ。でも、私はまだ自分を止めれるか分からない。ここに私が居るだけで......お姉様達に危険が無いならそれだけでいい。

 

「独りぼっちは寂しいよ。早く来てよ、お姉様......」

 

 そう呟いてみる......勿論、返事は──

 

 ──貴女、お姉様達に嫌われたんじゃない?──

 

 返事が......どこからともなくそんな言葉が返ってきた。

 

「わ、私は! 嫌われるようなことは何も......」

 

 ──貴女が嫌われるようなことをしてなくても......貴女には忌み嫌われる能力があるじゃない。貴女の存在自体が嫌われる原因なのよ──

 

「ち、違う! お姉様達はそんな私でも......」

 

 ──それは貴女が勝手に思っているだけ。本当はお姉様達にとって貴女は...邪魔でしかない存在よ──

 

「う、嘘よ! 私はお姉様達にとって......あ、あれ? わ、私って、お姉様達にとって......必要なの? 本当は邪魔なんじゃ......ち、違う! 私は......い、いらない? 違う! 違う違う違う!」

 

 ──やっと気付いたのね。貴女は必要ないの。消えても誰も悲しまない──

 

「違うって言ってるでしょ! そもそも、貴女は誰なの!? 私のことなんて知らないくせに...」

 

 ──全て知っているわ。私は貴女......貴女自身よ。全て知っているから言っているのよ。貴女は邪魔だと...…ね──

 

「貴女の方が邪魔よ! 貴女の方がイラナイ! お前ナンテ......キエロ!」

 

 そう言って私は能力で『全て』を消そうとした。......そこから先の記憶が無い。

 ......次に目が覚めた時は...お姉様の微笑む顔が見えた────

 

 

 

 

 

 side Renata Scarlet

 

 ──紅魔館(フランの部屋)

 

「違う! 違う違う違う!」

 

 フランの部屋まで後もう少しという所でフランの部屋からそんな声が聞こえた。

 

「お姉様! 先に行きます!」

「れ、レナ! 待ちなさい!今、貴女が行ったら!」

 

 そんなお姉様の静止する声も聞かずに私は急いでフランの部屋に向かった。

 そこには、笑顔で叫び続けるフランと......『破壊』された玩具がいたるところに転がっていた。

 

「フラン! 大丈夫......っ!? ふ、フラン?」

 

 私がそう言って部屋に入ると......フランが私に向かって飛び込んできて、私を倒して馬乗りになった。

 

「ゼンブ......キエテシマエ。オマエモ、ゼンブ......」

 

 そう言ってフランが私の首を絞める。首を絞めている手の爪が私に突き刺さり、そこから血が出ている。

 

「ふ、フラン。大丈夫ですよ......。私です......お姉ちゃんですよ?」

「......オネエサマ? ......チガウ。オネエサマハ、ワタシナンテ......」

 

 フランに語りかけるも...話を聞いてくれない。

 

「フラン......どうし、ましたか?」

 

 あれ? どんどん息が......出来なくなってきた......。

 

「オネエサマハ、ワタシナンテ......イラナ──」

「いります! ......フラン、貴女は......私の、たった......たった一人の、妹です......よ?」

 

 そう言ってフランに微笑みかける。

 ......あぁ。息が......もう、もたな.....

 

「......オ、オネエサマ? ホントウニ、ワタシハイルノ? ......ヒツヨウナノ?」

「......勿論です。貴女は......私達......に、とって......必要です......」

「そうよ、フラン。貴女は私達にとって......大切な妹なのよ」

 

 そう言ってお姉様が入ってきた。はぁ......遅いですよ、お姉様......。

 

「......フラン、そろそろ離してあげなさい。レナが苦しがっているわ」

「......え? お、お姉様? あっ......ごめん......なさい。......ごめんなさいごめんなさいごめんなさい......」

 

 正気に戻ったフランが首を絞めている手を離し、泣きながら私を抱きしめて言った。

 

「はぁ、はぁ、はぁ......大丈夫ですよ......それよりも、フランが元に戻って良か──」

「お、お姉様!」

 

 私がそう言ったのを最後に、私は気絶してしまったらしい。

 最後に聞こえたのは......フランの泣いているような声だった────

 

 

 

 

 

 side Remilia Scarlet

 

 ──紅魔館(フランの部屋)

 

「お、お姉様!」

 

 フランがそう言った時、レナが気絶した。......さっきまで首を絞められ、さらにそこから血も出ているから気絶するのは仕方ない。

 

「大丈夫よ、フラン。レナは気絶しているだけ」

「あ......レミリアお姉様......レミリアお姉様も......私のこと嫌いじゃない?」

「勿論、貴女のことも、レナのことも大好きよ。だって、私の妹なんですもの。好きじゃない方がおかしいわ」

「......そう、良かった。......お姉様、私のこと怒ってないかな?」

 

 そう言って、フランが私に聞いてきた。

 

「レナがさっき言ってたでしょ? 大丈夫......ってね。レナも貴女のことが大好きなのよ。首を絞められたくらいじゃ怒らないわ」

「......それが、殺そうとしてても?」

「あれは貴女の意思じゃないでしょ?」

「そ、そうだけど......」

「なら、大丈夫よ。......さ、フラン、レナをベッドに運ぶのを手伝って。いつまでも床に置いとくわけにもいかないわ」

「......うん、分かった」

 

 そう言って私とフランでレナをベッドに運んだ。

 不意に、レナがフランの部屋に急いだ時に見えた運命(未来)を思い出した。.....あの時、フランがレナを殺す運命(未来)が見えた。

 ......でも、本当は違っていた。本当は『殺そうとする運命(未来)』だった。あの後、すぐに気付けたから良かったけど......あのまま勘違いしていたら、フランを......大切な妹を殺していたかもしれない。......その後、後悔するのは私なのに。

 

「......フラン、約束してくれる?」

「? ......何を?」

「......もしも、貴女がまたレナを殺そうとしたら、私は......レナを見捨てるわ。もし、そうなったとしても...…貴女は前を向いて生きてくれる?」

 

 ......これが、一番の方法だろう。レナは自分よりもフランを、私達姉妹を優先する。......そんな優しい娘なのに......フランの代わりに生きるなんてことがあったら、普通の精神状態ではいられなくなるだろう。......そうなったレナを私は見て生きるなんて......。

 

「......無理よ。お姉様が死んだら......私は前を向いて生きるなんて出来ない」

「フラン......」

 

 ......そっか、フランも同じなんだ。フランもレナと同じ、優しい娘なんだ。......姉なのに、気付いてなかった。本当......最低な姉ね。

 

「......レミリアお姉様、貴女こそ約束して。......もしも、私がお姉様達を殺しそうになったら、私を殺してでも生きるってことを......」

「フラン......私は誰の指図も受けないわ。そんなことは絶対に私が許さない」

 

 フランも、レナもどちらも傷つけはさせない......。そうすればいいんだ。『どちらか』じゃない......『どちらも』救えばいいのだ。

 妹二人を常に救う為には、そんな我が儘じゃないと......駄目なんだ。

 

「で、でも、それじゃ......」

「フラン! 貴女の意見は私も......レナも同じなのよ。姉よりも妹に長く生きて欲しい。......姉はそう思っているのよ。だけど、貴女も自分よりも姉に生きて欲しいって思ってるのは分かったわ。だから......私は姉として、妹を二人とも見捨てないと誓うわ。

 ......例え、どちらかが絶対に死ぬかもしれない状況でも、私は貴女達を見捨てない。私は両方とも救えるように強くなるわ。

 ......だから、貴女も......もうこんなことにならないように強くなりなさい」

「レミリアお姉様......。分かったわ。私は強くなる。......もう、こんなことを繰り返さないように」

 

 フランがそう言った。......流石、私の妹ね。目を見れば本当に決心したってことが分かるわ。

 

「......それでこそ私の妹よ。さぁ、今日はもう遅いわ。三人で一緒に寝ましょう」

「え? い、いいの? お父様に怒られないの?」

「大丈夫よ。私の能力を使えば......一日くらいなら一緒に寝てもバレないわよ」

 

 私の能力を使えば一日や二日大丈夫......のはず。まぁ、バレたら私がどうにかすればいっか。

 

「......ありがとう、レミリアお姉様。」

「別にいいわよ、それくらい。さ、明日は早いし......早く寝ましょう。」

「うん!」

 

 私達はそう言って、レナの寝ているベッドで一緒に寝た。右から順にレナ、フラン、私だ。......あれ? ちょっとおかしくない?

 

「......フラン、どうして私がこっちなのかしら?」

「私はお姉様の横がいいのよ。レミリアお姉様は我慢して」

「さっきも言ったけど、私は誰の指図も受けないわ。だから、私がレナの横で──」

「私もレミリアお姉様の指図は受けないわ! 私はお姉様の横がいいのよ!」

 

 フランがなかなか譲らない。こうなったら......。

 

「......仕方ないわ。フラン、レナを真ん中に移動させましょう。そうしたらどっちも横に寝れるわ」

「はぁー、仕方ないね。......レミリアお姉様は本当に子供みたい」

「あら? フランにだけは言われたくないわ」

「れ、レミリアお姉様よりは子供じゃないわよ!」

 

 レナを真ん中に移動させながらフランと話す。

 やっぱり、必死に否定しているフランも......レナみたいに可愛いわね。

 

「......さ、これでいいわね。寝ましょうか」

「うん......おやすみ、お姉様、レミリアお姉様」

「おやすみなさい。レナ、フラン」

 

 勿論、レナからの返事は返ってこなかったが......私達はそれを気にせずに目を閉じた────




レナさんの能力がようやく分かりましたね。まぁ、裏(ry

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